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デュープリズムゼロ-07

第七話『夢の世界のファンシーさん』

ルイズとミントはそれぞれもの凄く悩んでいた…

それというのもミントの肩書きを聞いた後ルイズはハルケギニアに召喚される以前のミントの話をずっと聞いていたのである。
実家での王位継承権の剥奪から二年の放浪の旅、カローナの街での冒険から砂漠の遺跡の冒険。ルウの事、エイオンの事、遺産の事、クラウスの事、ベルとデュークの事、様々な事。
そして妹マヤの事。

最初ルイズはミントの王女であるという言葉を信じられなかった…というよりはまだ正直信じていない。だがミントの語る冒険の話は余りにリアルで嘘とはとうてい断じる事が出来ない。
ミント自身それを証明するアイテムの様な物を持っている訳でも無し、ルイズにはその東天王国の存在を知る事すら出来ない。
もしやと東天王国というのが遙か東方にあるというロバアルカリイエの事なのかとも訪ねたがどうやら全く違う様だ。
そんなわけで全てを聞いた今でもルイズのミントに対する態度は先程までとは変わってはいない。この問題はいわゆる保留だ。
またミント自身がそれを望んだ…

そしてルイズとしての悩みはもう一つ大きい物がある。
ミント自身はブリミルがエイオンの可能性がある為にしばらくはこの魔法学園で遺産探しとやらをするつもりらしい。
一応生活の拠点と他の生徒並の生活の保証を得る為にミントからルイズに譲歩し、使い魔関係は維持される契約となった。
ミントが魔法を使えるという以上少なくとも平民以上の扱いは当然だ。
だがとにもかくにもミントには帰りを待ってくれている仲間や家族がいるのだ。そんなミントをいつまでも使い魔としているのは流石にまずい。
ミントの帰還方法の模索、それがルイズの大きな悩みだった。


一方のミントの悩みはルイズの悩みに似ているがまた若干違う。
「月が二つね~……」
最初にそれに気づいた時ミントは流石に慌てた。
話し込む内に気付けば外は既に夜の帳が降りており、窓からは昨日気が付かなかった美しい二つの月が見えていたのだ。

そう月が二つというのが問題なのだ。
ミントも伊達で冒険者をやっていない、様々な土地での体験というものは大の大人が舌を巻く程に豊富なのだが月が二つの土地など見た事も聞いた事も無い。
そのいやに明るい月明かりがミントの心を僅かに、ほんの少しだけ、微妙に不安にさせる。

ルイズ曰く月は二つが当たり前、ミントはこの国が星の位置から一体自分の知る世界からどれ程離れているかすらわからないのだ…


その夜二人は互いにこれからの事に不安を抱きながらも昨夜と同じく一つのベッドで眠りについた。




___???


眠っていたはずのルイズがふと目を覚ますとそこは見慣れた自室では無かった…

「…どこって言うか何此処…」
それは所々淡い彩りの星やら花やらが散りばめられた見渡す限りのピンクの空間。
クラスメイトの中にはこういった色彩を好む女子もいるがルイズには此処は少々悪趣味に思える。
そしてルイズの足下には一応足場はあるのだがそれはあくまで足がそこに接しているだけで目には全く見えない不思議な地面だった。

「何なのよ一体…変な夢って言うにはやたらはっきりしてるわね~…ってあれ?痛い!?」
一人呟きながらピンクの平原を歩いていたルイズがこの光景が夢である事を確認する為
自分の頬をつねってみると何とも恐ろしい事に痛みを感じる。

「そう、ここは夢の中であり同時に夢の中では無いわ…」

ふとルイズの頭上から声と共に一人の女性がフライの呪文でも使っているのかゆっくりとルイズの目の前に降り立つ。


(…………………凄い恰好だわ…この人)
その女性の姿を一目見てそう思うとルイズは息をのんで一歩引く。
その女性は幼さを残した美しい顔にふわふわの金髪ロールの髪、その上にウサギの耳を乗せ、
フリルとリボンをこれでもかと言う程にあしらったエプロンドレスを身につけ、足下には丸くて赤いロリータシューズがまた大きく主張している。
背中のウサギの顔のリュックもワンポイントだ…

「初めまして、私はメルと言う者よ。人は私をファンシーメルと呼ぶわ。」
メルと名乗った女は柔らかく微笑んでルイズは自己紹介する。

「(そのままな名前ね…)え、えぇ…あ、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールよ。」
「ふふふ…素敵な名前ね。よろしくルイズ。」
「あ、ありがとう。あなたもしかしてミントが話してくれた魔法使いの…」
軽い挨拶を交わした後ルイズは若干ひるみながらもメルに訪ねる。

「えぇ、そうよミントに聞いていたのね。さて、ここが何で一体私が何をしに来たのか、
詳しい説明をするのにはとりあえずミントを待たなくちゃね。…ほら、来たわ。」

言ってメルは視線を上空へ移す。釣られてルイズも視線を上に移すとピンク一色の空から何かが降ってきていた。

空中で手をばたつかせる人影…そう、それは紛れも無くミントだった。

「げふっ!!」
ミントはそのままの勢いで地面へと叩き付けられたがメルの言うとおり確かにここは夢の中なのだろう、ミントのその身体には怪我一つ見当たらなかった。

「久しぶりねミント、相変わらずの様で安心したわ。」
「あいたたた…ってメル!?え、あたし自分の部屋で寝てたのに!」
「あたしの部屋よ。勝手に自分の部屋にしないでくれる?」

腕を組んでむくれるルイズを背に、ムクリと立ち上がりミントは頭を振って軽く意識をはっきりさせる。
目の前にいるのは確かにカローナの街で随分と世話になった魔法使いメルだ。
そして見ているだけで何だか胸焼けがしてくる様な甘ったるいこの空間は忘れる筈も無い、紛れも無くメルのアトリエである。

「何でメルがこんな所に?あ、もしかしてあたしを迎えに来てくれたの?」
「えっ?」
喜びのステップを繰り出しながらミントは楽観的な予想に浮き足立つが逆にルイズの表情は曇ってしまった…
そして表情を曇らせたのはメルもである。
「残念だけどミントそういう訳じゃないわ。……と言うよりも私はそれが難しい事を伝える為にあなたの夢にやって来たのよ。」
「はい?夢?」

メルは足下から巨大なキノコを召喚するとその上に軽やかに飛び乗って腰を落として話を続ける。
「そうここはあなたの夢の中、それを今は私が間借りしているのよ。」
メルの説明にルイズが思わず首を捻った。
「だったら何で私が居るの?ミントの夢なのに私が居るのはおかしいじゃ無い?」
「それは私にもはっきりとは分かりかねるけど恐らく貴方達が何か魔法的な何かで強く結ばれてその影響で夢が混線しているのかもしれないわね。心当たりはあるかしら?」

ルイズははっとした様にミントの左手をみやる。ミントもそれに気が付いた様だ。
「使い魔の契約か…」
ミントが苦い表情で呟く…
「多分それね…とりあえず順を追って説明させて貰うけどあなたが遺跡で光に飲み込まれて私の所にも直ぐに連絡が来たわ。知らせに飛んで来たルウはとても必死だったわよ。
それで色々な事を調査して見たのだけれど先ずは一番重要な事よ。
ミント一応覚悟して聞いて頂戴ね。」
メルの恰好とは裏腹に真剣な表情で語られる言葉にルイズとミントは揃って息をのむ。

「あなたの今居る世界、ハルケギニアは私たちの居る世界とは別の次元に存在しているいわゆる『異世界』なの。」

「………………やっぱりか」
メルの異世界発言を聞いたミントはしっかりとその言葉を頭の中で反芻し受け止める。
「あら…驚かないのね?」
「月が二つ在ったからもしかしたらって覚悟位は一応してたわ。で、戻れるの?」
ミントは自分でも思った以上に冷静な自分に気が付きながら真剣な表情でメルに訪ねる。
こういう純粋な知恵に関して言えばメル程頼りになる人間は居ない。

「はっきり言ってこちらからはお手上げね。条件を揃えても私の意識を辛うじて眠っているあなたへ繋げれる位かしら?次元の壁を破るのはそれこそ遺産が必要なレベルよ。」
「マジで?」
「えぇ、マジよ。」
「どどど、どーすんのよ~!!!あたしどうなるの???」
ここに来て初めてミントが明らかに動揺を見せる。正直さっきまで何故か何とかなるという確信があったがメルにばっさりとそれを否定されたのだ。


「落ち着いてミント、あくまでお手上げなのはこちらから…がよ。そちらの世界にはあなたが帰還を果たすのに十分な因子があるわ。」
そういったメルの視線がへたり込んだミントから話について行く事が出来ず呆然としていたルイズへと移る。

「へ…あたし?」
ルイズもそれに気づき驚きながら思わず自分を指さす

「えぇそうよ、ミントをこの世界に呼んだのはあなた。つまりあなたには私たちの世界とあなたたちの世界を繋ぐ力が間違いなくあるのよ。」
「でも…私は魔法が使えないのよ?」
ルイズは顔を伏せて自信なさげに首を横に振る。
「それは時が来れば解決するわ。あなたは近い内に必ず自分に眠る力を知る事になる。」
メルは明るく笑ってルイズに言うと今度はミントへ向き直る。

「それとミント、あなたにとても嬉しいお知らせよ。あなたがこの世界に呼び出された大きな要因はルイズ以外にもう一つ、それはきっとデュープリズムにあるわ。
あの時あなたがヴァレンを倒して消えたデュープリズムは次元の狭間に飲まれてヴァレンの意識と共に世界と世界に磨り潰されてこの世界に辿り着いた。
そしてあなたはヴァレンと融合していたとはいえデュープリズムに触れた唯一の人間…
偶然かはたまた運命か…何にせよデュープリズムがあなたを呼んだ。そうは考えられないかしら?」

メルの語るとんでもない仮説にミントは思わず顔を上げて一瞬で元気を取り戻す。
「つまりこういう事ね、ハルケギニアでデュープリズムをゲットしてルイズの力を借りて還ってこい!!上等じゃ無い、俄然燃えてきたわ。」
宣言した後でミントはグッと拳を握り口元を歪める。
ルイズはミントのバイタリティに最早呆れを通り越して感心する。
「そういう事よ。早く帰って来てねミント。みんな心配しているわ…特にマヤがね。」
「えっ、マヤの奴が?」
マヤが自分を心配していると言われてミントはとても驚いた。だが嫌な気はしない。

「『異世界の人達にどの様なご迷惑を掛けているのかと思えば、我が姉ながら想像するだけで…あぁ頭痛がしますわ。』だそうよ。」
「マヤの奴…」
予想道理と言えば予想道理なのだが思わずミントはがっくりと項垂れる。
「だから早く帰ってらっしゃいな。」

柔らかく微笑むメルにミントは今度は胸を張るとデュアルハーロウを突きつけ宣言する。

「メル、マヤに伝えて頂戴!!あたしがそっちに戻る時はデュープリズムを手に入れた時よ!
そうしたら一番にあんたをボコボコにして東天王国を取り戻したら今度こそ『世界を征服』してやるわ。首を洗って待ってなさいってね。」
ミントの力強い言葉と言外に含まれる意図にメルは心底安堵した様に再び微笑むと腰掛けていたキノコから飛び降りた。
「フフ、必ず伝えるわ。そろそろお別れの時間だわ、じゃあねミントそれにルイズ。」

手を振りメルは二人に背を向けて歩き出すとその姿は霧に塗れる様徐々に消えていく。

「待ってメル。」
だが咄嗟にルイズがメルを呼び止めた。
第三者の彼女が消えてしまう前にルイズはどうしても確認しておきたい事があったのだ。

「ミントって…その…こんななのに本当に王女なの?」
「こんなのってあんた失礼ね…」
出来ればメルの答えは否定であってほしい。
そうルイズは願う。


「あら、これでもミントは正真正銘東天王国の王女様よ。それじゃあ今度こそさようなら。」

「そんな…馬鹿な…」
願いも虚しくミントが王女である事の確定に力なく崩れ落ちるルイズ…
そうしている間にメルの姿と気配は完全に消えてしまった…

「ふっふっふ…これだけ分かれば十分だわ。とにかく何が何でもデュープリズムを手に入れるわよ~~!!」
ミントはルイズを尻目に悪ーい笑顔を浮かべて舌なめずりをしながら己の野望の為に新たな闘志を胸に再燃させて叫ぶ。

そうしてピンク一色の世界は緩やかに歪み始め、消失していくと同時にミントとルイズはそれぞれ再び深い眠りへと堕ちていった…

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