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UM☆アルティメットメイジ 第2話


UM☆アルティメットメイジ 第2話 【必殺! キュルケ怒りの一撃!】



【トリステイン学院の秘宝・破壊の杖、確かに頂戴しました  土くれのフーケ】


全ては一枚の手紙から始まった。

トリステイン魔法学院跡地・学院長室の仮設テントには、学院の主だった教師陣、
そして、手紙の発見者である、ルイズ、キュルケ、タバサの3名が集合し、対策を講じていた。

「・・・この手紙に関しては 分からんことが二つ程あるのう
 一つは 人知れずガレキの山から財宝を盗み出しながら なぜ犯行声明なんぞを残したのか?」

「・・・もう一つ とは?」
教師たちの質問に、オスマンが顎をしゃくる。
傍らにいたコルベールが、奇妙な物体をテーブルの上に置いた。

「これは?」

「正真正銘 本物の『破壊の杖』です
 つい先程 ガレキの中から発見しました」

「・・・分からんのはこれじゃ 盗まれたハズの破壊の杖がここにある
 フーケは一体 何を盗んだと言うんじゃ? 
 ただのイタズラか 或いは・・・」

ルイズが胃の辺りを抑える。
呼び出された時から感じていたイヤな予感が、ここにきて急速に具体化し始めていた。

まじまじと破壊の杖を見つめていたキュルケとタバサが、やがて、驚きの声を上げる。

銀色の球体の先端に付いた、アンテナのような装飾。
瞳のように見えなくもない黄色の模様。
ヤジロベーの両腕のような二本の突起物。
そして何より、見る者に即座に男根をイメージさせる、卑猥な形のグリップ。

「UFOマンにそっくり・・・」

「あら? ヴァリエール そう言えばあなたの使い魔は? 
 今朝から姿が見えないようだけど・・・」

「・・・・・・・」

「・・・間違いあるまい 賊は破壊の杖と勘違いして
 ミス・ヴァリエールの使い魔を盗み出してしまったようじゃ」

予想のナナメ上を行くバカバカしい展開に、教師一同が一斉にズッコケる。

沈痛な面持ちで肩を落とすルイズ。
杖と間違われて盗まれる使い魔、そしてまんまと使い魔を盗み出される主人。
二人のヒストリーに、また一つ、新たな伝説が加わった瞬間であった。

「・・・と 言う事でじゃ ミス・ヴァリエール」
「ハ ハイ!」

「フーケの潜伏先はミス・ロングビルが既に突き止めておる
 ここは自己責任ということで 自分で使い魔を取り戻してきてくれんか?」

「・・・はっ?」
あまりに無茶な指令に、ルイズの目が点になる。
だが、教師達はやれやれといった感じで次々と部屋を出て行く。

「そ そ そんな! いくらなんでも私一人じゃ」
「大丈夫」
コルベールが本物の破壊の杖を手渡しながら言う。

「秘宝と使い魔を取り違えた事を一番バラされたくないのは フーケ本人だからね
 運悪く鉢合わせになったとしても 話し合いで穏便に解決できるハズさ
 何だったらこれを持って行って交換してもらいなさい
 まあ コレ自体 実は学院長が悪質な業者から掴まされた二束三文のガラクタ
 破壊の杖とは名ばかりのイミテーションなんだがね」

「・・・・・・」

二束三文のガラクタを手渡して、悪名高い賊とナシつけてこいという教師陣。
どう考えても普通じゃない。

だが、それも無理からぬ所であった。
先の爆発事故で壊滅的な打撃を受けた魔法学院、その再建のメドは未だ立っていない。
アカデミーは査察に来るは、親御さんからは突き上げをくらうはで、職員達はてんやわんやなのだ。
生徒の使い魔探索なんぞに人手を割いている場合ではなかった。

「学院長 でしたら私も同行しますわ」
「・・・私も」

「キュルケ・・・ それにタバサも!」
意外な申し出に対し、目を丸くするルイズ。

「ま ヴァリエールのこまっしゃくれにマトモな交渉が出来るとも思えないしね」
「・・・心配」

何気ない態度を装う二人だが、底にある同情の色は隠せない。
本来なら、ルイズに殺されかけた二人が、彼女に協力する義理など無いのだが、
今のルイズに一人で罰ゲームのような冒険をさせるのは、真実を知る者として、あまりにも気まずかった。

「うう・・・ ありがと ふたりとも」

例えるならば、隠された上履きを友達に探してもらっているイジメられっ子のような気持ち。
安堵感とみじめさが溢れ、ルイズはちょっとだけ泣いた。


学院から、馬車で揺られること四時間。
フーケの潜伏する小屋は、うっそうと生い茂る森林の中にあった。

「私は外を見張るわ
 ふたりは中に入って アイツを探してきて」

「え? でも UFOマンはアンタの・・・」

抗議しかけたキュルケの肩を、タバサが叩く。
ハッとキュルケも気づく。眼前のルイズの瞳は、爆発寸前の狂気の色を孕んでいた。
ここで迂闊に両者を再会させようものなら、新たな惨劇を引き起こしかねないだろう。

「ハァ・・・ 分かったわ 何かあったらすぐに呼びなさいよ」

大きくタメ息をつきながら、二人が小屋の中へと消えた。



『おお! 助けに来てくれたのか 二人とも!』

小屋に入った直後、眼前に飛び込んできた醜態に、ガックリと肩を落とすキュルケ。
タバサはいつもの無表情で、部屋の中央を見据えている。

『ナニをガックリきているんだ! さあ 早くコレをほどいてくれ』
乗り物ごと亀甲縛りされていたUFOマンが、宙吊りになった体をブンブン揺すって抗議する。
ルイズがこの光景を目の当たりにしていたら、果たしてナニが起こっていただろうか?

「アンタ・・・こんな所でなにやってるのよ」

『だって キレイなお姉さんが イイ事をしないかって・・・
 ううっ 悔しいけど ボクも男なんだな・・・』

「キレイなお姉さん?」
荒縄をほどきながら、キュルケが聞き返す。

『ああ 女は魔物だ』
「まさか 土くれのフーケって・・・」

「キ ャ ア ア ア ァ ア ァ ァ ア ア ! !」

突如、絹を裂いたかのようなルイズの悲鳴が、室内に響き渡った。


外からルイズの悲鳴。そして、断続的に室内を襲う地響き。

「この揺れ・・・ ゴーレム!」
「フーケね! 行くわよタバサ」
『待ちたまえ!』

即座に気持ちを切り替え、外に飛び出そうとする二人。
その前に、UFOマンの小さな体が立ちふさがる。

「どきなさいよ! 早くしないと ルイズが」

『策も無く 迂闊に飛び出すのは自殺行為だ!

 タバサ君に聞こう 少なくともトライアングルクラス以上の実力者が作り出したゴーレムに
 同格の火と風のメイジが立ち向かった場合 どれ程の勝算があるんだい?』

「・・・!」
UFOマンの意外な博識ぶりに、タバサが返答に詰まる。

土のメイジに対する最も有効な戦法、それは、先手を取る事である。
錬金せよゴーレムにせよ、土のメイジは、とっさの事態に対応できる術を持たない。
だが、それは逆にいうならば・・・

「・・・いったんゴーレムが完成してしまえば 同格のメイジにまず勝ち目は無いわ
 後は 臨機応変に立ち回って 勝機を探すしかない・・・」

「・・・タバサ」

『ウム・・・ そ こ で  だ !!』

「・・・ッ!!」

『おごおおおおおおッ!?』

UFOマンが股間の物干竿を伸ばそうした刹那、見えざる空気の鉄槌が生じ、地面に叩き伏せられた。
身の危険を感じ取ったタバサの本能が成した、脅威の一撃だった。

『な・・・ 殴ったね! 親父にもエア・ハンマーでぶたれた事は無いのに!?』

「つい」

『分からないのか!? このピンチを救えるのは【イーヴァルディマン・P】しかいない!
 ルイズが側にいない以上 私のパワーを受け取った君が 合体 するしかないのだ!』

「うっ・・・」
『さあ! 早くコレを握るんだ!!』

歴戦の少女をも怯ませる迫力で、超人がジリジリと迫る。
今の所、彼の言葉は全て正論である。
ただちょっと目がイッちゃってて、竿の動きが卑猥なだけだ。

やがて、覚悟を決めたタバサが、恐る恐る右手を伸ばす。
―と、

「このっ! セクハラ超人ッ!!」
『ぐっハアアアァァァ!!!』

キュルケの右ストレートを受け、UFOマンが勢い良く壁に叩きつけられる。

『に・・・ 二度もぶった!?』

「五月蝿いわよッ!!
 アンタのパワーで蘇ったのは、ルイズとタバサだけじゃないわ
 あのゴーレムは 私がやってやる!!」

キュルケは萎縮しかけたUFOマンのソレを力強く握りしめると、高らかと掲げた。

『や やめろ! 無茶だキュルケ! キミでは使いこなせるワケがアッー!!
 ら らめぇ!! もっとソフトに・・・』

「イクわよッ! 変し・・・キャッ! フレイム!?」
主の一大事を感じ取ったのか、使い魔のフレイムがその背にのしかかってくる。

直後、閃光が二人と一匹を包む。
背後のサラマンダーがじょじょにスライム状となり、白濁のエネルギーと共に体内へ取り込まれていく。
上着が勢い良く爆ぜ、たわわな果実がふたつ、ボギューンと飛び出し、次いで全身が急速に膨れ上がる。
健康的な褐色の肌が、燃えるような真紅のボディスーツに包まれる。
重量感溢れる見事なヒップから、巨獣の尻尾がズズズと生える。

親友が超重量級の巨神に変化する様を、タバサは呆然と見つめ続けていた・・・。


ゴーレムの暴虐から逃げ惑いながら、ルイズは己の迂闊さを呪い続けていた。
フーケ悪名の高さを警戒しつつも、問答無用で襲われる事態を想定していなかった。
早々にUFOマンと合流していれば、少なくとも一方的に攻撃を受ける事は避けられたハズ・・・。

(いや・・・ 仮に変身して立ち向かった所で
 待ち受けているのは 生き恥か死に恥の二つに一つ
 あんな恥をもう一度晒す位ならいっそ生身で人間らしく死んだほうがマシ・・・

 でも ゴーレムに踏み潰されるのが 人間らしい死に方と言えるのかしら?
 うう・・・ 名誉どころか 世界でもトップ3に入るくらいのイヤな死に方のような気がする
 惨死か、生き恥か、死に恥か、ハナから私にはろくな選択がなかったという事なのね・・・?)

「下がりなさい! ルイズッ!」

疲労と鬱で思考がワヤになっていたルイズの耳に、聞き覚えのある声が響く。
直後、ボロ小屋の屋根がドウッと吹き飛び、真紅の巨神が飛び出してくる。

「トァッ!」

巨体が空中で一回転し、力強く着地する。衝撃で大地が震える。

「ま まさか キュルケ?」
「すっこんでなさい ルイズ アイツは私がやるわ」

ずん、ずん、と大地を揺るがし、キュルケがゆっくりとゴーレムに迫る。
やがて、キュルケの瞳に、ゴーレムの肩に乗る女性の姿が飛び込んでくる。

「ミス・ロングビル・・・?
 なるほど・・・ アナタが『キレイなお姉さん』ってワケね」

「驚いたのはこっちの方だよ
 お宝の正体が 巨人に変身出来る力を秘めたインテリジェント・スタッフだったとは!
 流石 【破壊の杖】 と呼ばれるだけの事はあるねぇ」

「ハァ? アンタまだ勘違いしてたの?
 いい? コイツは破壊の杖なんかじゃなくって・・・」

「しらばっくれるのはよしなよ!
 どの道こっちは 杖の使い方を力づくで聞き出すつもりなんだからさ!」

ある程度予想のついていたことだったが、両者の会話は全くかみ合わない。
もっとも、『使い魔が宇宙人』などと言う戯言は、当事者でなければキュルケも信じなかっただろうが。

『押し問答をしているヒマは無いぞ キュルケ』
「わかってるわよ 聞きわけの悪い年増には・・・」

『 狼 牙 風 風 拳 ! ! !』

「しないわよッ!」

UFOマンの意味不明のボケに短くツッコミつつ、キュルケが大地を蹴る。
百戦錬磨のフーケではあったが、まさか、ゴーレムを上回る巨体が疾走できるとは思いもよらなかった。
キュルケの奇襲を前に、咄嗟にゴーレムの両腕を上げ、亀のように守りを固める。

「もらったああああッ!!!」

ぺちぃ

貧相な打撃音が周囲に轟き、蚊も殺せそうにないほどの渾身の一撃が、ゴーレム相手に炸裂する。
あまりの威力(の無さ)に、攻撃を仕掛けたキュルケ自身が、思わず拳を見つめる。

「・・・へっ?」
「ふっ・・・ フハッ なんだい!? お遊戯のつもりかい?
 ほれッ! 足元がお留守になってるよ!」

呆然とするキュルケの内股を、ゴーレムが強かに蹴り上げる。
キュルケは大きくバランスを崩し、次いで繰り出されたショルダータックルを、水月にモロに受けてしまう。
衝撃で大きくぶっ飛び、ごろんごろんと5回転し、無様なM字開脚で倒れこんだ。

「ぐっ・・・ なんで? パワーが上がらない・・・」
『イカン! キュルケ もう時間が無い!?』
「うそ!? いくら初めてだからって早すぎるわよ!?」
『悔しいけど ボクも男なんだな・・・』

不幸は最悪のタイミングで重なるものである。
イーヴァルディマン・P出現の噂を聞きつけ、周囲にはいつしか人だかりが出来つつあった。

「見ろ! コルベール君 やはりイーヴァルディマン・Pが闘っておるぞ!
 イーヴァルディマン・Pの出現は フーケの存在と関係があるのではないかと思い直し
 PTAやアカデミーの査察をドタキャンして 後を追いかけてきた甲斐があった!!」

「見事な慧眼です! でもなんで説明口調なんです? 学院長」

周囲の喧騒を耳にしながら、チッと、フーケが舌打ちする。

「なんだかややこしい事になってきたね このまま一気にキメさせてもらうよ!」

フーケの叫びを合図に、ゴーレムが高々と飛び上がり、全身を使ったフライング・ボディプレスを浴びせかける。
二度に渡る水月への攻撃でグロッキーとなったキュルケを、そのまま上から押さえつけていく。
キュルケのスーツが徐々に破れだし、はだけた胸元から、けしからんおっぱいが自己主張を始める。

「どういう事・・・? 体格でルイズに勝る私が 格下のゴーレムに圧倒されるなんて・・・!?」

『だからヤムチャ・・・無茶だと言っただろう! 
 この姿で闘うには 君には【M.O.E】が絶対的に足りないのだ!!』

「え? えむ おー いー?」

『【M(見ちゃいやん).O(乙女).E(エナジー)】だ!
 イーヴァルディマン・Pは イヤ~ン! 見ちゃダメ~! という
 乙女の恥じらいをエネルギーに変えて闘うのだ!
 キュルケ! 君はMOEを使いこなすには上級者過ぎる!!』

「ハアッ?」

『分からないか!! キュルケ!?
 ゴーレムに押し倒され 衆人の前でおっぴろげ寸前という
 絶体絶命のシチュエーションすら 君は心のどこかで楽しんでしまっているのだ!
 そんな事ではMOEは溜りはせんッ!』

「 !? んなッ!? そ そんなワケッ!!」

図星だった。
自身でも自覚の無かった性癖を異星人に暴露された恥辱で、キュルケの顔が真っ赤に上気する。

「フッ フザけんじゃあないわよーッ!!」
直後、キュルケの怒声と共に灼熱の炎が口から噴出し、ゴーレムの全身を包む。
土くれ相手には効果が薄いが、生身のフーケには堪らない。

「わっちゃあああああ!!! 水ッ! みずぅ!!
 ゴーレムッ! 退却! たいきゃーっく!!」

ドタバタとあちこち走り回った挙句、近場の池にダイブするゴーレム。
巨大な水柱が立ち上がり、ドジュウッと大量の蒸気が発生し、水滴がスコールの如く降り注ぐ。

「ハァ ハァ・・・ 助かったわ ありがとうフレイム」
体内にいる忠実な使い魔に声をかけるキュルケ。

『限界だ キュルケ MOEの無い君では・・・』
「逃げろっての? 冗談じゃあ無いわ」

なかばヤケクソになったキュルケが、ようやく池から這い上がってきたゴーレムを睨みすえる。

「MOEだか何だか知らないけどねぇ!
 あんなヤツ! あたしの『燃え』でブッ飛ばしてやるッ!!」

キュルケが右手をかざす。
既にスーツはブラジル水着状態と化しており、
胸部のヒモに至っては、ふたつのポッチの張りだけで保っているというギリギリっぷりだが、今の彼女には関係ない。
やがて、彼女の指先が奇妙な輝きを放ち始めた。


「あれは・・・ 魔法!? 知らないわ あんなメチャクチャな詠唱!
 それに キュルケは杖すら持っていないのに・・・?」

キュルケの異常な魔力の高まりに対し、ルイズが驚愕の声を上げる。
俯いて何事か考え込んでいたタバサが、何かに気づいたようにハッと顔を上げる。

「合体! 杖型の異星人と合体したことで
 魔法を生身で よりダイレクトに使いこなす事が可能になったんだわ!」

「そ そんなバカな・・・」

だが、現実はタバサの推論を裏付けていた。
キュルケのアツい詠唱に合わせ、魔力の集中した右掌が光ったり唸ったりしている。

「私のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶゥ!!」

『こッ!? これはまさか!? 【裏M.O.E】なのか・・・!?』

「こ こ こ こけおどしだ!! やっちまいな! ゴーレム!!」
主の叫びを受け、ヤケクソ気味にゴーレムが突っ込む。

「ばぁぁぁぁぁくねつッ・・・!!」
キュルケが大地を駆ける。輝き放つ神の指先がゴーレムを捉え、ブ厚い装甲をズギュウゥゥンと貫く。
痙攣するゴーレムを手元に引き寄せ、そのまま右手一本で天高く掲げる。

「ヒィイィィトォ エンドッ!!」
最後の詠唱が完成し、指先から放されたエネルギーの炸裂で、ゴーレムの全身が爆散した。

「おのれえええ!! 月の無い晩には気を付けなさいよォォォォォ!!!!」

爆発であられもない姿を晒したフーケが、物凄い負け惜しみを吐きながら星となった。

劇的な幕切れに、そして、超人の(ゲルマニア人的な意味での)大胆な活躍に、ギャラリーの興奮が最高潮に達する。
非常にウザったそうにその様を眺めていたキュルケだったが、
ふと何を思ったのか、観衆に向けて投げキッスを放った。
口元から放たれた魔力は、空中でハート型の火球を形成し・・・

「ぎ ゃ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! !」

フーリガンと化しつつあった観衆を直撃した。


「こっちです 学院長 ここから小屋のほうを見てください」

コルベールが、包帯で着膨れしたオスマンらしき物体を呼び寄せる。
学院長・オスマンは先の火災騒ぎで重傷をおった数少ない(ry

「・・・ホラ ご覧ください 
 どうやらアレが 彼女たちの本当の名前のようですね」

「ふむう・・・」
しばらく首を捻っていたオスマンだったが、やがて、重い口を開いた。

「・・・イーヴァルディ・【マンP】の方が良い名じゃったと思わん? コルベールくん」
「・・・・・・・」

小高い丘の上から見下ろした森林地帯
そこには、先の投げキッスで生じた傷跡

【アルティメット・メイジ 参上!!】

の焼印が、ハッキリと刻まれていた。


「ちょっとキュルケ 何よ【アルティメット・メイジ】って?」

『そうだそうだ イーヴァルディ・【マンP】に愛着は無いのか』

「アンタは黙ってなさい!!」

魔法学院に戻る風竜の背の上。
三人の少女の間には、ようやく普段の空気が戻りつつあった。

「あら なかなか良い名前だったと思わない?
 これからも放送禁止用語みたいな名前を叫ばれるなんて ゾッとするでしょ」

擦り寄ってくる使い魔の喉元を撫でながらキュルケが言う。

「『これからも~』? アンタ 今後も変身するつもりなの?
 私はもう ゼ~~~~~~~ッタイ! やらないからねッ!!」

「まっ アナタの場合 人様に見せられるようなモノじゃあ無いからね」

「なッ!! なんですって~~!
 もういっぺん言ってみなさいよ! この露出狂ッ!!」

「ふっふ~ん♪ ぺったん ぺったん つるぺったん♪」

「ムキィーッ!!!!」

他愛のない、本当にありふれたいつもの光景。
キュルケの文字通り体を張った友情により、ルイズはようやくいつもの調子を取り戻しつつあった。

しばらく二人のやりとりを眺めていたタバサだったが、やがて、ふうっと大きく息をつくと、
読みかけだった書物のページへと目を戻した。

「・・・な~に 他人事みたいな顔してんのよ・・・ 順番的に 次はアンタの番なんだからね・・・」

突如、背後から耳元に響いてくる、ルイズの呪詛のような呟きに、タバサの体がピクンと跳ねる。

「私たち トモダチよねぇ~ タ バ サ・・・」

額に脂汗がじっとりと滲み、心音が半鐘のように高まる。

あくまで平静を装いながら、タバサは震える指先でページをめくり続けた。



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