あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

鷲と虚無-05


ルイズは既に落ち着きを取り戻していたので、三人が戻ってきてもある程度平静でいられた。
だがそれでもやはり緊張はする。
彼らが使い魔になっても問題は多い。だが彼らがそれを拒否すればそれで終わりだ。
魔法を使えない自分では三人を力ずくで従わせるなんて不可能だ。
(頼むからイエスと言ってよね、もう契約は終わってるんだから……ここであんたらがゴネたら私は終わりなのよ)
ルイズは緊張した面持ちで三人を見つめた。

「答えは決まったかね?」
オスマンが三人に声をかけた。
「ええ、われわれ三人とも承諾する事にしました」
「はい、話し合った結果今の所はそれが一番良いって事になりました」
才人とウォレヌスが答えた。
プッロはブスッとした表情で腕を組んでる。

確かにこいつらは「はい」と言った。
使い魔になる事を承諾した。
(つまり……進級出来る!)
ルイズは安堵した。これで最大の恐怖は消えてなくなったのだ。
確かに彼らは使い魔として従順にさせるにはかなりの苦労が必要だろうが、それでも首の皮は繋がった。

「……一応条件を確認します。我々はヴァリエール嬢の“使い魔”になり、また学院は我々に職を提供する。学院側はこれに対して相応の給金を出す。また、学院は我々が故郷に帰られる手段を探す。よろしいですか?」
「ああ、それで構わんよ」
「給金は一体どの程度出すおつもりでしょうか?知っての通り、我々はここに来たばかりなのでここの物価が全く解らないのです」
プッロも金の話には口を挟んだ。
「ああ、それは俺も気になるな。金は出すと言って1年に銀貨1枚なんて事になっちゃシャレにならねえからな。そこんとこははっきりさせておきたい」

こいつらはまさか学院長がはした金しか出さないとでも思っているのだろうか?全く失礼な連中だ。いや、それはもう十分解ってるがやっぱり失礼だ。
仮にもトリステイン魔法学院長がそんなケチな事をする訳がないじゃないか。
「それに関しては後ほど仕事の内容も含めて話すが、少なくとも普通に生活するには不自由しないだけの分は出すと約束しよう」
「失礼だとは思いますが、今言った言葉をあなた方の神々にかけて誓えますか?」
ルイズはもう我慢出来なかった。
「……アンタね!いい加減にしなさいよ!貴族が平民に約束したのにそれが信用出来ないの!?厚かましいにも程があるわ!」
「おいおいおいお嬢ちゃん、ついさっき会った人間の言う事を丸っきり信用しろってのか?保証を取るのは当たり前じゃねえか。まあ誓いなんてジジイに名誉がカケラも無ければ反故にされるだけかもしれないけどよ」
貴族が平民にここまでするのが既に破格だと言うのにそれを疑うとは何事だ。
(徹底的な教育が必要ね、こいつらは!まずは貴族を敬うと言うところからはじめないと…)
礼儀知らずにも程がある。こいつらがやって来たローマとやらはとてつも無く野蛮な国に違いない。

が、オスマンは特に気分を害した様子も無く続けた。
「ふむ、口約束だけでは信用出来ないと言う事かの?まあ、構わんよ。私はルキウス・ウォレヌス、ティトゥス・プッロ、ヒラガ・サイトに当学院にて仕事を与え、また使い魔としての給金も出す。
その給金は彼ら三人が生活するのに不自由しないだけの分を出す。そして私は彼らが故郷に帰れる手段を力の及ぶ限りに探す。私、オールド・オスマンは始祖ブルミルと水の精霊にかけてこれを誓う」
「ありがとうございました……一つお聞きしてよろしいですか?」
「ん、なんだね?」
「先ほどから疑問に思っていたのですが、一体なぜここまで我々に協力を?我々は突然現れた異邦人です。しかも事情を知らぬとは言えあなた方に剣を抜きました。こんな連中にわざわざ職を与える理由が私には正直言って全く解せません」
「そう!私もそれを聞こうとしたんですよ!なんでこんな奴らにここまでしてあげるんですか?絶対におかしいじゃないですか!」
ルイズが声を張り上げた。

こいつらが部屋に帰ってきたから言い終える事が出来なかったが、ルイズも同じ事を聞こうとした。
ルイズにはどう考えてもオスマンがここまでする理由が解らない。
「無論、タダでこんな事をする訳じゃない。あんたらに一つ条件がある」
「……それはなんですか?」
才人は怪訝そうな表情で聞いた。
「なに、簡単な事じゃよ。あんたらの故郷の事を全て教えて欲しいんじゃ。技術、歴史、文化、言語、全てをな」
これは四人全員にとって拍子抜けだった。

「そ、それだけっすか?」
「そう、それだけじゃ……いや、それだけと言う言い方は相応しくないな。
これはワシにとって重要な事じゃ。あんたらもミス・ヴァリエールも気付いておらんようじゃが、これは歴史的な出来事なんじゃよ。長い歴史の中人間が召喚されたのは今回が始めてじゃ。
しかもあんたらは我々が全く聞いた事ない所からやってきたと言う。一人の研究者、いや人間としてこれほど好奇心をくすぐられる事は無いと断言できる!
ワシの様な人間にとってはな、その知識を誰よりも早く一番に得られるなら学院で働く人間を二人三人増やす事くらいなんでもない事じゃ。
まあ、先ほどいったように今日は遅いしあんたらも疲れてるじゃろう。今は話さんでもよい。明日か明後日には仕事の件も含めてあんたらここに呼ぶ事になるじゃろうからな」

ルイズにはオスマンの言う事が理解出来なかった。
名前も聞いた事の無い遠い蛮人の国の事なんて自分達にはまるで関係無い事だとしか思えない。
仮にその連中の事を知りたくてもたかが平民にここまでする事はルイズにはとても出来ないだろう。
「……まあ、解りました。それで我々はどこに行けばいいのですか?何か寮の様な物でもあるのですか?」
「寮はあるが、空きがあるかどうかは解らん。少なくとも今日の所はミス・ヴァリエールの部屋で寝てくれんかな?」
ウォレヌスはオスマンの提案に目を細めた。

「それは色々と問題になるのでは?」
「問題って何が問題になるのよ」
「おいお嬢ちゃん、あんたは男三人が自分の部屋で寝ても構わんってのか?中々大胆だなぁ」
「あんたらは使い魔になったのよ?使い魔が同じ部屋に住むのは普通の事なの。まあ部屋に住むには大きすぎる幻獣とかは厩舎に入るけどね」
ルイズはこう言ったが、ウォレヌスが何を意味しているかはだいたい解っていた。
ウォレヌスが言う通り、確かに年頃の娘の部屋に男が三人も泊まるのははしたない。
だが彼らは使い魔だ。
特別扱いはしたくないのだ。

暴発した彼らが自分に危害を加えるかもしれないという不安は少しはある。
でもそんな事を恐れていてはとても主人とは言えない。
「使い魔が自分を襲うのが怖いので別の部屋に住まわせます」なんて言ったら物笑いの種でしかない。
(とにかく、まずは私がこいつらを恐れていないと態度で示す必要があるわ。自分を怖がる主人に従う使い魔なんていないんだもの)
特にウォレヌスとプッロの二人は私が彼らを恐れているなどと考えたら絶対に自分を敬いなどしないだろう。
だからルイズは可能ならば寮に住まわせると言うのも止めさせるつもりだ。

「……まあ、1日2日程度なら問題ないでしょう。それで具体的に明日から何をすれば良いのですか?」
「それはミス・ヴァリエールに聞いてくれ。使い魔の管理は主人の仕事じゃからな」
ウォレヌスは主人と言う言葉に口を歪めたが何も言わなかった。

「ではオールド・オスマン、色々とありがとうございました。では私たちはそろそろ退出する事にします」
そう言ってルイズは礼をした。
今のところもう話す事はもう無い。
三人もそれは同じのようだ。
「うむ。おやすみ、ミス・ヴァリーエル。ではウォレヌス殿、明日辺りに秘書を送るので待っていてくれたまえ」

そして四人は部屋を後にした。


新着情報

取得中です。