あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スナイピング ゼロ-14



トリステインの某所。かつて開拓民が森を切り開いて作り、今は誰一人として住む者が居ない村。
その中に、廃墟と化した寺院があった。普段は明るい日差しに照らされ、牧歌的な雰囲気が漂う場所だ。だが今は、
そんな雰囲気は霞のように消し飛んでいる。なぜなら今、その場所は

「ぷぎっ、ぴぎぃ、んぎぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」逃げ惑うオーク鬼達の悲鳴と
「あはははは、ブタのような悲鳴をあげろ~!」追掛ける魔弾の射手の歓声が

ゴチャマゼに入り混じった、まさに混沌と呼ぶに相応しい状況となっているから。

「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」
 どこぞの撲殺天使みたいな歌を響かせながら、リップは手にしたシャベルに力を込める。寺院に辿り着く時に拾った、
先が尖った物だ。一頭のオーク鬼に追いつくと、飛び上がってシャベルを振り払う。切断され、オーク鬼は頭と胴体が
オサラバした。
 即座に次の標的を捉え、一気に間合いを詰める。横合いからオーク鬼の脇腹に目掛けて、シャベルの先を叩きこんだ。
数本の肋骨が折れ、オーク鬼はその場に倒れた。その直後、振り上げられたシャベルによって頭を叩き潰され、絶命した。

 仲間が次々と殺されていく非常事態に、生き残った二頭のオーク鬼達はパニック状態となった。もはや縄張りに
入って来た人間を喰い殺すなどと言う考えは吹っ飛び、黒髪の女から逃れようと、森の奥へ向けて走り出す。
 シャベルを地面に突き刺すと、リップは一本の木に向かって叫んだ。
「セラス、直接火砲支援!」
 木の上に隠れていたセラスは、ハルコンネンを構えた。逃げるオーク鬼の二頭の内、一頭に狙いを定める。

「ヤー!」
 返答の叫びと同時に、徹鋼弾を発射した。背後から腰に直撃を受け、オーク鬼は上半身と下半身が引き千切れる。
数秒ほど呻き声をあげ、絶命した。
 即座に薬莢を排出し、弾薬箱から劣化ウラン弾を取り出す。薬室に装填し、残りの一頭に照準を合わせる。最初の一頭を
仕留めるまでの間に、かなりの距離が開いている。だがそんなものは、吸血鬼には大した問題では無い。

「距離500・・・600・・・・・・今!」
 発射された弾丸は木や枝などを容易に貫通し、標的の心臓を撃ち抜いた。オーク鬼はうつ伏せに倒れ、生い茂った
雑草の中に血溜まりを作り即死した。

 魔法の援護を受けず、リップとセラスはオーク鬼の群れを殲滅した。微塵の躊躇も、一片の後悔も無く・・・。


上空を旋回していたウィンドドラゴンが地上に着地する。背中からキュルケが降りると、驚きの顔を二人に向けた。

「凄いわね二人とも、流石は吸血鬼だわ。私達の出番が無いのは、ちょっと残念だけどね」
「全くだよ。僕のワルキューレの出番が無いのは、とても残念だ」
 そう言いながら後から降りてきたギーシュは、ホッとしていた。キュルケは即座にツッコミを入れる。
「なに言ってるのよ、さっきまで怯えながらオーク鬼を見下ろしてた人がよく言うわ」
「キュルケ、出来ればその話は止めてほしいんだが・・・」

 言い合いをする二人に気付かれないよう、セラスは口元を抑えて小さく笑った。リップはオーク鬼の血と脂で汚れた
シャベルを、ポイッと野原に捨てた。背中に布で縛り付けていたマスケット銃を手にし、弾丸を銃口に入れた。

「えっと、あの、その・・・や、やっぱり吸血鬼って強いんですね。凄かったです、本当に・・・・・・」
 キュルケの背後で震えていたシエスタが、リップを怯えた目で見ながら呟いた。リップは黙ったまま、シエスタを見返す。
セラスに背負われているデルフリンガーが、口を開く。
「そりゃそうだろ娘っ子、なんてったって黒服と相棒はハルケギニアの吸血鬼より強いんだからな」
「心臓を貫かない限り、死なない・・・」
 デルフの説明に、本を読んでいたタバサが補足を加えた。セラスが歩み寄り、シエスタに頭を下げた。

「すいませんシエスタさん、本当は出会った時に言うべきだったんですけど・・・この世界じゃ、吸血鬼は恐れられる存在
だと聞いたんで」
「そんな、セラスさんが謝ること無いですよ! 立場が逆だったら、私だって正体を言ったりしなかっただろうし・・・」
 シエスタは両手を左右に振りながら、ペコペコと頭を下げる。そこへリップが近づくと、軽くウィンクをした。
「これからも貴女と友好な関係を続けたいんだけど・・・よろしいかしら、シエスタさん?」
「あ、はい。これからも、宜しくお願いします!」
 握手をしながら今後の交友を確かめ合うシエスタ達に、寺院の入口の階段に足を乗せたキュルケが手招きする。

「三人とも、早く来なさい。もうすぐ日が暮れるわ、さっさと宝物を確認しましょう!」
 走って来る三人を見ながら、隣に立つギーシュが尋ねる。
「所で、この寺院にはどんな宝が有るんだい?」 
「えっとね、『炎の黄金』で作られたと言われる首飾りが有るらしいわ。場所は、祭壇の下みたいね」
 その言葉に、ギーシュは唾を飲み込む。
「これで七件目なんだ、今度こそ宝を見つけて姫殿下に・・・」


二つの月によって照らされる、村の寺院。キュルケ達は入り口の階段に座り、燃え盛る焚き火を眺めていた。
ギーシュは薔薇の造花を指先で揺らしながら、毛布に仰向けになって溜息をつく。

「キュルケ、確認のため聞きたいんだが・・・『炎の黄金』で作られた首飾りとは、それかね?」
 ギーシュが見つめる先には、キュルケの手に握られる色褪せた装飾品。それは、安物の真鍮で出来たネックレスだった。
足元に置かれたチェストと呼ばれる宝箱には、耳飾りや銅貨が入っていた。

 キュルケは黙って首を縦に振ると、ネックレスをチェストに入れる。そして懐から化粧道具を出すと、爪の手入れを始めた。
その様子を、タバサは本から視線を外して見つめている。セラスとリップは、隣り合って階段に腰を下ろしていた。

「どうするんだいキュルケ、これで君の持っていた宝の地図は全て外れたよ。僕はもう、帰った方が良いと思うんだけどね。
他の皆も、廃墟や洞窟で化物や猛獣と戦ったりしたから、疲れてるだろうし・・・」
化粧道具を懐に戻しながら、キュルケは振り向く。

「そりゃそうだけど、だからと言って手振らで帰る訳にもいかないわ」
「じゃあ何かい、帰りに土産でも買っていくのかい? 銅貨が何枚かあるから、それを使えば良いけど」
「あの~、それでしたら」
 二人の会話に、焚き火でシチューを作っていたシエスタが割り込んだ。お玉を使い、鍋のシチューを器に入れ皆に配る。

「私の生まれ故郷、タルブ村って言うんです。そこはワインの原産地なんですけど、宜しければ、皆さん行ってみませんか?
港町のラ・ロシェールから近いんで、ここからでも近いですし」
 それを聞いたキュルケは、ポンと手を叩く。
「ワインか、良いわねそれ。学園に帰ったら一杯やりたいし、どうするギーシュ?」
「別にかまわないよ、何も無しで帰るってのもなんだしね」
「タバサは?」
「・・・問題無い」
「お二人は異論は無いかしら?」
 セラスは笑顔で答える。

「良いですよ、ワインは好きですから。リップさん、良いですよね」
「良いわよ」
 風に揺れる髪を優しく撫でるリップの姿に、セラスは心臓がキュンと震えた。そんな事に気付く訳も無く、キュルケは器を
持って立ち上がる。

「じゃあ決まりね、明日の朝タルブ村に出発よ! それにしても美味しいわね、このシチュー」


その頃、魔法学園ではルイズが部屋に籠って始祖の祈祷書(以後、始祖本と略する)と睨めっこしていた。
食事と入浴と睡眠、それ以外はずっと椅子に座って始祖本と睨めっこ。このルイズ、とても頑張り屋さんである。

「う~ん、なかなか良いのが思いつかないわね」
 腕を組んで、素晴らしい詩を思い浮かべようとする・・・その時、ルイズに電撃が走った!
「そうだ、何かの文面を書き換えて詩っぽくしちゃえば良いんだわ! そうと決まれば図書室に直行!」
 始祖本を掴んで扉を開けて、廊下を全力で疾走。階段を駆け降り、図書館へ突撃。図書委員は不在のため、勝手に入る。
すると、そこで見知った人物に遭遇した。

「オスマン校長?」
 そこに居たのは学園長のオスマンだった。椅子に座って、何やら分厚い本を読んでいたようだ。ルイズに気付くと、席を
立った。
「誰かと思えば、ミス・ヴァリエールじゃったか。何か調べ物かね?」
「はい。詔の詩を考えるのに苦戦してまして、何か参考になる資料が無いかと。オスマン校長は何を?」
「君と同じじゃよ。姫様や偉いさんの前で、喋る事になっておっての。そのために、良い言葉が見つからないかと図書室に
来とる訳なんじゃ」

 ルイズは関心した。普段は秘書に対するセクハラしかしないエロジジイだと思っていたが、やる時はやる人らしい。
学園長が頑張っているのだから、生徒である自分も頑張らなくてはならない。
 始祖本を持たない左手を握り締めていると、オスマンに肩を叩かれた。顔を上げると、オスマンが優しい目で自分を
見つめていた。

「ミス・ヴァリエール、ちょいと肩に力が入り過ぎておるようじゃぞ。肩を回して、リラックスしなさい」
「あ、すいません。姫殿下の事を思うと、つい力んでしまって・・・」
 両型を交互に回すルイズに、オスマンは笑顔を浮かべる。
「それは、お主が友達を大事にしておる良い証拠じゃ」
 そう言うと、オスマンは机に置いてある本を持って図書室を出て行った。残されたルイズは、ボソリと呟く。

「頑張ろう」

 始祖本を机に置き、本棚の前に移動する。フライが使えないため、上の方には手が届かない。下にある本に出来る限り目を
通し、詩に使えそうな材料を集める。
「さて、いっちょやりますか・・・あ、面白そうなの発見」
 目の前にあった『ロードス島戦記』と書かれた本を、ルイズは手に取った。


シチューを食べた次の日の朝、キュルケ達はウィンドドラゴンに乗ってタルブ村に向かっていた。
シエスタの説明によると、タルブ村で生産されているワインは位の高い貴族や軍人も好んで飲んでいるらしい。
魔法学園の食事に出されるワインより値が高い一品と聞いて、キュルケのテンションは2~3倍に高まった。

「楽しみだわ、着いたら真っ先にワインを味見させてもらうわよ」
 子供みたいに騒ぐキュルケに、シエスタはコッソリと笑う。前に座って地表を見下ろしているタバサが振り返った。
「見えてきた・・・」
 キュルケ達は、前方に目を凝らす。その先には、整然とブドウ畑が連なる村が有った。その中の一つの家を指差して、
シエスタはタバサに尋ねる。

「あれが私の家です、近くに降りられます?」
「任せて」
 タバサはウィンドドラゴンの頭を杖で軽く叩き、シエスタの家に降りるよう声をかける。了承を意味する鳴き声を一声
あげると、高度を下げ始めた。その時、シエスタが呟く。

「あれ?」
「どうかしたの?」
 キュルケが問う。
「いえ、自宅の庭に見慣れない物が有ってビックリしまして・・・」
「見慣れない物?」
 キュルケに習って、ギーシュやセラス、リップも庭を見る。そこには、大きな布で覆われた馬車ほどの大きさを持つ物体が
有った。

「雨除けのために、馬車を布で覆ってるんじゃないのかね?」
「恐らく違うわね、平民が使う馬車より遥かに大きいわ」
 ギーシュの予想をキュルケが否定している内に、ドラゴンは地面に着地した。シエスタは一番に飛び降りると、自宅の
扉を叩く。室内からガタゴトと音がして、扉が開いた。出てきたのは、シエスタの父親であった。

「おや、シエスタじゃないか。予定より早く休みを貰えたのかい?」
「そうなの、だから長く家に居られるわ。あ、お客様を紹介するわね」
「こんばんわ。私、トリステイン魔法学園から来ましたキュルケと申しますわ」 
 いきなり現れたキュルケに、父親は驚いた。見ると、他にも四人の客が来ている。娘に目を向けると、シエスタは微笑んだ。

「村のワインを購入したいって、わざわざ村に来てくれたの。まだワインは残ってる?」
 娘の問いを聞いて、父は急いで家に戻って行った。


布が取り去られた物体を、キュルケ達は取り囲んで見つめていた。
全体を漆黒で覆われた物体を、ギーシュやタバサは不思議そうな顔をしながら、見たり触ったりしている。そんな二人の
後ろ姿を、キュルケはコップにワインを注ぎながら眺めていた。そしてセラスは唖然とした顔で、リップは呆然とした顔で、
その物体を見ていた。シエスタが近寄り、心配そうに声をかけた。

「あの、お二人とも大丈夫ですか? これって、何か悪い物なんでしょうか?」
「・・・・・・」
「おい相棒、質問されてるぜ。どうしたんだよ、ヘンテコな物体にボ~ッとしちまって」
 デルフの声に、セラスはゆっくりと顔を右に向ける。シエスタの父親に向けて、たとたどしく尋ねた。
「あの、ちょっと聞きたいんですけど・・・これ、どうしたんですか?」
 キュルケとセラスの胸を交互に凝視していた父親はハッとした顔をすると、思い出すかのように説明を始めた。

「一月ほど前にですね、この物体を馬車に乗せた行商人が村を訪れまして。それで手綱を握る男に『この物体を食糧と
交換してくれないか』と言われたんです。珍しそうな物だったんで、リンゴやワインと交換して・・・そしたら後ろから
狼の耳と尻尾をもった亜人が現われて『何をしとるんじゃ、早くエーブを懲らしめに行くぞ!』と叫びながら男の首を
絞めて言い争いをしまして。それで、あっと言う間に馬車は村を去って行ったんです」

どこかで聞いたような説明に、セラスは何とも言えない気持ちになっていた。そうこうしている内に意識が戻ったのか、
リップは物体に手を触れる。凹みを掴み、横に引っ張る。ガララララ~ッと言う音と共に、扉らしき物が開いた。
中を覗き込み、鼻を抑える。
「リンゴと獣の臭いがするけど、異常は無いみたいね。まさか、異世界で『ドーファン』に再び出会うなんてね・・・」
「リップさんは、これが何か知ってるんですか!?」
 シエスタに顔を向け、リップは物体の正体を明かす。

「この物体の名はAS365、フランスのユーロコプター社が開発したヘリコプター。ドーファンとは、フランス語で
イルカのことよ」
「えーえす? へりこぷたー? え~と・・・」
 脳内が混乱しているシエスタに、セラスが補足する。
「簡単に言えば、空を飛ぶ機械みたいなものです。所でリップさん、何故ヘリの名前を?」
 両腕を左右に広げ、リップは苦笑いで答える。

「理由は簡単、これは私の物だから。ライミーの帝国海軍空母『イーグル』を乗っ取る時に用いたのが、このヘリだからよ!」
「「「「「「な、なんだって~!?」」」」」」
 リップの衝撃の事実に、キュルケ達は大声で叫んだ。





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