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ゼロのチェリーな使い魔-17



ルイズがフリオニールとワルドの決闘を知ったのは朝起きて朝食をとりに食堂へ行った時だった。
フリオニール、キュルケ、タバサの三人が同じテーブルを囲い食後のティータイムをしている。
この宿は宿泊客以外にもモーニングサービスをしているのだな、と考えるのも束の間、
「ち、ちょっとあんた達!ここで何しているのよ!」
眠気が一気に飛ぶほど驚いた。
「おはよう、ミス・ヴァリエール。あなたが使い魔を置いて行ってしまったから私達が
 送って差し上げたのよ」
キュルケはルイズの薄情さを非難するように冷たく言い放つ。フリオニールも同調するように
「置いて行くなんてひどいですよ、ルイズさん!」
「悪かったわよ!わたしだって散々スピード落とすようにお願いしたんだけど・・・」
ルイズに抗議するが予想に反して謝罪の言葉が出てきてしゅんとした態度をとっているので
それ以上追求しなかった。反省しているとは意外だな、と思いつつフリオニールは続けて
ワルドとの決闘のことをかいつまんで報告した。
「あ、あんた・・・ご主人様の相談なしに何て勝手なことを・・・ギーシュの時といい
 なんでそんなに血の気が多いわけ!?」
案の定、ルイズからお叱りを受けるフリオニール。
無事にラ・ロシェールに着いていたと思えばワルドのような手練と危険な勝負事をしていたとは!
無茶をする使い魔に呆れ果てるルイズにフリオニールは恐る恐る去就を伺った。

「俺負けちゃったんで使い魔クビになるんでしょうか・・・」
「クビになんてするわけないでしょ!」
「俺がいたら足を引っ張るってワルドさんが・・・」
「それを言うならわたしが一番足手まといだわ」

何故、ワルドはフリオニールを除け者にしようとするのだろうか。フリオニールが異世界の
人間であることをワルドにも説明した方が良いのだろうか。
逡巡するルイズに鞘から少しはみ出ていたデルフリンガーが話しかける。

「ようよう貴族の娘っ子よ。相棒は『ガンダールヴ』なんだろ?連れてってやれや」
「へっ?そうなの!?」
「なんでぇ、知らねぇのかよ!」
「そういえば昨日ワルド様、大事な話があるって言ってたわ。疲れてたから明日に
延ばしてもらったんだけど・・・」

もしや大事な話とはそのことなのか?とルイズが考えていると噂をすれば影でワルドがやってきた。
ワルドはフリオニール達がいることを確認するとうんざりした顔をつくり
「君達、まだいたのかね」
ため息を吐いて毒づいた。しれっとした顔でその言葉を聞き流すフリオニール達を傍目に
ルイズはワルドの姿を見るや否や『ガンダールヴ』の件を聞き始めた。

「ねぇ、ワルド様。わたしの使い魔が『ガンダールヴ』だって本当?」
「ああ、間違いないだろう。と言っても伝説は誇張されたもののようだったがね」
「信じられないわ」
「ルイズ。君はメイジとして底知れぬ才能を秘めているのかもしれない」
「嘘だわ。わたしは魔法を使えないし・・・」
「爆発を起こせるじゃないか。通常、魔法に失敗すれば精神力を消耗するだけで何も
 起こらない。これひとつとっても君が只者じゃないってわかるものだ。きっと君は
始祖ブリミルのような偉大なメイジになるだろう」
「話が大きくなりすぎだわ・・・」

落ちこぼれである自身をここまで高く評価してくれることに戸惑いを隠せないルイズ。
いくら婚約者だからといって身内贔屓(?)にも程があるのではないか。
キュルケとタバサはフリオニールが本当に『ガンダールヴ』なのか疑問を感じていた。
彼の実力は異世界で戦闘の鍛錬を重ねてきた賜物であり伝説とは無関係なのではないか?
しかも、仮に彼が『ガンダールヴ』だとしたら自然とルイズも『虚無』の担い手となる。
魔法の実践はからっきしダメでコモン・マジックさえ使えないこのクラスメイトにそのような
評価を下すのは早計なのではないかと思ってしまうのだった。

一方、フリオニールはハルケギニアの伝説はどうでもよいとばかりに
「で、結局俺はアルビオンまで行けばいいんですか?」
「当然でしょ。しっかり護衛しなさい」
自身の身の振り方が気になって仕方なかったが、ルイズは素っ気無い口調で同行を命じた。
ワルドはルイズの決定に不満な様子で
「僕だけでは不安かい?ルイズ」
「そうじゃないわ。けど、こいつは傷を治したり意識不明を回復させたりもできるの。
ワルド様が思っているほど役立たずじゃないわよ」
「そうか・・・わかった。しかし、ひとつ提案がある。フリオ君はいざという時の治療役
として専念して欲しい。フリオ君の身も僕が守るから剣と盾はここへ置いて行きたまえ」
フリオニール同行を反対したが覆りそうもないので妥協案を出してきた。
ルイズはフリオニールの素手の強さを知っているのでワルドの案を受け入れようとするが
留守番を言いつけられたデルフリンガーだけが猛反対で騒ぐ。

「おいおい。この俺様を置いて行くなんてバカげてるぜ!」
「うるさいのがいなくなってむしろ好都合ね」
「何言ってやがる!相棒に自分の身を自分で守れねぇ状態で戦地へ行けってぇのかよ。
ヒゲの兄ちゃんの言うことなんざ聞くこたぁねぇぞ!」
「・・・仕方がないわね。フリオニール、盾だけ置いていきなさい」
ルイズはやかましいインテリジェンスソードを早く大人しくさせたいのでワルド案の半分を
受け入れる形をとった。フリオニールはほっ、と胸を撫で下ろし
「よかったな、デルフ」
「当たりめぇよ!剣があるのに持たねぇで戦地に行くバカがどこにいるってんだ!」
相棒に祝福の言葉をかける。デルフリンガーはプロジェクトリーダーから晴れて同行の
命を受け一気にご機嫌になりワルドに悪態をついた。
一方、ワルドは軽く舌打ちし
「フリオ君。こうなった以上、君の身に何が起ころうと僕は手を貸さないのでそのつもり
でいるように。僕はあくまでもルイズの護衛役なのだから」
肝っ玉の小さいことを言い捨てると小うるさいデルフリンガーを無視するようにそそくさと
食堂を出て行った。

話し合いが終わりひとまず安堵するルイズは残ったキュルケとタバサを交互に見やり
「ところで、ふたりは何でここにいるの?授業は?」
不思議そうに質問した。タバサは先程からずっと読書をしているのでキュルケが代わりに
「アルビオンへ観光旅行よ。良いタイミングだから私達もルイズについて行こうかしら」
ルイズに返答した。パーティに加わる気満々だ。

「ダ、ダメよ!これは極秘の任務なんだから!」
「あら?あなたの使い魔が盗賊団に襲われているところを私達が助けてあげたのよ。
 ねっ、ダーリン」
「そうなんだ。キュルケとタバサには感謝しているよ」
「そんなことがあったの・・・悪かったわね、キュルケ、タバサ」
「味方は多い方が良いに決まっているものよ。あのワルド?さんはあんたと二人きりが
いいみたいだけど」
「か、勘違いしないでよね。婚約者といっても親同士が勝手に決めたことで・・・」
「あの人のこと嫌いなの?なら私がいただいちゃおうかしら」
「ツェルプストー!あなたって人は・・・」
「冗談よ冗談」
「ワルド様のこと、嫌いじゃないわ。だけど、まだ結婚とか全然考えてないし・・・」
「結婚は勢いも大事って言うわよ。それに高齢になってから結婚して出産するとなると
母体にかかるリスクはとても大きいんだから」
「まるでおせっかい焼きの親戚のおばさんみたいな言い様ね」
「うふふ。ダーリンを巡る恋のライバルが減ってよかっただけよ」
「こいつは只の使い魔!」

ラ・ロシェールの宿屋で賑やかな日常の光景に包まれるルイズ達であった。
その日の夜

ルイズ達は船出の前夜祭を『女神の杵』の食堂でワインを嗜みながら過ごしていた。
フリオニールはいける口ではないのだがキュルケに勧められるがままにグラスを空けていた。
食べ物も胃に入れなきゃ酔いが酷くなるな、と先程から同じサラダばかり注文し食している
タバサを見て余程おいしいのだろうと思い同じものを注文した。
フリオニールは期待に胸を膨らませサラダを一口食べる。
「あう・・・俺、食べた、こんな苦いの、初めて」
想像を絶する苦さに思わず盟友ガイの口調になってしまうフリオニール。
タバサは黙々とサラダを食べながら
「はしばみ草」
と苦悶するフリオニールに一言だけ説明した。
口直しにワインをがぶ飲みする。はしばみ草の苦味と酔いのダブルパンチを喰らい気分の
悪くなったフリオニールは一同に詫びを入れて2階のルイズの部屋へ戻っていった。

フリオニールは部屋に入るなり床にごろ寝する。
掃き出し窓の外から見える月は一つ。普段は二つある月が一つしかない。
(月食?日食?何て呼べばいいんだ?)
ぼんやりと夜空を眺めているとドアを開く音が聞こえた。
やってきたのは「ご主人様」だった。心配で様子を見に来たようだがそんなことは
臆面にも出さない。
「ちょっとあんた、羽目外しすぎなのよ!」
「う~、すんません」
「明日は船出なんだから二日酔いになんてならないでよね!」
「酔いはとにかくあのはしばみ草ってやつが・・・」
「何でまたはしばみ草を・・・」
「だってタバサが旨そうに食べてたから」
ルイズは頭を振りフリオニールのうっかりにため息を吐いた。思っていたより体調は
良さそうだとみて話題を代える。

「ねぇ、あんたはワルド様のことどう思ってる?」
「えっ?どうって・・・」
「やけにあんたを除け者にしようとするじゃない?まさか、あんたワルド様の気に障る
ような変なことをしたんじゃないでしょうね!?」
「まさか!」
「そう・・・あんたがもし『ガンダールヴ』なら武器を持っているほうが良いに決まっているのに
 何で置いていけ、なんて言ったのかしら・・・」
「俺の住む世界の魔法は武器防具を装備している状態で唱えると威力が落ちたり失敗する
ことがあるんです。だけどワルドさんがそんなこと知っているとは・・・」
「何なんだろう・・・」

二人は頼もしくはあるが腹の内が読めないワルドの顔を思い浮かべてその本心を探る。
フリオニールは答えが出てこないので諦めて再び窓の外に目を移すと見覚えのある物体が
そびえ立っているのを発見した。



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