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ゼロの使い魔・ブルー編-16

「もう半日以上経っているぞ?魔法衛士隊の連中は化け物か」
「グリフォンと馬では勝手が違うのかも知れませんね……」
「そういうものかね」
「知りませんよ……」
「……大丈夫かね?」

ギーシュが言ったとおり、半日ほど馬に乗りっぱなしである二人であった。
元々乗馬の経験があるギーシュはまだ何とか体勢を保っていたが、
ルージュはと言うと、完全に馬の上でぐったりしている。
ギーシュはそんな様子を見て、不思議そうに言った。

「君はもっと体力がある方だと思ったがね」
「……何でです?」
「ちょっと剣を振ってみたんだがね、あれは結構疲れた」
「……そうですか」
「……本気で疲れてるようだね……」

そこに、ワルドの怒鳴り声が聞こえた。

「早くしないと、置いていくぞ!」

……彼にしては珍しく、少し苛ついた。

「……『デュレイオーダー』」

グリフォンの速度を、少しずつ下げていった。
そのうち、ろくに操れていない馬の方が早くなる。
ルージュは追い越して、距離がある程度経つと息切れしながら、
何とか出せる限りの大きな声を出した。

「早くしないと……置いてきますよ……」

そのまま走り去る。
まぁ、『デュレイオーダー』は時間が経てば解けるし、
グリフォンの元の速度が馬より速いから、さして問題ではないのだが。
事実、その後ルージュの馬はワルドのグリフォンにあっさり抜き返された。

まぁ、そんな事をしていたので、馬を乗り換えながらも、
夜深くにようやくアルビオンの玄関口たるラ・ロシェールについたのだが。

「ゼェ……ハァ……」
「本気で辛そうだね……君は……」
「まだですか……」
「それはもうかれこれ12回聞いた気がするんだが……
 だけど、もうすぐ着くよ」

その言葉にルージュは顔を上げて周りを見回した。
港町と聞いていたが、山だらけである。

「……シップがないのに、高地に港町があるんですか?」
「シップ?なんだねそれは」
「……船です」
「別におかしく無いじゃないか」
「……?」

その時、彼らめがけて崖上から火のついたたいまつが投げ込まれる。
馬がそれに驚き、暴れ出した馬にギーシュとルージュは捕まっていられなかった。
その後数本の矢が飛んでくると、ギーシュが叫ぶ。

「奇襲だ!」
「……」
「ブルー!寝てないで応戦したまえ」
「もう止めてくださいギーシュ……僕のLPはもうゼロです」
「ゼロになったら死ぬんじゃないのかね」
「宿屋に行けば大丈夫です……というわけで後は任せました……」
「いや、そういうわけに――」

矢が横をかすめて飛んできたので、ギーシュは黙り込む。

「むう、どうも一人でなんとかしなきゃならないみたいだね……」

ギーシュはそう言って矢の飛んでくる方向に大体の当たりを付け、
錬金で壁を作り出し、そこに隠れた。

「さて、近づいてきてくれれば僕でもどうにか出来るかも知れんが、
 このままもう一回たいまつを投げ込まれたらどうしようか」

と、そこにワルドが戻ってくる。
飛んできた矢を、竜巻を作り出してはじき返した。

「子爵!」
「野党か山賊の類か?」

横で呆然としていたルイズが、続く。

「アルビオンの貴族派ってことは……」
「貴族ならあんな手は使わん」

その言葉に、寝ていたルージュは少しの違和感を感じた。

(そう言えば、今朝方も変だったな。
 なんであの紹介でルイズの使い魔だと解ったんだ?)

あの説明ならば、ギーシュと『その』使い魔のブルー、と捉えてもおかしくはない。
だが、それは個人の捉え方。どう解釈してもおかしくはない。
しかし。

(貴族派、と言ってもまさか全員が貴族というわけじゃないだろうし)

そして思考をより深くしようとして、
どこからか聞こえてきた翼の音に、思考を中断させる。
崖の上から悲鳴が聞こえてくる。恐らく、たいまつや矢を飛ばしてきた者達だろう。
暗くて遠くなので良く見えないが、数回雷光が閃くと、その男達の姿が見えた。

「『風』の呪文……にしては妙だな」

雷撃に撃たれた男達ががけの上から転がってくる。
崖の上に何かが降り立つと、月からの逆光でシルエットが浮かび上がる。

「あれって……」

それは再び飛び上がると、此方に向かって飛翔してきた。
近づいてくると、その姿と、上に乗った二人組が見える。

「タバサ!クーン!後キュルケ」
「なんであたしはついでなのかしら?」
「何しに来たのよ!?」
「追ってきたのよ。思ったより時間がかかったけどね」

キュルケは雷竜の背中から飛び降りると、
転げ落ちていた男達を足で軽くこづく。

「で、こいつらどうするのよ?」
「僕に任せてくれたまえ」

と、ギーシュが一歩前に進み出る。

「君たちは何だね」
「ただの盗賊だよ」

ギーシュが振り返る。

「だそうだ」
「……いや、色々と突っ込むところが多すぎて逆に……」
「やるなら徹底的に」

といい、今度はタバサが前に進み出る。

「なんだ、今度は嬢ちゃんか、俺達はただの盗賊だって――」

返事はせず、タバサは小さく呟き、杖を振る。
幾つかの氷の矢が、自称盗賊達をかすめて地面に突き刺さる。

「……わ、解った。酒場で酒を飲んでたら、男と女の二人組に雇われたんだ」
「詳しく」
「女の方はフードを被ってたからよく解らねえ。
 男の方は仮面を被っててよくわからなかったが、そうだな……身長はそこの兄ちゃんぐらいだな」

と、ワルドの方を見やって言う。

「それと、二人ともメイジだったな」
「それだけ解ればいい」

タバサが振り返る。
それに対し、ワルドが言う。

「……ふむ。捕縛したい所だが、時間がない。
 ここは放置して先を急ぐとしよう」

と、ルイズを連れてグリフォンにまたがる。
ギーシュとルージュも馬に乗った。
彼らが進むその先に、ラ・ロシェールの灯が煌めいていた。

彼らが去った後。

「畜生、割の良い仕事だと思ったら、相手がメイジなんて聞いてねえぞ!」
「あんな人数のメイジを相手なんて、金貨200でも足りねえよ……」

と、そこに白い仮面を付けた男が現れる。
男達のうち一人はそれに気付くと、ぶっきらぼうな口調で言う。

「おい、いくら何でもメイジ相手は無茶ってもんだろう、旦那よ」
「そうか、だがまだ働いて貰うぞ」
「あぁ?俺達は今さっきガキのメイジ一人にあしらわれたんだぞ?
 こんな仕事やってられるか!降りるぞ!」
「そうか」

冷たく言うと、男は腰に下げた紅い剣を抜きはなった。

「な、何だ、やろうってのか?」
「逃げれば殺すと言っただろう」
「へ、へへ。剣を使うって事はてめぇメイジじゃねぇな。
 この人数相手に勝てると思うのか!?」

と、周囲に寝転がっていた男達が立ち上がり、各々の獲物を手に取る。

「そうだ、てめえから金を奪えば良いじゃねえか。
 まさかあれだけって筈もないだろ……やっちまえ!」

男達が、仮面の男に武器を構えて駆ける。
仮面の男はそれを平然と眺めて、手にある剣を一閃した。
剣がふくれあがった。そう表現するのが一番正しい。
紅く透き通った巨大な刀身が仮面の男を中心に振り回されると、
男達が身体を真横に両断される。

「……な、なにが…………は」

胸の辺りを切断された男は、最後の吐息を漏らすと、
それ以上話す事は出来なかった。
仮面の男が、その場を立ち去る。
後には、骸だけが残った。

『女神の杵』亭という、結構豪華な宿に泊まる事になった一行は、ぐったりしていた。
いや、どちらかというとルージュのみがぐったりとしていた。
ギーシュは、ワインを飲んでくつろいでいる。
キュルケはタバサに話しかけている。タバサは本を読んでいる。
つまり会話が成り立っていない形になる。
ルイズはと言うと、ワルドと共に『桟橋』に乗船の交渉に行っている。
ルージュが机に寝そべったまま、ギーシュの方を向き、聞いた。

「ギーシュ、さっき船がどうとか言ってたよね?」

ギーシュは、口に含んでいたワインを飲み込む。

「確かに言ったね」
「高地にあるって事は……まさか飛んだりはしない?」
「飛ぶに決まってるじゃないか。アルビオンに行くのだから」

と、そこでルイズとワルドが帰って来た。
一同が集まっていた卓の空いている席に座る。

「アルビオンへの船は明後日にならないと出せないそうだよ」
「一刻を争うのに……」
「良いじゃないですか、無理に急いだって良いことはありませんよ」

ルージュが言うが、その様子を見てると誰もが同じ感想を抱く。
休みたいだけじゃないのか?そんな視線に晒されても彼は動じない。
キュルケがそこで話題を変える。

「アルビオンに行ったことはないからわかんないけど、
 明日は船が出せないの?」
「明日は月が重なるだろう?その翌日に、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくのだ」

そして、三つの鍵を机の上に置いた。

「今日はもう休もう、部屋をとっ……ってあれ?」

鍵がいつの間にか二つになっている。
見ると、ルージュが既に部屋のある上への階段を上っていた。
ワルドはそちらを見てから、もう一度卓についている者の方を向く。

「……キュルケとタバサ、彼とギーシュ、僕とルイズが相部屋だ」


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