あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-42


「さすがは我が主、それでこそ仕えるに値する」

 聞き覚えのあるその声に、ウォルターは弾かれたように振り向く。
見れば、邪悪な笑みのアーカードが歩いてきていた。

 と、その後ろから続くタバサが詠唱をし、杖を振る。
ウィンディ・アイシクルの矢が二本、ルイズを捕えているガーゴイル二体を正確に貫いた。
機能を停止したガーゴイルの腕から逃れたルイズは、地面へと落下していく。

 ウォルターは舌打ちをして、落ちるルイズを糸で確保しようとする。
しかしウォルターの糸がルイズ触れることはなかった。

 アーカードが放ったジャッカルの弾丸を、止めなければならなかったからである。
瞬間的に糸を編み込み、盾を形成する必要があった為に、ルイズを確保する事は不可能であった。
ルイズはタバサのかけたレビテーションで、無事地面へと降り立つ。

(あーーー、時間掛け過ぎたなぁ・・・・・・)
最初はアーカードがいなかった事を考えると・・・・・・。
途中までは足止めをしていたが、何かしらの理由でタバサは心変わりをしたという事だろうか。
まぁそんなことは最早どうでもいい。考えるだけ無駄というもの。
――――――こうなれば力尽くで奪うだけだ。


 ウォルターの額に刻まれたルーンが一層輝く。
神の頭脳『ミョズニトニルン』。知恵のかたまり神の本。
あらゆる知識を溜め込みて、あらゆる魔道具を自在に使いこなす。

「貴様が来ていたとは、ウォルター。ふむ・・・・・・少し浅慮だったな、全く危ないところだった」
さすがにウォルターを相手にしては、ルイズ一人では持て余す。
大丈夫だろうと高を括っていたのは、何気にヤバかったと言わざるを得ない。
  「ルイズを人質に、私に零号を開放させるつもりだったか?」
「いや、違うよ。多少の打算も無かったとは言わないけど・・・・・・、主人の命令でさ。
 訳あって虚無の担い手を集めてるんだ。既に一人確保している。ルイズも頂いていくよ」

 そう言うとウォルターはニッと笑う。
糸を天高く伸ばし、グッと握ると・・・・・・そのまま引っ張られ、空へと上昇していく。


 ウォルターの姿を追うように、アーカードは夜空を見上げた。
双月を食い潰すかのように、"巨大なシルエット"が浮かび上がる。
そしてその周囲には、10メイルほどはありそうな空飛ぶ人形が四体。
羽を広げた姿は、左右で30メイルはあろうかというガーゴイルが四体。

 しかしそんなものよりも、四体のガーゴイルがそれぞれ吊るし上げている"それ"を凝視する。
適当な高度で"それ"は投下され、その巨大さとは裏腹に、恐ろしく静かに地面に降り立った。
軽い衝撃と、土埃を少しだけ散らし、緩慢に立ち上がる。

 落ちていた己の杖を拾って合流したルイズは、呆然と"それ"を見つめ、そして畏怖した。
誰よりもそういった物に見慣れているタバサも、かつて火竜と相対した時のように恐怖する。
大抵の事に動じないアーカードですら、驚きの色を隠せなかった。

 そこに在るのは、堅固な鎧を纏った騎士風の巨大な人型。
10メイルの巨大ガーゴイルすらも小さく見える、さらに巨大な怪物。


「・・・・・・さてと、それじゃ闘ろうか」
"それ"の肩に乗ったウォルターは、さながら「遊びましょう」といった感じの口調。

 アーカードはすぐさまジャッカルを構えると、弾丸を全弾撃ち込んだ。
しかし鎧が薄っすらと光るのが確認出来たところで、弾丸は全て虚しく弾かれる。
間髪入れずタバサがジャベリンを叩き込むも、粉々に砕け散った。

 次いで砕けた氷の破片を縫うように、アーカードはバネ仕掛けの人形のように跳んでいた。
ジャッカルが効かないなら、生身で攻撃をぶち込むまで。
しかし渾身の拳を巨大な剣士人形の胴体に叩き込むも、逆にアーカードの拳が破壊された。

 予想外の結果にアーカードは破壊された拳を見つめる。直後に糸の攻撃を視界に捉えた。
アーカードはそのままさらに蹴りを入れると、その反動で元の位置まで戻って回避する。
拳はおろか、蹴りでも剣士人形には傷一つついていない。
通常、アーカードの攻撃ならば、鉄鎧程度など簡単に破壊出来るにも拘らず。


「無駄だよ、この"ヨルムンガント"には先住の『カウンター』が掛かっている」
ウォルターは手にしたばかりの玩具を自慢するように、わざわざ解説をする。
ヨルムンガントと呼ばれた巨大な剣士人形は、非常に滑らか且つ緩やかに。
正に人間の様な動きで、大剣を抜く。

「ルイズ!!エクスプロージョンだ!!!」
アーカードの背中のデルフリンガーが突然叫んだ。
ルイズはその言葉に即座に反応して、エクスプロージョンを唱え始める。

 その様子を見て取ると、ウォルターもマズいと感じたのか、ルイズを糸で襲った。
しかし襲い掛かる糸の全てを、アーカードは強引に掴んで止める。

「・・・・・・そりゃそうだよねえ」
ウォルターは呟く。主人に対する攻撃を止めないわけがない。
アーカードは掴んだ糸を引っ張り、ウォルターを引き落とそうとする。
しかし糸の鋭さはそれを許さなかった。アーカードの手は無残に切り落とされる。

 だがその間にエクスプロージョンの詠唱は完成し、ヨルムンガントへと放たれた。
尤もウォルターは焦らない、それも想定の範囲内。冷静に対処するのみ。

 質量を無視するような、軽やかな動きでヨルムンガントはバク宙しながら飛び退る。
その光景は非現実的としか言いようがなく。
エクスプロージョンはあっさりと、虚空のみを爆発させた。


「なっ・・・・・・!?」
ルイズの口から驚愕の声が漏れた。
まさか避けられるなんて思っていなかった。

 アーカードは、ウォルターに切断された手を再生しながら思う。
回避行動を取ったことから、虚無魔法は通用する可能性が有るだろうことはわかった。
しかし、ルイズが使える虚無で唯一の攻撃魔法であるエクスプロージョンが・・・・・・当たらない。
その恐るべきスピードを目の当たりにして、アーカードだけでなく全員に焦燥が生まれる。

「ふぅ・・・・・・いつの間に人形使いに転職したのだ?」
再生を終えたアーカードは焦りを見せないよう、世間話をするかのようにウォルターに問う。

「いやあ、『ミョズニトニルン』のルーンのおかげだよ。魔道具を好きなだけ操れる、便利なものさ」

 なんともまぁ厄介なルーンを手に入れたものだと思っていると、デルフリンガーが囁くように耳打ちする。
「まずいぜ、相棒。エクスプロージョンすら避けられるんじゃあ、どうしようもねえ。
 『カウンター』ってのは、あらゆる攻撃を跳ね返すエルフの先住魔法だ。それに加えてあの動き・・・・・・」

 デルフリンガーのその説明にアーカードが策を考えようとする。
しかし次の瞬間、ヨルムンガントが手に持った大剣を振りかぶった。
一瞬の間すら置かず、一気に振り下ろす。


 アーカードは咄嗟に跳躍する。
狙いは自分に対してだったが、あんなものが己ごと地面に叩きつけられたら、その周囲も危険だ。
全身のバネでパワーを捻り出す凶悪な蹴りが、縦に襲う大剣を何とか横に逸らす。
軌道を逸らされた剣は大気を裂き、突風のように空気が渦巻く。

「ヒュ~♪」
ウォルターから思わず口笛が漏れる。
「流石だねぇ、アーカード。でも・・・・・・僕も操作するばかりじゃつまらないんでね」

 ヨルムンガントの横薙ぎがアーカードを、ウォルターの糸がルイズへと襲い掛かる。
アーカードは大剣を蹴り上げ、タバサがフライでルイズと共に躱して何とか事なきを得た。
しかし・・・・・・このままでは間違いなくジリ貧だった。

 アーカードは思索を巡らせる。
拘束制御術式321号を開放すれば、破壊出来るだろうか。
若しくは、魔道具と言えど所詮は無機物。英空母の時のようにヨルムンガントを乗っ取り操作するか。
いや、ウォルターが機動制御をしている以上、こちらの支配下に置くことは出来ないかも知れない。
そもそも開放する間の多少なりと出来る隙を、ウォルターが見逃すわけがない。
今はこちらが完全に待ちに徹し、即座に対応出来る状態だから辛うじて保っているだけ。

 故にタバサも、無理にルイズを連れて逃げるような真似はしない。
わかっているからだ。そんな事をすれば、矛先が完全にルイズへと向くことに。
ウォルターがヨルムンガントという圧倒的戦力を保有し、且つ対峙しているからこその拮抗状態。

 優位を楽しんでいるのだ。絶対的な立場にいるからこそ、焦らない。
もしルイズが逃走の素振りを見せれば、捕獲を優先するだろう。
強引に来られたら、どんな危害が及ぶかわからない。最悪死ぬ可能性すらある。

 タバサは滲み出る汗を拭くこともせず、ひたすら集中していた。
既にアイス・ストームにジャベリンを二発。
ウィンディ・アイシクルに、自分の怪我を治した治癒魔法。
加えてフライで精神力をかなり消費している。
ルイズを抱えた上で、さらなるフライで逃げ切るのは不可能に近い。

 故に今は来た攻撃にのみ対応して、退避するのが正しい選択。
しかし現状打破が見込めない以上は・・・・・・。  

 既に周囲は大変な騒ぎになっていた。
野次馬も集まり始め、距離を取っているものの、学院と生徒にいつ被害が及ぶかわからない。

(援軍は・・・・・・期待しても仕方ないな)
吸血鬼となったアニエスでもいれば色々と変わってくるが、ここは学院。
ジャッカルの弾を、タバサの氷槍を、拳も蹴りも全く効かないのだ。
ウォルターとヨルムンガントの前では、有象無象が何人いようと戦力にならない。
キュルケやコルベールですら、戦力としては心許ない。

 その時、聞き慣れぬ詠唱が聞こえた。タバサではなく、ルイズの声。
それはエクスプロージョンでもイリュージョンでもない、第三の魔法。
ルイズはエクスプロージョンが通用しないとわかると、次の手を考えていた。
手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に。追い詰められた今の状況を打破する一手。
今の自分に出来ること、必要に迫られた時、己のするべきこと――――――。

「あっ・・・・・・始祖の祈祷書」
ウォルターがルイズが手に持っている物を確認し呟いた。
そうだった、ジョゼフに回収してくるように言われていた事を思い出す。

 四つの指輪と四つの秘宝。水のルビーと始祖の祈祷書が、たった今目の前にある。
(まぁルイズごと攫えば、一緒に手に入れられるか。それよりも・・・・・・)

 新たな魔法を唱えようとしているということ。
何が出てくるかわからない以上、迂闊に喰らうわけにはいかない。
先住を扱うエルフが恐れる、悪魔の力、『虚無』。
如何に『反射』をかけたヨルムンガントと言えど、どうなるかは未知数。

 虚無呪文はたとえ詠唱途中でも、不十分ながら効果が発動することは知っている。
ウォルターはヨルムンガントを操り、いつでも回避できる体勢を取った。


「くっ・・・・・・」
詠唱を完成させたルイズだが、また避けられるのではと、魔法を放つのを一旦止める。
アーカードはどんな状況にも対応し動けるように、感覚を研ぎ澄ませる。
タバサはルイズを守る事だけに専念する。フライでいつでも回避出来るようにと。

 『解除』、ディスペル・マジック。
あらゆる魔法効果を打ち消す、虚無魔法。
これでカウンターを解除出来れば、アーカードの攻撃も通用する筈。

 ルイズは静かに機を待つ。
そこに在るのは『勝つ為の行動』という計算世界のみ。
痺れを切らしたウォルターとヨルムンガントが動き出す、その出掛かりを潰す。

 緊張が走り、全員が張り詰めているその時。
デルフリンガーが何かを思い出したようにルイズに向かって叫んだ。
「俺に『解除』をかけろ!」

 ルイズは一瞬眉を顰めるものの、すぐにディスペルをデルフリンガーへとかける。
アーカードもすぐに反応し、デルフリンガーを抜いていた。
ウォルターは動かない。『誰が叫んだのか』を認識出来なかったので動くに動けなかった。


 ディスペルをかけられたデルフリンガーの、刀身が鈍く光り始める。

「相棒、これなら『カウンター』を切り裂いて攻撃が通る。だがあの鎧はかなり分厚い。
 多分ってか間違いなく、相棒のパワーで叩きつけられたら俺が折れる。だから――――――」

「みなまで言わずとも・・・・・・」
デルフリンガーの意図を察し、アーカードは深く腰を落として構えを取る。

 そしてウォルターとヨルムンガントが動く前に、『縮地』により一瞬にして距離を詰めた。

「島原抜刀流・・・・・・鍾馗」 
間合いに入った刹那には、既に攻撃は終わっていた。
アーカードの中にある命の一人、高木由美江。その技を借り受ける。

 一瞬にしてヨルムンガントの腕は斬り落とされ、握っていた大剣と共に地面へと落ちる。
「なッ!?」
ウォルターは狼狽する。カウンターが掛かっている筈なのに・・・・・・。
あんな長剣一本で、鎧に覆われた腕を造作もなく斬って落とすなんて。
ヨルムンガントを綺麗に切り裂く以上、大振りになるだろう、長剣ならば尚のこと。
にも拘らず軌跡がまるで見えなかった。恐ろしいほどまでの抜き打ちの速度だった。

「島原抜刀流・・・・・・秋水」
ウォルターの糸を掻い潜り、アーカードはさらに斬撃を重ねる。
時にヨルムンガントの巨体を踏み台に、縦横無尽に動き回り、残った四肢を切断する。


 足を失ったヨルムンガントは崩れ落ち、ウォルターも地に降り立つしかなかった。
「クソッ・・・・・・何故だ・・・・・・」
ウォルターは毒づくしかない。
先程までは戦闘の流れを支配していた、相手をコントロールする側に立っていた。
しかし、ルイズの虚無を起点に一気に逆転されてしまった。

「ルイズの魔法のおかげでな、今この剣はカウンターとやらをも切り裂く」
「なん・・・だと・・・?」

 つまりはアーカードの持つ長剣に限って、カウンターは無効化されるわけだ。
しかしそれでも疑問が残る。あんな剣如きで、鋼鉄の鎧を突破するなど・・・・・・。

「バラバラにされたのが不思議か?なれば残骸をよく見てみるといい」
そう言われ、ウォルターはヨルムンガントを横目に見る。  
「・・・・・・介者剣法。目、喉、脇、右胴合わせ、篭手裏、右帯部、草摺下、腿裏、脛、足先。
 まぁこれは日本の甲冑の場合だが・・・・・・基本は同じ。要は関節の隙間を狙うだけ。造作もない」

 なるほど、言われてみれば確かに関節から綺麗に分断され、バラバラにされていた。
 チェック
「王手だ、ウォルター。闘うか逃げるか位は選ばせてやろう。まっ、逃げても殺すがな」
「はぁ・・・・・・まさか、ヨルムンガントが破壊されるとはねぇ」

 ウォルターが発した声色には、焦燥も狼狽も窺えない。
切り札でもあるのか、それとも諦観か。


「闘争か、逃走か・・・・・・」
ウォルターがふっと笑ってかぶりを振ると、その額が輝いた。
「両方かな」
その言葉と同時に、上空にいた三体の巨大ガーゴイルが、アーカード目掛けて襲い掛かる。

「無駄な足掻きを・・・・・・」
どれだけ大きかろうが、ただのガーゴイルならば障害にすらならない。
仮にカウンターが掛かっていたとしても、ディスペルの付加効果はまだ続いている。
アーカードはあっという間に三体の巨大ガーゴイルを斬り下ろした。

「ほんの少しで良かったんだ。そう・・ほんの少しの時間だけ・・・僕が自由になれば・・・・・・」
ウォルターがブツブツと呟くように喋り出す。
「おかげで、準備は整った」
いつの間にかウォルターは、ヨルムンガントの残骸の上に立っていた。


「我ながら名案だ、ちょっときついけどね」
ウォルターの手からは無数の糸が伸びていた。
その一本一本がヨルムンガントの残骸に複雑に絡み付いている。

「・・・・・・相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している」

 ウォルターはそう告げると、同時にあやとりをするかの如く手を素早く動かす。
そのままさらに、大きく後ろへ退きながらウォルターは思い切り糸を引っ張った。

 するとバラバラになっていた筈の、ヨルムンガントの四肢が繋がり立ち上がる。
アーカードが気付いた時には遅かった。
動かなくなったヨルムンガントは、ウォルターの糸によって無理やりマリオネットにされていた。

 ウォルターが体ごと豪快に腕を振ると、それに合わせてヨルムンガントは両手を振り上げる。
そのままアーカード目掛けて両拳を叩き落とし、土埃が辺りを包み込む。

(チッ・・・・・・視界が・・・・・・!?)
なんとか躱したものの、さらにヨルムンガントはその場で荒れ狂う。
25メイルに及ぶその巨体は、ただ暴走させるだけで充分だった。
視界の確保出来ないままアーカードは殴り飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 ――――――そして全てが終わっていた。


 四体の内残った一体の巨大ガーゴイルの手にはルイズが掴まれ、その背にはウォルターがいた。
「あー・・・・・・しんど」
その言葉の後、ヨルムンガントは文字通り、糸の切れたマリオネットの様に崩れ落ちる。

 ルークや黒犬獣を操った時とは訳が違う。
風石のおかげで軽やかに移動するヨルムンガントとは言え、その重量は相当なもの。
ちょっと動かすだけでも、正直指が千切れそうだった。

 だが結果的に上手くいった。ちょっと血が出ているけれど、指も無事。
ヨルムンガントはこのまま破棄するしかないが・・・・・・仕方ない。
所詮は一度壊れた玩具。データも十分に取れた。
それに製造ラインは出来ているから、一体オシャカにしたところでさほど気にすることはない。
始祖の祈祷書と水のルビーも確保したし、及第点だ。

 と、気付けばルイズをその軌道上から避けるように、無数の氷の矢が空中に浮いていた。
氷の矢が放たれるよりも一瞬早く、ウォルターは事も無げに糸を振る。
それだけでタバサの放ったウィンディ・アイシクルを全て切断した。
これ以上攻撃されても面倒なので、ガーゴイルはグングンと高度を上げていく。

 次いでアーカードが矢の様に飛んで来るのが見えた。
しかし呆気無くウォルターの糸に掴まって、細切れにされる。

 ウォルターの糸は、中~遠距離で特に力を発揮する。
近距離も不得意ではないし、使いこなすのは難しい反面、相当に強力な武器である。
ほぼ真っ直ぐ突っ込んで来る飛行体を切断するのは、さほど難しいことではなかった。
多少のフェイントを入れられたところで、何も問題はない。


「アーカード!!」
切断された従僕の姿に、ガーゴイルの手から必死に逃れようと暴れていたルイズが思わず叫ぶ。
「ルイズに手を出せば・・・・・・後悔させてやる」
地に墜ちながらアーカードは、首だけで声を発してウォルターに警告する。

「怖いなぁ・・・・・・、僕は手を出さないし善処はするけどさ。果たしてジョゼフがどうするか・・・・・・。
 まっ今回は僕の勝ちってことで、潔く認めて欲しいな。・・・・・・アーハンブラ城で、待ってるよ」

 零号を開放させる為に、ガリア領のはずれにあるアーハンブラ城は最適だった。
なにせアーカードが零号開放しても、ガリア国内への影響は薄い。
思う存分戦える数少ない場所であった。
   ガーゴイルはさらに高度を上げていき、最早追いつくことは適わない。

「糞餓鬼が・・・・・・」
アーカードは吐き捨てる。・・・・・・確かに、今回は負けだ。
一本取られたとかじゃない。ルイズが攫われた以上、完全な敗北。



 地に激突する頃には、既に再生が終わっていた。
地面を粉砕しながら着地すると、タバサが走って来るのが見える。

「気にするな」
タバサが口を開こうとするのを見て、先に制した。
何を言いたいのかは・・・・・・大体わかる。

「・・・・・・それでも、私の所為」
「私が迂闊だっただけだ。いや・・・・・・ウォルターが一枚も二枚も上手だった」

 ヨルムンガントという強力な駒を、トリステインまで運び、周到な準備で以て襲った。
最初にとっとと攫わなかったのは疑問だが、とにかく戦闘になっても実に厄介極まりなかった。

(アーハンブラ城か・・・・・・)

 必ず助け出す・・・・・・何を置いても必ず――――――。

 それが、拘束制御術式零号開放をする事になろうとも――――――。


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