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糸色望の使い魔-3


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朝の目覚め、爽やかな小鳥のさえずりを聞きながら私は目覚めた。
窓を開けると聞こえてくる風の音、さらさらと髪を流してほおをくすぐる。
ギシギシというロープの音、いいかげん聞き飽きたのでそろそろ何も感じなくなってきた
「……縄よ、戒めを解きたまえ」
杖を振って見る。
見事、縄は爆発して戒めを解いた。
「失敗ね、成功しないわね」
「げほっ、げほっ……死んだらどうする!!」
「だから助けてあげたんじゃない、感謝しなさい」
今日もいつもどおりの朝だった。

最近のイトシキは授業中に傍に居ない。
そもそも授業中に使い魔をそばに置くという規則は無い。
ただ「使い魔は主人に付き従う」という前提があるからだ。
では何故規則が無いかと言うと授業妨害になることがあるから。
具体的に言えば居眠りの音が大きかったり、そもそも巨体ゆえに教室に入らなかったり。
理由は多々あるが絶対居なければならないと言うわけではないので
私も彼を無理に教室に留める理由は無かった。
「私の趣味は読書です。ということで語学を得る意味でも授業中は図書館に行かせて欲しい」
との事だった。確かに彼にとって理解できることといったら歴史に関することぐらい。
いや、それすらも理解してない事もある。
ともかく基礎から勉強したいという彼の行動を止める理由は無かった。
私の使い魔ということで特別に司書に許可を取った。
最近は私が授業中には図書館に篭りっぱなしである。
と言ってもまだ児童用の絵本を読んでるところ、先は長そうである。

鐘の音が鳴り、中庭へと赴く。
教室から自室へ帰る途中にあるのも理由だが、たまに彼は中庭で他の使い魔と戯れてることがある。
動物が好きなのだろうか、図書館から戻ってきた彼に聞いてみた。
「種類にもよりますが、好きですよ。人間みたいにウソをつきませんから」
その理由はともかく好きと言うことは分かった。
「あ、ノゾムさん。こんにちは」
と、そこへ洗濯物かごを持ったメイドがイトシキに話しかけていた。
「こんにちは、シエスタさん。今日は天気がよかったのでよく乾いたでしょう」
「はい、太陽の匂いがして気持ちいいですよ」
その娘はこの地方では珍しい黒髪だった、そういえばイトシキも黒髪である。
「た、太陽の匂い……ですか?!」
「は、はい。どうしました?!」
「いえ、聞かないで下さい。これは知らないほうが良い!」
「は、はぁ」
また何か良からぬ事を考えたのだろう。
「イトシキ、どちらさまかしら?」
「し、失礼しました。わたくし、ココで使用人をやらせていただいてますシエスタと申します」
慌ててカゴを置くと頭を下げてきた。
「ふ~ん、知り合いなの?」
「えぇ、ちょっとした事がありまして」
「あ、あはは」
なんとなく何があったか察しが着いた。また自殺未遂でもしたのだろう。
「それでは、私は仕事がありますのでこの辺で」
「ぇえ、がんばってください」
「はい――失礼します、ヴァリエール様」
と言ってカゴを持ち上げるとそのまま行ってしまった。
「無知は恐ろしい、太陽の匂いとは虫の死骸の匂いであるのに」
「何言ってるの? 虫なんて付いてた?」
彼の言うことはよく分からない事が多い。

部屋に戻ると私は勉強、イトシキは部屋の掃除。
それが終われば使い魔としての能力の研究である。
せめて感覚の共有ぐらいはしたいところなのだが、まったくもって繋がらない。
「ところでルイズさん、気になることがあるのですが」
「何よ?」
「私のこの、刺青っぽい、なんでしたっけ?」
「使い魔のルーンよ、それがどうしたの?」
「たまに光るんですよ。何故か」
「どんな時に?」
「いえ、光るといっても二回ぐらいしか確認してません。体に害は無いですよね?」
「無いわよ」
正直、人間に使い魔のルーンが刻まれるなんて前代未聞だから
絶対とは言わないが、はっきり言わないとまたネガティブ思考がはじまるだけである。
「基本的に使い魔としての力、つまりは元々持っていなかった能力を使った時に光るわ
 感覚の共有、じゃないわね。私は何も見えなかったし」
「光ってるのは中庭に居た時と廊下を歩いていた時ですね」
「ふ~ん、まあそれも含めて調べましょう」
その日は特に成果も上がらないまま終わった。
明後日は使い魔の品評会だ。しょうがない、見せるだけ見せて退場しよう。

そんな私の考えも次の日に変更を迫られることになった。
突如、この国の姫君であられるアンリエッタ姫がその使い魔の品評会を視察に来るというのだ。
学園は多くの兵士が詰め掛けて万全の警備体制を取り。
品評会に出る二年生は我こそはと、姫さまの目に止まれるように必死に使い魔と練習を重ねた。
そんな中、私は
「イトシキ、何か特技は無いの?」
「そうですね、編み物が出来ますが」
地味すぎる。
「あとピアノが弾けます」
「それよ!!」
そんな特技があったとは思わなかった。
「しかし一日では無理でしょう、たしか主人と使い魔の二人で何かをしないといけないのでは?」
「ぁ……」
そういえばそうだった、ピアノをやるならば私も何か楽器を引くか歌わなくてはいけない。
楽器は触ったことが無いし、歌?
「あと、ピアノはこの学院にあるんですか?」
「う……」
そういえば無い、あと楽器類はかなり高級な品である。とくに鉄が使われる楽器はゲルマニア製で
輸入品は限られているため非常に高い。手持ちのお金で買えるとは思えない。
「ぜ、絶望したわ」
「それは私の台詞です、取らないで下さい」

その夜、結局何も具体案が出ないまま日が沈んでしまった。
「諦めて昨日どおりいきませんか?」
「イヤよ」
「昨日はそれで納得していたじゃないですか」
その理由は、別に話しても良いのだけどなんとなく言いそびれていた。
とその時、部屋のドアが叩かれた。
「ルイズ、私です。アンリエッタです」
そう声が聞こえた。
「ひ、姫さま?!」
慌ててドアへと駆け寄る。だが目の前をイトシキが止める。
「いけません、こんな夜分に訪れる人など強盗に決まって――」
「失礼な事いうんじゃないわよ!!」
イトシキの声を遮るために思いっきり後頭部を殴った。
そしてドアに近寄ると慌てて鍵を外した。
部屋の外にいたのは紛れも無く姫さまだった。
部屋の中へと招きいれ、鍵を閉める。姫さまは呪文をかけて外に声が漏れないようにしていた。
「ルイズ、久しぶりね。会いたかった」
「姫様、こんな御忍びで参られなくても。呼べば地の果てであろうと駆けつけますのに」
「ごめんなさい、でも兵士が居ないところで会いたかったの」
「あの……これはどういうことでしょうか?」
と、蚊帳の外だったイトシキが疑問を投げかけてきた。
「貴方は?」
「姫、彼は私の使い魔です」
「そうなの、人間が喚ばれる事もあるのね」
そう言って姫はイトシキに向きなおす。
私はイトシキが何か余計なことを言わないか不安でしょうがない
「挨拶が遅れました、わたくしはトリステインの第一王女アンリエッタ。以後お見知りおきを」
「は、はい。わたしは……糸色望、ルイズさんの使い魔です」
そう思ったが、意外にも緊張した面持ちで挨拶を返した。
「ルイズをよろしくおねがいしますね、イトシキさん」
「は、はい。誠心誠意がんばります!」
と、右手を開いた上体で額に当て、脇を直角に空けた。妙な礼である、彼の国の作法だろうか?
あまりに緊張した彼がおかしかったのか、姫はくすくすと笑いを堪えていた。
「ルイズ、今日はゆっくりと話がしたいわ。時間は取れるかしら?」
「もちろんです……しかし良いのですか? 騒ぎになるのでは」
「部隊長にはしっかり言い含めてありますから、明日の朝までなら大丈夫ですわ」
「で、では私はお二人の邪魔にならぬように外で待機しております。失礼!」
と言って、止める間もなくイトシキは廊下に出てしまった。
「気を使わせてしまったかしら」
「い、いえ気にしないで下さい」
それにしてもイトシキにも王族を敬う心はあったのか。
当然と言えば当然だが、何故か意外な気分になった。

次の日、アンリエッタ姫を送ったあと。
イトシキが何処で寝ているかと思ったが使用人寮(男)から出てくる所を捕まえた
なんでも料理長に気に入られているらしい。さらに言うとイトシキは料理長が苦手だとか。
だったら何故その苦手な相手の所に泊まったかというと
他に親しい知り合いがシエスタと使い魔ぐらいしか居ないとの事だった。
「昨日は悪かったわね、気を使わせて」
「まあ、王女様の機嫌を損ねたら首を刎ねられますからね」
昨日の態度の理由がよく分かるコメントだった。

品評会は淡淡と進行した。
皆、教師には目もくれずにアンリエッタ姫になんとかアピールしようと必死であった。
特に男子生徒の中には真剣になりすぎたのか寝不足なのか目が血走っててやや危ない奴も居た。
その中でギーシュが可もなく不可もなく普通の演技で幕を閉じたのは予想外だった。
彼も両手に花を抱えた状態でさらに花を増やすことはしないという事だろうか。
そして、私たちは結局、出場して挨拶して去るだけ。という地味な結果になった。
点数も最悪だろうけど、それ以上にアンリエッタ姫をガッカリさせてないかという事が不安だった。

その時、中庭から大きな音がした。
それと同時に地面が揺れる。何か、大きな隕石か何かが落ちてきたような振動。
生徒たちは不安がり、先生は生徒を宥める、兵士たちは王女を中心に守りを固めた。
その時私たちは出番が終わって舞台袖に居た。だからこそ私たちだけが中庭の様子が見える位置に居た。
振動に足を取られ、階段にしがみつきながらも振動の先を見る。
そこに見えたのは巨大なゴーレムが学院の壁を殴りつけている光景だった。



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