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ゼロのペルソナ 第8章 月 前編


月 意味…裏切り・徐々に好転

祝宴があった次の日の朝、ニューカッスル城の地下にある鍾乳洞の港は、人で埋め尽くされていた。
彼らは疎開する人々たちで、その中に完二たちも混ざっていた。
キョロキョロとキュルケが視線をめぐらせている。
「ルイズは?」
「ワルドと結婚式挙げるんだとよ」
「この状況で?本当に何考えてるのよ、あの子は……」
「ワルドがウェールズに仲人やってもらいたいからとか言ったらしいぜ。帰りは二人でグリフォンに乗って帰るらしい」
「カンジはー、出席しないクマか?使い魔でしょうに」
「別に出たかねえよ。つか、グリフォンも三人はキツイんじゃねえの?」
キュルケがニヤっと一笑いして、完二の腕に抱きついた。
「ねーえ、あなた勝手に結婚しちゃうような薄情なご主人さまはほっといて、わたしの使い魔にならない?」
「ブホッ」
キュルケの豊満な胸が押し付けられた完二は鼻血を出した。
「キュ、キュルケちゃん、クマというものがありながらオヨヨヨヨヨ」
「な、完二お前、先輩を差し置いてうらやましい思いをイテッ!」
泣き真似を始めたクマも、タバサに杖で殴られた陽介も無視してキュルケは完二を誘惑する。
「この間、仮面の襲撃者からわたしを守ろうとしてくれたじゃない。そのときのあなたとってもかっこよかったわ」
「な、あれは体が勝手に動いただけで!つか、結局、何もしてこなかったし!」
完二が顔を真っ赤にしている。抱きつかれていない方の手で鼻を押さえた。
陽介は完二の言ったことを聞き、不思議に思った。
「そーいや、なんで魔法を出さなかったんだろうな?」
「そういえばそうね。たぶん、詠唱は完成してたと思うわ」
陽介の口にした疑問に共感してキュルケは完二から手を話しその指を口に当て、考える仕草をした。
完二はキュルケの胸が押し付けられなくなり、安心したような残念なような気分だ。
完二の背中にかけられたデルフリンガーが口を開いた。
「詠唱をちょこっと聞いたがたぶんありゃ『ライトニング・クラウド』だな」
久しぶりに声を聞いたな、と思いながら陽介は尋ねた。
「それってワルドが使った?」
「そうだな」

陽介とクマは納得したというふうに頷いた。
「なるほど、敵さんはカンジが割り込んできて、呪文を防がれると思ったから魔法を出すのをやめたクマね」
そう言うと次はキュルケが不思議そうな顔を浮かべ、彼女を代弁するようにタバサは言った。
「ライトニング・クラウドは雷の呪文。間に割って入っても二人とも電撃を受けた」
陽介たちはタバサの発言を不思議に思った。
完二のペルソナ、ロクテンマオウは電撃を無効にする。完二に電撃は利かないではないか。
「何いってるクマか、タバサちゃん。完二に電撃属性は……」
「ああーー!!」
陽介は何かに気付いたというふうに突然大声を上げた。
完二、クマ、キュルケは驚いてビクリと肩を震わした。歩いている人がチラっと見てきた。
「そっか、そーだよ……あれ?でも、それって……」
「なに大声上げてるんスか、センパイ……」
考え込んでいる陽介に完二はツッコミを入れた。
「わかったんだよ、完二!」
「わかったって何がっスか?」
「あの仮面のヤツはお前に電撃属性の攻撃が効かないから魔法を出すのをやめたんだ!」
「いや、だからそれはクマが……」
完二が何言ってんだ、この人は。という顔を浮かべたのに対して、キュルケが浮かべたのは別種の表情だった。
「カンジに電撃が効かない?どういうこと?」
キュルケは不思議そうな顔をしている。そしてその様子を見て陽介は自分の推理を確かなものにした。
「そうだ。お前が電撃効かないことをこの世界の人間は誰も知らねーんだ。二人を除いてな」
完二がはっとした顔を浮かべる。
「ワルド……!」
もちろんルイズも見てたけどあの仮面の襲撃者とは明らかに体格が違ったし、襲われた張本人だ。あの仮面の襲撃者はワルドだったんだ」
クマは当然の疑問を発する。
「ヨースケ、混乱してるクマ?ワルドは一緒にいたクマよ」
「あっ、そーじゃねえっスか!」
自分で言っておきながら完二はそのことを失念していたらしい。
その疑問への返答はすでに陽介の中に出来上がっているが答えたのはタバサだった。
「遍在……」
「そうだ、遍在をワルドは使ったんだ」
トリステイン学院を出発する前日、不気味な教師ギトーの授業が中止になった時に陽介はタバサに遍在のことを聞いたのだ。
遍在とは自分の分身を作る風の魔法である。しかもそれはそれぞれが魔法を唱え、戦うことができる戦闘能力を持つ高等な魔法だという。
それを知っているから陽介はひっかかりに気付けたのだ。

「へ、遍在……?ってなんスか?」
「ようするに分身の術みたいなもんだ」
タバサは陽介の大雑把な説明を補足した。
「それぞれが魔法の力と頭脳を持つ実体」
「彼は風のスクエアだから唱えられるでしょうね」
キュルケが呟いた。
陽介が総括する。
「ワルドは決闘で完二に電撃属性が全く効かないことを知った。
そして襲撃の際に、不意打ちに近い形で魔法を撃てたのに撃たなかった」
「雷は効かないと知ってたから」
タバサが言い、陽介はこくりと頷く。
「思えば宿を襲撃させたのもあいつだろうな。
チームを分断させようと提案したのもあいつだった。それが目的だったんだろうな。
そもそもこの任務は姫さまが内緒で一生徒に頼んだものだから、知っているものも限られるはずだ。
ワルドなら当事者だ。
そしてあいつは完二がキュルケをかばったらすぐに攻撃をやめて次の行動に移った。
たぶんそれが本当の目的だ」
「ルイズ……!」
完二が言う。
「なるほど、このタイミングで式を挙げたのも、わたしたちを追い払うためね。
グリフォンで追いかけるとか言ってたけど……」
「んな気はさらさらねえってわけか」
キュルケの最後の言葉を完二が引き取った。
その時、乗船員たちが大声で乗船を促し始めた。どうやらそろそろ出発するらしい。
「で?まさにあいつの思ったとおりになろうとしてるわけだけどどうするよ?」
「んなもん決まってらあ」
「あら、決まってるでしょ」
「ゴー!クマ」
そう言うと完二、キュルケ、クマは駆け出した。
「ま、そーだよな。んじゃ俺も……」
駆け出そうとした陽介の服をタバサがつまむ。
「ってタバサなにすんだよ?」
「することがある」
タバサは陽介に耳打ちをした。


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