あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-39


 トリステイン、ゲルマニア、ガリアの各代表達が一同に会した諸国会議。
不可解な事や多少の波乱こそあれ、当初の予定通り二週間で無事収束した。

 アルビオン大陸からの退却を完了した、トリステイン・ゲルマニア連合軍。
その代わりにアルビオンを制圧したのは、突如参戦してきたガリアの艦隊であった。
つまり実質的に戦争を終わらせたのは、ガリアと言える。

 しかしガリアが欲したのは港のみ。あまりに不可解であり、真意が測れない。
とはいえ、トリステインとゲルマニアとしても、自国の領土が増えて困る事はない。
何か裏があるとは考えても、それ以上はわからない。
言及しても、のらりくらりと恍けた事しかジョゼフは答えない。
仕方が無いので、目先の利益をトリステインとゲルマニアは優先する。

 結果、首都ロンディニウムとその一帯の地域で王権同盟を結ぶ。
そして件の港を除いた残りの広大な土地を、トリステインとゲルマニアで分ける事となった。


 アンリエッタは諸国会議が始まる前に、ルイズとアーカードから事の次第を聞いていた。
突然の軍の離反から、退却までの経過。
退き口と言う切迫した状況で、殿軍を任ぜられた事。
ルイズの決断と零号開放の事。その、結果。

 一切を聞いたアンリエッタは後悔した。
いくらルイズが国の為に力を使いたい、と言ったとはいえ。
自分が参加する事で戦争を早く終結させ、犠牲をなるべく出さないようにしたい。と言ったとはいえ。
やはりルイズを戦争に参加させるべきではなかった、と。

 ・・・・・・虚無をアテにしていなかった、と言えば嘘になる。
戦局を左右しかねない人間兵器。なれば前線投入は常。
確かにアーカードと言う強力な使い魔がいる。
それでもルイズ自身が危険な目に遭う事は、可能性として充分に予想出来た筈なのに・・・・・・。
国の為に、勝つ為に、決断した・・・・・・結果だった。

 ルイズは表面上は気にしていない風を装っていた。
しかしつらい思いをしていない訳がない。
唯一無二の大切な親友を危険に晒し、また非常に悲しくつらい選択をさせてしまった。

 アンリエッタの心に澱のように溜まる罪悪感。
そして心を決める。
ルイズにこれ以上負担はかけない。自分がルイズを守るのだと。


 諸国会議では寝る間も惜しんで、国と友人の為に、己の身を削った。

 アルビオン軍七万の消失について、会議でアンリエッタは何も言わなかった。
聞いた限りでは目撃者がいない事。
アーカードの存在を言っても、到底信じられる筈がない事。
かと言って虚無魔法であると言えば、ルイズ達に怨恨を抱く者が現れるかも知れない。
七万を消滅させる兵器として危惧され、何か重大な危害が及ぶかも知れない。

 一人の少女を犠牲にしてまで、国を富ますのは憚られる。
七万殲滅を材料にすれば、圧倒的に有利な立場で交渉を運べたかも知れなかった。

 しかし平和に暮らせる筈の日常すら奪い取る可能性を考えれば、決して公には出来ない。
戦に勝っただけでも御の字である。それ以上求めるのは、ただの欲と言うものだ。
最大の功労者であるルイズを、さらにつらい立場に置くことなど誰が強要出来ると言うのか。

 少し前まではただの魔法学院の生徒だったルイズ。
彼女は重責を担い、重圧に耐え、その上で己の任務を果たしたのだ。

 トリステインの歴史上、誰よりも勲功を上げている少女に・・・・・・。
文句一つ言わず、愚痴の一つすら零さず、忠義を果たしてるルイズに。
慰労こそあれ、苦労はかけられない。



「・・・・・・私は、正しいのでしょうか、誤っているのでしょうか、アニエス」
強く生きると、亡きウェールズに誓った。それでもやはり・・・・・・こうして不安になる。
自分は決して完璧な人間ではない。己の判断が最善だったと驕るほど傲慢な人間でもない。
                                                 ・ ・
「正誤の判断など・・・・・・ただ私は騎士でありますれば、私の仕えるべき主君はここにおられます。
 事の是非など・・・・・・私は常に陛下の振るう剣であり、陛下を守る盾です。例えこの身が既に人でなくとも」

 アニエスは淡々と、それでいてしっかりとした声でアンリエッタに言う。
アンリエッタは物憂げに何かを見つめているようだった。

「少々疲れておいでなのでしょう。会議も終わったことですし、休まれるのがよろしいかと」
「・・・・・・そうかもしれませんね」
確かに根を詰め過ぎた。
まともに休息を取らずに無理をした。精神もかなり疲弊している。
つい弱音を漏らしてしまうのも、その所為かも知れない。

 それともアニエスだからこそ、ついこうやって本音を話してしまうのだろうか。
吸血鬼となっても生きて忠義を尽くす騎士に、自分は絶対の信頼を置いている。

「・・・・・・アニエス、どうかこれからも私の力になって下さい。
 そして何か間違っていると思ったなら、主従など気にせず遠慮なく諫めて下さい」
アンリエッタはそんな言葉を、改めて口にした。

 アニエスはその心情を深く慮り、アンリエッタの目を見据え胸に手をやり答える。
「はい、陛下」




 ――――――帰る方法。
暇な時にそれなりに調べていた程度であった。

 膨大な過去を膨大な未来が粉砕するまでの、長い長い時間を浪費する為の暇潰し。
さしたる目的も持たず、そこそこに主人に仕え、いつの日か人間に打ち倒される時を待つ化物。

 人狼である大尉と同様、哀れな化物。あまたの不死の化物。
我らの多くは闘争を望む。血みどろの戦いを望む。嗚咽するように、渇望する。
戦闘戦斗を望むわけではない、死を望む絶叫。
闘争から闘争へ、何から何まで消えてなくなり、真っ平らになるまで、歩き、歩き、歩き続ける幽鬼。

 ――――――そう、在り続ける筈であった。

 幾年月を超えてきて、幾千幾万の人々の絶望を喰ってきた。
 バンパイア       ノスフェラトウ  ノーライフキング     ツェペシュ         ドラクル フリークス
 吸血鬼、ドラキュラ、不死者、死なずの君、伯爵、串刺し公、狂王、暴君、悪魔、化物。
                                     ミディアン
 夜の世界を統べる、不死身の化物。倣岸に、不遜に笑う夜族。


(不思議なものだな・・・・・・)
シュレディンガーをその身に取り込み消えた時は、素直に諦めた。
というよりは、解放された・・・・・・そんな心持ちだった。
既に死した生にさしたる執着もなく、ほんの少しだけ心残りがある程度で、それも仕方ない・・・・・・と。
いや、「このまま死ぬのも良し」とすら思ってしまった。

 しかしこの世界に来て、ルイズと出会ってその考えは変わった。
インテグラに負けず劣らず、心根の真っ直ぐな少女。
その真摯な瞳と、心からの言葉に、・・・・・・考えを変えられた。


 私は全てを失った。私には何もなかった。
城も、領地も、領民も、思い人の心も、私自身の心も。
死を望む、ひどく哀れな・・・・・・哀れな、弱々しく泣き伏せる童。

 だが、それでも得た。
かけがえのない主人を・・・・・・インテグラを、ルイズを。
愛する女達を得ることが出来た。

(フフッ・・・・・・)
アーカードは心の中で笑う。
ミナを愛した時もそうだ。――――――そして今も。
化物と成り果てても、人であった心を捨て去る事は出来ないのだ。
化物だと割り切ろうとしても、打ち倒される為ではなく、繋がりの為に人を求めるのだ。

 ――――――だから、帰る方法を探そう。
インテグラに、セラスに、もう一度会う為に。


「・・・・・・シュレディンガー」
アーカードはその名を呟く。

 確率世界を跳ね回り、自己観測することで存在を確定させる。
生死の概念が無い。生と死が同時に内包する存在。

(奴は地球とハルケギニアを、実際に行き来した事を言っていた・・・・・・)

「戻るのは大変」なような事を言っていたが、彼奴は確かに自由に世界間を移動出来るのだ。
――――――もしも、そのシュレディンガーの特性を御し切れたのなら・・・・・・。

(これほど有用なものは無い)
現状・・・・・・確実に向こうへ帰り、そしてこちらへと戻ってきている存在。

 つまりシュレディンガーの性質をモノにしたならば。
インテグラに会い、セラスに会った後も、またこちらへ来てルイズ達に会える。
なんとも今の自分の状況にピッタリで、おあつらえ向きな帰還方法。

 アーカードは自身の記憶を振り返る。蘇った情報を探る。
何故、自分は、消えたのか――――――そこにきっと・・・・・・答えがある。




「ふぅむ、何度聞いても俄かには信じ難いな・・・・・・」
ガリア王国の首都リュティス。
ヴェルサルテイル宮殿、グラン・トロワの玉座に座るガリア王ジョゼフ。
指には土のルビーが光り、アルビオンの港で見つけた四の秘宝の一つ『始祖のオルゴール』を手に持っている。

「嘘じゃないよ」
そこには三人の人物がいる。
     ・・・・・・・・
 その中で一番年若く見えるウォルターが、ジョゼフに向かって言った。
徹底的な人払いによって、そこでの会話が他に漏れることはない。

「嘘を言っている、とは思っていないがな。戦争を吹っ掛ける前に、その姿を一度見てみたいと思ったのだ。
 お前の話が本当であるなら、"エルフ"以上の"化物"なのではないか?その吸血鬼アーカードとやらは・・・・・・」

 ジョゼフはウォルターではなく、もう一人の方に目を向ける。
たった今、目の前にいる"化物"に。
一瞬女と見紛うような整った顔立ち。煌めく様に流麗な長髪。そして特徴的な尖った耳。
強力な先住魔法を扱う、恐るべき人類の敵。純粋なエルフ、『ネフテス』のビダーシャル。


「はぁ・・・・・・それじゃあ??」
また何か妙な命令をされるんだろうなと、察したウォルターが嘆息をつく。

「・・・・・・そうだな、虚無の担い手を集める」
ジョゼフが大きくその唇を歪める。
「ッッ・・・・・・!?なっ・・・貴様!!」
信じ難いその言葉に、ビダーシャルが思わず声を上げる。

 虚無の担い手を集めるという事は、即ちエルフにとって悪魔の力が目覚めると言う事。
既にビダーシャルはジョゼフが虚無の担い手である事は知っている。
後三人集めるだけで、悪魔の力は復活してしまうのだ。

 それをさせない為にジョゼフと交渉し、さらに自分も仕えている。
虚無の担い手を集めるなど、約束を違えることに他ならない。
その事を言おうとした瞬間、ジョゼフはふるふると首を振り、それを制した。

「案ずるな、そんな気は毛頭ない。常々思っていたのだ。四匹の竜を戦わせたらどうなるのか、とな」
それでもビダーシャルはジョゼフを睨み続ける。

「それともなんだ?集めただけで、その悪魔の力とやらは復活するとでも言うのか?」
「可能性は有る。それをみすみす容認するわけには――――――」
「ならば今すぐ俺を殺したらどうだ?」
ビダーシャルの目が細まる。本気で・・・・・・言っているのか?

「・・・・・・そうすれば新たな悪魔が復活する、今はそういう時代なのだ」
「ハハハッ!!ならば大人しく見ていればよい。なに、悪魔の力が復活したなら、この俺を含めて全員を殺せば済む話よ」

 ジョゼフのその瞳に嘘は無い。
ビダーシャルは目の前の男がただ狂っているだけなのだと悟ると、それ以上言うのをやめる。


「虚無の担い手を集めれば、アーカードもついでに誘き寄せることになる・・・・・・か」
アーカードが主人を攫われて動かない筈はない。
「そうだ、居場所を調べ上げ次第行ってもらうぞ。おれは気の長い方ではないからな」

「・・・・・・正直きついな、僕一人でどうにかなる相手じゃない」

 一人攫って来るだけでも、精々五分五分といったところだろう。
都合良く標的だけ発見できて、連れてこれるとは限らない。
アーカード、アンデルセン、大尉がそれぞれついているのなら、戦闘になった場合、勝ちの目は微妙なところ。
適当にあしらうにしても、ダメージは避けられないだろうし、二人目三人目になるにつれて、どんどんきつくなる。

「"アレ"を使えば良かろう」
「"アレ"?あ~・・・・・・確かに"アレ"を使えば強引に掻っ攫えるかも知れないけど、まだ開発途中でしょ?」

 するとジョゼフはビダーシャルへと目を向ける。
その意図を察したビダーシャルは、淡々と報告するように話し出す。
「試作品は既に出来ている。それを踏まえた上で新たに改良し、完成形の目処も立っている。
 悪魔の力の所在が判明する頃には・・・・・・充分に実用稼動が可能な段階へと移っている筈だ」

「お前と同等以上の使い手ならば、テストケースには丁度よい相手だろう?
 それでも心許無いと言うのなら、そうだな・・・・・・我が姪にも手伝わせればよい」


 ビダーシャルはジョゼフに畏怖を覚える。
先ほどの虚無を一所に集める、ということについてのやり取りもそう。
自分の弟を殺し、その妻を狂わせ、その娘を手駒として、なんの感慨も無く利用する。

 別段恨みがあるわけでもなく、ただ何の感情もなく、そこにあるから使うといった感じ。
単なる思いつきだけで、どのようなことも躊躇無く実行する。
一般的な人間の本質とはまったく別種、大きく逸脱した異常性。
やはり自分はとんでもない人間と・・・・・・手を結んでしまったのではないかと・・・・・・。
ビダーシャルは畏怖していた。

 一方、ウォルターは溜息を吐くも、内心ではほくそ笑んでいた。
ジョゼフの異常性なんてどうでもいい。「アーカードと闘いたい」、その一念のみで動く。
他がどうなろうと知ったことじゃない。そんな境地はもう・・・・・・とうの昔に越えてきた。

 ジョゼフはウォルターの真意を薄々察しているようだ。それでも尚、乗ってきた。
朝食を食べようかどうしようかという程の感覚で、戦争するか否かを決める。

 間違いなく狂人。その精神はある種の化物に近く、心の中は虚無そのもの。
それを埋める為に、感情を奮わせたいが為に、どこまでも冷徹に、残酷になれる。
いや、本人の中にはそんな概念すらないのかも知れない。

(そうさ、奴は少佐と同じ・・・・・・)
手段の為ならば目的を選ばない、狂った大隊指揮官と同じなんだ。
どうしようもない程に狂った王様なんだ。
だからこそ――――――。
                        ・ ・
(・・・・・・僕は僕の目的の為に、全てを賭けられる)



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