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ゼロの戦闘妖精-18a

Misson 18「インディアン・サマー・ヴァケーション(後編)その1」

「それじゃ 明日の朝、格納庫の前で。」
「はい、よろしく御願いします。」
学院に戻ったルイズは そのままシエスタのいるメイド宿舎に向かったが、時間的にも宵の口を過ぎており 出発は明朝となった。
ルイズにとっても ラグドリアン湖の一件やテイファニアの件についてゆっくり考える事が出来て むしろ助かった。
翌朝 ルイズが元・召喚場である雪風の格納庫前に来た時には既に シエスタが待っていた。
「そういえば 貴女の私服姿を見るのって、初めてよね。」
赤のチェック柄 サマーニットのいかにもカントリー調の服は、学院支給のメイド服姿しか見た事のなかったルイズには 新鮮に見えた。
目を引くのは 袖口やスカートの裾を飾る革製のフリルと、仕事中には着けないネックレスだった。
平民の持ち物にしては 純度の高そうな銀のチェーン。そして 末端にぶら下がるアクセサリーは…
「それ、綺麗だけど 女の子の装飾品としては、ちょっとゴツくない?」 銀色に輝く、手投げ斧を模したマスコット。
「まぁ そうなんですけど。
 実はコレ 曽祖父が決めた『我が家の印』なんです。」
家紋を持つ貴族と違い 平民が『印』を持つ事は珍しい。尤も ゲルマニア辺りでは、裕福な平民商人が没落貴族から『紋章』を買い取ったりする事もあるらしいが。
「へぇ 変わった方だったのね、シエスタの曾お爺さんって。
 生きてらしたなら 一度会ってみたかったわ。」
「はい。私も そう思います。本当に…」
そう言って天を仰ぐシエスタの表情は 言葉に出来ない『思い』を秘めていた。

「じゃ コレかぶって。」
「はい。」
雪風に乗り込んだシエスタに ヘルメットを渡すルイズ。シエスタは 特に説明を受けずとも淀み無く面帯まで装着する。
それを見てルイズは 以前から感じていた違和感を思い出す。
今や 学院半公認でルイズ専属となったシエスタは、日常生活だけでなく ゼロセン開発や雪風関係の手伝いまで行っている。
それが 勘が良いと言うか何というか、妙に手馴れているのだ。
雪風の軽整備なぞ コルベール先生に補助してもらった時よりもスムーズに終了した程だ。
手伝っては貰っているが 実際にシエスタを雪風に乗せたのはこれが始めて。
にも拘らず 飛行中の障害となる可能性のあった先程のネックレスは 言われる前に外して小物入れのポーチに仕舞い、シートのハーネスも何も教わらずにロックしていた。
シエスタ。ごく普通の 農村出身のメイドの少女。彼女には 何があるのだろうか。

雪風は離陸し 一路タルブ村を目指す。シエスタは ただ静かに座っていた。だが それもまたおかしな事だった。
雪風に初めて乗った者は例外無く、加速感に驚き 高高度からの眺めに狂喜する。程度の差こそあれ 皆そうだった。
さも「こうなる事は知っていた」「騒ぐ程も無い ごく当然の事」といった態のシエスタが 異常なのである。
彼女は何者なのか?それを知る為 ルイズはちょっとした『悪戯』を仕掛ける。

予め 雪風にはLinkを通じて指示を出しておき、フライトが暫く続きシエスタの注意力が緩んだ頃を見計らって ルイズは宣言する。
「シエスタ。『ユーハヴ コントロール』。」
そして両手を高く掲げて見せる。
「あっ はい。『アイハヴ コントロール』。」
突然声を掛けられ ハッっとするも、思わずそう言って操縦桿を握るシエスタ。直後に我に返り(やっちゃった!)という表情。
これにより ルイズの『違和感』は『疑惑』へと変化した。

「…雪風を召喚してから 何人もの『お客さん』を乗せてきたけど、雪風の『操縦』を渡した事は一度も無いわ。
 だから 操縦交代の方法について知っている人は、誰もいない。それは間違い無い。
 なのに さっきのやり取りは完璧だった。
 シエスタ 貴女は一体…」
「まずはタルブで 『竜の羽衣』を見てください。ルイズ様なら、それで大まかな所は御判りになると思います。
 そこで 全て御話致します。」
そして 再び沈黙がコクピットを支配し 飛行は続いた。

雪風はタルブ上空に到着した。眼下は緑に輝いている。
しかし それは牧草地や麦畑等によるものではなかった。一面に広がるのは 『葡萄畑』。
面積の大部分を緩やかな丘陵が占めるその村は、葡萄の栽培に適し 美味なるワインの産地として知られていた。
シエスタの実家は 村の外れにあるという。機首をそちらの方向に向けると、地上には 導くかの様な一本道があった。
田舎の農道としては広すぎる幅、凹凸の少ない整備された一直線の道。
(まるで『滑走路』だわ!)
ルイズでなくとも ゼロセン開発に係った者なら、皆そう思っただろう。
「あれです!あの家の前に降りて下さい。」
シエスタの実家は、その道の終わり 末端にあった。
比較的に裕福な自作農家のようで、平民としては充分大きな家屋と倉庫 そして頑丈そうな土壁の建物が並んでいる。
滑走路の正面にあるのは、その 魔法学院の雪風格納庫を思わせる建物だった。
「さあ こちらへどうぞ。」
シエスタは、家族へ帰省の挨拶をするよりも先に その建物の大扉を開けてルイズを招き入れた。

大扉から差し込む光が 『それ』を照らし出す。
美しい 青色の塊。機体と翼が独立した、複葉機とも取れる 複雑で或る種芸術的なフォルム。
これが『竜の羽衣』なのだろう。その名で呼ばれるに相応しい存在だった。
だが ルイズは知っていた。それの本当の名前を。
「……ファーンⅡ(ザ・セカンド)」
FAFの開発した 新型戦闘機。最大推力でシルフに劣るものの、小型軽量の機体は 運動性でシルフを凌駕する。
(何故 これが!?)
絶句と混乱。それでも 推論のコアとなる情報を得たルイズの脳は、猛烈な勢いで このパズルを組み立てていた。
(コレが存在するなら、シエスタの『知識』については納得がいく。
 ただし 『場違いな工芸品』を先祖が偶々手に入れたという事ではない筈だ。
 機体から知識を得たとしたら もっと断片的になるだろう。シエスタの理解は 系統立ち過ぎている。
 ならば FAF関係者が『召喚』されたか?その可能性は低い。
 雪風という例外はあるにせよ、人間の召喚は『四の使い魔』以外に確認されていない。
 『場違いな工芸品』であっても 同様に…)

未だ答の出ないルイズの思考よりも先に シエスタが回答を告げる。
「曽祖父は これに乗ってタルブにやって来ました。
 そして 専門外ではありましたが、持っていた知識を使い 村の発展に貢献しました。
 村は 曽祖父を受け入れ、『自分とファーンⅡの事は どうか秘密にして欲しい』という願いを守ったのです。」
(やっぱりそうなのね。でも それでは辻褄の合わない事も…)
「曽祖父は 『場違いな工芸品』と呼ばれるモノについて調査し、私達子孫に遺言を残しました。
 『いつか来る 〈深井中尉〉若しくは〈雪風〉を探して、〈龍の巣〉に潜む〈泣き女〉の元へ導け』と。」
その結果 二人の少女が、今ここに居るのだった。

              《続く》 

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