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秋山異世界物語 天気晴朗ナレドモ風強シ(仮)-06


イーグル号が、トリステインに着いた。

まず、アンリエッタは秋山とギーシュとシエスタの労を労う。
そして、回収した手紙を、次にウェールズの手紙を受け取り。
ウェールズの手紙を読んだ。

「マザリーニ」

どこから現れたのか、何時の間にか隣に現れた枢機卿。
その間、自身の恋文は自身の服の中に隠した。

「はっ――」
「これを読みなさい」

マザリーニ枢機卿はそれを読んで言った。

「……実は、新政府から既に不可侵条約の――」
「捨てなさい」

アンリエッタの即答。
秋山の反論。

「いや、捨てない方が良い」
「え?」
「卑怯かもしれんが、不可侵を結んだまま相手に『おし!相手は油断してるぞな、今じゃー!』と思わせる方が、良い」
「……確かに、だが敵はあのアルビオン、勝ち目はあるのかね?主に空海軍の戦力差なんて酷い物だ」
「じゃから、今学院内にいる科学者に、新しい兵器をな、任せておる」
「科学者?どのような兵器なのだ?」
「コンセプトは、地上からフネを叩く大砲、これがあれば勝てるじゃろうな」
「そんなことが、可能なのか?」
「金と職人と施設を用意してくれれば、3日でみせちゃる」

コルベールは、少し考えた、だがこの手紙のウェールズ皇太子がいうように、この秋山に任せれば平和があると書かれている。
アルビオンの王族がこの秋山とやらを認めている、何をしたかはわからないが、それくらいに実力があるのだろう。
ここは一度賭けに出る事にした、それしか、無かった。

「分かった、十分な資金と十分な人員と施設を渡す。それで私が目を通して行けると考えたら、それの生産に取り掛かる事にしよう」
「度肝ぬいちゃるぞなー」


そう言ってから、シエスタの後ろで馬に乗りながら学院に着いた。
まずルイズの部屋よりコルベールの研究室である。

「コルベール殿!」
「はっはぁ、あぁ、秋山さん!!どうです、砲できました、自信作ですよ!!」

1メートルはあるでかい紙に、現在の技術力で、生産できる限り最高の飛距離と最高の火力の現時点最高レベルの砲が出来上がっていた。

「おぉ、おぉ!すごいぞな!流石コルベール殿、性能は?」

胸を張って細い鉄の棒を取り出して、設計図に当てる。

「はい、まず砲弾には導火線点火式の時限爆弾を搭載して、円柱と円錐の形にして見せました」
「うむ、威力は大丈夫そうじゃな、次」
「理論上これは高さ4kmまで飛ばす事ができるでしょう、命中させるに最適な距離は2.6kmです。砲身を長くする事で実現できました。しかし、命中率は少し悪いです」
「うむ、うむ空のフネまでの距離は大丈夫そうじゃ、命中力は別段、必要ない、でかいからな、次」
「バネ式の複座機と駐退機もできました」
「ほぉっ!それなら速射もできるのぉ、流石じゃ、次」
「火薬は従来の黒色火薬に、この白色の結晶のようなものをふっかけて、砕いた事により、いつもより1.4倍は威力が出るようになりました。これを紙で包む事により事故を半減させます」
「よし、では王宮から資金と人員も出た、その設計図を元に砲を作るぞな!」

少し間をおいて。

「はっ?ぇえ、本当に許可出たんですか!?」
「出たぞな、いち早く砲を生産させないと不味いんじゃ、トリステインの存亡の危機にまでなる、国民を救えるのはあしらだけじゃ!」
「そ、そうですね!急ぎましょう」

コルベールの杖に二人乗り。
流石に箒もぎりぎり、目的地は城。

「コルベール、御見さん背が高いのぉ」
「ははは、あなたは器がでかいですよ」

全力でかっ飛ばした為、1時間も掛からなかった。
ちょうど、マザリーニ枢機卿が待っていた。
横にいる貴族と適当な相談をしている。

「うむ、遅かったな。ここから少し東ロハ通りにいってくれ、少し歩けば、プロネン製作所がある、そこに人材も施設も置いた、姫からの署名もある、皆やる気はあるから安心せい。
 で、いつできる?」
「2日もあれば、可能かと。まぁ、1日目の突貫作業と青銅を冷やすので1日、正式に使えるのは3日後になりそうですが、流石に」

コルベールが設計図を見ながら答える。

「うむ、とにかくいそいでくれ。アルビオンが攻勢を整えているなら、一刻も早く、それを打破しなくては、な」

なかなか老人なのに頭が柔軟な人と、秋山はそう評価した。
案外近代化のしやすい国なんじゃないか、まぁ。
軍人が政治に関わるとろくな事にならない、適当な口出しだけでよい、それを強行させなければ、の話だが。

「プロネン製作所?そんなところが出来たんですか?」
「ああ、城下町にはてんてんと製作所があったんだが、一番でかい製作所に全て併合させたんじゃ、まぁ数日前の話じゃから知らんのも無理はないだろう」
「ほぉっ!それはそれは!!」
「一つ一つに注文するのも面倒だからな」
「では、善は急げ、行って来ます」
「出来たらすぐ言うんじゃぞ、頼んだ」

背中を向けて段々遠くなる秋山とコルベール。
相談していた貴族も既にいない、ただ1人、ため息を吐いた。
このトリステインに仕えて、何年経つだろうか、目的に私欲など混じっていない、全て今は亡き王が守った王国を守る為だけだ。
それ以外に欲などない、ただ平和であればよい。しかし、外交努力はいとも簡単に打ち破られてしまった。
なら後はどうする、若い奴等の頭を使うしかない、老人は国の知識であって脳ではないのだ。
王がいるときは、王の脳を使い、そこに知識を出すだけだったが。
王が亡くなってからは、自身が脳と知識なのだ。
それでは、駄目なのだ、国が腐る、自身の脳みそと同じに。
しかし、自分の後を継げる者はいない、今は。
これが、今最大の悩みであった。しかし、悩んでも仕方が無い、ただ自分は、今できる政務をこなすだけだ、それしかできないのだから。


「いや、意外と広いの、ほんに意外じゃった」
「まー、トリステイン中の製作所を集めればこんなもんじゃないのでしょうかね」

一言で工場のおっさんが、自分達の存在に気づくとずかずか近づいてきた。

「おうおう、女王様の使いか!」
「はい、そうですが」
「ならとっとと設計図を寄越すんだな!新兵器の開発なんだろ?なら鋳型から作らないといけねぇからな!!」
「これです」

丸めて持ってきても楽に1メートルを超える物を広げておっさんに渡した

「ほぉ、ほぉ!こりゃ、腕が鳴るな!最近はちゃちな鉄球とか盾ばっかだったからな!」
「何日かかるかなもし」
「2・3日でやり遂げてやるよ、こりゃ精密に作んないと駄目だろうから、それ以下は流石にできねぇな」
「十分ぞな」
「そうかい!おい、釜焚け!!大仕事だ、職人魂みせちゃれ!」
「アキヤマさん、自由に行動してて構いませんよ、私がいれば大丈夫でしょう」
「ほうか、なら学院に戻る、お上が切れてるじゃろうしな」

秋山は駆け足で、製作所から引き上げていった。

「こりゃ、本当に複雑な仕組みだねぇ、量産は大変そうだ」
「はは、可能ですよ、すぐに」

冗談ではなく、本当に可能だろう。
この砲が出来れば、予算がもっとおりる、こんな木製鋳型を鋼鉄製鋳型にする事も楽だろう。
そして、この砲は速射が出来る、なら砲弾の消費量は爆発的だろう。
この砲と新型砲弾が出来れば、このトリステインの城下町と城を1日で焼け野原にする事もできる。
焼け野原……。

「うっ……」

自己嫌悪の渦だ、胸が痛い、脳を抑えたい。
火を。
あの事件が。
だから自分は……。

「おい、ここはどうすればいいんだ?」
「あ、あぁ、そこは……」

設計図に指を刺しながら、手順を教えていく。
たまにあの猛火を見る、また自分はこれを作って猛火を作ってしまいそうだ。
だが、これを作らなければ、自国の人々が、猛火に焼かれる、それを防ぐ為。
防ぐ為なのだ。

「うん、うん、分かった、また分からなかったら聞くからな!」
「はい」

一人守れれば、自分の過去を消せるだろうか。
無理だろう、全ての人を守れたら……。
自分は許されるだろうか。


少し時間が経つと、秋山が戻ってきた。
そこには少し信じられない光景があったのである。
何と100名近くの水兵が学院前にいるのである。

「おぉっ、アキヤマ君じゃないかね!やっときたのか」
「オスマン氏、これは何が?」
「いや、何がも無いじゃろう、お主の部隊らしいぞ、まったく」
「はぁっ?」

何か思い当たりが無いか、脳内を探った。
『数は少ないけど、アルビオン空海軍を君に任せたよ』

少し曖昧な記憶なので変化はしてるが、ウェールズが言っていた。

「あぁ。なるほど」
「思い当たりがあったのかね?ならなんとかしてくれ、困るんじゃ」

ぞろぞろと100名近くの水兵がアキヤマの下に集まった。
1名1名ががやがやとアキヤマに何か言っているので一つ一つがまったく聞こえない。

「待て、待て!この中で一番偉い奴は誰じゃ!」

無精ひげの生えた、20代前半位の男が一団から出てきた。

「私です、空海軍中尉です。私より上の者は全て反乱軍に行ったか、戦死しました」

女子供をつれたイーグル号の中の、本当に少ない船員達、それがアルビオン空海軍だった。

「じゃ、イーグル号は!」
「回収されました、トリステイン空海軍に」

一隻でもフネが欲しいトリステインの残酷すぎる回収である。

「じゃあトリステイン空海軍に所属すればよかろう」

普通に、トリステインの空海軍は、誘ったのだが、訓練模様を見たら。
入る気がうせたのである、確かに最低水準はあるかもしれないが、それでもアルビオン空海軍に比べれば……。

「それは亡き皇太子殿下の命令には入っておりません、それに、トリステインの空海軍は訓練が浅すぎるのです」
「困ったの……、まぁ、姫さんに尋ねるかの」

流石に100人が学院外の所で寝たりという奇妙な光景はまずい。
それにこの100人をウェールズから頼まれているのである。
そんな事は出来ない。

「オスマン氏」
「なんじゃ、解決したか?」
「いえ、なんか速く手紙を送れはせんか?」
「フクロウとかを使えばよいのじゃないかな?少し待っておれ学院内にあったな」

オスマン氏退場。
残されるはアキヤマと100人近くの水兵。
この間「訓練は主に何を!!」「ねるとこは?」「食べ物は!」「女はぁっ!!」主に訓練は、と聞く率が高い分ましだろう。ちなみに最後に言葉吐いた奴には鉄拳が飛んだ。
でも、意外とこういうタイプは伸びる、長生きはするかどうか分からないが、伸びるだろう。

さて、オスマンが戻ってきた。

「うむ、で、どのような要件を書くのかな」
「あぁ、まずな……」

羊皮紙を開いて、そこにペンを取り出した。
秋山が一つ一つ、要件を言うと。
同時にペンを走らせた。

「うむ、これでよいかな?」
「あぁ、頼む」

すぐにフクロウに手紙を掴ませると、すぐに王宮へと飛ばした。
「後は頼んだからの、といってオスマンは学院長室に戻ってしまった
「で、アキヤマさん、私達はどうすれば、せめて訓練を……」
「あ、あぁ。分かった、じゃあ魔法学院の周りを10周、お前等は多分陸戦兵が主体になるじゃろう」
「な、何故です!」
「いや、まーフネの操作もさせるがの、陸戦兵もやってもらう」
「む……分かりました、陸戦兵も良いでしょう。命令だ!」
「おうっ!」

元アルビオン空海軍100名近くが、いっせいに魔法学園の周りを走り出した。
多分これくらいは楽にこなすだろう。
「暑苦しい人達ね、どう?アルビオンは楽しかった?」どこかから空耳が聞こえ……、空耳ではなかった。

「あぁ、お上か、うむ、楽しかったぞな」
「そう……」

秋山は少し悲しげな顔をした為、気を察し、深く言及はしなかった。

「お上、失ってからだとな、遅いんじゃ」
「変ね、いきなり」
「じきに分かるじゃろう、じき」

秋山は元々軍人に向いていないのだ、どうせ、10年も経てば分かる事だが。
バサバサと、鳥の羽音が聞こえてきた、見れば、オスマンが持ってきたふくろうである。

「うむ、なかなか早いな、少しこいつを届けてくる、後5週ちゃんと走っておけ」
「はっ!」
「あっちょっと――」

大急ぎで、オスマンがいる学院長室に走った。ルイズの呼び止めもあったが
空気のように。
さらりと流した。
思い切りドアを開けると、ミス・ロングビルと、オスマン氏がいる。
早速手紙を渡した。
それをすらすらと目で読んだあと、要約して伝えてくれた。

「うむ、うむ、即時戦力として王宮の近郊に、専用の訓練所と兵舎を立てる為、そこに入れると良い、特に心配は要らず、との事じゃ。後、イーグル号等は、後々話し合って返すだろうと」
「ふむ、何故そんな場所が立てられる事に?」
「姫も大変なんじゃろう、近頃平民の女だけで作る近衛隊を編成するとかなんとか、そこの訓練所なんじゃろ」

どうやら、ワルドの行方不明はアルビオンへの裏切りらしい、魔法衛士隊隊長が裏切りである、何時首を取られていたかも分からない。
それに対する警戒を強化するようだ、もっとも平民がいくら集まっても、ワルドを倒す事は出来ないだろう。
彼はスクウェアなのだ、王族のコンビネーション魔法意外、敵はいないようなもの。
ただ、裏切っても力は無い、忠誠は一段と高い、そういう利点はある。

「いや、はや。恵まれとるの」
「ほんにほんに」
「では、伝えてくるから、失礼する」
「うむ、またきなさい」

学院長室のドアを開けた瞬間、結果から言えば殴られた、ルイズに。

「無視するなっ!」
「すまん、少し待て」
「……何よ」
「御見さん最近丸いな」
「太ってないわよ」
「違う、性格じゃ」
「……どこが違うのよ、ったく、そんな事は気にしないでいいのよ」
「ほうか」

どう考えても、おかしい。
前までは刺々しいまでのオーラを放っていた。
しかし今はか弱い女のそれだ。
だが、原因が分からない。
深く入れば深く傷つけてしまうかも知れない。
ほおっておこう、すれば事態は好転するかもしれない。と、秋山は考えた。
大抵思春期の頃の悩みなんて、日が経てばどうにでもなるものだ。
気にせず、学院外に出れば、愉快な100人達が休憩していた。

「終わったようじゃな、うむ」
「で、私達はどうすれば」
「王宮の近郊に兵舎と訓練所が出来る、そこに住まう事が出来るようになった。イーグル号はいずれ返される。だ、そうだ。という事で、王宮まで駆け足」
「なんですと」
「駆け足」
「……」
「うむ」
「駆け足!」
「はっ」

疲れのせいか覇気の無い応答になっている。
それもそうだろう。
駆け足10周よりも長い距離を更に行く事になるのだ、馬ですら何時間と掛かるのを歩きである。
しかも体力消耗した後で。
やけくそな掛け声を発した後、そのまま駆け足で、王宮まで行っていく。
それと入れ替わるように、学院内からシエスタがこちらへ駆けて来た。

「あ、アキヤマさーん!」
「んぉ、シエスタさんか」
「はい!で、ですね!突然ですが、20日後に少し休みが取れたんです!私の故郷に来ませんか?あ、あの……疲れてるだろうと思って!」
「おー、そりゃいい、落ち着ける場所が欲しかったからのー」
「……」

隣にいた、小さなピンク色の髪を持ったお上がいる事を忘れていた。

「あ、お上もくるかの?」
「授業があるわ、どうせ」
「ほうか」

このまま桃色の髪だけ残してフェードアウトしそうな勢いである。
髪の毛もおいていかず、学院内へ入っていった。

「ふむ……」
「ラ・ヴァリエールさんと何かあったんですか?」
「いや、何もしとらん、が、あちらが何かあったみたいじゃの」
「思春期の悩みですか……」
「まぁ、手出しても、何も得はせんじゃろ、放っておくのが一番じゃ」
「そうですね、確かに」
「という事で、あしは寝たい、ちと疲れた」
「分かりました、おやすみなさい」
「うむ」

色々ありすぎた、とにかく明日はまたプロネン製作所を覗きにいかないといけない。


さて、少し長い眠りから醒めて、朝に王宮まで(シエスタに乗せてもらって)馬で行き、プロネン製作所へ行った。

着いた時には、既に朝から昼に変わる所であった。
職人達が休憩していた、既に青銅は部品ごとに完成していた。
後は長時間冷まして、組み立てるだけとなっていた。
見れば、職人達の目の下にクマが出来ていた。
久しぶりの大仕事だったので気合が入りすぎたのだろう。
ちなみにコルベールも寝ていた。
さて、プロネン製作所には他なにも無く、夜にまた来る事にした。
多分その頃には完成しているだろうと考えたのだ。

「あれは何ですか?大砲の部品?」
「察しがいいの、そうじゃ、大砲の部品じゃ」
「戦争でも始まるんですか!?」
「内緒じゃが、高い確率でな」
「恐いですね……」
「安心せい、あれが生産された暁にはどこの空海軍も役にたたんくなるからな、はっはっは――」
「すごい大砲なんですね!」
「うむ」

そんな談話をしていると、遠くから衛兵がやって来た。
アキヤマの姿を下から上まで検査するように見ると。
ところで、空海軍が壊滅状態となると、アキヤマは何処で活躍するのだろうか。
戦争が元々嫌いな節がある為、その元を無くそうとでもしているのだろうか。

「アキヤマ様でしょうか!」
「うむ」
「あぁ、よかった、キリとした格好をしていると聞いていたので、いやはや」
「何のようかなもし?」
「はい、枢機卿様がお呼びになっておりまして。はい」
「ふむ、枢機卿さんが?」
「はい、とにかくこちらへ。いやー、でも早く見つかって良かったですよ、これで大人数使わずに済みました」
「そりゃ、良かったの」

確かに迷惑はかけたくない。
途中シエスタと引き離された、用があるのはアキヤマだけらしい。
いや、当たり前だが。
衛兵が立派な造りのドアをノックし。
「アキヤマ様をお呼びしました!」と、言った。
すると、中から枢機卿の声がし。
「うむ、入れ」
と言った。
次に。

「ご苦労、持ち場にもどれ」
「はっ!」

衛兵はさっさと視界から消えていった。

「さて、少し、話がある、気抜いて答えてくれんか」
「うむ」
「まず、あの砲台はお前さんが提案したんじゃろう、あの技術者が言っておった」
「うむ」
「お前さんは他にも色々な兵器を知っている、違うか」
「何が言いたいんじゃ」
「要は……、お前さんは肌の色、素行、知識がこのハルケギニア大陸西部の連中とは違う、おおよそロバ・アル・カリイエから来た、違うか?」
「ロバ・アル・カリイエ?もしそこから来てたとすれば、どうなる」
「いや、ただ、な。ここ西部の連中のところは殆ど王制を敷いておる、東方は、共和制が多いと聞いてな、思想からして、革命を起こすやも、したら私らには止められん」
「なるほど――」

枢機卿の言おうとしている事は分かった。
確かに少し前は考えた、が。
今必要なのは貴族が平民を見下している所にある。
ここを平等化させたいとは思っている。
しかし――。

「枢機卿、窓をご覧になりなされ」

アキヤマは、枢機卿が座っている椅子を超えて、枢機卿に背を向ける。

「窓、ふむ、城下町が見える」
「じゃろ?じゃあ、そこをみてみい」

横5メイルほどしか無い所を指差したそこで、子供が鬼ごっこだろうか、とにかく走って遊んでいる。

「子供が笑顔で走っておる」
「そう、次は……あそこじゃな」

次に見せたのは、少し広い空き地だ、家が建てられる前の場所だろうか。

「ほれ」
「縄跳びをしておるな」
「分かるか?」

次々と平民達の行動を指差し。
真剣な眼差しを枢機卿に向ける。

「革命を起こさなければならない状況というのは、女子供から、老人全てが絶望に浸った顔をしている時じゃ」
「……なるほど」

枢機卿は少し微笑する。

「国民全てが笑ったり、泣いたり、怒ったり、嬉しがったり、悲しがったりしている国に革命なんかいらん、必要な時にするもんじゃ、無駄にする必要はない」
「うむ、その誠意見事」
「そもそも、こんな平和な良い国に革命を起こしたがる奴は元々何か気が狂ってるんじゃないかな、その時代に適した制度が敷かれているのなら、それでいいんじゃないかなもし」
「その意見に反論は無い、うむ、気に入った」
「そりゃどうも。ま、戦争で負け続けさえしなければ、王制は変わらん」

革命気分が高い時に、日本に負けて王制が崩れた国といえば、ロシアがある。
この時の秋山はこの事を知らないが、この秋山が、ロシア崩壊の要因を一つ作ったともいえるのではないだろうか。

「例の秘密兵器は、なかなか進んでおったな」

説明するまでもないが、青銅式高角砲の事である。

「あれがあれば、トリステインは空からの進入には絶対じゃ」
「そうか、このトリステインが平和なら、良い、それ以上に望む事は無い。さて、お主の考えも分かった、もう下がっても良いぞ」
「うむ、そうさせていただく」

そういってドアの前まで行きドアを開ける、後ろから枢機卿が。

「たまに、お主の意見を聞くかもしれん」
「分かったぞな、じゃが、御見さんにはあしは必要なかろう」
「そこまで、私は有能じゃないよ」
「ほうかね」

それだけ言うとドアを閉じた。
王宮からでると、ずっとシエスタが待っていた。
なかなか律儀な女子である。

「何話されてたんです?」
「ま、色々じゃ」
「気になります」
「聞いたら、トリステインの間諜から首がスパっといくぞな」
「そ、そんな恐い話してたんですか?」
「冗談じゃ、はっはっは――」
「も、もう。びっくりするじゃないですか」

平和だ、戦争が起こると考えると興奮と拒絶が一緒に来る。
若気の至りなのだろうか。


この日から20日後まで、トリステインの製作所は煙突から絶えず煙を出していた。
砲が正式に認められたのである、少し命中率に不安が残る物の、砲だけが反動で移動し、すぐに戻るという仕組みと。
その有効射程の長さは他の砲に類を見ない物だった。
そして導火線式榴弾も、どこもまだ知らないものだ。
ちゃんと、長さで時間が調節できる為、有効的に敵艦にダメージを与えられる。
ここまでで一番の問題といえば、砲弾が現在の技術レベルで大量生産するのに適さない事であった。
20日掛かって、出来た砲弾数は約120程度である、砲は15基生産できた。つまり、砲を全て連続発射させると、8発ずつで終わってしまう。
1回発射して次を発射するまでのディレイに最速で8~10秒程度である。1分20秒以下で砲は効果を無くしてしまう。
一番の問題であった、しかし、砲弾はこれ以上造れなかった、トリステイン王宮貴族達は、アルビオン艦隊がアンリエッタとゲルマニア皇帝が結婚する日の少し前に祝砲を上げる為だけに来る。
という事を知ってしまった、つまり、この日が開戦の日になるという事を予測していたのだ。
マザリーニは個人で秋山を呼び、意見を聞いたが。
「今ある艦隊から砲をはずして、警護は4~5艦程度向かわせれば良い、戦が始まれば逃げさせれば良い」
と元アルビオン空海軍に砲の訓練をするようだけ言って、メイドとタルブに言ってしまった。
マザリーニはすぐに意図が分かった、最初から負けるような戦をするよりも、砲で潰した後の消耗した兵を地上で待ち受ければ良いという事だろうと。
すぐに艦隊から砲がはずされた。
空海軍からの反論を全て説得したマザリーニの弁舌は素晴らしいものだった。
決戦まで後、五日。


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