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第百十一話「永遠なるイーヴァルディ」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百十一話「永遠(とわ)なるイーヴァルディ」
邪悪生命体ゴーデス
迷子珍獣ハネジロー 登場



 ルイズの“虚無”の魔法の力を目の当たりにして、一旦は飛んで去ろうとしたビダーシャル。
しかし眼下のアーハンブラ城が突然崩壊し、巨大生物が出現したことには、普段は冷徹なほど
落ち着いている彼も唖然とさせられた。
「な、何だあれは……」
 風石の力で高度を保ったまま、巨大生物――ゴーデスを観察する。城を下から破壊して
出てきたということは、城の地下に潜伏していたということだろう。あんな巨大なものが。
「全く気がつかなかった……一体いつから……」
 思案するビダーシャル。エルフである自分は、自然そのものといえる精霊の力と契約して、
その「声」を聞くことが出来るが、真下にあんなものが隠れていたということは、精霊は教えて
くれなかった。いや、精霊もあの存在を感じ取れなかったのか。
 大地の精霊に問えば、近くに怪獣が潜っていればすぐに分かる。その精霊でも感知できなかった
ような異常な怪物が、自分の戦いのすぐ後に出現した。これは偶然だろうか?
 ふとビダーシャルの脳裏に、才人が叫んだ「ガリアは怪獣を操っている」という言葉がよみがえった。
「……」
 冷や汗を流しながら、ビダーシャルはゴーデスの触手が届かないくらいの距離の地点に降下していった。

「ひいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」
 ギーシュ、マリコルヌ、モンモランシーの三人が自分たちの面前にそそり立つ巨大な怪物、
ゴーデスを見上げて悲鳴の合唱を上げた。これまで幾度も怪獣を見てきた彼らであるが、
この距離はものすごく危険だ。ゴーデスが少し触手を伸ばせば、彼らなど簡単にペシャンコに
出来るだろう。
「タバサ! タバサはどうなったの!?」
 一方でキュルケは、あくまで友のことを案じ、狂ったように叫んでいる。それにウェザリーが、
ゴーデスにおののきながら答えた。
「さっきの兵士たちは、あの怪物の肉の中に呑み込まれていったわ。ということはタバサと
彼女の母親も同じように……」
「そんなッ! タバサたちは無事なの!?」
「そこまでは分からないわ!」
 ゴーデスは触手の一本を振り上げ、キュルケたちに叩きつけようとする!
「ゴオオオオオオ……!」
「この怪物ッ! タバサを返しなさい!」
 ゴーデスに杖を向けるキュルケだが、ウェザリーがそれを慌てて抑えた。
「落ち着きなさい! 敵うはずがないわ!」
「逃げろぉぉッ!」
 才人の絶叫を合図に、一同はクルリと反転して全速力で逃走し始めた。直後に、彼らのいた
場所に触手が叩きつけられる。
 しかしゴーデスのサイズに対して、才人たちはあまりに小さい。どんなに走ったところで、
すぐに追いつかれてしまう。そこで才人はルイズをギーシュとマリコルヌに押しつけた。
「ルイズを頼む!」
「頼むって、きみは!?」
「俺は奴の気を引きつける! その間に逃げてくれ!」
 言うが早いや、才人は再び反転して、デルフリンガーを握り締めてゴーデスに突っ込んでいく!
「うおおおおおおッ!」
「ああッ!? な、何て無茶をッ!」
 ギーシュたちが止める間もなく、才人はゴーデスの左側へ回り込むように駆けていく。
ゴーデスはそちらに顔を向けて、ギーシュたちから目を離した。
「くッ、彼の献身を無駄にしてはいけない! みんな、全力で逃げるんだぁ!」
 才人が気を引きつけている間に、出来るだけ遠くへ逃げようと必死に足を動かすギーシュたち。
 だが、囮となった才人に触手が無慈悲に振り下ろされた!
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! さ、サイトぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
 絶叫する仲間たち。ゴーデスは再び目を彼らに向け、触手を伸ばしてきた。まだその間合いから
逃れられてはいない。
「も、もう駄目だぁぁぁぁぁッ!」
 どう考えても逃げるのは間に合わない。絶望するマリコルヌだが、その時に空の彼方から
猛スピードで飛んでくる一つの影が。
「きゅいーッ!」
「あれは! シルフィードぉ!」
 シルフィードであった。宿で待機していたのだが、異常を察知したことで怪我を押して
助けに来てくれたのだ。
 ギーシュたちは全員シルフィードの背に乗り、シルフィードは飛翔。間一髪のところで
ゴーデスの触手から逃れられることが出来た。
「あ、危なかった……」
「でも、サイトがッ!」
 モンモランシーが叫んだその時、ゴーデスの正面に人型の何かがぐんぐんと巨大化して立ちはだかった。
「セェアッ!」
「あぁッ! ウルトラマンゼロだぁッ!」
 それはウルトラマンゼロ! 才人はすんでのところで変身を行い、難を逃れていたのだ。
「デヤッ!」
「グギャアアアアアアアッ!」
 これ以上の狼藉は許さないと、戦いの構えを取るゼロ。対するゴーデスも全部の触手を振り上げ、
ゼロを迎え撃つ姿勢を見せた。
『くッ、まさかとは思ったが、ホントに出てきやがるとはな……ゴーデスッ!』
 ゼロはゴーデスの出現に内心おののいていた。彼はかつてゴーデスと、宇宙の命運を懸けて
戦い合ったウルトラマングレートからどういう生物なのかを聞いていた。
 あらゆるエネルギーを食らい、細胞は別の物質や生命体に憑依、融合することが出来る。
ゴーデスはその能力で次々に怪獣を生み出し、最終的には宇宙の全てをその身に取り込んで
しまおうとしたという。そこらの怪獣、宇宙人とは格が違う強大な相手だ。
『だがどうも様子が妙だな……生気を感じねぇぜ』
 ゼロには一つ、疑問があった。ゴーデスは知能レベルも高く、グレートと対等に対話をしたと
聞いている。だが今目の前にいるのは、ひと言も言葉を発しないどころか身体に活力が今一つ
感じられない。まるで誰かに動かされているよう……ゾンビか何かのようであった。
「グギャアアァァァッ!」
 ゴーデスは両眼から赤いレーザーを発して、様子を窺っているゼロに攻撃を仕掛けてきた!
『ちッ、気にしてる暇はねぇか!』
 咄嗟にレーザーをかわしたゼロは、拳を握り直してゴーデスを迎え撃つ姿勢を取り直した。
そこに才人が問いかける。
『ゼロ、タバサたちがどうなったか分からないか!?』
『ちょっと待ちな……!』
 ゼロが透視を使った結果、ゴーデスの体内にたくさんの人の影があるのを確認した。その内の一つが、
体格からしてタバサだとゼロは判断した。
『やっぱり、ゴーデスの中に呑み込まれちまってるぜ! まだ生きてはいるみたいだが、
早くどうにかしねぇとどうなっちまうか分かったもんじゃねぇ……!』
「ゴオオオオオオオオオ……!」
 ゴーデスが振り回してくる触手を打ち払うゼロ。
「シェアァッ!」
 反撃にエメリウムスラッシュを発射。ゴーデスの胴体の中心に命中するが、ゴーデスに
効いた様子は全くない。……いや、そのエネルギーが吸収されてしまったようだった!
「グギャアアアアアアアアアッ!」
「ゼアッ!」
 ゴーデスのレーザーを拳で弾きながら懐に飛び込み、拳打を繰り出す。しかしいくら打ち込んでも、
これもまるで手応えがなかった。
 ゴーデスは衝撃まで吸収できるようであった。
「テェェェェヤッ!」
 一足飛びで下がったゼロはワイドゼロショットを撃ち込んだ。だがこれも効果が見られなかった。
『何て奴だ……攻撃のエネルギーを全て吸収しちまってる! 攻撃が効かねぇんじゃ倒しようがねぇぜ!』
 驚愕するゼロ。あらゆるエネルギーを食らう、というのが伊達ではないことを見せつけられた。
このままでは、時間が経つほどに追いつめられるだけだ。
『それにただ倒すだけじゃなく、タバサたちを奴の内部から救い出さねぇと……』
『大丈夫なのか、ゼロ!』
『ああ、こういう時に有効な手が一つあるぜ』
 そう言ったゼロは、才人に尋ねかけた。
『だがかなりの危険がある。才人、お前にもつき合わせることになるが、覚悟はいいか?』
 それに才人は即答した。
『タバサが助けられるのなら、何だって怖くないぜ!』
『へッ、今更だったな。よぉしッ!』
 ゼロはウルティメイトブレスレットから青い光を発し、ルナミラクルゼロに変身した。
『才人たちが命を懸けて戦ったんだ! 俺も命懸けるぜッ!』
 そしてゼロは地を蹴って宙に浮き上がり、ゴーデスめがけまっすぐ飛んでいった!
「ゴオオオオオオオ……!」
 ゴーデスは青い怪光を放ち、ゼロを球形のバリアの中に閉じ込める。しかしゼロはそのまま
飛んでいき、ゴーデスに突っ込んだ!
 その結果、ゼロがゴーデスの体内に消えていった。
「うわあああああ―――――――! ゼロまでが奴に呑み込まれてしまったぁぁぁぁッ!」
 ギーシュたちは絶望の悲鳴を発す。が、キュルケとウェザリーはゼロの行動をしっかりと観察していた。
「いえ、むしろ自分からあれの体内に入っていったようだったわ……」
 ゼロがゴーデスの体内に消えると、ゴーデスの動きがピタリと止まった。

 キュルケの言った通り、ゼロはルナミラクルの超能力で自分からゴーデスの内部に入り込んだのだった。
外からではどうしても倒せないゴーデスを内部から突破し、同時にタバサたちを救出する。奥の手の
パーティクルナミラクル作戦だ。
『ぐぅッ! 何て圧力だ……!』
 だがゴーデスは内側もそう簡単にはいかなかった。内部にはゴーデスの吸収したエネルギーが
充満しており、それがすさまじい圧力を生じている。ウルトラ戦士の強靭な肉体でも苦しいほどであった。
 更には、怪獣の幻影がゼロに襲いかかる。
『キイイィ! キイイィ!』
『グギュウウウウウウウウ!』
『なッ!? こいつらは……うおぉッ!』
 キングザウルス三世とシルバゴンの幻影がゼロに食らいついてきて、彼の精神力にダメージを与える。
『ギャアアァァァ――――!』
『パア――――――オ!』
 更にアイロス星人、トドラ、ベル星人、ヴァリエル星人の幻影が押し寄せてきて、ゼロに激突した。
『ぐぅあああッ!』
 これらの幻影は、ゴーデスが怪獣たちに最も接してきたタバサの記憶を読み、再現したものであった。
タバサが苦しんできた記憶が今、ゼロにも牙を剥いて彼を苛んでいるのだった。
『キュオォ――――――――!』
『キュウッ! アァオ――――――――ッ!』
『ブモォ――――――――!』
『くっそ! このぉッ!』
 キュラノス、ガーゴルゴン、カウラの幻影にゼロは拳を突き出して反撃する。だがこの怪獣たちは
あくまで幻影。そんなことをしても君が傷ついていくだけだ!
『ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!』
『キャア――――!』
『ぐぅッ……! こんなことしてる場合じゃねぇってのに……!』
 テレスドンと再生ドラコの幻影に押し込まれ、うめくゼロ。この空間のどこかにタバサたちが
いるはずだが、絶え間なく襲い来る怪獣たちの幻影に阻まれ、見つけ出すことが出来ないでいた。
 そうしている間にも、ゼロのエネルギーはどんどんと消耗していく……!
 ゼロと一体化している才人も、自分のあらん限りの力を振り絞り、ゼロを助けようとしていた。
『頑張れ、ゼロ……! ここまで来たんだ……! 絶対タバサを助けるんだ!』
 才人の心にあきらめはなく、どれだけ怪獣の幻影に苦しめられても立ち上がって力を出し続けた。

 外では、動きを止めたゴーデスをシルフィードに乗ったギーシュたちが固唾を呑んで見下ろしている。
「一体どうなってしまったんだ……。ゼロは無事なのか?」
「うぅん……」
 その時、体内でのゼロの戦いの気が精神を通じて影響を与えたのか、ルイズが目を覚まして
身体を起こした。
「あッ、ルイズ! 気がついたか!」
「い、一体どうなったの……? タバサは助けられたの……?」
 起き抜けに首を振って問いかけたルイズに、モンモランシーが手短に答えた。
「それが怪獣が現れて、城の人たちを呑み込んじゃって……ウルトラマンゼロが出てきたんだけど、
彼も呑み込まれちゃったの!」
「ええ!?」
 急激に目が冴えて、ゴーデスを見下ろすルイズ。彼女は、あの中でゼロが戦っているのだと
いうことを直感で理解した。
(サイト……)
 自分の魔法はもう打ち止めだ。ルイズは才人とゼロの無事と勝利を祈り、ぎゅっと両手を
握り締めた。

 その頃、タバサはゴーデスの体内に力なく漂っていた。自分の記憶がゼロへの攻撃に利用
されていることも知らず、光を失った瞳で呆然と宙を見つめる。
(ああ……わたしは、ここで終わりなんだ……)
 タバサの心を支配しているのは、絶望と諦観だった。こんな状況に陥ってしまったら、
助かる手段なんてあるはずがない。タバサは最早抗うこともせず、ただ流されるままにいた。
同時にこれまでの自分の足取りを振り返る。
 今の自分の始まりは、ファンガスの森から。ファルマガンを失い、二度と何かを失わないことを
心に誓って「シャルロット」の名を捨てた。そしてひたすらに戦い抜いた。それもこれも、自分の
身代わりとなって心を壊された母を救うため。自分は先ほど読んだ『イーヴァルディ』のような
勇者になろうとした。
 でも出来なかった。所詮、自分はその程度の人間だったのだ。ほどなくして、母も消えて
しまうのだろう。彼女の献身も、自分の努力も、全ては無駄だったのだ……。
 もうこんな無力な自分が生きていても、仕方ない。タバサはこれ以上何もせず、自分が
消え去る時をただ待っていた……。

 シオメントは、イーヴァルディに尋ねました。
『おお、イーヴァルディよ。そなたはなぜ、竜の住処へ赴くのだ? あの娘は、お前をあんなにも
苦しめたのだぞ』

 不意に、タバサの耳にそんな文句が聞こえてきた。
「……え?」
 暗闇に閉ざされていたタバサの瞳に、光が戻る。今のはどこから聞こえてきたのか。今のは……
自分が朗読していた『イーヴァルディの勇者』の一節ではないか。
 幻聴だろうか?

 イーヴァルディは答えました。
『わからない。なぜなのか、ぼくにもわからない。ただ、ぼくの中にいる何かが、ぐんぐんぼくを
引っ張っていくんだ』

 もう一度、はっきりと聞こえた。
 同時に、宙の彼方の一点に、温かい光が瞬いたかのように見えた。
 あの光は何だ。ともに聞こえた『イーヴァルディの勇者』の内容はどういうことなのか。

『ルーを返せ』
『あの娘はお前の妻なのか?』
『違う』
『お前とどのような関係があるのだ?』
『なんの関係もない。ただ、立ち寄った村で、パンを食べさせてくれただけだ』
『それでお前は命を捨てるのか』
 イーヴァルディは、ぶるぶると震えながら、言いました。
『それでぼくは命を賭けるんだ』

 まさか……あの光は、『勇者』なのだろうか? イーヴァルディのように、自分を助けに来てくれた?
 ……そんなはずはない。必死に頑張っても母を助けられなかった無力で無価値な自分のために、
誰が命を賭けてくれるというのか。
 ファンガスの森に現れた銀色の巨人――ウルトラマンのように、自分を助けてくれる『勇者』。
心のどこかでいつも待ち焦がれていた。しかし、それが今になってやってきて、自分を救い出して
くれるなんて都合の良いこと、あるはずが……。

 イーヴァルディは竜に向けて剣をふるいましたが、硬い鱗に阻まれ、弾かれました。竜は爪や、
大きな顎や、噴き出す炎で何度もイーヴァルディを苦しめました。
 イーヴァルディは何度も倒れましたが、そのたびに立ち上がりました。

 光が、どんどんと大きくなっていく。
 タバサは思わず、そちらに向けて手を伸ばしていた。
 いつの間にか心から絶望が消え、希望が溢れていた――。

「パムー」

『ん!?』
 ゼロは突然あらぬ方向に首を向けた。そちらから、タバサの声――タバサの朗読の声が聞こえたのだ。
『才人……!』
『ああ、俺にも聞こえた!』
 二人は内容を知らないのだが、『イーヴァルディの勇者』の文章が延々と聞こえてきていた。
タバサが朗読した際のものの再生であった。
 それとともに、宙の彼方に光の輝きが見えた。
『――うおおおおおおおおおッ!!』
 ゼロは反射的に、幻影を振り切ってそちらへ向けて飛び出した。小さな光へ向けて手を
伸ばしながら突き進んでいくと、光が大きくなっていく。近づいていく。
『才人、手を伸ばせッ!』
 ゼロに言われたように、才人も光に向けて精一杯腕を伸ばした――。

 タバサの視界に、こちらへ向けて飛んでくるゼロの姿が映った。
 その姿には、才人が重なっていた。
「――タバサぁぁぁぁぁッ!!」
 勇者――。タバサは心で感じた。
 タバサの腕を、ゼロの手――才人の手の平が掴み取った!

『もう大丈夫だよ』
 イーヴァルディはルーに手を差し伸べました。
『竜はやっつけた。きみは自由だ』

「セェェェェェェェェアァッ!!」
 ゴーデスの頭頂部が噴火したかのように炸裂! 遅れてゴーデスの首、胴体も粉砕された!
 それとともに飛び出してきたのは、ウルトラマンゼロだった!
「……やったぁぁぁぁぁぁああああああああああああッ!!」
 一拍遅れて、事態を把握したルイズたちは大歓声を発した。
 ゴーデスが消滅し、シルフィードは地上へ降り立つ。周囲には、ゴーデスの内部から解放された
兵士たちが転がっていた。結局眠ったままの彼らは、自分たちの身に何が起きていたのかも知らないのだろう。
「タバサは! タバサはどこ? サイトも無事かしら……」
 キュルケを始めとして、タバサたちの姿を捜して辺りを見回していると……彼女たちの
望んでいない者が近寄ってきた。
「……よもや、このような事態になるとはな」
 ビダーシャルであった。ルイズたちは仰天し、咄嗟に身構える。
「何よ! まだやろうっていうの!?」
 杖を構えるルイズだが、ビダーシャルにその意志はなかった。
「勘違いするな。我は真実を確かめに来ただけだ。……お前たちは言ったな、蛮人の国が
怪獣を操っていると。それは真だと、お前たちの崇拝するものに誓って言えるか?」
 ルイズは胸を張ってその問いかけに答えた。
「もちろんよ! 今の見たでしょ? 偶然出てきたなんて都合のいいこと、あるはずないわ。
あんただって、さっきサイトに言われたことが気にかかったからこうして戻ってきたんでしょ」
「……」
「悪いことは言わないわ。ガリアとは手を切りなさい。後悔してからじゃ遅いわよ」
 ルイズの忠告に、ビダーシャルは淡々と返答する。
「……我の目的は、シャイターンの復活を阻止すること。それだけは、何としても譲りはしない」
「あんたねぇ……!」
「しかし」
 と、ビダーシャルは言葉を区切る。
「……あの蛮人の王は、更に別の災厄を呼び込もうとしているのかもしれぬ。シャイターンの末裔よ、
我はお前たちには何があろうと味方はせんが……彼との協定には、慎重にならねばならぬようだな」
 それだけ言い残すと、ビダーシャルはローブの裾を翻して、ルイズたちの前から立ち去っていった。
「……えーと、要するにどういうことだね?」
「ガリアとは場合によっては手を切る、ってことでしょ」
「回りくどい言い方するなぁ」
 キュルケに尋ねたギーシュがぼやいた。
「そんなことより、今はサイトとタバサよ。一体どこに……」
 ルイズがそう言った時、城の瓦礫を踏み越えて、才人が彼らの元に舞い戻ってきた。
「おおサイト! 生きてたか!」
「このヤロー心配させやがって全く!」
 ギーシュとマリコルヌと同様にルイズも一瞬顔を輝かせたが、すぐに眉間に皺を寄せた。
 才人は、その両腕の中にタバサを抱え上げていたからだ。
「あっちにタバサの母親らしい人もいる。運んできてくれ」
 ギーシュたちに頼む才人の姿を見つめ、ルイズはムッと顔をしかめた。
 タバサを抱きかかえる才人……その構図が、お姫さまを助け出した勇者のように見えたからであった。
 こんな時にまで嫉妬を覚える、仕方のないルイズであった。


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