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ウボァーな使い魔-07


何事かとルイズが慌ててやってきたときには、すでにギーシュの姿はなかった。香水の匂いは酷かったが。
マティウスに問いただすが、説明する気がないらしく「そこの女にでも聞け」と言うばかり。
仕方なくルイズはシエスタに事のあらましを聞く。

「わ、私のせいで…貴族様があんなにお怒りに…」

自分が小瓶を拾ったばかりに…と青くなっているシエスタ。話を聞き出すのにも一苦労だ。
これとは対照的なのがマティウスである。
決闘の呼び出しを受けたにも関わらず、ルイズがシエスタに話を聞いている間、のんびりと席に運ばれてきた食事をとっている。
どの料理もなかなかの美味だ。パラメキアで作らせていた料理に勝るとも劣らない。香水の匂いは酷かったが。
ちなみに貧相なパンとスープも一緒に運ばれてきたが、そちらは犬の餌だと思い 手をつけなかった。

「このバカっ!!」

シエスタから説明を受けたルイズがマティウスに近づいて怒鳴る。

「食事中だ。静かにできぬのか。」
「アンタ、自分の状況がわかってんの!?」

ルイズが言うにはこうだ。
貴族と平民が戦っても貴族には勝てない。マティウスが無礼すぎるのが悪い。ギーシュに謝って許してもらえ。
もっとも最後の「ギーシュに謝れ」については、マティウスが素直に謝るとはルイズも思っていないようだ。
結局、マティウスの傲慢さに手を焼いていたルイズは決闘の結果を見守ることにした。

「アンタみたいなのは、一度やられたほうが身の程がわかるわ!」

もっともこの皇帝は2度も斃されておきながら態度が改まることはなかったわけだが、それをルイズは知らない。

優雅なお食事タイムが終わると、マティウスは決闘場所に向かう。
面倒だが「フィアー」の魔法でもかけてやればすぐに終わるはずだ。

「フィアー」は相手に恐怖を与える魔法である。ギーシュという青年が恐れをなして逃げ出せば、決闘はおしまいだ。
「フレアー」や「デス」で殺してもいいが、それでは騒ぎが大きくなるだけだろう。

決闘の場所に指定されたヴェストリの広場には、すでに噂を聞きつけた多くの生徒が見物に押し掛けていた。
中にはタバサとキュルケの姿もある。そして、広場の中央に両頬が赤い青年の姿。

「遅かったね。逃げたかと思ったよ。でも、逃げずに来たことは褒めてやろうじゃないか」

少々時間が経って怒りがトーンダウンしたせいか、ギーシュには余裕がみえる。
だがさすがに、のんびり優雅に食事をしていましたと伝えたらまた怒るだろう。

「どっちが勝つと思う?」
「相手は平民らしいぜ」
「あの服装でか?」
「なんか偉そうなヤツだよな」

生徒らは生徒らで、賭けまではじめる始末だ。娯楽の少ない学院ではしょうがないことかもしれない。

とっとと終わらせるべくフィアーの魔法を詠唱しようとしたマティウスだったが、ふとギーシュの手にある造花に目をとめた。
その視線に気がついたギーシュが薔薇の造花を振りながら、芝居じみた演技をする。

「僕は薔薇。君は薔薇を愛でる人を2人も傷つけた。許すわけにはいかない。」
「…薔薇…  薔薇だと?………気が変わった…貴様は死ね」

薔薇が随分と気に障ったようで、物騒な言葉がマティウスから漏れる。
野薔薇ではなかっただけマシというべきだろうか。

「よろしい。決闘を始めよう! 僕はメイジだ。メイジは魔法で戦うものだ。よもや文句はないだろうね?」

マティウスの言葉を決闘開始への促しと受け取ったギーシュは、
盛り上がりも充分と判断し、決闘の開始を宣言した。魔法の使用をマティウスに確認することで自分の優勢をアピールする。
だが、それに対するマティウスの発言はその場にいた全員を驚かせた。

「よかろう。ならば、私は支配者だ。支配者は下僕に戦わせるものだ。
 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 相手をしてやれ!」

「「!?」」

当惑したのはギーシュだけではない。ルイズも、また他の生徒も同様である。
使い魔のはずのマティウスが決闘にもかかわらず、下僕に戦わせるという。しかも、指名したのは主人のルイズだ。

「バカ言うんじゃないわよ!誰が下僕よ!!!」

ルイズの抗議に生徒から失笑が漏れる。

「さすがはゼロ…使い魔から下僕扱いか!」
「あいつ、決闘に代理を立てるつもりか?」

当のマティウスはルイズの抗議に不満そうである。

(…あの娘が「爆発」させれば、すぐに済むだろうに…)

確かに、ルイズがギーシュの頭部に向かって「錬金」を唱えれば…それは皇帝の望む結果をもたらしただろう。
どうやら、ルイズは自分の力の使い方をわかっていないようだ。

「…仕方ない…では貴様の相手は別に用意しよう。クアール!」

マティウスの呼びかけに応じ、小さな黒い影がマティウスの背後からジャンプし、その頭上を越え、足もとに音もなく着地した。
その姿は黒っぽい猫に見える。先日、マティウスが地獄より召喚した魔物だ。幼体とはいえ、そんな怪物の相手をさせようというのである。
しかし、ギーシュから見れば、ただの猫をけしかけられたようにしか見えない。再び、怒りのボルテージが上がる。

「まじめに戦う気もないのか…いいだろう…
 僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。青銅のゴーレム、『ワルキューレ』が君の相手をしよう」

ハラリ…ギーシュの薔薇の造花の花びらが1枚 地面に落ちた。すると、そこから青銅の甲冑が姿を現わす。
それを見て、マティウスは小さく笑う。

「ほう…ブロンズのゴーレムか…    …やれ」

マティウスの指示とともに、クアールが地を駆け、ワルキューレの足元に襲いかかる。
クアールをただの猫としか思っていないギーシュの狙いはあくまでもマティウスだ。

まずはワルキューレに向かってくる猫を追い払わせよう。その後、傲慢な貴族面した平民を叩きのめす。
ワルキューレ1体で十分のはずだ。ギーシュの考えは単純なものだったが、それで十分なはずだった。

カツッ!

だが、クアールの爪がワルキューレの足に小さな傷をつけた瞬間、異変が起こった。
ワルキューレが動きを停止したのだ。

「おいおい、ギーシュ、猫をいじめるなよ!」
「はやく、その生意気なヤツを叩きのめせー」

ギャラリーは異変に気づいていないが、ギーシュがワルキューレに与えたかりそめの命が、雲散霧消してしまっていた。
そこにあるのはただの銅像である。

(な…なんだ? ワルキューレが…くそっ!)

再び魔力を送り、ワルキューレを起動させる。
ワルキューレの身体を錬金し直す必要があるわけではないが、それなりに魔力を消費する。
その間にクアールがギーシュの足もとに走りこみ、その鋭い爪で脛を引っ掻く。

「ちッ!!」

衣服が裂け、血が滲んでいるが、文字通りのひっかき傷だ。何ということはない。
ギーシュはクアールを蹴飛ばそうとするが、軽々と避けられ、距離を取られる。
ギーシュとしても、あまり引っ掻かれたいものでもない。ギーシュはワルキューレを自分とクアールの間に移動させた。

「おや、残念。はずれか…」

冷酷な笑みを浮かべて傷を負ったギーシュを眺めるマティウス。
彼は見物するつもりだ。幼いクアールと未熟なメイジとの試合を。

―――クアール:成体であれば大きめの豹程度のサイズの地獄の魔物。
   クアールの攻撃は追加効果で「死」をもたらすことがある。
   頑強な鎧でその爪を受け止め、かすり傷すら負っていないはずの戦士が突然 息絶えるのだ。
   毒の類ではなく、相手の活動を根本的に停止させてしまうのである。

   さらには、ブラスターと呼ばれる閃光を放ち、浴びた人間の身体を痺れさせて動けなくする。
   全体マヒと即死。クアールが群れで出現したとき、多くの冒険者達が全滅を覚悟する。


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