あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-61



火竜に跨ったアルビオンの竜騎士達は、村の家々に火を付けて回った。
元々、メイジに対抗する事なんて出来ない平民達。しかも相手はかの有名なアルビオンの竜騎士隊である。
タルブの村人は、ただ悲鳴を上げて逃げ惑うしかなかった。
容易い仕事だと、竜に乗る騎士の1人が思い、次の家に火を付けようと高度を下げた。


「必殺!!!!」


突然であった。
頭上からの声に騎士は顔を上げた時、彼は既に得物を眼下の敵に振り下ろしていた。


「無敵斬りいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


振り下ろされた刀は、恐るべき切れ味で騎士と、火竜の体を一度に真っ二つにした。
容易い仕事と余裕を決め込んでいた騎士の1人は、その生涯をここで閉じてしまった。

「わしがいる限り!この村を目茶苦茶にする事は許さん!!
無敵の力を恐れぬ者は、かかって来いいぃぃぃーー!!!!」

彼……シエスタの父は地面に着地すると、空を飛び回る竜騎士達に向かって叫んだ。



しかし運が悪かったのか、それとも彼の家系の宿命なのか……
彼の活躍はこの後続く事はなかった。



「ぬぅ?」
ふと、一体の風竜がこちらに近づいて来るのが目に止まった。
「無敵のわしと一騎打ちをする気か?面白い!!」
刀を構え、竜騎士に向かって彼は名乗りを上げた。
「わしは無敵じゃあ!ちょっとでかいトカゲ如きに負ける筈がな」
彼が迫り来る竜騎士に名乗りを上げていた最中であった。
竜が、突如スピードを上げたのだ。

彼の元いた世界には竜などいなかった。
その為、それがスピードに優れた風竜だと分からなかったのである。

(速い!?)
彼は避けようとしたが、竜の方が素早かった。
竜は彼を咥え上げると、そのままグングンと高度を上げていった。
「うおおぉぉぉ!?」
竜に咥えられて空高くまで連れて来られると、突然彼を勢いよく放り投げた。

「む、む、無敵のわしが……」

彼が叫んだ時には、竜に乗った騎士……“閃光”のワルドはウィンド・ブレイクの呪文を完成させ、放っていた。

「吹き飛ばされるだとおおぉぉぉぉぉ~~!!??」

その呪文の直撃を受け、シエスタの父は自身の言った通りに吹き飛ばされてしまった。
結局、彼の活躍は竜騎士1人を倒したところで終った。




無敵なのにやられてしまったのだ。



トリステインにある急報がもたらされる少し前……
ルイズは、眠っている幸村の隣で本を開いていた。
といっても、その本には文字も絵も書かれていない。国宝の始祖の祈祷書である。
ルイズはこの祈祷書を手に、アンリエッタの婚礼の詔を考えていた。
だが、どうしても言葉が浮かんでこない。
いや、そもそもルイズは祈祷書を開いてはいるものの、別の事を考えていたのだ。
それは……今もベッドで眠っている自分の使い魔……幸村の事である。
あれから幸村はずっと眠り続けている。まったく目を覚ます気配がないのだ。
治療にあたったメイジは一命は取り留めたとは言っていたが……


“もしかしたら、このままずっと目を覚まさないのではないか?”


白紙のページを見ながら、ルイズの心中に嫌な考えが過る。
そんな訳ないと、ルイズは首を激しく振って今思った事を忘れようとした。
そして、再び始祖の祈祷書に目を戻した。

(……あれ?)

と、祈祷書を見たルイズは首を傾げる。
白紙である筈のページに、一瞬文字のような物が見えたのだ。
ルイズはもう一度目を凝らしてそのページを見つめる。


その時だった。急に外が騒がしくなったのは……


トリステインの王宮に、国賓歓迎のためラ・ロシェール上空に停泊していた艦隊が全滅したという報せがもたらされたのは、それからすぐのことであった。

ほぼ同時に、アルビオン政府から宣戦布告文が急使によって届いた。
不可侵条約を無視するような、親善艦隊への理由なき攻撃に対する非難がそこには書かれ、
最後に『自衛ノ為神聖あるびおん共和国政府ハ、とりすていん王国政府ニ対シ宣戦ヲ布告ス』と締められていた。

ゲルマニアへのアンリエッタの出発でおおわらわであった王宮は、突然のことに騒然となった。

「タルブ領主、アストン伯戦死!」
「偵察に向かった竜騎士隊、帰還せず!」
「1人で奮戦していた村民も行方が分かりません!!」
「そんな平民はどうでもいい!!アルビオンから何か連絡はないのか!?」
次々と情報が王宮内に入ってくるが、会議は一向に進まず、不毛な議論を続けるばかりであった。

怒号が飛び交う中、アンリエッタの心にはある男の言葉が浮かんでいた。


“兵に守られるのが総大将ではない。兵を守るのが総大将だ。それを忘れるな”


そしてあの日、自分はこう誓った。“自分は勇敢に生きよう。勇敢に生きて、皆を守ろう。”と……
そう決心した筈ではなかったのか?
愛するウェールズが勇敢に死んでいったのならば……
自分は勇敢に生きて、皆を守ると……


「……あなた方は、恥ずかしくないのですか」
アンリエッタは静かに、だが強い意志を込めた声で、議論を続ける重臣達に言った。


「国土が敵に侵されているのですよ。ここで議論を続けるより、もっとやらねばならない事があるでしょう」
王女の言葉に、その場がシンと静まり返る。
重臣の1人が、おもむろに口を開いた。
「し、しかしこちらの誤解やも知れませぬぞ。ここは先ずアルビオンに特使を派遣して話し合いの場を設けてから……」


「そんな話をしている間に!1人で戦っていた民が行方知れずになったのですよ!!」


アンリエッタはドンッ!と強くテーブルを叩いた。
その音と彼女の迫力に、一同はビクッと体を震わせる。
「あなた方は怖いのでしょう?アルビオンは大国、反撃に出たとしても勝ち目は薄い……敗戦後、責任を取らされるであろう、反撃の計画者になりたくないというわけですね?」
重臣達は答えない。いや、反論出来なかった。
殆どの者が彼女の言う通り、自身の保身を考えていたからだ。
アンリエッタは一度皆を見回すと、深く息を吸って言った。


「ならば私が戦います。あなた方はここで終らない会議を続けていなさい」
「「「な!何ですとおおぉぉ!!??」」」
アンリエッタの言葉に、一同は一斉に叫んだ。


「いけませぬぞ姫殿下!!お輿入れ前だというのに!!」
マザリーニが必死でアンリエッタを押し留めようとするが、もはや叶わない。
「あなたが結婚なさい!!結婚よりも、民を守る方が重要です!!」
そう言って、アンリエッタは会議室から駆けだして行った。


会議室から飛び出したアンリエッタは、中庭に向かっていた。

「姫殿下!」

と、急ぐアンリエッタの元へルイズが駆け寄ってきた。
「はぁはぁ……姫殿下、アルビオンが宣戦布告したというのは本当ですか!?」
肩で息をしながらルイズはアンリエッタに尋ねた。
「はい、どうやら彼等は最初から約定を破るつもりだったようですね」
「そんな……」
ルイズは言葉を失う。
しかし、アンリエッタは落ち着いた様子で話し出した。
「これから、アルビオンとの戦いが始まります。あなたは実家に戻った方が良いでしょう」
アンリエッタはルイズにそう勧める。
だが、ルイズは首を横に振った。
「……姫殿下……殿下はこれから戦いに行くのですね?」
「……トリステインの王女として、私は前線で指揮を取るつもりです」

「ならば、私も一緒に戦わせて下さい」

ルイズの言葉に、アンリエッタは驚く。
「私の使い魔……ユキムラだってきっとそう言うと思います」
「ルイズ……」


(そうでしょう?ユキムラ……)


未だ目覚めぬ使い魔に言うように、ルイズは心の中で呟いた。


アルビオンの宣戦布告がトリステイン魔法学院に届いたのは、翌日の事であった。
これを受けた学院長のオスマンは無期限の学院休校を行った。
「遂に……僕の特訓の成果を見せる時がきた!」
多くの生徒が実家に帰る予定の中、ギーシュは1人戦う決意を胸に燃やしていた。

「戦争ですって、私達も実家に帰るしかなさそうね」
オスマンの話を聞いていたキュルケは髪を弄びながら、利家に言った。
「……?トシイエ?」
だが利家が返事をしない。
気になったキュルケが目を向けると、いつもの彼らしくない、険しい表情で考え込んでいる。
「……タバサ。忠勝と王宮に行っていいか?」
しばらく考え込んでいた利家は、顔を上げるやいなやタバサに言った。



一方、トリステイン王宮……
この王宮の一室で、幸村は未だ深い夢の中にいた。


(……むら…………幸村)


深いまどろみの中にいる幸村を誰かが呼んでいる。
懐かしい……とても懐かしい声だった。


(目覚めよ……目覚めるのじゃ幸村)


再度その声を聞いた幸村は、カッと目を開く。




そこに立っていたのは、大牛を思わせるような兜を被った大男だった。



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