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「ゼロのルイズが巨大隕石を召喚して人類滅亡」(2012/07/07 (土) 15:04:18) の最新版変更点
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始祖ブリミル降臨暦6242年、春。トリステイン魔法学院の使い魔召喚の儀式にて。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、今日も今日とて呪文を唱える。
それが、この世の終わりを告げる言葉となるとも知らず。
「宇宙の果てのどこかにいる、私のしもべよ!」
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
「私は心より求め、訴えるわ! わが導きに応えなさい!!」
その瞬間、爆発は起きなかった。……が、すうっと空が暗くなった。皆は思わず空を見上げる。
「……え? 何? 何なの?」
「夕立じゃないよな」「日蝕?」「でも、そんな予報はまだ……」「いや、あれは……」
その日それは、ハルケギニア大陸のあらゆる場所から、あらゆる人々の目で確認された。
空を何か、月ではない、大きなものが飛んでいる。……馬鹿馬鹿しいほど巨大な、隕石だった。
直径はおよそ、400リーグ。アルビオン大陸の横幅の、倍以上はある。
ハルケギニア大陸に大きな日陰ができ、またすうっと明るくなる。
眩しいほどの、よく晴れた空だった。
「…………え? まさか、その、偶然? 冗談よね?」
宇宙の果てのどこかから、それはやって来た。
落下場所は、トリステインの北1,500リーグの、大洋上となろう。
隕石の速度は、時速72,000リーグ。
しかし、隕石があまりに巨大なため、不気味なほどゆっくりに見えた。
ああ、誰がそれを、想像し得たであろう。
世界の滅亡は、ある穏やかな春の昼間、突如としてやって来たのだ。
「え、あの、嘘、ちょっと、何なのよアレはルイズ」
「コルベール先生、あの、私ちょっと、もう一度召喚を」
「アレですか、ここはその、叫ぶ場面なのですかな?」
ついにそれは、この世界に落ちた。その時、全ては震えた。
「………じ、地震よ、これはただの地震よ!! みんな落ち着いて!!」
「「「ああああああああああああ、世界の終わりだあああああああ!!!!」」」
衝突による途轍もない衝撃波で、厚さ10リーグの地殻が、丸ごと捲り上げられていく。『地殻津波』だ。
『地殻津波』に張り付いた、水深4,000メイルの海も、まるで薄皮のように見える。
一辺が1リーグもある巨大な破片が巻き上がる。
内戦中のアルビオン大陸も、ハルケギニア大陸も、あっさりと粉砕されてしまう。
砕かれた破片は、高さ数千リーグ。大気圏を突き抜けて、星空まで達した後に、再び隕石となって地表に降りそそぐ。
煮えたぎるクレーターの縁は、高さ7,000メイル。巨大な山脈のようだ。
クレーターの直径は、4,000リーグ。アルビオンのあった場所から、サハラの一部までを飲み込む。
……しかし、これは、この災難のほんの入り口にしか過ぎなかった。
隕石の衝突直後。クレーターの輪の中心に、異変の主役が現れる。
灼熱色に輝く巨大な塊。気体になった岩石、『岩石蒸気』だ。その量は、ざっと1,000億メガトン。
ドーム状に膨れ上がった後、押し出されるようにして、一気にあらゆる方角へと広がってゆく。
トリステインの北の海上に落下してから、3時間あまりで、『岩石蒸気』は聖地に達した。
温度4,000度の熱風が、風速300メイルで駆け抜ける。
『岩石蒸気』に覆い尽くされた中、オアシスは瞬時に吹き飛ばされ、蒸発する。
恐るべき『岩石蒸気』は、遥かな『東方』にも到達する。高熱のために、木が次々と自然発火していく。
ジャングルは瞬く間に、火の海と化す。
衝突から一日で、ついに世界は、灼熱の『岩石蒸気』に覆い尽くされた。
『岩石蒸気』は、地表全体を一年近くにわたって覆い続ける。間近に、無数の太陽が出現したのと同じだ。
生命のふるさと、海も、変動に巻き込まれてゆく。
『岩石蒸気』に覆われて間もなく、海面が激しく泡立つ。海が、沸騰を始めたのだ。
激しい蒸発によって、海は、1分間に5サントという猛烈なスピードで下がっていく。
海水が干上がると、真っ白な海底が現れた。塩だ。その塩もたちまち蒸発していく。
むき出しになった海底は、容赦なく熱に晒され、熔岩のように熔け出す。
衝突から、およそ一ヵ月後。海に水はない。平均水深4,000メイルの大洋も、干上がっている。
人類の、またエルフの文明どころか、あらゆる地表に存在した生物は、痕跡も残らず消え去った。
宮殿も、都市も、全て燃え尽き、熔けて流れ落ちた。
直径400リーグの巨大隕石の衝突。
それは、あらゆる生物を根絶やしにしてしまうような、恐ろしい出来事なのだ……。
「……トバ・イチロおおおおおごおおおッッ!!?」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、自分の部屋のベッドから跳ね起きた。
夢だ。夢、だ。……ただの、夢、だ。おお、世界は今朝も美しい。
今の絶叫は、ただの意味のない寝言だ。ちょっと寝る前に変な本を読んでいたせいだろう。
「そ、そーよ! なんで私の召喚で、爆発が起きるならまだしも世界が滅亡すんのよ!!
そんなの起きるはずないじゃない! 世界は永久に不滅よ!!」
ルイズは意識してあははははは、と笑い、不吉な夢を忘れようと努める。
そうだ、今日は神聖な『使い魔召喚の儀式』の日。精神力を無駄にしてはいけない。
今日こそ『ゼロ』の汚名を晴らすような、素晴らしい使い魔を召喚してやろう。
やっぱりドラゴンかな、グリフォンも捨てがたいし、マンティコアなら母様も乗っておられた幻獣だ。
おかしな奴が出てきたら、即刻ご退場願おう。大体こないだから、変なのを召喚する夢ばっかり見ている。
「さ、立派な使い魔を召喚しなきゃ! そのためにはまず、朝食をしっかりとって……」
さて、いよいよ本番。ルイズは精神を集中させ、自己流にアレンジした『サモン・サーヴァント』の呪文を唱える。
「宇宙の果てのどこかにいる、私のしもべよ……」
その頃、地球という惑星のアメリカという国の野球場で、素晴らしい野球選手によって打球がキャッチされた。
彼は強肩だ。その送球はまるで光線のように、まっしぐらに三塁へ向かっていく。
……あ、その直線上に、銀色の鏡が!!
(完)
始祖ブリミル降臨暦6242年、春。トリステイン魔法学院の使い魔召喚の儀式にて。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、今日も今日とて呪文を唱える。
それが、この世の終わりを告げる言葉となるとも知らず。
「宇宙の果てのどこかにいる、私のしもべよ!」
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
「私は心より求め、訴えるわ! わが導きに応えなさい!!」
その瞬間、爆発は起きなかった。……が、すうっと空が暗くなった。皆は思わず空を見上げる。
「……え? 何? 何なの?」
「夕立じゃないよな」「日蝕?」「でも、そんな予報はまだ……」「いや、あれは……」
その日それは、ハルケギニア大陸のあらゆる場所から、あらゆる人々の目で確認された。
空を何か、月ではない、大きなものが飛んでいる。……馬鹿馬鹿しいほど巨大な、隕石だった。
直径はおよそ、400リーグ。アルビオン大陸の横幅の、倍以上はある。
ハルケギニア大陸に大きな日陰ができ、またすうっと明るくなる。
眩しいほどの、よく晴れた空だった。
「…………え? まさか、その、偶然? 冗談よね?」
宇宙の果てのどこかから、それはやって来た。
落下場所は、トリステインの北1,500リーグの、大洋上となろう。
隕石の速度は、時速72,000リーグ。
しかし、隕石があまりに巨大なため、不気味なほどゆっくりに見えた。
ああ、誰がそれを、想像し得たであろう。
世界の滅亡は、ある穏やかな春の昼間、突如としてやって来たのだ。
「え、あの、嘘、ちょっと、何なのよアレはルイズ」
「コルベール先生、あの、私ちょっと、もう一度召喚を」
「アレですか、ここはその、叫ぶ場面なのですかな?」
ついにそれは、この世界に落ちた。その時、全ては震えた。
「………じ、地震よ、これはただの地震よ!! みんな落ち着いて!!」
「「「ああああああああああああ、世界の終わりだあああああああ!!!!」」」
衝突による途轍もない衝撃波で、厚さ10リーグの地殻が、丸ごと捲り上げられていく。『地殻津波』だ。
『地殻津波』に張り付いた、水深4,000メイルの海も、まるで薄皮のように見える。
一辺が1リーグもある巨大な破片が巻き上がる。
内戦中のアルビオン大陸も、ハルケギニア大陸も、あっさりと粉砕されてしまう。
砕かれた破片は、高さ数千リーグ。大気圏を突き抜けて、星空まで達した後に、再び隕石となって地表に降りそそぐ。
煮えたぎるクレーターの縁は、高さ7,000メイル。巨大な山脈のようだ。
クレーターの直径は、4,000リーグ。アルビオンのあった場所から、サハラの一部までを飲み込む。
……しかし、これは、この災難のほんの入り口にしか過ぎなかった。
隕石の衝突直後。クレーターの輪の中心に、異変の主役が現れる。
灼熱色に輝く巨大な塊。気体になった岩石、『岩石蒸気』だ。その量は、ざっと1,000億メガトン。
ドーム状に膨れ上がった後、押し出されるようにして、一気にあらゆる方角へと広がってゆく。
トリステインの北の海上に落下してから、3時間あまりで、『岩石蒸気』は聖地に達した。
温度4,000度の熱風が、風速300メイルで駆け抜ける。
『岩石蒸気』に覆い尽くされた中、オアシスは瞬時に吹き飛ばされ、蒸発する。
恐るべき『岩石蒸気』は、遥かな『東方』にも到達する。高熱のために、木が次々と自然発火していく。
ジャングルは瞬く間に、火の海と化す。
衝突から一日で、ついに世界は、灼熱の『岩石蒸気』に覆い尽くされた。
『岩石蒸気』は、地表全体を一年近くにわたって覆い続ける。間近に、無数の太陽が出現したのと同じだ。
生命のふるさと、海も、変動に巻き込まれてゆく。
『岩石蒸気』に覆われて間もなく、海面が激しく泡立つ。海が、沸騰を始めたのだ。
激しい蒸発によって、海は、1分間に5サントという猛烈なスピードで下がっていく。
海水が干上がると、真っ白な海底が現れた。塩だ。その塩もたちまち蒸発していく。
むき出しになった海底は、容赦なく熱に晒され、熔岩のように熔け出す。
衝突から、およそ一ヵ月後。海に水はない。平均水深4,000メイルの大洋も、干上がっている。
人類の、またエルフの文明どころか、あらゆる地表に存在した生物は、痕跡も残らず消え去った。
宮殿も、都市も、全て燃え尽き、熔けて流れ落ちた。
直径400リーグの巨大隕石の衝突。
それは、あらゆる生物を根絶やしにしてしまうような、恐ろしい出来事なのだ……。
「……トバ・イチロおおおおおごおおおッッ!!?」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、自分の部屋のベッドから跳ね起きた。
夢だ。夢、だ。……ただの、夢、だ。おお、世界は今朝も美しい。
今の絶叫は、ただの意味のない寝言だ。ちょっと寝る前に変な本を読んでいたせいだろう。
「そ、そーよ! なんで私の召喚で、爆発が起きるならまだしも世界が滅亡すんのよ!!
そんなの起きるはずないじゃない! 世界は永久に不滅よ!!」
ルイズは意識してあははははは、と笑い、不吉な夢を忘れようと努める。
そうだ、今日は神聖な『使い魔召喚の儀式』の日。精神力を無駄にしてはいけない。
今日こそ『ゼロ』の汚名を晴らすような、素晴らしい使い魔を召喚してやろう。
やっぱりドラゴンかな、グリフォンも捨てがたいし、マンティコアなら母様も乗っておられた幻獣だ。
おかしな奴が出てきたら、即刻ご退場願おう。大体こないだから、変なのを召喚する夢ばっかり見ている。
「さ、立派な使い魔を召喚しなきゃ! そのためにはまず、朝食をしっかりとって……」
さて、いよいよ本番。ルイズは精神を集中させ、自己流にアレンジした『サモン・サーヴァント』の呪文を唱える。
「宇宙の果てのどこかにいる、私のしもべよ……」
その頃、地球という惑星のアメリカという国の野球場で、素晴らしい野球選手によって打球がキャッチされた。
彼は強肩だ。その送球はまるで光線のように、まっしぐらに三塁へ向かっていく。
……あ、その直線上に、銀色の鏡が!!
(完)
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