2スレ目 メリーさん「すみません、私メリーと言う者ですが・・・」

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:02:28.76 (p)ID:sWH/jCdh0(11)
これで住所がわかった。
辺りは暗くなりはじめた頃だったが
自転車なら間にあう気がする。
メリーさんに自転車の後ろに乗るように促して
自転車を漕ぐ。
メリーさんは黙ったままだった。
僕は彼女の家に行っていいのかと迷った。
もしかしたらつらい思いをするかもしれない
「メリーさん…君の家行って見る?」
「…行きます」
それ以外僕もメリーさんも何もも言わなかった。
星が見え始めた夜空を眺めながら
僕は自転車を漕ぎ続ける。

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:15:53.12 (p)ID:sWH/jCdh0(11)
30分ほど自転車を漕ぎ続けると
辺りはすっかり真っ暗だった。
自転車の明かりを頼りに進み続ける
いつのまにかメリーさんの手が僕の制服の
掴んでいたが。僕は無言で走り続けた。
やがて僕の家が見えてきた。
明かりがついているので親が帰って来ているのだろう。
だが、僕は自分の家の前をスルーした。
メリーさんの家は僕の家のすこし先
5分と言ったところだろうか。
民家が立ち並んでいる場所で自転車を降りた。
メリーさんと共に中山の表札を探す。
お世辞にも大きいとは言えないが
アットホームな家の玄関に掲げられた中山の文字。
「ここだ…」
メリーさんはずっと僕の背中の裾を掴んでいる。
押すよと、一言いい。僕は呼び鈴のボタンを押した。

155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:42:00.72 (p)ID:sWH/jCdh0(11)
インターフォンが無く
呼び鈴だけのシンプルな物だったので
僕とメリーさんはドアが開くのを待った。
やがてガチャリとドアが開く。
鍵は掛けていなかったらしい。
地方の片田舎の家じゃめずらしくもない。
中から出てきたのは中年のおばさん
おばさんというわりには若々しく美人だと思ったが
すこしやつれているようにも見える。
「どちらさまで?」
声が少し枯れているようにも思える。
「准さんの友達です…すみませんが
 お線香をあげさせてもらえないでしょうか」
「准の…ありがとうございます、さぁ上がって」
僕は中へと案内され、今の片隅に作られた
真新しい仏壇の前に座った。
メリーさんは何も言わず付いて来たが。
裾を掴む力が強くなっていた。

207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:16:32.97 (p)ID:sWH/jCdh0(12)
遺影にはメリーさんではなく中山 准が笑っていた。
僕は線香を3本取り火をつけ香炉に立てて手を合わした。
後ろからおばさんのすすり泣く声が聞こえた。
振り向くとメリーさんがおばさんをずっと見ている。
「おかあ…さん」
メリーさんが消え入りそうな声でそう言った。
「おかあさん!」
と、おばさんに飛びついたが触れる事はできず
宙をかくように手を交差させる。
僕はその光景をただ見ている事しかできない。
心が痛む光景だった。唯一できそうな事を僕はした
泣いているメリーさんの頭を撫でてやる。
おばさんから見たら空中で手を動かしているようにしか
見えないんだろうが、気にせず撫でてあげる。
しばらくの間2人は泣き続けた。
「今日はここに泊まります」
泣き止んだメリーさんはそう言って続けた
せっかく少し記憶も戻りましたしおかあさんと一緒に居たいですしと
僕はわかったと一言言って中山家を後にする
今晩だけはメリーでは無く中山 准として過ごせればいいなと
満天の星空を眺めながらそう思った。
さて、帰ろうか母親の待つ家へ。

739 :efficus ◆3dGTQi3jXk :2007/06/11(月) 19:00:33.48 (p)ID:AbsbT/qp0(22)
翌朝はメリーさんの着信で起きた。
まだ完全に目が覚めていない状態で
気の抜けた声で電話に出る。
「…もしもし」
「あっメリーですが、朝早くごめんなさい。
 その今日は私、自分の学校へ行ってきます。」
昨日よりもメリーさんの言動がはきはきとしているのは
記憶が少し戻ったからだろうか。
僕も少しうれしくなる。
「ああ、いっといで。それじゃあ放課後にまた」
「はい!いってきます!」
そう言って電話は切れた。
メリーさんと登校できないのは少し寂しい気もするが
少しずつだがメリーさんの
中山 准としての記憶が戻りはじめていることはいい事だ
僕はベットから降り、鼻歌交じりで洗面所へと向かった。

755 :efficus ◆3dGTQi3jXk :2007/06/11(月) 19:17:28.51 (p)ID:AbsbT/qp0(22)
顔を洗い。朝食をとり。学校へ行く準備をする。
いつもの事だがメリーさんと出会ってから
そのいつも通りが大切なのかもしれないと思うようになり始めた。
そして僕はいつも通り家を出る。
バス亭で5分ほど待ってからバスに乗り、
一人で5人分の席を独占する奴へ声をかけた。
「おはよう」
「やぁおはよう。いつも通りだな。」
「それがいいんだよ」
「?」
浩平はなんの事かわからず訝しげな表情をしたが
すぐに考える事をやめたらしい。
いつもの顔に戻り、昨日有ったニュースなど
浩平らしい世間話を話し始めた。

770 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 20:14:08.81 (p)ID:AbsbT/qp0(22)
浩平がニュースの内容をとその感想を一方的に
話すだけだなのだが、退屈はしない。
僕は普段テレビはあまり見ないのだが
情報通の浩平のおかげで時事にはわりとついて行ける。
ニュースを通り越して世界の車窓からに話が移ろうとしたとき。
僕たちが降りるべきバス亭へと止まった。
もう着いてしまったのかと残念がる浩平と共に
他の生徒に混じりバスを降りる。
いつもは自転車なのだが、昨日は自転車で家まで
帰ってしまったので今日は歩きになる。
その事を浩平に話すとうれしそうな顔をし
さっきの続きだとバスの中で話せなかった
世界の車窓からの話を語りだした。
まぁこんな日もいいだろうと学校までの通学路を歩き始めた。

788 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 20:53:05.08 (p)ID:AbsbT/qp0(22)
昨日の放送はボリビアらしく
アンデス山脈の素晴らしさについて熱く語っていたが
軽く流す。ボーっとしながら歩いていると
いつもの通学路のはずなのに自転車に乗っている時と
ずいぶん違う道に見えるなとそんな事を思っていた。
前方に見慣れた後姿を見つけた。
浩平がアンデスを語るのを一旦やめ
おはようございますと
僕らの担任に頭を下げる。
こういうマメな所が優等生として先生達に信頼されるんだろう。
先生はああ。とだけ言った。
僕は軽く会釈だけをし、2人で先生を追い抜いた。
辺りを見回すと他にも何人か先生や見たことの無い生徒など
普段は会えない人たちがいた。
自転車を家に置いていかなかったら会えなかったでだろう。
これもメリーさんのおかげなのかなと
心の中でそっと感謝した。

813 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 21:24:17.62 ID:AbsbT/qp0(22)
浩平の話は教室まで続く。
いつもは教室に着いてからSHRまで時間があるのだが
時計を見るとギリギリだった。
教室に担任が入ってきてやっと浩平の話は終わった。
悪いが明日からはまた自転車を使用する事にさせてもらおう。
担任の持ち味の短いSHRがいつものように終る。
1時間目はまた英語。
引き続き担任が授業の準備を始めと、
浩平は嫌いな授業の前に一服するといい
教室棟3階トイレへ向かった。
僕もトイレへ行っておきたかったが昨日の今日なので
一階したのトイレを使用させてもらおう。
悪いな浩平。
友達を売った気持ちになった

873 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 22:43:47.05 ID:AbsbT/qp0(22)
あっという間に昼休みになった。
それはそうだろう、ほとんど寝ていたのだから。
2時間目の途中からほぼ記憶が無い。
こんな事で次のテストは大丈夫なのだろうか
その時は頼むぞ浩平。
一区切りついた所で昼食にする
いつもならあいつと一緒だが
図書当番の期間は一週間。
しばらくは一緒に食えそうに無い。
どっちにしろ僕はパン一個なのですぐに
終わってしまうのだけれど。
他のグループの所へ行くことも考えたが
あきらかに出遅れていたので今から入れてもらうのも
気が引ける。しかたなく一人寂しく食べることにした。
ああ、メリーさんは今頃どうしているだろう。

879 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 22:53:08.04 ID:AbsbT/qp0(22)
メリーさんに思いを馳せる事5分。
手元のカレーパンもなくなってしまった。
昼休みもメリーさんの滞在期間も限られているのだ。
少しは何か行動しようと立ち上がる。
図書館に行く事を最初に考えたが
おそらくあれ以上の発見は望めないだろう。
そう思った僕はもう一つの考えた場所へ行くことにした。
あまり気は進まないが早めに清掃場所に
行くのもいいだろう。
と、僕は歩き始めた。
戦場へ。

894 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 23:20:00.72 ID:AbsbT/qp0(22)
扉の前に立ち、一度深呼吸をしてから扉を開く。
バケツを逆さにし、足を組みながら案の定
タバコをふかしている自称20の小学生。
開けられた窓の外に煙が逃げていく。
花子さんは僕に気づくとこう言った。
「よう、○○」
一瞬ひるんだが、落ち着いて切り返す。
「自分だって小さいだろ小学生」
ここに第三者がいたらどう思うだろうか。
とりあえず満場一致で僕の方が負けだと言うだろう。
「今日はメリーはどうした」
「登校日だよ」
あえて遠まわしな言い方をしたが
花子さんはそうかとだけ言った。
なかなか頭の回転が速いらしい。
侮れない。

908 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 23:37:08.46 ID:AbsbT/qp0(22)
「どうなんだ?調子は」
「そこそこ」
僕は昨日の放課後からの出来事を花子さんに話した。
まぁ途中恥ずかしい所は端折ったのだが。
あらかた話し終わると
花子さんはなるほどねぇといい
ポケットから携帯灰皿を取り出し
小さくなったタバコを収めた。
マナーができている。ちょっと意外。
「ところで、そのタバコは
 どこから補充されてるんだ」
「ちゃんと買ってるぞ、滞在期間1日で
 1カートン」
「はい…?」
衝撃の事実を聞いてしまった。

915 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/11(月) 23:45:56.73 ID:AbsbT/qp0(22)
あんなにメリーさんが苦労してやりくりしている
滞在期間をこのちびっ子はタバコに使っていやがったのか。
「去年までは時間単位だったんだが
 今年から時上げされちまってな」
花子さんは、まったくいい迷惑だとため息をついていた。
僕はどうも死んでからの仕組みを理解し切れていない
幸い昼休みはまだ残っているし、なんなら清掃の時間もある。
僕は花子さんにもう少し詳しい話を聞くことにした。

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最終更新:2007年06月22日 23:42
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