あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

無から来た使い魔-9


 ルイズ達が町で買い物をしてから数週間がたった。

 朝、バッツはいつもの日課として生徒達が起きてくる前にテントから出るとルイズを起こしに行く。そしてルイズをノックで起こした後、
二人で食堂に行き彼は彼女の給仕を務める。ルイズの給仕をする時に時々キュルケが彼に給仕を頼む事もあるが、
大抵はバッツは特に気にした様子を見せずにキュルケの給仕も勤めてしまう。
この時ルイズがキュルケの存在に気づかなければ、特に問題なく食事を終えるのだが、
キュルケの存在に気がついた場合は、バッツを叱りつつキュルケに食ってかかり、ちょっとした騒動になる。
その騒動は、ルイズがキュルケに言い包められ、悔しがった後バッツにもうキュルケの給仕をしないように注意して終わる。
もっとも、バッツは頼まれると断れないため、この注意にあまり意味は無い。彼女達の食事が終わると、バッツは厨房へ行きマルトー達と共に食事をする。
 バッツが朝食を食べる頃には、ルイズたちの授業が始まるため、バッツは食事の後、2時間目の授業が始まるまでは薪割りやシエスタの手伝いなどをして時間を潰す。
 そして2時間目の授業からルイズの隣に座り一緒に授業を聞く。時々休み時間などに、自称キュルケの恋人がバッツに襲撃をかけるが、【とんずら】【煙玉】で逃げたり、
巧みに【隠れて】やり過ごしている。
 なお、このときの光景を他の生徒達はバッツが逃げ切るか、相手の生徒達が追いつくか賭けをしていたが、
毎回バッツが逃げ切るため、賭けの内容が、追いかける生徒がいつ頃教室に戻るか? に変り、さらに最近ではバッツを捕まえた人に賞金が出るようになっている。
 予断だがタバサとキュルケもこの賭けに参加しており、毎回バッツが逃げ切る方に賭けているらしい。

 昼食や午後の授業も午前中とほぼ変わらない。そして一日の授業が終わるとバッツはルイズを部屋まで送った後、テントへ戻る。
テントに戻ると、まず学校での逃亡劇でチキンナイフの切れ味がどれくらい上がったか確認をする。
嫉妬に狂った暴徒から逃げるのはチキンと認識されにくいのか、切れ味の上がりはあまりよくない。切れ味の確認が終わると他の道具の手入れを行う。
 体に馴染んだ竜騎士の能力を駆使し、購入した槍の柄を簡単には壊れないように補強し、刃を研ぐ。吟遊詩人の知識を駆使して竪琴の調律を、
吟遊詩人と風水師の知識を使いベルや鐘の調整をする。そして錆びたインテリジェンスソードのデルフリンガーは、

 買い物をしたその日の夜に、バッツはデルフリンガーで【りょうてもち】をして【まほうけん ファイア】を試してみると、
デルフリンガーが「おでれーた」と驚きながらも、自分が魔法を吸収できることと、わざと錆びた姿になっていたことを思い出している。しかし、
肝心の錆びた姿から元の姿に戻る方法は思い出せなかった。
そのため、下手に手入れをして本来の姿に戻れないと困るのでデルフリンガーの手入れはしない。

「なぁ相棒。槍や楽器だけじゃなくて俺も手入れしてくれよぉー」
「取りあえずデルフは元の姿に戻ってからな。その代わり話し相手位はするからそれで我慢してくれ」

 デルフとそんな感じで話をしながら楽器の手入れをし、それが終わる頃になると彼のテントに一匹の風竜、タバサの使いまであるシルフィードがやって来る。
そしてシルフィードはバッツに期待のまなざしを送る。
期待のまなざしを向けられたバッツは、苦笑しながら調律の終わった【ゆめのたてごと】を取り出すとゆっくりと奏でる。
彼の竪琴が鳴り始めるとシルフィードは竪琴にあわせるようにきゅいきゅいと歌う。その竪琴の音と歌に釣られるかのように1匹また1匹と使い魔達が夜の音楽会に加わってゆく。
使い魔たちは毎日ではないが、このようにバッツの奏でる音楽を聴いたり歌ったりするために来る。
この小さな音楽会は何曲か歌うと使い魔達が解散するので、その後デルフと少し会話をしてから寝るの彼の日課になっていた。

 一方、部屋に戻ったルイズは、買ってきた本を読み、虚無の魔法を調べる。
しかし、ブリミルが魔法を使う様子などが描写された場面はあっても呪文について書かれているものはまれであった。
彼女は最初の内はその呪文を虚無をイメージしながら部屋で唱えていた。その呪文で何も起こらないこともあったが、通常の魔法と同じく爆発を起こし、
部屋が大惨事になることのほうが多かったため、今では部屋でそれらしい呪文をいくつか憶えると、こっそり中庭に出て試すのが日課になっていた。

しかし、この日は普段と違うことが起きる。
始まりはルイズがいつものように、中庭で調べた魔法が使えるか実験をしている時である。普段は自分の付近で爆発が起こっていたが、
気分転換に遠くをイメージしたのがいけなかったのか宝物庫のある塔の壁に爆発が起こり、壁にひびが入る。
ルイズは宝物庫の壁に爆発が起こったが塔の壁と軒距離が遠いこと、【ゼロ】の自分の失敗魔法で大切な物が保管されている宝物庫を傷つけられると思っていないので、
壁にひびが入ったことには気づかない。せいぜい

「爆音で誰か来るかもしれないから遠くをイメージするのはやめましょ」

 程度の認識で、彼女はそのまま魔法の練習を再開しようとする。その時、先ほど爆発した塔の近くに巨大なゴーレムが現れた。

ドカーン ドカーン

 現れたゴーレムは先ほど彼女の魔法が発動した辺りの壁を殴る。
ルイズは突然現れたゴーレムに唖然としていると、やがてゴーレムは宝物庫の壁を破壊してしまう。

「え? もしかして賊!」

 宝物庫の壁が壊れる音で正気に戻ったルイズはゴーレムを凝視する。
すると、先ほどは気が動転していたため、気がつかなかったがゴーレムの肩に黒いローブを着たメイジの姿を発見する。
メイジはルイズが見ていることに気づいていないのか、ゴーレムが開けた穴から宝物庫へ入って行く。

「せ、先生を呼ばないと・・・・・・ でも今から呼びに言っても間に合わないわ。 わたしがなんとかしないと!」

 ルイズは杖を握りなおすと、失敗魔法の爆発でゴーレムを倒そうと詠唱の短い呪文を唱え始める。
ルイズが魔法をかけるたびゴーレムの近くで小さな爆発が起こるが、巨大なゴーレムに対して爆発の大きさはあまりにも小さい。 
ルイズの努力もむなしく宝物庫から筒状の物をもった黒ローブのメイジが再びゴーレムの肩に戻ると、ルイズの失敗魔法を気にもくれずに学園の外へと移動を始める。

「止まれー! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」

 ボン ボン ドカーン

 ルイズは立ち去ろうとするゴーレムに、一生懸命魔法をかけ足止めしようとゴーレムの足元に爆発を起こす。
しかし、ゴーレムはバランスを崩さない、たとえわずかにゴーレムの足にひびがが入っても、肩にいるメイジがすぐに直してしまい足止めすら出来ない。
泣きそうになりながらも、一生懸命に失敗魔法を使うルイズを嘲笑うかのようにゴーレムは学園の塀の近くまで来た時、事態は変化する。
 学園側から大量の攻撃魔法が一斉にゴーレムに叩き付けられる。

『このトリステイン魔法学院に忍び込んだのが運の尽きだ! 土くれのフーケ!』

 ルイズがゴーレムに使っていた失敗魔法の爆音が、学院で酒を飲んでいた教師達が何事かと顔を出し攻撃魔法を放ったのだ。

「くっ」

 思わぬ乱入者に黒ローブのメイジは小さく舌打ちをすると、自分を塀の上に立つと巨大なゴーレムを教師達の方へ向かわせる。

『うわー』

 教師達は酒で気が大きくなっていただけだったため、自分達の魔法を受けてもびくともしないゴーレムに逃げ惑う。
もしもこの時、教師達が酒を飲んでいなかったら彼等の魔法で賊のゴーレムは倒れていたかもしれない。しかし、彼等は酒を飲んでおり、
自分達が精神力が普段よりも弱い状態で使っていることにも気づかず、ただフーケが自分達の魔法が効かないほどの凄腕のメイジと誤認するだけであった。

「先生! でも、今があの賊を捉えるチャンス!」

 ルイズはメイジが教師達に気を取られている隙にメイジが立っている塀を失敗魔法で爆破しようとする。
しかしメイジはそれを読んでた様で、巨大なゴーレムは怯える教師達を無視し、ルイズに向け宝物庫の壁を破壊した時に出来た瓦礫を投げる。

「え? きゃあ」

ドーン

呪文を唱えていたルイズの近くに瓦礫が落ち、その衝撃でルイズは杖を落としてしまう。ゴーレムはそのままルイズに向かい歩き出す。
一方教師達は恐怖で動けない。
ルイズはなんとか杖を拾い、ゴーレムに対し呪文を唱えようとするが、先ほどの瓦礫の恐怖で杖を持つ手は震え、うまく呪文も唱えられない。

「い、いや、こ、来ないで! せ、先生、ちい姉さま、お母様誰か助けて!」

 ゆっくりと近づくゴーレムに、ルイズは恐怖で助けを求める声を上げる。

ヒュン ドゴン! スチャ

 空から何かがゴーレムに落ちゴーレムの動きが止まる。そしてゴーレムに落ちた何かはゴーレムから跳び、ルイズの前に着地する。

「ルイズ、大丈夫か?」

 空から来た何かは、槍を持ったバッツであった。

「へ? バッツ!? って何で高所恐怖症のあんたが空から来るのよ!?」
「いや、他の使い魔達と歌ってたら、学園の方に巨大なゴーレムが現れルイズの爆発が沢山見えたから、
何か危険なことになってると思ってな。シルフィードに無理言って乗せて貰って来たんだ。それに俺は高いところは苦手なだけで、緊急事態なら高いところだってガマンできるさ」
「あ、そうなの? って暢気に話している場合じゃないわよ! ゴーレムが!!」

 ルイズがあわててゴーレムのほうを見る。ゴーレムの全身に大小様々なひびが入り今にも崩れそうになっている。そしてそのままゴーレムは崩れ落ち、辺りに砂煙が舞う。

「ごほごほごほっ え? 何でゴーレムが崩れるの?」
「ありゃ? 確かにまだ動きそうな気配があったよな?」

 いきなり崩れたゴーレムに疑問を憶える二人だったが、砂煙が晴れるとルイズはゴーレムが崩れた理由に気づく。

「あ! 塀の上に居た賊がいない!」
「へ? 賊?」
「そうよ! さっきのゴーレムもその賊が作ったのよ。 バッツ、シルフィードから降りる時に何か見なかった?」
「いや、ゴーレムに向かって【ジャンプ】してたから塀の上は全く見てなかった」

 その後、二人はゴーレムに襲われた恐怖と酒で混乱している教師達をなだめた後、教師達と共に学院長であるオスマンにこの事を伝えに行こうとする。
しかし、自分達の失態を隠す言い訳を考える時間が欲しい教師達は、既に夜も遅い事を理由に教師達に明日の朝一緒に報告すると言う。
そんな教師達の考えを知らないルイズ達は、言われたとおりにその日は寝ることにした。
そして次の日、生徒達が起きる時間よりも早く起きたルイズ達は、教師達と共に学院長室へ行く。
ルイズは昨晩のゴーレムが現れた時の様子と、黒いローブのメイジが筒状の道具を盗んでいた事を伝え、
教師達は自分達の失態を隠しながらも、その手口と巨大なゴーレムから犯人は土くれのフーケであると伝えた。
 一応バッツもその場に居た一人として念のため、学院長室に呼ばれているが現場に到着したのが一番最後であるため、報告できる事は無かった。
一通り報告を聞いたオスマンは白いひげを撫でながら、

「ふむ、ミス・ヴァリエールの報告が確かならば土くれのフーケが盗んだのは、【破壊の杖】じゃな」
「破壊の杖?」
「うむ、このトリステイン魔法学院にたった一つしかないマジックアイテムじゃ。 これは宝物庫の中でも重要な物でのぉ。 なんとしても取り戻さなければならん!」

 オスマンはいつもと違い真剣な表情でそう言った。

「しかし、これまでの報告では、手がかりが無さ過ぎるのも問題じゃのぉ。
所でミス・ロングビルは何処に行ったのかのぉ? あのお尻を撫でればわしの頭脳も活性化して良いアイデア浮かぶんじゃがのぉ~」
「オールド・オスマン幾らなんでもそれは・・・・・・」
「かーっ!! 女性のお尻に興味の無い男なんて居ないわ!」

 男性教師達はオスマンの言葉にこっそり共感を覚え、女性教師達とルイズは冷たい視線をオスマンに向ける。
そんな微妙な空気の中、ロングビルがあわてて学院長室に入ってくる。

「おぉ、今日は遅刻かね、ミス・ロングビル? 遅刻の罰にその豊満な胸を・・・・・・」

 バキ

 オスマンの行き成りのセクハラ発言にロングビルの拳がオスマンの顔面にめり込む。

「ご冗談を、実は先ほどまでフーケの調査をしておりました」
「調査を? 何時の間に?」

 現場に居なかった教師の一人であるコルベールがロングビルに聞く。

「ええ、実は私もそこにいらっしゃる先生方と同じように昨日の襲撃を目撃したのです。 しかし土のラインである私が、土のトライアングルであろうフーケに対抗できません。
そこで皆様を囮にしてこっそりフーケの後を追い、見失った周辺で聞き込みをしてフーケの隠れ家を突き止めてきました」
「なんですと!? フーケの隠れ家を!!」
「ええ」

 フーケの居場所がわかったことで、教師達が大きくざわめく。

「ではすぐに王室に報告を!」
「馬鹿モン! わざわざ王室に借りを作る必要があるか! ここはトリステイン魔法学院じゃ。身に掛かる火の粉くらい払えなければ何のためにここに居るのじゃ!?
それに今から王室に報告したところで間に合わんわ! ・・・・・・コホン ではこれよりフーケ討伐隊を編成する。われは、と思う者は杖を掲げよ」

 しかし教師陣は誰も杖を上げようとしない。それどころか昨晩実際にゴーレムに襲われた教師達は体を震わせ、
「何故我々がそんな危険な事を・・・・・・」「危険な仕事は王室に任せるべきだろ」と、怯える始末である。

「・・・誰もおらんのか? 貴族の誇りはどうした? フーケを捕まえ名が上げようという、勇敢な者はおらんのか?」

 オスマンが発破をかけるが誰も杖を上げない。そんな中ルイズが杖を上げる。

「ミス・ヴァリエール! 何をしているんですか? 貴方は生徒ではありませんか! これは遊びではないのですよ! このような危険な任務、あなたが行く必要はありません!」
「誰も杖を上げないじゃないですか! 誰も行かずにみすみすフーケを見逃す事など、わたしには出来ません! わたしが心配ならシュヴルーズ先生も来て下さい」
「それは・・・」

 ルイズは既に自分がフーケ討伐に行く事を決心し、教師達が止めようとしても「なら一緒に来てください」と答え、教師達は一人また一人とルイズの説得を諦めてゆく。

「あー、ちょっと聞いてもいいか?」

「ん? おぉ君は確かミス・ヴァリエールの使い魔の青年か、聞きたい事とは?」
「どうしてもフーケを捕まえないといけないといけないのか? 確かに学院から物を盗んだのだから捕まえられるなら捕まえた方がいいのだろうけど、
今の状況だとフーケを捕まえられそうにないと思うぞ?」
「貴様! 使い魔の分際で我々を愚弄する気か?」
「まぁ落ち着きなさい。では、君はフーケを見逃せというのかのぉ?」
「いや、フーケを捕まえるのは難しいから、盗まれた【破壊の杖】を取り戻すだけでもいいんじゃないか? と思うんだけどどうかな?」
「ふむ。 確かに【破壊の杖】が戻るなら無理をしてフーケを捕まえる必要は無いのぉ」

 バッツの質問にオスマンは髭を撫でながら答える。

「なら、俺にも【破壊の杖】奪還の任を任せてくれないか?」

 バッツはさらりと言い放つ。

「魔法をまともに使えないミス・ヴァリエールと平民だけでそんなことできるわけ無いだろ!」
「確かに俺は魔法は使えない。 けど色々な経験がある。 たとえばこの部屋そこの壁には隠「うむ! よかろう!!」とかな」

 バッツが何か言いかけたが、オスマンがあわてて大きな声で許可を出す。

「オールド・オスマン? そこの壁が?」
「いや、何もない! 何もないのじゃ! わしが許可を出すのはこの青年は・・・・・・ えーと、そう!
学生とは言えトライアングルの生徒達からも逃げた実力があるからじゃ、うまくやれば【破壊の杖】の奪還のみなら可能かもしれんからのぉ。
まだ文句があるなら文句のあるものに行ってもらう」

 不振がる教師達にオスマンはやや目をそらしながらそう答える。教師達はオスマンの言葉、特に後半の一言で一斉に静まる。
「では、改めてフーケの居場所を知るミス・ロングビル、ミス・ヴァリエールとその使い魔の三人に【破壊の杖】奪還の任を与える。
後、奪還に必要なものでこちらで用意できるものがあるのなら用意しよう」
『ハッ』

 三人は元気よく返事をすると【破壊の杖】を奪還するため、学院から馬を三頭借り出発した。


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