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「AI使い魔タチコマンズ+α-02」(2008/06/20 (金) 21:02:28) の最新版変更点
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洗濯タチコマ
春の召喚の儀式から一夜が明けたトリステイン魔法学院。
まだ夜が明けきっていない学院の水汲み場には三体のタチコマとジェームスン社長が集まっていた。
「しょくーん。我々はどうやら異世界にやってきたらしい」
青いタチコマがまるで演説をするかのように語りかけた。
「こんな朝っぱらから呼び出して何事かと思えば…AIにカビでも生えたの?」
「ZZZ…」
熱くなっている一体のタチコマに非常に冷めた反応をする残りのタチコマたち。
「ねぇー、ちゃんと聞いてよぉー」
「てゆうかさー、僕たちだって暇じゃないんだよね。用があるなら早くしてよ」
「…ZZZZZ」
ジェームスン社長はピョコピョコ飛び跳ねて何か言いたそうだ。
「君たちは今まで何してたって言うんだい? 昨日の夜、ふと空を見上げたら月が…」
「そういえば月が二つあったよね。でもそれだけで異世界に来たとかいうには無理があるんじゃない」
「うーんそうかなぁ…彼女達は魔法使いだって言ってたし。ところでおまえ起きろよ!」
白熱した議論を繰り広げる二体の脇で鼻提灯を膨らませる灰色のタチコマに青いタチコマがガツンと一発殴る。
「ハッ!?ここはどこ? 僕はタチコマ」
「ボケてないで君はどう思う?ここは異世界と思う?それとも僕たちのAIがおかしくなっているのかなぁ…」
「うーんどうなんだろうね。ネットにアクセスできないし…それにモンモランシーちゃんは電脳化してなかったんだよね」
「そうそう、キュルケちゃんも電脳化してないよ。おまえの所はどうなの?」
「ルイズちゃんも電脳化してなかったよ。でも君たちの所と違ってルイズちゃんは子供だからね。ミキちゃんと一緒で電脳化はまだでも不思議じゃないよ」
「ぼくとしてはここが異世界だろうが何だろうがバトーさんにもう一度会えるかが心配だよ」
「そうだ。バトーさんは大丈夫だったのかな」
「うん。君が死んじゃった後、二人であいつを道連れに死んじゃったから大丈夫だと思うよ」
「あれ? おかしくない? ぼくたち死んじゃったんじゃないの?」
「ということは…」
「「「ここはあの世?」」」
三体のタチコマの言葉がハモる。
「まあ深く考えないようにしようよ。バトーさんに会えないのは残念だけどね」
「そうだね。折角得た第二のタチコマの人生なんだからここが何処でもいいから謳歌しようよ」
「話がまとまった所で質問があるんだけどいい?」
灰色のタチコマが青いタチコマに手を上げて聞く。
「なんだい?」
「なんでこんなところに集まったの?」
青いタチコマはポンと手を叩く。
「そうだった! 忘れるとこだったよ」
そういうとポッドから籠を取り出す。
「なにそれ?」
「洗濯物だよ。ルイズちゃんに洗濯を頼まれたんだ。いいでしょ」
自慢げに洗濯物見せびらかす。
「うわぁーいいなぁー」
「ぼくもやりたーい」
「駄目だよ。僕がルイズちゃんに頼まれたんだから」
ぶーぶーと文句を言う他のタチコマを尻目に洗濯をしようとするが、彼のセンサーに何かを捉えた。
「あれ? メイド服着た子がいるよ」
「もしかしてアンドロイドだったりするのかなぁ?」
「行ってみようよ」
シエスタにとっては何気ない一日の始まりだった。いつものように水汲み場へ洗濯をしに行ったのだが……。
「あら? 声がしますね。誰かいるのでしょうか?」
こんな早い時間に人などいるはずも無い。不思議に思って早足で水汲み場へと近づこうとしたその矢先、三体の物体に取り囲まれた。
「はじめまして! ぼくタチコマ!」
「ぼくもタチコマー」
「ぼくもぼくもー」
(ジェームスンは周りを歩き回っている)
「は、はじめまして?」
突然のことに目を白黒させながらも一応挨拶を返すことができた。
「青、黄、灰とカラフルじですねーじゃなくて…えーと、どちら様でしょうか」
「だからタチコマだって」
洗濯物を入れた籠を抱えながらあたふたするシエスタ。
「えーと、そうじゃなくて…あの…きゃあ!」
首筋を擦られるような感覚を受けて悲鳴をあげる。
「あれ? 端子が無いよ」
青いタチコマが端子を接続しようとコードをシエスタの首筋に宛がっていた。
「な、な、なにを言って…ひぃ!」
黄色いタチコマはスカートをめくりあげていた。
「やっぱりこの子生身の人間だよ」
「ひゃあぁん!」
灰色のタチコマはシエスタの胸を突いて確認する。
「なーんだ。やっぱりねー」
「ねー君、名前は?」
いきなりセクハラまがいのことをされちょっぴり涙目なシエスタだったが、タチコマの質問に律儀に答えようとする。
「え? あと、その…シエスタです」
「ねぇねぇシエスタちゃん、その服ってコスプレってやつ?」
「あう? え? こすぷれ?」
訳も分からないことを言われて返答に窮してしまう。
「いえ、その…わたしこの学院のメイドをさせていただいているんです…あの、ゴーレムさんですよね?」
「違うよ。ぼく達はタチコマだって。こう見えても戦車なんだ」
「せんしゃ…? すみません、よく分からないです」
一つの質問の後にまた質問を繰り返すタチコマたち。シエスタも時折質問を返す。何度も似たようなやり取りをしてようやくタチコマの質問攻撃は終わった。
「そうなんですか。青いタチコマさんはミス・ヴァリエールの使い魔を為さっているのですね」
「ぼくはねー、キュルケちゃん」
「ぼくモンモランシーちゃんだよ」
短い時間で打ち解けてしまったタチコマとシエスタ。
「ねーねー。シエスタちゃんはここに何しに来たの?」
「あ、そうでした。私洗濯をしに来たんです」
「一緒だねー。ぼくも洗濯頼まれたんだ」
「え?」
シエスタは驚いてしまう。どう考えてもこの喋る自称『せんしゃ』なんかにに洗濯ができるはずがないと……。
「が、がんばってくださいね」
「うん!」
シエスタは洗濯を続けながらもチラチラと横を見てしまう。
「き、器用なんですね!」
「えへへぇ~」
シエスタは器用に洗濯をするタチコマの姿に集中できないでいる。
それもそのはず、いくら手先が器用なタチコマといえどもその動きは人に劣る。丈夫な布ならばいいのだろうが如何せん彼が洗っているのは下着だ。
ああ! シルクをそんな風に洗ったら……。
つい手を止めタチコマを見てしまう。
「シエスタちゃんどうしたの?」
「いえ! 何でもありませんから!」
「ねーシエスタちゃん、ぼくにもやらせてよ」
「だ、駄目です! 私の仕事ですから!」
タチコマに任したらどうなることやら…慌てて手元の洗濯物を洗い出した。
やっぱり止められませんよ。だってこんなにも楽しそうなんですから。
「タチコマさん、私は先に戻りますけど、その…洗濯頑張ってくださいね」
「うん。じゃーねー」
「またねー」
「ばいばーい」
今度会ったら何もしないで欲しい。シエスタはそう願うのだった。
#navi(AI使い魔タチコマンズ+α)
洗濯タチコマ
春の召喚の儀式から一夜が明けたトリステイン魔法学院。
まだ夜が明けきっていない学院の水汲み場には三体のタチコマとジェームスン社長が集まっていた。
「しょくーん。我々はどうやら異世界にやってきたらしい」
青いタチコマがまるで演説をするかのように語りかけた。
「こんな朝っぱらから呼び出して何事かと思えば…AIにカビでも生えたの?」
「ZZZ…」
熱くなっている一体のタチコマに非常に冷めた反応をする残りのタチコマたち。
「ねぇー、ちゃんと聞いてよぉー」
「てゆうかさー、僕たちだって暇じゃないんだよね。用があるなら早くしてよ」
「…ZZZZZ」
ジェームスン社長はピョコピョコ飛び跳ねて何か言いたそうだ。
「君たちは今まで何してたって言うんだい? 昨日の夜、ふと空を見上げたら月が…」
「そういえば月が二つあったよね。でもそれだけで異世界に来たとかいうには無理があるんじゃない」
「うーんそうかなぁ…彼女達は魔法使いだって言ってたし。ところでおまえ起きろよ!」
白熱した議論を繰り広げる二体の脇で鼻提灯を膨らませる灰色のタチコマに青いタチコマがガツンと一発殴る。
「ハッ!?ここはどこ? 僕はタチコマ」
「ボケてないで君はどう思う?ここは異世界と思う?それとも僕たちのAIがおかしくなっているのかなぁ…」
「うーんどうなんだろうね。ネットにアクセスできないし…それにモンモランシーちゃんは電脳化してなかったんだよね」
「そうそう、キュルケちゃんも電脳化してないよ。おまえの所はどうなの?」
「ルイズちゃんも電脳化してなかったよ。でも君たちの所と違ってルイズちゃんは子供だからね。ミキちゃんと一緒で電脳化はまだでも不思議じゃないよ」
「ぼくとしてはここが異世界だろうが何だろうがバトーさんにもう一度会えるかが心配だよ」
「そうだ。バトーさんは大丈夫だったのかな」
「うん。君が死んじゃった後、二人であいつを道連れに死んじゃったから大丈夫だと思うよ」
「あれ? おかしくない? ぼくたち死んじゃったんじゃないの?」
「ということは…」
「「「ここはあの世?」」」
三体のタチコマの言葉がハモる。
「まあ深く考えないようにしようよ。バトーさんに会えないのは残念だけどね」
「そうだね。折角得た第二のタチコマの人生なんだからここが何処でもいいから謳歌しようよ」
「話がまとまった所で質問があるんだけどいい?」
灰色のタチコマが青いタチコマに手を上げて聞く。
「なんだい?」
「なんでこんなところに集まったの?」
青いタチコマはポンと手を叩く。
「そうだった! 忘れるとこだったよ」
そういうとポッドから籠を取り出す。
「なにそれ?」
「洗濯物だよ。ルイズちゃんに洗濯を頼まれたんだ。いいでしょ」
自慢げに洗濯物見せびらかす。
「うわぁーいいなぁー」
「ぼくもやりたーい」
「駄目だよ。僕がルイズちゃんに頼まれたんだから」
ぶーぶーと文句を言う他のタチコマを尻目に洗濯をしようとするが、彼のセンサーに何かを捉えた。
「あれ? メイド服着た子がいるよ」
「もしかしてアンドロイドだったりするのかなぁ?」
「行ってみようよ」
シエスタにとっては何気ない一日の始まりだった。いつものように水汲み場へ洗濯をしに行ったのだが……。
「あら? 声がしますね。誰かいるのでしょうか?」
こんな早い時間に人などいるはずも無い。不思議に思って早足で水汲み場へと近づこうとしたその矢先、三体の物体に取り囲まれた。
「はじめまして! ぼくタチコマ!」
「ぼくもタチコマー」
「ぼくもぼくもー」
(ジェームスンは周りを歩き回っている)
「は、はじめまして?」
突然のことに目を白黒させながらも一応挨拶を返すことができた。
「青、黄、灰とカラフルじですねーじゃなくて…えーと、どちら様でしょうか」
「だからタチコマだって」
洗濯物を入れた籠を抱えながらあたふたするシエスタ。
「えーと、そうじゃなくて…あの…きゃあ!」
首筋を擦られるような感覚を受けて悲鳴をあげる。
「あれ? 端子が無いよ」
青いタチコマが端子を接続しようとコードをシエスタの首筋に宛がっていた。
「な、な、なにを言って…ひぃ!」
黄色いタチコマはスカートをめくりあげていた。
「やっぱりこの子生身の人間だよ」
「ひゃあぁん!」
灰色のタチコマはシエスタの胸を突いて確認する。
「なーんだ。やっぱりねー」
「ねー君、名前は?」
いきなりセクハラまがいのことをされちょっぴり涙目なシエスタだったが、タチコマの質問に律儀に答えようとする。
「え? あと、その…シエスタです」
「ねぇねぇシエスタちゃん、その服ってコスプレってやつ?」
「あう? え? こすぷれ?」
訳も分からないことを言われて返答に窮してしまう。
「いえ、その…わたしこの学院のメイドをさせていただいているんです…あの、ゴーレムさんですよね?」
「違うよ。ぼく達はタチコマだって。こう見えても戦車なんだ」
「せんしゃ…? すみません、よく分からないです」
一つの質問の後にまた質問を繰り返すタチコマたち。シエスタも時折質問を返す。何度も似たようなやり取りをしてようやくタチコマの質問攻撃は終わった。
「そうなんですか。青いタチコマさんはミス・ヴァリエールの使い魔を為さっているのですね」
「ぼくはねー、キュルケちゃん」
「ぼくモンモランシーちゃんだよ」
短い時間で打ち解けてしまったタチコマとシエスタ。
「ねーねー。シエスタちゃんはここに何しに来たの?」
「あ、そうでした。私洗濯をしに来たんです」
「一緒だねー。ぼくも洗濯頼まれたんだ」
「え?」
シエスタは驚いてしまう。どう考えてもこの喋る自称『せんしゃ』なんかにに洗濯ができるはずがないと……。
「が、がんばってくださいね」
「うん!」
シエスタは洗濯を続けながらもチラチラと横を見てしまう。
「き、器用なんですね!」
「えへへぇ~」
シエスタは器用に洗濯をするタチコマの姿に集中できないでいる。
それもそのはず、いくら手先が器用なタチコマといえどもその動きは人に劣る。丈夫な布ならばいいのだろうが如何せん彼が洗っているのは下着だ。
ああ! シルクをそんな風に洗ったら……。
つい手を止めタチコマを見てしまう。
「シエスタちゃんどうしたの?」
「いえ! 何でもありませんから!」
「ねーシエスタちゃん、ぼくにもやらせてよ」
「だ、駄目です! 私の仕事ですから!」
タチコマに任したらどうなることやら…慌てて手元の洗濯物を洗い出した。
やっぱり止められませんよ。だってこんなにも楽しそうなんですから。
「タチコマさん、私は先に戻りますけど、その…洗濯頑張ってくださいね」
「うん。じゃーねー」
「またねー」
「ばいばーい」
今度会ったら何もしないで欲しい。シエスタはそう願うのだった。
#navi(AI使い魔タチコマンズ+α)
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