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デュープリズムゼロ-18

第十八話『亡国の宴』

ルイズ達一行にその正体を明かした空賊の頭。その正体は部隊を偽装し、貴族派への補給部隊を襲撃していたウェールズだった。
極限られた人間しか知るものは無い秘密の航路を使用し、アルビオン最後の軍艦イーグル号は硫黄を積載したマリーガラントと共にルイズ達の最終目的地であるニューカッスル城へと到達する事が出来た。
その優れた航海術と秘密の軍港を褒め称えたワルドに対しウェールズは「最早我等はまさしく空賊なのだよ。」と自嘲めいた冗談を溢しながら…

現在そのウェールズに案内され、ルイズ達はニューカッスル城のウェールズの自室へと招き入れられていた。

「…宝物なんだ。」

ウェールズはそう言って愛おしそうにアンリエッタの肖像が描かれた小箱から件の手紙を取り出してルイズへと手渡す。
ルイズの手に収まった手紙はウェールズの手によって何度も読み返されたのだろうか、隅の方は随分とすり切れており手紙についた折り目の癖がどれだけ大切にされていたか…それを雄弁に語っていた。
ルイズはアンリエッタからの密書を読んでいたウェールズの表情と回収した手紙から二人の間にあるであろう想いを察してしまう。

「恐れながら殿下…王党派に勝ち目は?」
「無いよ。こちらは300、向こうは50000だ。もはや我々は勝つ為に戦うのでは無い…名誉ある死の為に、誇りと勇気を示す為に戦うのだ。」
聞くまでも無いルイズの問いにウェールズは何の躊躇いも無くキッパリと答える。

「殿下も戦死なさるおつもりなのですか?!」
「当然だ。私は王族の務めとして真っ先に死ぬつもりだ。」

ミントは気難しげな表情でずっと二人のやり取りを黙って見守っている。ウェールズの語る王族の誇りや正義、それが全く分からないと言う程ミントも外道では無いがそんな物はくそ真面目な妹のマヤの分野だ…

「殿下、失礼をお許しください。恐れながら、申し上げたいことがございます。」
「ふむ…聞こう。」

「殿下、何とぞトリステインへと亡命なさいませ!!アンリエッタ姫殿下もきっとそれを望まれております!」

「ルイズ。」
熱を上げてウェールズに語るルイズをワルドが一言制止の意味を込めて呼びかける。
しかしルイズは構う事も無く訴えを続けた。

「お二人が恋仲で在らせられたのならば姫様は絶対にあなたを助けようとなさるはずですっ!!私が姫様より預かった手紙にもそう書かれていたのではありませんか!?」

「それはあり得ない話だよミス・ヴァリエール。何故なら私は既に心を決めている。
それに一国の王女が個人的な感情でその様な文を手紙に書くと思うかね?私の亡命を受け入れると言う事は貴族派、つまりはレコンキスタのトリステインへの進行を助長するだけだ。
君達はそれを妨げる為にここに来た。それでは本末転倒では無いか。」

そうキッパリと語るウェールズの表情は僅かに曇っていた…
「ぁ…………ぅ…」
しかしだからこそルイズはそこに果てしない強固な意志と苦悩を見いだしてしまいそれ以上は言葉を上手く紡げなくなってしまった。
分かってしまったのだ…もはや説得などではどうしようも無いと言う事が…

「さて、そろそろパーティーの時間だ。君達は我がアルビオン王家にとって最後の客、是非とも今夜のパーティーに出席して頂きたい。」
沈んだ空気を払拭する様にウェールズが明るく言うとワルドとルイズはミントを残してウェールズに一礼をして部屋を出て行った。



「…………さて、ミント王女殿下お待たせしたね。」

部屋に残されたのはミントとウェールズの二人。
「悪いわね王子様。時間無いってのに。」
手紙の話の前にミントはウェールズに身分を明かし、事前にやり取りを行っていたのだ。

「構わないさ。さて、早速だが我が王家に伝わる始祖の秘宝及び秘伝だけど秘宝は二つある。
一つはこの『風のルビー』。君達が預けられた『水のルビー』と同様の物だ。これは明日君達がこの城から脱出する際に他の宝物と一緒に差し上げよう。奴らにくれてやるよりも君達に貰ってもらった方が遙かに良いからね。
次に『始祖のオルゴール』なのだが残念ながら以前我が国で起きた騒動によって管理を行っていたサウスゴーダ領から紛失しているんだ。これについては諦めてくれ。まぁ元々壊れているのか音が鳴らないって事で有名だった代物だよ。」

親切丁寧なウェールズの説明にミントはしきりに頷く。
「それと君の国がどうかは知らないが口頭のみで伝えられる様な秘伝らしい秘伝という物は残念ながらアルビオン王家には存在しないよ。」
「そう。それじゃあ最後に…始祖関係で『遺産』『エイオン』『ヴァレン』この言葉に聞き覚えはあったりする?」

ミントの問いにウェールズは瞳を閉じて頭を捻ると真剣に自分の記憶を探す。
だが、それらに該当する知識は生憎ウェールズは持ち合わせていなかった。

「申し訳ないが特には思い当たらないな。」
「そう…残念だわ。」
言いながらミントは真摯に対応してくれたウェールズに満足そうに微笑む。正直遺産の情報などそう簡単には手に入らない事など分かっているのだから。

「わざわざありがとう。それじゃあまた後で。」
「あぁ、パーティーを楽しんでくれたまえ。」






___ニューカッスル城  セレモニーホール


『全軍前へっ!!全軍前へっ!!アルビオン万歳!!!』


玉座に座る国王ジェームズ一世の演説を終えてアルビオンの最後のパーティーに参列している兵士達は今最高の盛り上がりを見せていた。
その様子をミントは並べられた晩餐を無遠慮に腹に収めながら見つめていた。誰も彼もが明日には命を捨てる…その光景は勇ましくも儚げでミントの食欲を僅かに削がさせる程悲しい物だった。。

「どうだろう、楽しんでくれているかい?」

そんなミントに不意に声がかけられる。
声の主はウェールズで差し出されたのはグラスに注がれた赤ワイン。
「楽しくは無いわ。料理もはっきり言って不味いし。」

ミントの物言いに流石にウェールズも苦笑いを溢すしか無い。アルビオンの料理の不味さはハルケギニアでも有名なのだから。
「ハハ…だが、このワインはどうだろうか?これはレコンキスタの奴らに渡すには惜しいヴィンテージ物でね。自信を持ってお勧めするよ。」
「ん…頂くわ。」

普段積極的にアルコールを飲む事は無いミントも今日は素直にグラスを受け取りウェールズの持つグラスと乾杯を交わすとそっと口を付ける。
芳醇な香りに深い味わい、確かにそうはお目にかかれないであろう良いワインだ…

「あんた…明日死ぬのね…」

「あぁ…先程も言ったが真っ先にね。不躾な頼みだがアンには最後まで勇敢だったと伝えて欲しい。」
そう言ってウェールズはワインを一息に飲み干す。

「男ってのは何でそんなに恰好付けたがるのかあたしには分からないわ…ほんとバカみたい、って言うか間違いなくバカよ…」
ミントもウェールズに倣いグラスの中身を空にする。ミントがこのパーティーを楽しく感じていないのは偏にこの目の前のバカのせいなのだ。
既に想い人の願いをも振り切って自ら死に向かうこの男をミントには説得する術は無い。それでもそれはどこか悲しい話だ…

そんなミントの胸中を知ってか知らずかウェールズは再びミントと自分のグラスにワインを注いだ。

「バカ、か…不思議な物だね明日死ぬというのに生まれて初めて言われたよ。………王族というのは中々に生き難いものだ。このバカな男にそんな真っ直ぐな言葉をぶつけてくれる友も居ない。君も王族ならば分かるだろう?」
酔いが回っているのかほのかに赤い顔でウェールズはワインを呷りながら自嘲めいた笑いを浮かべる。確かにアンリエッタに面と向かってバカだと罵る様な人間もトリステインにはいないだろう。

「ハッ、あたしをあんたみたいなのと一緒にしないで貰える?そんな物は言い訳よ。あたしは遺産を手に入れていつか世界を征服して見せるんだから。」
「言い訳か…確かにそうだ。しかし世界征服とは大きく出たね、君は侵略を是とするのか?」

「あたしのする事にかぎってはそれは問題ないわ。だってあたしが世界を征服すれば世界は必然的に平和になるじゃない?
それでもあたしの事を邪魔するって奴が居るならボコボコに叩きのめしてやるし、もし反乱なんかが起きるって言うならその前に圧倒的な力を見せつけてそんな気起こさない様にしてやるわよ!!
勿論、この国もトリステインもいつかはこのあたしの物にしてみせるわ。」

自信満々に何の迷いも無く言い放ったミントの言葉にウェールズは思わず目を見開いて呆気にとられてしまう。
何という力押しな解決法だろうか…しかしそれは絶対的な真理でもあるだろう。

「くくく…ハハハ……君とはもっと早く出会いたかったよ。」

「あら、何それ?もしかしてあたしに惚れちゃった?しょうが無いわね~・・・」

「いやいや、そこは否定させて貰おう。僕の心はアンだけの物さ…何、世界とは言わずとも君がアルビオンを征服していてくれていたならばこの様な結末を迎える事も無く僕は唯のウェールズとしてアンと生きていけたのか等と夢想してしまってね。
あぁ、やはり僕は馬鹿だ。ミント王女、いや我が友ミントよ、いつか必ず世界を征服してくれたまえ。僕はそれをヴァルハラで楽しみにしておくよ。」

「言われるまでも無いわ……さて、それじゃあたしはご主人様捜しに行ってくるわ。多分今頃泣いてると思うし。それじゃあねウェールズ。」

ミントはウェールズにウィンクをしてホールを離れて行く。アンリエッタの男で無かったなら景気づけとして最後に頬にキス位はしても良かったかも知れないと少し思う。



「さようならミント…………アンを頼むよ。」



___ニューカッスル城   庭園通路


「あぁ……居た居たルイズ。」

レコンキスタ軍の度重なる砲撃によって破壊されたのだろう…かつて美しかったであろう庭園を見下ろせる通路の窓辺でルイズは月に照らされてミントの予想通り一人泣いていた。
二人の男女の悲恋と300の人達の無念を想えばルイズはとてもパーティーには出席できる気分では無かったのだ。
「……何でみんな逃げないのよ……死にたがりばっかり…姫様が逃げてって言ってるのに……そんなに名誉が大事なの…?」

そうとう今回の事がショックなのだろう…ミントが辛うじて聞き取れる様な声でルイズはそう呟く。
そしてミントはそのルイズの言動に思わず心の底から呆れ返ってしまった。

「はぁ?あんたがそれを言う?フーケの時も、空賊に捕まった時も、敵を前に逃げたりする位なら死んだ方がマシってあんた啖呵切ってたじゃ無い。」

ルイズに対しての慰めなど一切無い、ミントのその尤もな言葉にルイズは思わず顔を落とす。
「……………そうだけど…でも…死ぬなんて…」

消え入りそうな声でルイズは言った…無論ルイズにも分かっているのだ。
しかしミントもそれを察して慰めてやる様な大人の対応をしてやれる程今は心の余裕など持ち合わせては居ないのだ。だからついきつく言ってしまったのだ。

「あんたさ~…この際はっきり言っておくけどちょっと甘えてんじゃないの?
少なくともあたしは意地でも叶えたい目的の為に命張ってそれこそ化け物を蹴散らしてきたわ。そう、全ては世界征服の為に!!
いい?ここに残った人達も自分の為に命張ってんのよ、本人が腹を括ったからにはあんたがそれを否定する事は出来ないの!!」

ミントのその言葉にルイズは勢いよく顔を上げミントをボロボロと涙を溢しながら真っ赤な目で睨み付けた。

「私は甘えてなんか無いっ…何よ!?世界征服??バッカじゃないの!?あんたがやろうとしてる事は結局は侵略でしょ!?レコンキスタの連中と変わらないじゃ無い!!」

売り言葉に買い言葉とも言うべきか…二人の間に冷え切った空気が流れる。



「もう知らない!!ミントなんて!!」
一瞬の間を置いて子供の様な捨て台詞を残しルイズはその場を逃げ出した。
「………全く…」
ミントは肩を落とし明かりの外に消えていくルイズの背中を見送った…
これがマヤであったならばこの後は肉体言語による討論へと移るのだろうがどうにもルイズはへたれ過ぎる。


「余り彼女を責めないでくれたまえ。」
ふと背後から声がかけられる。振り返ればそこにはこちら側にゆっくり歩いて来ているワルドの姿があった…

「盗み聞きってのは感心しないわね。」
「それは素直に謝罪させて頂く。しかしどの様な会話が行われていたかまでは聞いてはいないさ。」
「どうだか……」
ミントは苦笑いを浮かべるじワルドをじと目で睨む。

「で?何か話があるんでしょう?」

「あぁ…実は明日、僕はルイズとここで結婚式を挙げようと思う。先程ウェールズ皇太子に結婚の媒酌をお願いしてある、快く引き受けて頂けたよ。」

「はぁっ!??急すぎるでしょ?」

ワルドの突然の話に驚いているミントに構わずワルドはその佇まいを突然正した。

「そう言われるとは思っていましたが是非とも私はあの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたかったのです。
そこで是非ミント殿下にも式に出席して頂きたいのですが一つ問題がありまして…出席して頂いた場合、イーグル号もマリーガラント号も出航してしまい帰りの足が無いのです。
私とルイズの二人ならばグリフォンで滑空すれば問題なく戻れますが…」
ワルドは少し申し訳なさそうにミントに頭を下げた。それはミントに先にアルビオンを発てと言う意味だ。

「あたしはそんなに重くないって-の…まぁ事情は分かったわ。それじゃああたしは先に戻るからラ・ロシェールの宿で落ち合いましょう。」
呆れながらもミントはワルドの頼みを了承する。ウェールズが引き受けたならば結婚などは本人同士の話なのだ。一応使い魔とはいえミントには関係ない。

「感謝致します。それでは…」
そう言ってワルドはミントに会釈すると振り返り来た道を戻って行く。


「ねぇ…ワルド!」

しかし、ミントにはどうしても一つ気がかりがあった…

「何でしょう?」
振り返るワルド。

「おめでとう。ルイズの事、泣かしちゃ駄目よ。」

ミントは微笑むでも無く意味深にそう淡々と言ってワルドに背を向けた。



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