あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

死人の使い魔-01



第一話

 ルイズにとって今日は待ちに待ったサモン・サーヴァントの日だった。
不名誉な二つ名であるゼロを返上できるかもしれないのだ。
素晴らしい使い魔さえ召喚できれば。しかし彼女の希望はあっけなく潰えた。
何度かの『サモン・サーヴァント』のあとついに彼女が召喚したのは、
大きな、非常に大きな箱だった。箱というには少しおかしな形だったが。
箱というよりは変わった小屋といったほうがいいかもしれない。
特徴としては直方体のような形で、材質は金属だろう。
一部ガラス張りになっている前部分と全面金属で覆われている
非常に長い後ろ部分とで構成されている。
そしてタイヤがいくつかついている。
トレーラーと呼ばれるものだったがルイズには知るよしもなかった。
「ミスタ・コルベール」
彼も驚いているようだった。声に反応がない。
もう一度強く呼びかけるとやっとルイズの方を向いた。
「もう一回召喚させてください」
『サモン・サーヴァント』は生物を呼び出す魔法だ。
決してこんなものを呼び出すものではない。
願いはあえなく却下されたが、希望になることも言ってくれた。
これは檻ではないかと。
言われてみればそうかもしれない。
それならば中には高位の幻獣がいるかもしれない、
いやいるに違いない。
その横でコルベールが魔力の反応は無いようだと呟いていた。
まずは前部分をのぞく。ガラス張りになっているため、のぞきやすい。
中には何もいない。
今度は後ろ部分の開け口を探す。
どうやら真後ろが開け口のようだ。取っ手がみつかった。
乱暴に取っ手を引くがなかなか開かない。
突然コルベールに止められる。
考えもしなかったが中には凶暴な獣がいるかもしれない。
金属製の檻で閉じ込める程の。
コルベールが先頭に立ってくれ、杖を構える。
扉が開く。
中から何かが飛び出してくる、というようなことはなかった。
冷たい空気が開いた扉から流れてくる。
おそるおそる中をのぞきこむルイズとコルベール。
中は結構広く生物の気配はない。
奥に視線を向けると上の方から太いパイプが伸びているのが見えた。
ふとそれを目でたどっていく。
イスの背もたれにつながっているようだった。
そしてあることに気づき、息を飲む。
イスに人が座っているのだ。
その人物は黒い服を着ておりまったく動かない。
まるで眠っている、いや死んでいるかのようにみえた。

 コルベールはこれのつくりに驚いていた。
外側も異質だが中はさらに異質だった。
そして何よりこれらを作るのに魔法を使っている
痕跡が一切感じられない。
いったいどのようにして作られたのか。
ルイズは奥に座っている人に声をかけてみたが反応はない。
少しイライラし中に入っていく。
ゆっくりと奥のほうへ歩き出す。
イスの前に立ち再び呼びかける。
突然明かりがついた。
恐くなりそこから飛び出す。
コルベールも警戒している。
しかし何かが起きるわけでなく、機械の音が響く。
しばらくたち機械の完了音とともにイスのパイプがはずれる。
イスに座っている男が目を開ける。
同時にトレーラーの中に備えつけられていたモニターから
声が流れはじめた。
それは浅葱ミカからビヨンド・ザ・グレイヴへの別れの言葉。
天寿を全うしグレイヴを残していく彼女からの最後の挨拶だった。
グレイヴ以外にはその言葉は理解できなかったが、
ルイズもコルベールも黙って聞いていた。
驚きのあまり声も出ないのかもしれなかった。
モニターからの声の終わりとともにルイズが口を開いた。
あんたは誰? これは何なの? さっきの声は?
疑問はつきない。しかし男は無言だった。
「もう一回召喚させてください」
再びこの台詞を言う。いろいろ気になることはあるが
彼はきっと平民だろう。平民の使い魔など考えられない。
しかし先ほどと同じ言葉で却下される。
「でも平民を使い魔にするなんて」
伝統とルールそして彼はただの平民ではないかもという言葉、
そして進級がかかっているという現実にルイズは折れた。
へんてこな箱の中にいたし、もしかしたらすごい力があるかも
という淡い希望も抱いていた。
「感謝しなさいよ、貴族にこんなことされるなんて」
そう言い『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱え
イスに座ったままの彼と唇を重ねる。
そして彼の左手に『使い魔のルーン』が刻まれる。
相変わらず彼に変化はないように見えた。

 コルベールはまず生徒を帰らせた。
授業は全員使い魔を呼んだので終了である。
ただ個人的興味としてさきほど召喚された平民の彼に話しかけた。
『ディテクトマジック』をし彼が平民ということはわかった。
しかし彼の入っていた箱は興味をひいた。
何か話しかけているルイズとともにコルベールも
質問をしてみるが彼は何も答えない。
喋れないのか? 疑問が浮かぶがそれにしてはおかしい。
「体を調べても?」
とグレイヴに尋ねる。
少ししゅんじゅんしたように見えたが、首が縦にふられる。
調べてみて驚いた。平民とかそういうレベルではなく
彼は人間ではないのかもしれない。
それを伝えられたルイズは驚いた。
「では彼はなんなんですか?」
「わからないですがガーゴイルのような存在かも。それにしては
魔力を感じないですが。
東方か、もしくはエルフの技術でつくられたのかも。この箱もね」
驚きグレイヴをみながら答える。
「エルフのガーゴイル……。でも彼は人間にしか見えません」
「おぞましいことだが、人間を材料に作ったのかもしれません」
聞こえているだろう言葉にグレイヴは反応しなかった。
「まあいいわあんたがガーゴイルなら平民よりは使えるかも」
内心の怯えを隠しながらルイズは言う。
「あんた歩けるの? とりあえずついてきなさい」
グレイヴは黙って立ち上がり彼女についていく。
トレーラーから降りる際グレイヴは
“ケルベロス”――二丁の巨銃――の入ったアタッシュケースと
“デス・ホーラー”――重火器を多数搭載した棺桶――を持ち出す。
「何それ、持っていくの?」
鞄のようなものはともかく髑髏の刻まれた
金属の棺桶は不気味だった。
うなずくグレイヴをみてまあややこしいことは
後回しだわ、と学院に歩き出す。
コルベールも後からついてきている。

 オスマンにコルベールがルイズの召喚したトレーラーと
グレイヴについて報告している。
オスマンから質問されるもやはり無言のグレイヴ。
「あの箱を調べれば何か分かるかもしれません、
是非とも私に調べさせてください」
コルベールがオスマンに頼んでいた。
ルイズとしても異論はなかった。少しでも彼のことが分かればと。
「ところでそれは何かね? 鞄と棺桶にみえるが」
「わかりません。彼があの箱から持ってきたんです」
「中を見せてくれんかね?」
グレイヴはアタッシュケースを開き中を見せる。
「何かねこれは?」
コルベールが好奇心からケルベロスの片割れを
手に取ろうとするが、グレイヴに止められた。
「そっちにも何か入っているの?」
棺桶を指差しルイズが尋ねる。
首を横にふるグレイヴ。
「マジックアイテムではないようだし大丈夫じゃろ。
ミス・ヴァリエールにも従っておるようじゃし。
それから彼は喋れない平民ということにしておいてくれると
ありがたいんじゃが、少なくとも詳細が分かるまでは」
ルイズは心の葛藤はあったものの同意した。
人間を材料にしたガーゴイルというのが真実だとしたら、
とてもじゃないが言いふらせることではない。

「今日はいろいろあって疲れたわ。細かいことは明日にしましょう」
グレイヴと部屋に戻ったルイズは寝る準備をしながら言った。
使い魔の役割はさっき伝えた。内容を理解しているのか
していないのか反応はあまりなかった。
ただ最後に伝えた一番重要な役割
「使い魔は主人を守る存在であるのよ!」
その言葉にはうなずいていた。
寝る準備が終了する。
「あんたの寝場所はイスでいい?」
ルイズの部屋には使っていないイスが一つあった。
入学祝いとして家族が買ってくれたものの一つだが、
ルイズには大きかったため自分の使うイスは別に用意したのだ。
今までイスで眠っていたのだ構わないだろうと、ルイズは言った。
グレイヴは何も言わず、指定されたイスに座った。
言うことには素直に従うのよね。
そこで重要なことに気づく。
彼の名前はなんなのかしら? そもそも名前はあるの?
どういうわけか箱の中に流れていた声を思い出した。
なんて言っていたかは理解できなかったが最初に聞こえてきた
単語はこいつの名前だったのでは?
確かこう言っていたはずだ。
「ビヨンド・ザ・グレイヴ」
彼がこちらを向いた、今までとは少し違う反応に思えた。
「あんたの名前?」
首を縦にふった。やはり彼の名前なのだ。
「これからはあんたのことグレイヴと呼ぶわ、いい?」
再び首を縦にふる。
「じゃあグレイヴ、おやすみなさい」


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