あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

蒼炎の使い魔-10

虚無の曜日

ルイズの部屋

今日はいわゆる日曜日。
藁付きの床で横になって寝ていたカイトが目を覚ます。
やはりルイズは先に起きていた。
よく見ると彼女は何処かへ出かける準備をしているようだ。
いつもと違う格好をしたルイズは起きたカイトに特に怒るわけでもなく挨拶をした。
実は昨晩、ルイズの勉強が終わるまで、ずっと起きていたのだ。
先に寝たら悪いとでも思ったのだろう。
すでに時刻はこちらは深夜2時にあたる時間を過ぎていた。
夜更かしに慣れているルイズは平気だがカイトのほうはそうもいかない。
今日は休日なので今回だけ彼女は大目に見たのだ。

「おはようカイト。今日は街に行くわよ」
「…?」

首をかしげるカイト。そんなことを言われても何のことだか分からない。
まあ、彼の場合しっかり意識が覚醒していても同じリアクションを取るだろうが。

「よ、喜びなさい。この私があんたになにか買ってあげるっていってるの」

「その…突然呼び出しちゃったあんたに色々迷惑かけちゃったから、えと…
 と、とにかくこのご主人様が使い魔になにか与えようって思ってるの!わかった!?」
つまりこういうことだ。
ギーシュとの決闘も含めて色々なことをしてくれた
カイトに負い目を感じていたルイズがお礼を送りたいのだそうだ。

「…アリ@トウ」
「わ、分かったなら、早く行くわよ!!」
顔を赤くしながらルイズはカイトの手を引っ張って部屋を出る。
半分以上寝起きのカイトはなされるがままだ。


校門前

ルイズがカイトになにか教えながら校門前まで来る。
どうやら馬の乗り方と馬を使うための許可の取り方を教えているようだ。
説明をしている彼女の話をカイトは熱心に聞いていた。

「それじゃ行くわよ」
彼女には後ろにカイトを乗せ馬を走らせる。
本来なら馬を2頭使って行こうと思ったのだが、カイトがそれを見て首を横に(結構早めに)振ったのだ。
ぶっちゃけ震えている。
怯えているのだろうか。仕方なく1頭で出かけることになった。
カイトは馬が初めてだったので強くルイズの腰の辺りに手を回し必死に落ちないように頑張っていた。
彼女が顔を真っ赤にしながら、
「ちょ、ちょっと強くつかみすぎ!少し緩めて!」
と大声でカイトに話す。

嫌だ。

聞く耳を持たないかのようにそれを無視して必死にルイズにしがみついていた。
…もし、これが逆だったらかなり良い画になっただろうに。


3時間後

トリステインの城下町

メイジとその使い魔がすっかりへとへとになって町を歩いていた。
ルイズは、必死に抱きしめてくるカイトからの物理的圧迫感から。
カイトは、馬の上下運動により落とされるんじゃないかという精神的圧迫感から。

これから本番なのに大丈夫だろうか。

狭い道を通る。
カイトが興味深そうにあちこちを見ながらルイズの隣を歩く。
「いつも宙を浮いているのはやめろ」と言われてしまったのでよたつきながらも歩いている。
雰囲気がタウン『マク・アヌ』に似ているかもしれない。
「ちょっとあちこち見ないでよ。スリに狙われるわよ」
「…」
子供のように辺りを見るカイトに注意する。

財布などの荷物は基本的に使い魔が持つ。
だがカイトはアイテムや装備品は以前食堂でルイズの衣類を出したのと同じ原理で持っているため、
スリに盗まれることはない。
それに持っていかれたとしても一瞬で組み伏せることもカイトは出来る。

それでも一応ルイズの言うことを聞いたのだろう。
うずうずしながらも前を向いた。
ルイズは何も知らないカイトにいろいろと説明をする。

ここは大通りだとか。
城下町といえど魔法でスリを働くやつらも居るとか。
あれは酒場。あれは城。
そんなことを話しながら裏道に入る。
カイトはその間何も話さず熱心に話を聴いていた。

少し進むと少し古めの建物が見えた。
どうやら目的地についたらしい。
ルイズが薄暗い店の中に入るとそこには武器屋の主人が胡散臭げな顔をしながらこちらを見ていた。
しばらくやり取りが交わされる。
どうやら使い魔が使う武器がほしいらしい。

剣を扱うのが目の前の貴族ではなく使い魔の方だと言うのだからこれはしめたと親父はほくそえむ。
続けて入ってきたカイトのほうも武器のことなど知らなさそうに見える。
カモが来た。えらい高値で売ってやる。
武器のことなんか知らないだろう。

「…ハアアアアア」

知らないはず…

「…ハアアアアア」

知らない…よね?

「…ハアアアアア」

主人はすでに顔色が悪い。
唸り声を上げるカイトの前髪に隠されていた目があってしまったのだ。

お前の考えていることはお見通しだ。

そう視線が語っている。
もちろんカイトにそんなつもりはないが。
主人が勝手に勘違いしているだけだ。

そそくさと目標をルイズに向ける。
そのルイズは子供のように辺りを見回している。
先ほどのカイトと同じ行動をとっているが、だれも突っ込むものは居ない。
主人は、このまま適当に綺麗な剣でも高く売ってやれと思い、
カイトは、別にルイズに意見を言うつもりはないからだ。

主人とルイズがなにやら話し合うが、値段のことで揉めているようだ。
しばらく膠着状態が続いていたが突然何者かが声を上げる。

「けっ、そんなひょろひょろの坊主に振れる剣なんてあるわけねえだろ。
 とっとと家に帰りな!」

「な、なに!?今の声…」
「おいデル公!!」
驚くルイズを余所に主人が声を上げる。ルイズたちに声を張り上げたのは1本の剣だった。
それはインテリジェンスソード。意思を持つ魔剣。
刀身は長く細身の剣。だがよく見ると所々さび付いている。
ボロボロの上に使い手を剣が決める。それだけで買わない客も大勢いただろう。
武器屋の主人としてはこのおしゃべりな剣をすぐにでも厄介払いしたかったところだ。
カイトは興味深そうにその剣を取る。
最初は文句を言っていたデル公、デルフリンガーだったが、
カイトが剣を握った瞬間に静かになる。

やがて、

「ほう…お前『使い手』か。よし、お前俺を買え」

いきなり自分をアピールし始めた。
昔の記憶などほとんど忘れてしまったが、
何となくこいつは自分を使いこなせると彼は思っていた。

だが、
「…ハアアアアア」
「え?いやいやいやちょっと待って。使えないってなに?」

カイトが唸るとデルフは焦った声を出した。
「…ハアアアアア」
「はあ!?「自分は剣が使えない」だって!?」

カイトは双剣士といわれるジョブについている。
彼は「The World」では1種類の武器しか使えない。
ハセヲのようなマルチウェポンなら話は別だが。
デルフリンガーのような武器は緑とか天狗とか薔薇とかズタズタ向けの武器だろう。
…あと裸と羽もいるか。

ルイズは目の前の光景に驚いていた。
ただの唸り声を口の悪い魔剣が理解したのだ。
「あ、あんた、こいつの言うことが分かるの?」
「え、ああ…。何となくだがそいつの言いたいことが分かるみてーだ」
「何となくって何よ」
「わかんねえよ。理解できるつったってカタコトだけどな」

あの唸り声にはちゃんと意味があったんだ。

「これは使えるわね…」
彼女は呟く。
「その剣を買うわ。いくら?」
ルイズはこの通訳、もとい剣をカイトに与えることにした。

買ったデルフをカイトに渡す。
「何か言いたいことがあればこいつを使って話しなさい。いいわね?」
「うわっ、ひでえ。俺は通訳かよ」
「そうよ。それに『使い手』だとかよくわかんないけど、
 このまま錆びるよりはいいでしょ」
文句を言うデルフにルイズが説得する。
やがて彼も折れたのだろう。
「ちっ、仕方ねえな。おい、お前名前なんていうんだ」
「…ハアアアアア」
「『カイト』だな?よし、カイト、お前は絶対にいつか俺を使える。
 それまで待っててやるよ」
「…ハアアアアア」
「…ああ、よろしくな」

渋々だが、本当に渋々だが一応了承したようだ。
ルイズはカイトの言うことがこれからは理解できると喜んでいる。
カイトは、ルイズがくれたモノに素直に喜んでいる。
武器屋の主人は、厄介払いが出来て喜んでいる。少しさびしげだが。

「でも、納得いかねえな…」
自分は武器なのに…。
デルフは一人愚痴っていた。

主人が思い出したかのように言う。
「あ、そうそう。鞘に入れとけば喋らなくなりますぜ」
「…」

そんな事をしなくても良い。

カイトは背中に剣を持っていき、一瞬光ったかと思うとその剣は消えていた。
簡単に言えばしまっただけなのだが。

「なっ!?」
「やっぱり便利ね、それ」
事情を知らない親父が驚いているのを余所にルイズが羨ましそうに見る。
質問してくる主人への対応がめんどくさくなったのか、

「あれ、私の魔法だから」

そう言って店を出た。
納得したのだろう、「うおおお!すげえー!」と店の中から聞こえてくる。
こうして別の意味で使える剣を手に入れたルイズとカイトは上機嫌で買い物を終わらせたのであった。

…余談だが、帰りはかなりゆっくりと馬を走らせたそうだ。


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