あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ナイトメイジ-29


「でてってよーーーっ!」
とは言ったものの別に永遠に出て行けと言ったつもりは全くない。
なのに、なのに、なのに
あいつは、使い魔は、ベルは全然戻ってこない。
お腹がすけば戻ってくると思って食堂で待っていてもベルは戻ってこなかった。
──あれで拗ねるなんて可愛いところもあるじゃない
とか思っていつ帰ってきても良いように、部屋に食事を運んで待っていたけど戻ってこない。
寝ようかと思ったけど、部屋の前まで帰ってきて鍵がかかって入れないのもかわいそうだと思ってずっと起きていた。
だけど途中で力尽きてしまった。
「まだ戻ってこない」
というわけで机を枕に代わりにしたまま朝を迎えてしまった。
空は晴れているし、鳥がチュンチュン鳴いているがちっとも爽やかじゃない。
おまけに鏡を見たら顔に机の跡がついて、それがルイズを苛つかせる。
「どこに行ったのよ。いったい」
おまけに朝にいつも来るはずのシエスタも来ない。
なにも喋ってないから居ないような気がするのではなく、本当にいないのだ。
「絶対、見つけてお仕置きしてやるんだから」
というわけでルイズはベルを探して学院内のあちこちを歩きまわっている。
ところが見つからない。
どこを見ても見つからないし、どこに行っても見つからない。
影も形もないのだ。
全く手がかりを見失ってしまったルイズは考えた。
そして、とびきりのアイデアを思いついた。
探しても見つからなければどうしたらいいか。
答え 誰かに聞く


というわけで聞いてみた。

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの証言
「あなたの使い魔?昨日、庭にいたのは見たけど……そう言えば今日は見てないわね。そういえば近頃旅行でも流行ってるの?あなたもこの前どこかに行ってたでしょ。タバサも居ないし」

だが、聞けばすぐに分かるというものではない。
それでも、まだ聞いていない人はたくさんいるのでルイズは聞き込みを続ける。
「で、なんであんたがついてきてるのよ」
ただし、同行者が1人増えていた。
「いいでしょ。べつに。それに、面白そうじゃない」
「邪魔しないでよ」
「あら、私の方がこういうことを聞くのは得意よ」
と言って、キュルケが勝手についてきたのだった。


マリコルヌ・ド・グランドプレの証言
「キミの使い魔?銀髪の人間だよね?そうだ、彼女だ!ルイズ、あれはいったいどういう事なんだ?え、知らない?
じゃあ教えてあげるよ。昨日の昼過ぎ……もう夕方に近かったかな。
とにかく、その頃にギーシュが大きな荷物を持って出かけるのを見たんだ。
それとキミの使い魔となんの関係があるのかって?ギーシュは女の子を連れていたんだよ。
それがキミの使い魔だったんだよ。それだけじゃない。あとタバサと学院のメイドまで連れていたんだよ。
そう、3人もつれていたんだ。両手に花どころじゃないよ!なんでギーシュばっかりモテるんだーーーーーっ」

「ふぅん、あのギーシュにね。タバサには恋をしてみなさいって言ってたけど……まさか相手がギーシュなんてね。しかも、他の子と一緒に旅行。考えてなかったわ」
とはキュルケの談だが、ルイズは全く別の考えを持っていた。
「いや、違うわね」
「心当たりでもあるの?」
「ギーシュが他の3人を連れて行ったんじゃないわ。ベルが他の3人を連れて行ったのよ」
「そうなの?でも、タバサもつれないわね。それだったら、私にも声かけてくれればいいのに。でも、ギーシュってルイズの使い魔について行かなくちゃならないわけでもあるの?」
ルイズは顔の右端を引きつらせながら答えた。
「また踏まれたんでしょ。きっと」
「踏まれただって?よく分からないけどなんて羨ましい!!!」
「はいはい。マリコルヌ、あなたはもう黙ってて」
突如耳元で絶叫を上げるマリコルヌがキュルケに押しのけられるのを見ながらルイズは昨日のことを思いだしていた。
そういえばシエスタが何か言っていた。
確かこんな事だった。
──ベル様と私、これからタルブに行くんです。あ、タルブって私の故郷なんです。それで、ヴァリエールはどうします?
「思いだした!」
いきなり何事かをひらめいたルイズにキュルケは少しばかりたじろいだ。
「な、なに?いきなり」
「多分その4人、タルブに行ったのよ。間違いないわ。昨日そんなこと言ってたし」
「だったら、探す必要なんて無かったんじゃない」
まったくその通りであるがルイズは気にしないふりをする。
「と、とにかく。タルブに行くわよ」
「ちょっと、待ってよ。私も行くから」
馬小屋に走るルイズに追いかけるキュルケ。
2人が去った後にはマリコルヌが誰にも顧みられることなく寂しげ立っていた。


馬小屋にはいつも数頭の馬がつながれており、学園の関係者なら誰でも好きに使うことができる。
「ルイズ、そっちは?」
「いないわよ。ああ、もう、なんで今日に限って」
既に先客がいたらしく一頭もいない。
そして、その先客の中には確実にベルもいる。
──これじゃ、追いつけないじゃない
焦って意味もなく足踏みをしていると小屋の外で馬のいななく声がした。
半分しか閉めてなかった扉の隙間に体を押し込むようにして小屋の外へ。
頭上にキラリと光る丸みを帯びたものがあった。
「おや、ミス・ツェルプストーにミス・ヴァリエール。2人ともどうしました」
鼻に引っかけるように眼鏡をかけているコルベール先生がまだなにも乗せていない馬車の上からルイズとキュルケを見下ろしている。
太陽は彼の禿頭上にあった。


馬が走れば、繋がれた荷馬車も走る。
となれば道が少しでも凸凹していれば馬車はがたがた揺れるわけで、それに乗っているルイズは舌を噛まないように口をぴったり閉じていた。
「ミス・ツェルプストーとミス・ヴァリエールが遺跡に興味があるとは思いませんでしたよ」
揺れていても平気で喋られるコルベールはある意味すごい。
「それで、ミスタ・コルベール。タルブにあるという遺跡はどのようなものですの?」
と思ったらキュルケもまともに喋っていた。
さて、コルベールは学院でも指折りの奇人である。人によっては変人とも言う。
だが少なくとも変態ではないし、変熊という者は決していない。
魔法を使えばいいことを魔法無しで実行するという意味の分からない研究をしている上に、その研究材料を求めて各地の遺跡に赴き、結局成果も無しに帰ってくることも多い。
それを夜につきあっている男友達から聞いていたキュルケはコルベールの目的地がタルブと知るとこう言ったのだ。
──まあ、ミスタ・コルベール。遺跡発掘に行くのですね。私たち、以前から興味がありましたの。手伝わせていただけませんか。
おかげで気をよくしたコルベールは2人の同行を許してくれた上に特別授業扱いにしてくれた。
これで出席日数もばっちりである。
「竜の遺跡と言われているものですよ。何でもその奥には竜のように自在に空を舞い、フネのように遠くまで飛べる竜の羽衣という秘宝が眠っているらしいのです」
キュルケはぐるんと音がしそうな勢いで振り返る。
その目は期待に輝きまくっていた。
「ねえ、聞いた。ルイズ。秘宝ですって。秘宝。しかも、遺跡に隠されたマジックアイテムよ。すごいものがありそうじゃない」
「それよりも私はベルが」
──なにをしているか心配よ
がくん、石に乗り上げた馬車が大きく揺れる。
「もぐがががががががっ」
「なにやってるのよ」
舌を盛大に噛んだルイズが荷台で転げ回っていた。


タルブに続く道から見える崖には洞窟がぽっかり口を開けている。
普段は森と岩に遮られ気にとめる者がいるはずもないこの場所でキュルケとルイズはコルベールの広げる地図をのぞき込んでいた。
ルイズは先にベル達が行ったというタルブに行きたかったのだが、キュルケとコルベールがどうしてもと言ったので先にこっちに来ることにしたのだ。
1人で行こうにも、馬車無しではタルブはまだ遠い。
「ミスタ・コルベール、ここですね」
「ええ、間違いありません」
ルイズは洞窟の奥をじっと見てみたが、どう見てもただの洞窟だ。
竜の名前を持つような遺跡や秘宝があるような所にはとても見えない。
「それより、これを見てください」
コルベールが杖で地面を指す。が、ルイズにはそれがただのなんの変哲もない地面にしか見えない。
「なんですの?いったい」
キュルケも同じようで腰をかがめて目をすがめている。
「足跡があります。しかも新しい」
言われてみればそんなものがあるような気もする。でも、無いような気もする。
はっきり言ってよく分からない。
「だったら私たちより先に入った人がいるのですね」
「しかも1人ではありません。1、2、3……4人で入ったようですね」
顔を上げたコルベールはいつになく鋭い目つきをしていた。
別人のようだと錯覚しそうになる。
「ミス・ツェルプストー、ミス・ヴァリエール。お二人は来ない方が良い。
こういった遺跡は盗賊に盗掘されることもあるのです。
まさか鉢合わせするとは思いませんでしたが、そういった者達がいるとすれば、ここは危険です。
近くの村で待っていてください。私は貴重な遺物が荒らされないように手を打たねばなりません」
「あら、それは間違いだと思いますわ」
両手を腰に当てるキュルケは絶対に引かないとでも言いたげにその豊かな胸を張っていた。
「私もトライアングルです。足手まといにはなりませんわ」
「しかし」
「それに、盗賊がここに入った4人で全部とは限りませんわ。だとすればここで分かれた方が危険です」
「では、ミス・ヴァリエールは」
「私は」
ルイズも引く気はなかった。
先生と同級生を置いて、逃げ出すというのは貴族のやることではない。
それにヴァリエールの宿敵たるツェルプストーに負けられない。
だが、意気込んでそれを言おうとする前にキュルケの言葉の方が早かった。
「ミス・ヴァリエールも同じですわ。ルイズがあのフーケを撃退したという話はもちろん私も知っています」
先に言われたのにはちょっとむっとしたが、意外な評価は何か嬉しいような気もした。
だけど、そうは思いたくなかったのでその気持ちは封印する。
「……わかりました」
コルベールは一瞬口ごもってから答えた。
その顔に表れていたのは納得か、あきらめか。両方なのかも知れない。
「全員で行きましょう」
「ええ、もちろんですわ」
ルイズにも異存はなかった。
ただ、何か見落としているような予感がしていた。



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