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intermission 02「Slide Show Part 1」


 目が覚めた時、女王は半狂乱だった。
 あの男を討てと、ウェールズ皇太子を殺めた男を討てと。
 マザリーニ枢機卿はすぅっと全身の血の気が引いていくのを感じていた。
 アンリエッタ誘拐犯の中にウェールズらしき人物が居たことは追撃隊の生き残りから確認していたが、つまりそれは、誘拐犯を殺した男を処罰しろと言うことだ。
 ――この娘は何を言っている
 敵の侵入と脱出のために衛兵が多くやられた。奪還のための追撃隊もほとんどが返り討ちとなってしまった。経緯はわからないが、彼女の身柄が確保できたのは僥倖だった。
 それなのに、多くの死傷者達を無にするかのような言葉に、マザリーニは怒りで手が震えていた。
 その下手人とやらはすぐに彼女の口から出てきた。
 スコール・レオンハート
 異国の出だというあの男が、紅い竜を伴って立ちふさがったらしい。
 紅い竜のことは、もちろんマザリーニは知っている。スコールと、彼の相棒であるアニエス、それに最近ちらほら姿の確認されているという別な男が根城にしているフネ……であるらしい。
 帆も翼もない珍妙な形をしているが、餌を与えている様子もないし人が中に乗るのだからそれはフネだろう。おまけにこれがとんでもない速度で飛び回るのだとか。調査に向かわせた竜騎士が、あっさり振り切られたことにしょげていた。
(判らんのは、何故わざわざあの男が女王奪還を行い、しかも報酬の請求にも来ないのかという事だ……)
 あの男は故郷での立場がどうであれ、ここハルケギニアでは一介の傭兵に過ぎない。依頼を受けずに行動を起こすのは、まぁ判らなくもない。だが、女王奪還を完遂させた上で報酬の請求にも来ないとはどういった思惑なのか?
(仮に莫大な額を吹っ掛けられたとしても、我々は口止めのことも考えて応じないわけにはいかんのに……。いや、或いは……)
 思い出されるのは、スコールとアニエスの二人が登城した時、別室で行われていた会話だ。あの時人を回して会話を探らせていたのだが、そこで交わされた台詞。
――それにさっきの貴族の反応を見る限り、デメリットのほうが多いようだ。
 スコールの方は、あまりこちらに関わりたがってはいないと思える。
(……もし下手に自分の力を誇示して手柄顔をすれば、他の貴族達に睨まれる。それを疎んでいるとも考えらるか……)
 その想像は、余り愉快な物ではなく、しばし考えてその理由に思い至った。
 彼は貴族達に能力を評価されることを全く望んでいないのだ。つまりそれは、彼から見て貴族たちが評価されていないことにも等しいと思える。
(……いや、今はそんなことを考えている場合ではないな)
 もっと重要なのはあの誘拐犯達を、メイジで構成された追撃奪還部隊を返り討ちにした連中を、あっさりと討ち取り、女王を無傷で奪って見せたその戦闘能力だ。
(あの男、もう少し探ってみる必要がありそうだ)
 そうしてスコールの調査を命じたマザリーニは、スコールは当時酒場で確認されていたという報告に、更なる混乱を覚えさせられるのだった。


 エスタ大統領官邸。
「過去?」
「はい。SeeDのレオンハート委員長が居るのは過去であると考えられます。それも、少なく見積もっても約20年以上は」
 ラグナ・レウァール大統領に、技師が図を示す。
「大統領はご存じの事だとは思いますが、エルオーネさんの『接続』は過去、どれほど近くとも同時刻に対してのみ行える物で、未来へ『接続』することは不可能です」
「そうだな。もしそれが出来てるんなら、エルは昔の俺を今に送り込むことで俺たちがバラバラになるのを防ごうとするはずだもんな」
「それで……ジャンクション・レーダーのデータ収集用に、レオンハート委員長をこちら側へ接続させようとしたのですが……」
 技師が難しい顔をする。
「……出来なかったのか?」
「はい。こちら側での救出計画の説明、そして出来るならば同じく向こうに行ってしまっているオダイン博士の捜索も依頼したかったんですが……」
 深くため息を付きながら、ラグナは背もたれにもたれ掛かる。
「また20年、という年月は最低限の見積もりに過ぎません。『接続』の際に、エルオーネさんが迷わない事から、同時に二人の委員長が存在していないことから推測される年月です。
 下手をすれば、何千、何万年も昔の、しかもここ以外の惑星、或いは本当の異世界である公算が高いんです。そうなってしまえば、魔女の空間転移魔法でも、果たして目標の場所にたどり着けるのか、たどり着けたとしても、目標の年代に行けるのかは……」
「わかった、ありがとう……」
 力無く、ラグナが腕を上げ、技師は何らかの解決策の発見を模索することを表明して退出しようとした時、
「手ならば有ります」
 扉が開かれ、先代の魔女イデア、今代の魔女リノアが執務室へ入ってきた。
「クレイマー夫人? 何故ここに」
 キロスが驚きの声をあげる。
「そちらの技術者の方に、先日質問を受けたのです。魔女の力で時を越えることは可能か、と。私はそれに対して否を答えたのですが……一つだけ。先程確認しました。私には出来ませんが、リノアさんにならば出来る方法があります」
「ホントか!?」
 椅子から立ち上がって、ラグナが身を乗り出す。
「はい。たった一つだけ」
「……時間圧縮です」
 何らかの決意を伴った目で、リノアはまっすぐにラグナを見据えた。


「おかしいなぁ……前にもこんな事しとった気がするが……」
「気だけじゃありませんよ。ビッグスさん、忘れたんですか?前にもここの整備を任されてたじゃないですか」
「しっとるわいそんなことぉ!」
 がっと立ち上がりながらビッグスはウェッジに叫ぶ。
「ここで軍を辞めることを決意したことだって覚えとるわい!ワシが言いたいのは、何で軍を辞める決意をしたのと同じ事をしとるのかという事じゃ!」
「そりゃあ、何故かハルケギニアにルナティック・パンドラが有ったからでしょうねぇ……」
 どこか遠い目をしながらウェッジが呟いた。
「ああ、もう! 生意気な小僧の次はおかしな爺さん、そして今度はいけ好かない王様! ワシの人生はどうなっとるんじゃあ!」
「そこ、さぼるなでおじゃる!」
 現在、彼らの直接の上司である老人からの檄が飛ぶ。
「どうして……どうしてこんな事に……」
(あ、今度は辞めようとは言わないんだ)
 まぁ、ここで放り出されれば路頭に迷う。向こうの方も技術力を持った二人のことを重宝してはいるようだ。
「でもオダイン博士、こんなもの直してどうするんです?」
 顔を上げてウェッジは上司に尋ねる。
「オダインは知らんでおじゃる。ルナティック・パンドラの使い途をジョゼフに教えたところ、使えるようにしろと言われただけなのでおじゃる」
 やれやれと首を振りながらオダインは暢気に言った。
「こうしなければオダインに研究材料も与えてくれないというのだから困ったものでおじゃるよ」



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