あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

むしょくのつかいま

「むしょくのつかいま」

 「ふぅ、お茶が美味しいわ……」
 春の使い魔召喚から数ヵ月。いろいろなハプニングが続発したルイズの身の回りも、最近ではようやく落ち着いて……。
 「たいへんだぁ! "ゼロ"の使い魔が、また、暴れてるぞー!」
 ……たりは、全然しておらず、相変わらずトラブル続きだった。
 「──はぁ……。また、アイツは……」
 ズキズキと痛むこめかみを両手の人差し指で押しつつ、仕方なく立ち上がるルイズ。
 二年生進級時に彼女が呼び出した亜人の使い魔は確かに強かった……亜人? いや、本当に亜人かどうかもわからないが、デタラメな強さを持っていることだけは確かだった。
 召喚した翌日の決闘騒ぎでは、ドットとは言えそれなりの実力を持ったメイジであるギーシュを、7体のワルキューレごと文字通り"一蹴"。
 学院の宝物庫を狙って襲撃してきた"土くれのフーケ"の巨大ゴーレムですら、ワンパンチで粉々にする。
 アンリエッタ王女からの密命でアルビオンに行ったときは、学院からニューキャッスルまでルイズを抱いて自力で飛行したうえ、宴席で酒を飲んでウェールズ王子と意気投合。
 王子が「せっかくだから何でも持っていってくれたまえ」と言ってくれたので城の宝物庫を漁って見つけた奇妙な武器?(なんでも、元はアイツの持ち物だったのだが大分前に紛失していたらしい)をゲット。
 さらに、その武器を使って、反乱軍の船を一隻残らず撃ち落として、絶望的な戦況を五分にまで戻したのだ。
 (ちなみに、現在のアルビオンは王党派と貴族派で国内がほぼ4:6に二分された状態だと聞いている)
 ──それだけ聞いていれば「イーヴァルディの勇者の再来!?」とでも思うかもしれない。
 しかし……。
 「早くなんとかしなさいよ、ルイズ」
 「このままでは大惨事」
 中庭まで来たところで、ルイズは級友ふたりに捕まった。
 どうやら、アイツが3年生数人と揉めているようだ。
 「ねぇ、キュルケ、タバサ。そうは言ってもアイツがわたしの言うこと素直に聞くと思う?」
 「「思わない」」
 「ぐっ……」
 自覚していても、他人に言われると嫌な事というのはあるものだ。
 そう、寝ているあいだに問答無用でコントラクトサーヴァントしたものの、あの使い魔は主であるルイズの言うことなど、ちぃーとも聞こうとしないのだ。
 (英雄? 勇者? ハッ! アイツはただのロクデナシよ!!)
 と、ルイズがやさぐれるのもむべなるかな。
 彼女の使い魔の亜人?は、怒りっぽい上にケンカっぱやく、さらに口が悪くてぐうたらという極めてタチの悪いチンピラのような性格をしていたのだから。
 いや、本質的に悪い人間ではないのは確かだ。貴族のボンボン(ギーシュ)にからまれたメイドを助けに入ったりしているし、そのギーシュや土くれのフーケさえも、命は取らず半殺しに留めたりと手加減してたりするのだから。
 学院で働く平民達からは恐れつつも頼りにされてるし、決闘以後、彼の舎弟となったギーシュを始め、軍人家系の一部男子連中には尊敬されており、彼もなんだかんだ言って面倒みてやっているようだ。
 (ときどき"模擬戦闘"につきあって"揉んで"やってるみたいだし)
 しかし、そういう点を鑑みたとしても、最大限好意的に解釈して「ゴロツキの兄貴分」そのものではないか……とルイズは胃がキリキリ痛くなるのを感じるのだった。
 しかも……。
 「はぁ、しょうがないわね。シエスタに止めてもらいましょ」
 「そのほうが確実」
 「ぐはっ……!」
 友人ふたりの悪気のない(多分)言葉が、ルイズの心にズキズキと突き刺さる。
 そう、なぜかあの使い魔は、メイドのシエスタの言葉は比較的素直に(あくまで比較的、だが)聞くのだ……主人の命令はロクに聞かないクセに!
 決闘騒ぎで助けられて以来、シエスタという娘はあの亜人?にゾッコンで、甲斐甲斐しく食事や身の回りの世話をしているようだ。彼の方も満更ではないらしいし。
 「なんでも、最近は同じ部屋で暮らしていて、ほとんど新婚夫婦みたいな間柄だって聞くわよ」
 「いわゆる内縁の妻?」
 「どっちかって言うと、アイツの方がヒモね、ヒモ!」
 そういう経緯もあって、あの使い魔も自分の恋人?の言葉はさすがにないがしろにしない。特に、こういうケンカ関係だと尚更だ。

 ……と、そんなことを話しているうちに、くだんの少女がタイミングよく姿を見せたようだ。どうやら、気を利かせたギーシュあたりが呼んで来たらしい。
 「あぁーーーっ、だめですよ、レッドさん、貴族の方々とケンカしちゃ!」
 「い、いやぁ、こりゃあ、コイツラの方からよぅ……」
 「それにしたってやりすぎです!」
 確かにわずか1分足らずのあいだに彼に突っかかっていった3年生たちはひとり残らずボコボコにされて地面に転がっている。
 「本当に本当に申し訳ありません、ちゃんとこの人には言って聞かせますから」
 ペコペコ頭を下げながらシエスタは彼の手を引いて食堂の方へと去っていく。
 「ちっ……あ~あ、何か運動したら小腹が減っちまったぜ。シエスタ、何か食うモンねーか?」
 「ん~~、そうですね。マルトーさんに聞いてみます」
 平和な男女の会話とともに騒動はお開きとなった。これであの3年生達も懲りて、"レッド"と呼ばれるあの亜人に突っかかることはないだろう。
 「あら、良かったじゃない、ルイズ。頼むまでもなく、あの娘が勝手に納めてくれたし」
 「被害もほぼ0。当人達は自業自得」
 確かにそれはそのとおりだ。ルイズとしても、いつもみたくあの使い魔が起こした被害(主に学院の建物の破損)を弁償せずに済んだのは幸いではある。
 ──ただし、使い魔の主人としての面目は丸つぶれであったが。
 「な……納得いかなーーーーい!!」

<終わり>




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