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ゼロの賢王 第10話


トリステイン魔法学院内にある宝物庫の外壁前。
ルイズがポロンと街へと出掛け、キュルケとタバサがそれを追い掛けていたその頃、
彼女はそこへ1人立っていた。

目の前の丈夫そうな壁を見つめながら、つい先日コルベールと交わした会話の内容を思い出す。


「・・・実は宝物庫の壁は物理攻撃に弱いんですよ。無論、並みの攻撃では破ることなど適いはしませんが」
「まあ、そうなんですか」
「・・・とは言ってもまあ、壁にひびでも入っていたら流石に話は別ですけどもね」
「ひび・・・ですか?」
「いくら固定化の魔法をかけてあるとは言っても、この宝物庫もかなり昔からありますし、
 その頃に出来たひびの一つくらいはあっても仕方ないでしょうな」
「なるほど」


コルベールは学院長からの信頼も厚く、また嘘のなかなかつけない男。
言っていることも恐らく大体は本当のことであろう。
何より長年破られることの無かった宝物庫である。
慢心、油断からセキュリティの感覚がマヒしていてもおかしくはない。
世間話から上手く宝物庫を破る方法を聞き出せて、彼女は思わずニヤリと笑っていた。

そして今日は虚無の曜日。
一般の教員は皆部屋に閉じこもり、宿直の教師も1人しかいない。
衛兵なんてものもいるにはいるが、あんなものはただのでく人形と変わらない。
何という警備体制だ。
これでは盗みに来てくれと言わんばかりである。
ならばお望み通り盗んでやろう。
彼女――――土くれのフーケはほくそ笑む。

フーケは宝物庫の壁に手を触れると、細くしなやかな指をその表面に這わせる。
土づくりのザラッとした感触。
凹凸こそあれ、ひびや割れ目などは無かった。

(これだけ古い壁、何処かに老朽化の跡がある筈!)

いくら強力な固定化の魔法とは言え、万能でも無敵でもない。
物理攻撃に弱いという弱点だってある。
ならば何処かに穴があってもおかしくはない。
その魔法を使った者もまた万能では無いのだから。

ガリッ

その感触を確かめた瞬間、フーケはまるで悪魔の様な笑みを浮かべた。
フーケの指先。
そこにはほんの僅かな、一目見ただけでは気付かない様なひびが入っていた。



ルイズたちが街から学院に戻る頃には、辺りは闇に支配され始めており薄暗くなっていた。
片道約4時間も掛かる遠出はポロンにも少なくない疲労を感じさせた。
部屋に戻って一息ついていると、施錠された筈の扉がいきなり開かれた。
見ると、扉の向こうにはキュルケが当たり前の様に立っている。
キュルケの姿を確認するなり、ルイズの表情が一変した。

「ちょっと、何してんのよツェルプストー!?勝手に人の部屋に入るんじゃないわよ!!
 人の部屋の鍵を無断で破るのは校則で禁止されてるって、アンタも知ってるでしょ!?」
「あーら、規則なんて破る為にあるのよ?それに仮にもメイジがロックも使わずに普通の鍵を掛けるなんて、
 入って下さいと言っている様なものだわ」
「だからといって、入っていいわけがないでしょうが!」
「そういうことはまともにロックが使える様になってから言うことね」
「うるさいうるさいうるさい!何よ!?正しいこと言ってる私が何でこんな負けたみたいな感じになってるのよ!?」

ポロンは2人の様子をうんざりしながら見つめていた。
ただでさえ、久々に遠出して疲れているのだ。
なるべく静かに過ごしたいとポロンは思っていた。

「・・・で、何か用か?」

ポロンが訊ねると、キュルケは何か企んでいる様な笑みを浮かべた。

「そうそう、ルイズになんか構っている時間は無かったんだわ。ねえ、ミスタ?実は貴方にプレゼントがあるの。受け取って下さらない?」
「プレゼントー?貰う義理は無いと思うんだが?」

ポロンが言い終わらない内にキュルケはそれを取り出した。

「ジャーン!貴方にこれを差し上げますわ」

キュルケが取り出したのは剣であった。
それも刀身以外を金で加工し、所々に煌びやかな宝石をあしらっていて、一目で高価なものだと分かる代物である。
ポロンは口をあんぐりと開けながらその剣を指差してキュルケに訊ねた。

「それ、見るからに高そうだけど、いくらしたんだよ?」
「なあに、ほんの2000エキューですわミスタ」
「2000エキュー?」

この世界の貨幣価値が分からず、イマイチピンと来ていないポロンとは対照的に、ルイズは目をカッと見開く。

「に、2000!?庭付き一戸建ての家が買える値段じゃない!」

それを聞いてポロンも目を見開いた。

「な、何ぃ!?そんな高価なもん理由もなく貰えるわけねーだろが!」
「別に私にとってははした金ですもの。貴方が少しでも私に気を向けて下さるなら、安い買い物ですわ」

キュルケは涼しい顔で答えた。

「それに理由なら」

キュルケはポロンの全身を舐め回す様に見つめた。
その視線に気が付いたルイズは再びキュルケを睨み付ける。

「人の使い魔に色目使ってんじゃないわよ!この色情魔!!」
「何ですって!?」

その後、2人はお互いに罵声の飛ばし合いを開始した。

(少しは静かにしてくれねえかなあ・・・)

ポロンは2人の間に割って入って飛び火を食らうのも億劫だったので心の中で呟きながらその状況を見守った。

「・・・大体、何よその剣!金とか宝石とか、アンタみたいに下品で嫌らしい!!」
「あら?平民の玩具しか買い与えられない様なみみっちい女が何言っても嫉妬にしか聞こえないわよ」
「なっ!?何で知ってんのよ!?」
「さあて、何でかしらねー?」

惚けるキュルケ。
ルイズはそのキュルケの態度も表情も何から何まで気に入らなかった。

「アレはポロンが買ってって言ったものなの!!頼まれればもっと高価なものだって買い与えてあげられたわ!!」
「貴女、何も分かってないのね・・・」
「何よ!?」
「彼、きっと遠慮したんだわ。貴女のその小さい胸みたいにお金だって無いんだって」
「!!胸は関係無いでしょ!!!!この売女!!!!」
「・・・さっきから聞いてりゃ人のことを色情魔だの売女だの、流石に言っていいことと悪いことがあるわよ?」
「何よ、やるの!?」
「やるわよ!!」

お互い、至近距離で睨み合う。
そして同時に叫んだ。

「「決闘よ!!」」


トリステイン魔法学院の中庭。
外は夜気で肌寒く感じられた。
そんな中、ルイズとキュルケがそれぞれ向かい合いお互いに火花を散らし合っている。

「・・・いい?先にあのロープに当てた方が勝ちよ?」

キュルケが勝負の方法を確認すると、ルイズもこくりと頷く。
2人は同時に的を見た。

「つーかさあ・・・」

ポロンの顔がひくひくと引きつる。

「何で俺が吊られているんだよ!?」

ポロンはまるでタロットの「吊された男」の様にロープで逆さ吊りの状態になっていた。
ロープの端をタバサの使い魔であるシルフィードが咥えている。

「お前も何でいるんだよ!?」
「・・・手伝い」

タバサはボソッとそう呟くと、キュルケとルイズの後ろにちょこんと座った。
「決闘だ!」と勇んで出て来たはいいが、貴族同士の決闘は禁止されているので直接闘うことは出来ない。
その為、こうした勝負方法が提案されたのであった。

「だからといって、俺が吊られる意味あるか?」
「雰囲気よ、雰囲気。それに当事者だし」

キュルケは元も子もないことを言った。
そして、杖を構える。

「じゃあ、私から行くわよ。ファイヤーボール!!」

キュルケの杖の先から拳大の炎が飛び出した。

(まるでメラみたいだな)

ポロンは自分に向かって来る炎を見ながらそう思った。
炎はポロンの足に結ばれたロープのすぐ横を通ると、そのまま夜空の彼方へと消えた。
それを見ると、ルイズは勝ち誇ったかの様にキュルケへ向き直る。

「あんなに自信満々だったのに外れたじゃない、ツェルプストー」

しかし、キュルケは表情一つ変えずに答えた。

「外したのよ。1発で決めたら面白くないじゃない?」

ルイズはキュルケのその言葉に憤慨するも、すぐに切り替えてポロンへと向き直った。
そして、杖を構える。

「行くわよ!ファイヤーボール!!」

しかし、杖の先から先程の様な炎は出なかった。
代わりにポロンのすぐ側の壁が爆発を起こす。
ポロンはさっと血の気が引いた。

「おい、俺を殺す気か!?」
「違うわよ!!ちょっと失敗しただけよ!!」

2人が言い合う中、キュルケはフフンと杖を構えた。

「これで私の勝ち・・・」

しかし、その杖の先から炎が出ることは無かった。

地響きの様な音が聞こえてくると、地面が突然揺れる。
キュルケは思わずバランスを崩して、地面に座り込んだ。
先程から他人事の様に対決の様子を見ていたタバサもこの事態に立ち上がって杖を構える。

「な、何よ!?」

ルイズは突然の事態で目に見えて狼狽し、辺りを忙しくなく見回していた。

「何だありゃ!?」

ポロンが叫ぶと、3人が同時にその方向へ目を向ける。
すると、そこには巨大な何かが立っていた。

「あれはゴーレム!?」
「何故ここに・・・!?」
「・・・あそこは宝物庫!」

タバサがゴーレムのいる場所を指摘するも、ここからではすぐに向かうことは出来ない。
ゴーレムはこちらの存在に気付いておらず、一心不乱に腕を動かしていた。
遠目からだと何かを殴りつけている様に見える。
暫くするとゴーレムは動きを止め、崩れ落ちる様に消えてしまった。
その後、まるで何も無かったかの様に辺りは静寂を取り戻す。

「何・・・だったの?」

ルイズが茫然とした状態で呟く。
キュルケも同様にその場に立ち尽くし、タバサはゴーレムの出現した辺りをずっと見ていた。

「・・・で、俺はまだこのままか?」
「きゅいきゅい」

いい加減、頭に血が上って来て目の前がクラクラとしてきたポロンがぽつりと呟くと、
それに呼応する様にシルフィードが鳴く。

ルイズとキュルケの勝負の行方は突如現れた謎のゴーレムにより決することは無くなってしまった。
こうしてポロンにとって初めての虚無の曜日は過ぎて行ったのであった。


翌日、宝物庫にはオスマン以下、教員たちが集まっていた。
事件のあらましを簡単に説明すると宝物庫に盗人が入ったのである。
盗人の正体は、世間にその名を轟かす土くれのフーケであった。
フーケは昨晩、夜も深まった頃に宝物庫の壁に大きな穴を開け、そこから侵入したらしい。

「はい、私たちは夜中にゴーレムが宝物庫に現れたのを見ました」

事件の目撃者として、ルイズ、キュルケ、タバサ、そしてポロンもその場に呼ばれていた。

「ふぅむ・・・。恐らくそのゴーレムの攻撃により宝物庫に穴が開いたのだと思われます」

宝物庫の惨状を渋い顔で見つめながらコルベールはオスマンに伝える。
オスマンもまた渋い顔で壁に描かれた文字を見つめている。

“破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ”

「やってくれたのう・・・」

オスマンはギリリと唇を噛みしめた。

「ところで、お前たち。何でそんな時間に外出してたんだ?」

1人の教師がルイズたちに訊ねる。
ルイズたちが何と言おうか迷っていると、オスマンが口を挟んだ。

「それは今は問題では無いよ、ミスタ・ギトー」
「しかし、オールド・オスマン・・・」
「そんなことよりも・・・」

オスマンはチラっと整列している教師たちを見た。

「コルベール君、昨日の宿直は誰だったかのう?」
「確かミス・シュヴルーズだったかと」

コルベールが答える。
名指しされたシュヴルーズは頭を下げた。

「す、すみません・・・このことは私の不手際です」
「・・・まあ、起きてしまったことは仕方が無い。ミス・シュヴルーズに対する処遇は後回しじゃ。
 今はフーケと盗まれた“破壊の杖”をどうにかせんとのう」
「どう、と言いますと?」
「ふぅむ、フーケを追おうにも、手掛かりが全く無いからのう」
「オールド・オスマン。フーケに関する手掛かりが見つかりました!」

その時、まるで計ったかの様なタイミングでロングビルが駆けつけた。
オスマンは目を丸くしてロングビルに訊ねる。

「それは本当かの?ミス・ロングビル」
「はい、フーケの居所が解りました」
「失礼ですがミス・ロングビル。その情報は何処から?」

コルベールが訝しげな目で訊ねると、ロングビルはそれを特に気にした様子も無く答えた。

「先程までオールド・オスマンの言いづけで土くれのフーケの調査をしていたところ、近在の農民から証言が取れました。
 その農民は今朝頃に黒ずくめのローブを着た怪しい男が近くの森の廃屋へ入っていくのを見たそうです」
「ほう・・・」
「素人意見で申し訳ありませんが、黒づくめの男が恐らくフーケで、廃屋は彼の隠れ家ではないかと・・・」
「すぐに王宮に報告するべきでしょうか?」

コルベールが訊ねると、オスマンは首を横に振った。

「残念じゃがそんな時間は無いよコルベール君。フーケも馬鹿ではない。隠れ家とは言っても、何時までもそこにいるわけがない。
 王宮に知らせとる間にフーケは逃げる算段を整えて、王宮が動き出す頃にはもう逃げてしまっているじゃろう」
「では、どうするので?」
「すぐに動けるのはわしらだけじゃ」

そう言うと、オスマンは教師たちへと向き直る。

「諸君、今から我々でフーケ捜索隊を編成する。我こそはと思う者は、杖を掲げよ!」

しかし、教師たちは誰も杖を掲げず、お互い顔を見合わせるだけだった。
フーケは彼らが破られることは無いとたかをくくっていた宝物庫の壁を破壊したのだ。
彼らにとってフーケの実力は悪い方に未知数であり、腰が引けていた。
その様子を見て、オスマンは軽い失望を感じる。

「・・・どうした?おらんのか?フーケを捕まえて、名を上げようと思う者はおらんのか!」

オスマンが一喝する。
すると、ルイズが杖を顔の前に掲げていた。
それを見たシュヴルーズが思わずルイズを止めた。

「ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ではありませんか!ここは私たち教師に任せて・・・」
「誰も杖を掲げてないじゃないですか!」

ルイズが怒鳴り上げる。
それは正に事実で、シュヴルーズもそれ以上何も言えなかった。
すると、ポロンが口を開いた。

「俺がルイズを守ってやる。だから文句無いだろ?」
「ポロン・・・」
「いくら使い魔とは言っても、平民に何が出来ると言うんだ!?」

ギトーと呼ばれた教師が声を上げた。

「私は反対です、オールド・オスマン。生徒に行かせるなど・・・」
「では、君が行くかね?」

オスマンがそう訊ねるとギトーは思わず下を向く。
ポロンはギトーの肩を叩いた。

「・・・あんたが生徒を心配する気持ちは分かる。それに未知の敵と戦う怖さも、な」

かつてポロンも異魔神の力を目の当たりにした時、あまりの恐怖に戦意を失ったことがあった。
様々な強敵と戦いそれに打ち勝って来たポロンですら、いや、だからこそそれらを超えた圧倒的な強さに恐怖を覚えるのである。
ギトーもその他の教師たちもきっとそんなに弱いわけではないのであろう。
だからこそ、彼らの範疇外の強さを持つであろうフーケに対して尻込みしてしまうのである。
その気持ちがポロンには痛いほど理解出来ていた。

「根拠も何もねえが、俺を信じてはくれないか?」
「・・・くっ!!」

ギトーは震える拳を抑えると、ポロンの目を見た。

「・・・彼女を、ミス・ヴァリエールをよろしく頼む」

それだけ言うと、ギトーはポロンに背を向ける。
ポロンは何も言わず、その言葉にこくりと頷いた。
その様子を微笑ましい目で見ていたオスマンが再び声を上げた。

「他に、我こそはという者はおらぬのか?」

すると、今度はキュルケが杖を掲げた。
それを見て、タバサも同じ様に杖を掲げる。

「ミス・ツェルプストーにミス・タバサまで・・・」

コルベールはそう呟くと思わず頭を抱える。
キュルケはタバサの方を向いて声を掛けた。

「いいの?タバサ?」
「心配」

タバサが短くそう答えるとキュルケは感動した面持ちで彼女を見つめた。

「有難う・・・タバサ」

キュルケはタバサを抱き締めたい衝動に襲われたが、今はそんな状況でも無いので堪えた。
オスマンはルイズたちを見て「うむ」と言うと、教師たちに向かって言った。

「見てみい。彼らこそ貴族と呼ぶにふさわしいとは思わんかね?」
「しかし、何度も言うようですが1名を除いて彼らは生徒ですよ?何かあったらどうするんですか?」

コルベールが心配そうに言うと、オスマンは眉一つ動かさずに答えた。

「それならば心配はないよコルベール君。ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いている」

オスマンの言葉に教師たちは驚いたようにタバサを見つめた。
キュルケも驚いて訊ねる。

「本当なの? タバサ」

タバサは無言で頷く。

「なあ、ルイズ。シュヴァリエって何だ?」

ポロンがルイズに訊ねると、ルイズは小声で答える。
「・・・シュヴァリエは王室から与えられる爵位よ。最下級のものだけど、私たちくらいの年齢で与えられるなんて驚きよ。
 それにシュヴァリエは他の爵位と違って、純粋な業績に対して与えられる爵位なの」
「要するに、あのタバサって子はそれだけ凄いってことか?」
「そうね」

ルイズは少し悔しそうな顔でタバサを見ていた。
ほぼ同年代のクラスメイトがそれだけのものを貰っているのだ。
タバサに対して、ルイズは軽く嫉妬心を抱いていた。

「オホン」と咳をしてからオスマンが話を続ける。

「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法もかなり強力と聞いている」

オスマンにそう言われると、キュルケは得意気に髪をかき上げる。
次にオスマンはルイズの方を向いた。

「ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女で、将来有望なメイジと聞いておる。
 しかもその使い魔は平民でありながら魔法を操り、あのグラモン元帥の息子であるギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという噂じゃが」

その言葉に教師たちがざわついた。
それは、主にポロンが魔法を使ったということに対してであった。
先の決闘も詳しい事情を知っている教師はごく少数であり、ポロンはただの平民であるという認識が一般であったからだ。
先程ポロンにルイズのことを頼んだギトーも目を丸くするが、すぐに表情を崩した。

コルベールはオスマンに耳打ちする。

「オールド・オスマン。彼のガンダールヴの力、見究めるにはいい機会です」
「コルベール君、そのことは後で・・・」

オスマンがそう言うと、コルベールはこくりと頷いて1歩下がった。

「では、例の隠れ家までこちらで馬車を用意しよう。魔法は目的地に着くまで温存したまえ。
 それからミス・ロングビル、彼女たちを手伝ってくれ」
「了解です」

こうして4人はオスマンの用意した馬車に乗り込み、フーケの隠れ家と目される廃屋へと向かって行った。


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