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ルイズの魔龍伝-08


8.品評会、その裏で

澄み切った朝の空気はゼロには涼しいぐらいであった。
広がる平原の中、抜き身のデルフリンガーを構え相手と相対するゼロ。
「相棒…次の一撃で決まるな」
「あぁ」
涼しい空気の心地良さも、顔を伝う汗の感触も今のゼロにはいらない。
その全神経を目の前に集中させ全ての意識を相手へと収束させる。
一秒が一時間にも感じられるような時の流れの中、先に動いたのはゼロであった。
「うぉぉ――――――――っ!!!!」
デルフリンガーを振りかざし相手へと飛び掛るゼロ、錆の残る刀身が朝日を受けて眩い光を放っていた。

………


景気のいい音と共に最後の薪が綺麗に真っ二つに割れた。
「うりゃぁ!」
すかさず二撃目を加え、綺麗に二等分された半円の薪がさらに半分になり四等分されたのであった。
ゼロの後ろには今朝から割った薪がうず高く積まれている。
「よし、これで今日の分の薪は用意できたな」
「相棒ォ~…」
割った薪を手早く縄で括っているゼロに悲しげな声でデルフが語りかける。
「俺っちは薪割り用の鉈とか、オンボロになったから薪割りで余生を送る斧じゃねぇのよ?
国を襲い民を苦しめる凶悪な魔物とかさ、その力で破壊を巻き起こす悪のメイジとかささ……
もっと斬るべき相手ってのがいるんじゃねぇのかって話よ!」
「ふむ……遠くの山にかさ雲がかかっているな。
そのうち雨が降るとなると、シエスタに言っておいたほうが良さそうだな」
その悲しい語りも何処吹く風、ゼロは空を仰ぎ見て天気の事を気にかけていた。
「聞いてよ俺っちの話!!」
「あぁスマンスマン、聞いてるよ」
「じゃあ分かって剣たる俺っちの叫び!!」
まとめた薪を背負い、デルフリンガーを鞘に収めてヴェストリの広場を後にしながら
ゼロはデルフリンガーの訴えを聞いていた。
「今日はお前を使って薪割りをやってみたが、思った程切れ味は落ちて無いな。
これなら十分あの鉄剣とタメを張れるぞ、良かったなデルフ」
「じゃあ斬ろうぜ相棒!西へ東へ相手を求めどこまでもっ!」
「それじゃあお前が何者なのか、どうして外見を分からなくしていた俺を人じゃないと見破ったのか、
そしてお前の言う“使い手”とはなんなのか、正直に話してもらわないとな」
「え、え~っとだな…」

「やっぱり忘れてて思い出せねぇや!悪ぃな相棒!!」

「なら駄目だな、諦めろ」
「くぅっ…ひでーやもう…」
この小うるさい剣が来て二日、ゼロとデルフリンガーの間にこんなやりとりが度々あった。
何がしらあるとはゼロも感づいてはいるものの肝心のデルフリンガーがこんな調子なので
ゼロの疑問は一向に解決していなかったのだ。
「あっ、あの風竜とかデケェしちょうどいいぜ相棒!!
ちょっとぐれぇ使い魔が減っても問題ねぇや、やっちゃおうぜ!!」
「きゅ…きゅいきゅいきゅいーっ!!??」
朝のひと運動なのか、先ほど森から飛んで来たシルフィードにとってその発言は寝耳に水であった。
荒げたような鳴き声になってゼロへと近寄るシルフィード。
「俺に何するんだぁー!!た、助けてくれ相棒ーっ!!」
「今のはお前が悪い、平和な世界の空を暫く満喫して来れば考えが変わるんじゃないかな」
シルフィードは器用にゼロの右肩鎧に刺さっているデルフリンガーの柄を咥えると、それを引き抜き
そのままデルフリンガーと共に再び空へと飛んでいった。
「おーいっ!それは俺の武器だから壊さない程度に遊べよーっ!!」
朝日が眩しい青空に、ゼロの声とデルフリンガーの悲鳴ががこだました。

一方のルイズはというと、まどろみの中夢を見ていた……


またルイズは黒い龍に乗って雷雲の中を突き進んでいる。
「まただ…私は何処へ行くの…?」
行き先も分からずそのまま飛び続けていると雷雲の向こう側が光を放った。
それは段々と輝きを増しながら、形を表しながらこちらへと近づいてゆく。

龍、それは三つ首の黄金の龍だった。

黒い龍に乗ったルイズの目の前へとやってくるとその三つ首龍は悠然と語り始めた。
「少女よ…目覚めるのだ…“聖なる心”に……」
「聖なる心?」
「正義の為に…怒れ…その心……雷……剣に……力…を…与………」
「良く聞こえないわ!あなた、何て言ってるの!一体誰なの!?」
「我…名……スペリオ…ル……」
しかし次第にその三つ首龍の輝きは失せ、その実体も透け始める。
「何者…干渉………少女よ……聖龍の……みちび…」
「ちょ、ちょっと!勝手に喋って勝手に消えるって何なのよ!」
「スペリオル!」

その言葉と共にルイズはベッドから跳ね起きた。
外から鳥のさえずる声が聞こえ、窓から差し込む朝日が部屋を柔らかい光で満たしている。
「夢?」
寝起きのぼんやりした頭脳が先ほど見ていた夢を反芻する。
しかし、意識が覚醒するにつれ段々と見ていた夢の内容を詳細に思い出せなくなった。
覚えているのはスペリオルという名の黄金の龍が自分に何かを語りかけて来たという事だけ。
「…変な夢」
そして、いつものように起きて身支度をするルイズであった。

「品評会?」
「そう、今日は二年生が新しく召喚した使い魔をお披露目する会があるのよ。
近郊の貴族や城から王族が来る由緒正しい行事なの。もちろんガンダムも出なきゃいけないわよ」
「俺の剣は見せ物じゃない、そういうのは俺抜きで勝手にやってくれ」
「何よ、アンタは私の使い魔なんだからケチケチしてないでおとなしく出なさい!
あの凄い雷を出せば絶ッ対に優勝するわ!ご主人様の名誉を回復するいい機会なのよ!」
「断る!つまらん欲の為に振るう剣は無い」
ゼロと共に朝の食堂へ向かう最中の出来事であった。
一部生徒が集まった決闘よりは全校行事の品評会ならより多くの人間に認めてもらえると
ルイズは熱心にかつ一方的にゼロを説得していたものの、とうのゼロはそういう理由で雷龍剣を見せるのを嫌い
けんもほろろにルイズをあしらい「出ろ」「出ない」とルイズと言い争いになっていた。
「なーんじゃなんじゃ、朝からつんけんしとると朝食もまずくなるぞい」
「お、おはようございますオールド・オスマン!」
「あぁじいさんか」
言い争いをしているルイズとゼロの後ろからすっとオスマンがやってきた。
突然やって来たオスマンに慌てて挨拶するルイズと、その姿を認めても慌てる事無く挨拶を交わすゼロ。
「ちょっと!オールド・オスマンはここの学院長なんだからちゃんと挨拶しなさいよ!
申し訳ありませんオールド・オスマン!」
ゼロの後ろに回って無理やり礼をさせようとゼロの頭を押すルイズの姿を見て微笑ましくオスマンは語りかけた。
「よいよい、その品評会の話じゃが朝食の後にワシの所へ来てくれんか?」


「品評会は…出なくていいん……ですか……」
「うむ、ゼロガンダム殿は何せこの世界では例外的な外見と能力を持つからの。
王族や近郊の貴族が集まるあの場で能力や姿を晒せば、アカデミーが動く可能性もある。
ミス・ヴァリエールや、そこは承知してくれんか?お主とてゼロガンダム殿が連れて行かれるのは不本意じゃろう?」
朝食後の学院長室、ルイズとゼロの目の前には机に腰掛け頬杖を付いたオスマンがいた。
「これはまた物騒な話題だな」
「そうとも、王立の研究機関ではあるがその研究のためには手段を選ばない連中じゃ。
ゼロガンダム殿ほどの手錬の者なら彼奴等にやられはせんとも、手に入れるためなら何をするかは分からん」
残念な顔をするルイズではあったものの、アカデミーが絡む可能性があるとなると反論のしようが無い。
ルイズもアカデミーの怖さは噂で聞き及んでいるが、何より苦手な長姉がそこに勤めているのが一番恐ろしかった。
ゼロを捕らえようとするならまずこの長姉が飛んで来るに違いない。
「分かりました…私達はその間どうしたらいいでしょうか?」
「ゼロガンダム殿を品評会の間姿を見せないようにするだけでええ。
ミス・ヴァリエールは品評会に出席しても良いのじゃが、まぁ使い魔がいない以上
やる事もなかろうから欠席でもええわい。教師達にはミスタ・コルベールを通じてワシから上手く言っておく」
「しかし…私も一応公爵家の娘です、出ないとなると実家の方にも話が及んで何か迷惑が……」
「ほっほっほ、なーに心配はいらんて。今はアンリエッタ女王陛下がゲルマニアへ訪問しとる最中じゃ。
主要な王族はそっちに出払っとるし、話題もそっちの方にしか関心がいかんじゃろ」
その言葉を聞いたルイズの顔が少し暗くなった。
「アンリエッタ王女が…ゲルマニアへ……ですか?」
「うむ、じゃから今年の品評会に女王陛下は出席せん。今年は幾分静かに会が進行するじゃろなぁ」

魔法学院中央の本塔と、それを中心とした正五角形の頂点に位置する五つの支塔。
その支塔の区切る一角に置いて使い魔の品評会は開催されていた。
注目の集まる壇上にいるのはキュルケとフレイムである。

「フレイム!」
「きゅる!」
キリッとした声でフレイムを呼ぶとキュルケと同じ様に短く、力強く鳴いたフレイムが炎を吐いた。
口を閉じた状態で放たれた為わずかに隙間のある口の両端から勢い良く炎が噴出する。
しかしそれは前へ向かって絡み合い、まるで二重螺旋のような軌跡の炎を描いた。
「はいっ!」
キュルケが再びを掛け声を掛けると螺旋状の炎がぐねぐねと動きハートの形へと変化していった。
この炎には観客や招待された貴族からも拍手が起こっていた…が
いちいちキュルケが動いたりポーズをとるたびに彼女の胸が揺れていたので
フレイムというよりはキュルケに拍手しているような者もちらほらといた。
オスマンに至ってはスタンディングオベーションという始末である。

しかし、その隣にはいつもいるはずの秘書であるロングビルの姿は無かった。

続いて現われたのはギーシュである。
しかし壇上には彼一人だけであり使い魔の姿はどこにも見当たらない。
一人立った彼は生徒達観客へ素早く視線を滑らせ、一人の女生徒の姿を見つけ出す。
「見てるかいモンモランシーッ!!今日の舞台は君に捧げるよぉ~~ッ!!!」
そう声を張り上げモンモランシーのいる方へと自分の杖でもある薔薇の造花を向けるギーシュ。
あちこちから失笑がこぼれる中、そのモンモランシーはというとすっかり顔を赤くして強張った表情をしていた。
「あンの…馬鹿…っ!」
「フヒヒお熱いねぇモンモランシー」
「うるさいわね微笑みデブ!」
「はがっ!」
丁度モンモランシーの隣にいたマリコルヌがからかったが、モンモランシーが即座に
その顔面に肘鉄を打ち込んだ。

「さて…では僕の使い魔をご紹介しましょうか………ヴェルダンデ!」
その言葉と共に壇上手前の地面がぼごっと盛り上がり、そこから何かが勢い良く跳ね出してきた。
まるで川魚が水面から跳ね上がるようである。
ギーシュがレビテーションを細かくかけながらそれを上手く壇上に落ちるように調整すると
重量のある衝撃音をさせながらそれは壇上へと落下した。
「も゙っ」
それは、1メートルほどの大きなモグラだった。鼻をヒクつかせながら静かにひと鳴きする。
「ジャイアントモールのヴェルダンデです!以後、お見知りおき願います事を!」
「あー…自己紹介はそれぐらいにして、使い魔の技巧を見せてくれんかね?」
「技巧?僕のヴェルダンテはその存在そのものがまさに始祖ブリミルの作りたもうた精緻な技巧なのです!
いいでしょうかオールド・オスマン、この毛並みはまさに乙女の持つ艶やかでいてコシのある髪そのもの!
並みいる土を掻き分け突き進む事の出来るこの手は大地に根ざす力の象徴!
そして見てくださいこのつぶらな瞳!純粋なジャイアントモールの心を写すようではありませんか!」
オスマンに、いや、この会場にいる者全員に伝えようと声を張り上げつつ手を振りつつ
ヴェルダンテの魅力を語るギーシュ、よもやその勢いはそう止まりそうに無かった。
「馬鹿…あれは本当の馬鹿だわ…」
「ゲコ」
教師達によるレビテーションで使い魔共々壇上から強制的に下ろされるギーシュを見ながら
モンモランシー、そして手の上にちょこんと乗っている彼女の使い魔であるカエルのロビンは共に
心底飽きれていた。

同時刻、品評会を行っている区画の隣の区画…の片隅

「ファイアボール!」

呪文を唱えるルイズの振るう杖が椅子の上に置かれた石ころに向いた瞬間、石ころが炸裂した。
幸い、シュヴルーズの授業でやった時よりは十二分に距離はとっており
風上に立って行ったため立ち上る黒煙もルイズとは逆の方向へと流れて消えていった。
横に山と積んである石の一つを手に取るとまた椅子に置きファイアボールとは違う呪文を唱える。

「レビテーション!」

やはりその石ころも炸裂した。

「錬金!」

三回目の呪文も失敗し、とうとう台の椅子の方が耐え切れずに崩れてしまった。
「うぅ…基礎中の基礎の呪文でもやっぱり駄目じゃないのよ……」
「大丈夫ですよ、ヴァリエール様ならきっと上手く出来ます!
ワインだってすぐ樽から出すよりも長い間寝かせておいた方が美味しいじゃないですか!」
換えの椅子を持ったシエスタがルイズの元へやって来る。
「言うのは簡単だけどねぇ……あと、そのヴァリエール様ってのこそばゆいから、ルイズでいいわよ」
「えっと…ル、ルイズ様…で」
「それも実家のメイドみたいで堅苦しいわね…ルイズさん、でいいわ」
「分かりました…えー…ルイズさん」
「うんうん」
しっくり来たといわんばかりの顔でうなずくルイズ。
「でも、メイドの仕事もあるのに手伝わせちゃって悪い気がするわね」
「いえ…それなら私の仕事を引き受けてくれたゼロさんに…」
「いいさ、彼女がしたいって言ったなら俺も異を唱えんよ」
そう言っているゼロは、本来やるべきシエスタの代わりに洗濯物であるシーツを干していた。
朝と違い、右肩鎧のデルフリンガー以外にも腰にも買った鉄剣を差している。
ゼロとしては何か知っているような素振りをしているデルフリンガーが気になるのだが
『私がお金を出したんだから、そんなボロ剣じゃなくてこの私の選んだ鉄剣を使いなさいよ』
とルイズが頑として主張するので彼女と居る時は腰に渋々差しているのである。
ちなみにこのデルフリンガー、今朝の事もあって洗濯物を干すゼロのこの様子には閉口気味であった。
「俺の相棒が…早くも遠ざかってゆく……くぅっ!」
「しかしルイズは出なくて良かったのか?俺があの場に居ないだけでいいってオスマンの爺さんも言ってたのに」
「いいわよ、やる事ないし女王陛下も来ないんだったらわざわざ出る必要なんて無いわ。
だからこうやって魔法の練習をしてるんじゃないのよ。さ、もう一回やるわよ」
ルイズはまた石ころを椅子に置き、呪文を唱え始めた。


更にそのまた隣の区画

ここには本塔の前に佇んでいる何者かを除いては誰もいない。
その何者かは誰か分からないぐらいに目深にを被り、本塔の壁に手を当てていた。
「材質こそ普通の煉瓦だけど…宝物庫のある階だけは念入りに固定化が掛けられていた…。
スクウェアクラスの固定化を多重にかけてちゃあ錬金で破るのは無理…とすると」
懐から杖を取り出すと呪文を唱え、自分の立っている地面へ杖を向けた。
「物理的に破壊か…でもこの壁、馬鹿にぶ厚いのよねぇ」
地響きと共に、立っている地面が隆起していきそれは巨大な土の巨人――ゴーレムを形成した。

「ま、三獣の武具の為、とにかくやっちゃいましょうか!」

ゴーレムの握り拳が、唸りを上げて宝物庫の壁へと激突した。



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