あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのノブレス・オブリージュ-1

「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!」 
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
「私は心より求め、訴えるわ! わが導きに、応えなさい!」
 閃光、爆風が広場を包む。
 煙が晴れた先、この爆発の中心地に現れたのは……

「何だ、ここは!」
 白い衣服の上から変わった紺色の上着を羽織り、二つの車輪のついた鉄の馬――というにはあまりにも貧相――にまたがった
青年は怒鳴った。彼は右腕に、黒く四角い物体を持ち上げている。
「俺はデ・マーエの途中なのだぞ! 名門ディスカビル家再興のため、俺はもっとマネーを稼がねばならんのだ!」
 早くしなければ、カケ・ソーバが伸びてしまうではないか! と続けるが、誰も彼の言葉を聞いていなかった。というより、
言葉が通じていないのだ。ただ、ピーピーうるさいだけとしか聞こえない。

 ルイズは召喚で呼び出された、明らかに平民と思しき青年に怒鳴りつけ、コルベール先生の方へと向き直る。
「うるさい! ミスターコルベール!」
「何です?」
「あの、もう一度召喚させてください!」
「それはできない」
「この儀式はメイジとしての一生を決める、神聖なもの。やり直すなど、儀式そのものに対する冒涜ですぞぉ。
君が好むと好まないとにかかわらず、彼は君の使い魔に決まったのです」
「でも、平民を使い間にするなんて、聞いたこともありません!」
「平民であろうと、何であろうと、例外は認められません」
 さらに問答を繰り返すが、答えは代わらない。退学まで示唆され、ルイズはしょげかえる。
「分かりましたぁ」

 まだうるさく喚いている平民の男に、顔を近づける。
「感謝しなさいよね!貴族にこんなことされるなんて普通は一生無いんだから!!」
 呪文の詠唱。こんなときでもまだ何かを言っている。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る
ペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ…」
 そしてルイズは、仕方なく、本ッ当ゥ~に仕方なく、唇を重ねた。
「コントラクトサーヴァントは無事終了しましたな!」
 コルベール先生の賛辞が、やけに白々しく聞こえた。

「貴様、何をする! 俺にはミサキ~ヌが……!」
 抗議の声が、途中で途切れる。
 身体が熱くなり、左手が輝く。あまりの熱さに気を失うが、四角い物体は中身をこぼすこともなく
地面に置かれた。


その夜。気絶した使い魔がやっと目を覚ました。
言葉が通じず、あまりにもうるさかったので
「あんた、名前は?」
 すると、目の前の平民は立ち上がり、誇らしげに名前を言う。
「俺は神に代わって剣を振るう男。俺の名は、神代剣だ! そんなことより、ここはどこだ! 
俺はなぜこんな所にいる!?」
「決まってるでしょ、私に召喚されたのよ。使い魔として、ね」
「ツ・カイマー? 何だそれは?」
 自分の使い魔、神代剣に対して説明を始める。

「そうか、ツ・カイマーとは騎士なのだな!」
「そうじゃなくて、使い魔は使い魔! 私のしもべなの!」
「任せておくがいい! 俺は騎士道においても頂点に立つ男だ! 必ずやル・イーズを守り抜いて見せよう!」
 先ほどからずっとこの調子だ。何を言おうと、言葉は通じるのだが通じない。
「だから~! ……もう、いいわ」
 何とか最低限の義務だけは教え込めた。それだけは、やけにやる気になっている。
あとはおいおい調教していくしかない。

「ふわあ~~。もう寝るわ」
 あくびをしながら、ベッドに這い上がる。
「あんたは床で寝るのよ!」
 まずは上下関係をはっきりさせなくてはならない。義務すら覚えられないような使い魔相手なら、なおさらだ。
 もちろんこの使い魔も抗議した、のだが……
「この俺が床で寝るだと!? いや……そうか! ベッドに寝ていてはとっさのときに君を守れんな。」
「いや、そうじゃなくて!」
「良かろう! 高貴なる者の義務、ノブレス・オブリージュとして引き受けた!」
 なにやら勝手に納得する。何と言っていいのやら、空いた口がふさがらない。
 しかし、こんなことでめげるわけにはいかない。今度こそ、どちらが主人かを分からせてやらなくては。
 ルイズはブラウスに手をかける。それを見た剣は、今度は血相を変えて叫んだ。
「ル・イーズ、何の真似だ!」
「勝手に変な名前で呼ばないでよ! 寝るから着替えるだけよ」
「な、何だと!? 紳士の前で着替えるとは、それでも淑女か!?」
「うるさいわね! 使い魔に見られたってなんとも思わないだけよ! 
あと、明日になったらそれ洗濯しといて」
 あれよあれよという間に着替えたルイズは、脱いだ服を投げつける。剣は顔に
かかった布地を広げ、素っ頓狂な声を上げる。
 剣の反応に、今度こそルイズはほくそえむ。
 そうだ、こうやって私のしもべだということを分からせていけばいいのだ。しかし、
「なぁにぃぃっ! ……いや、か弱きものの世話も高貴なる者の務めだ! よし、任せろ! 
俺は洗濯においても頂点に立つ男だ!」
 またもこの調子で勝手に納得した。それも、下僕としてではなく高貴なる者の義務とか言って。
 こいつとの意思疎通は永遠に不可能かもしれない。ルイズは頭痛を感じながらも、
今日の疲れが出たのかぐっすりと寝入った。

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