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ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第十二話


 静留の言葉に一瞬、室内は気まずい沈黙に包まれるが、すぐに我に返ったルイズが静留に向かって大声を上げる。

 「何言ってるの、シズル! 恐れ多くも姫さまに向かって不敬にも程があるわよ! 主人として命ずるわ、今すぐ姫さまに謝りなさい!」 
 「お断りどす。そらルイズ様にとっては自分とこの王女様やろうけど、この国の人間やないうちが礼を尽くすいわれはありまへんな」
 「なっ……シズル!」

 叱責をうけても悪びれるどころか開き直る静留の態度にルイズは声を荒げるが、アンリエッタはそれを制すると静留に向かって声をかけた。

 「構いません、ルイズ。それで一体、私が何を分かってないというのですか、シズルさん?」

 穏やかな口調とうらはらに不満そうな表情を浮かべるアンリエッタ。それを見た静留は嘆息した後、その問いに答える。

 「困りごとがある姫さんが、それを友人であるルイズ様に頼む……普通ならそれでええかもしらんけど、王族の姫さんがいうたからにはそれは頼みやなくて命令にしかならしまへん。それに内戦しとるアルビオンに何の訓練も受けたこともないうちらに密偵まがいのことを頼むのは死んで来いと命令してるも同然や」
 「そんな、わたくしはそんなつもりでは……」

 静留に思ってもいなかったことを指摘され、アンリエッタは真っ青になるが、静留はなおも言葉を続ける。

 「ほな、考えなしに物は言わんことですな。大体、こういう国の命運を左右する大事は、うちらに頼む前に誰かに相談するのが筋と違いますか」
 「確かにそうすべきなのでしょうが……」

 静留の真っ当な意見を聞いて、しょんぼりとうな垂れるアンリエッタ。そのアンリエッタの頭をルイズはぎゅっと抱きしめると、静留に向けてきっぱりと言い切った。

 「シズル、私はこの依頼、受けるわよ! 確かに危険かもしれないけど姫さまの窮地は貴族……いえ、友人として放っておけないわ! たとえ私一人でも絶対にアルビオンにいくんだから!」
 「ああ、ルイズ! わたくし、あなたの忠誠と友情を一生忘れませんわ!」

 静留は感激してルイズに抱きつくアンリエッタの姿をやや呆れた目で見た後、やれやれといった仕草をしながらルイズに答える。

 「ルイズ様がそこまで言わはるなら、仕方ありまへんな……この依頼、お受けしますわ」
 「いいの、シズル?」
 「いいも何もルイズ様を一人で行かせる訳にはいきませんやろ。その代わり、こんなことはこれっきりにしてもらいますえ。姫さんも、それでええですな?」

 静留がにっこり笑ってルイズとアンリエッタに念を押すと、二人は引きつった笑顔でこくこくと頷く。

 「では、姫さま、この任務謹んでお受けします。それでアルビオンの王党派の状況は?」
 「アルビオンの貴族たちは、王党派を国の隅っこまで追い詰めたと聞き及びます。敗北も時間の問題でしょう」

 ルイズは真顔になると、アンリエッタに頷いた。

 「ならば一刻も早く任務を果たす必要がありますね。早速明日の朝にでも、ここを出発いたします」

 そのルイズの言葉にアンリエッタはほっとした表情を浮かべると、静留に声をかける。

 「それではシズルさん、私の大事なおともだちを宜しくお願いしますね」
 「任せておくれやす。主人を守るんは使い魔の当然の義務どすからな……そやね、無事帰ってこれたら褒美にキスの一つでもおくれやす。あと、アルビオンにいく人数は増えそうどすな」

 静留はそう言うとすっと立ち上がり、部屋の入り口のドアを勢いよく開いた。
 すると、ギーシュ、キュルケ、タバサの三人が重なり合うようにして部屋の中に転がり込んできた。

 「ギーシュとキュルケ、それにタバサ! あんた達、今の話を立ち聞きしてたの?」
 「姫殿下! その任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンも一員にお加えくださいますよう!」

 転がり込んできた三人にルイズが怒りの声をあげるが、それにかまわずキュルケとタバサの下から這い出たギーシュがアンリエッタに向かって訴える。

 「グラモン? あのグラモン元帥の?」
 「息子でございます、姫殿下」

 ギーシュは立ち上がって身なりを正すと、恭しく一礼する。

 「あなたもわたくしの力になってくれるというのですか?」
 「はい、姫殿下のお役に立ちたいのです」
 「ありがとう。お父様も立派で勇敢な貴族ですが貴方もその血を受け継いでいるようですね。では、お願いしますね、ギーシュさん」
 「姫殿下よりの勅命、身に余る光栄にございます」

 (あんたは姫さまのためじゃなくて、単に静留についていきたいだけでしょうが)

 キザったらしい口調で姫さまに答えながら静留に視線を送るギーシュの様子を見て、ルイズは心の中で毒づく。

 「それで、こちらのお二人は?」
 「え、ええっと……学友のキュルケとタバサです」

 アンリエッタにキュルケとタバサのことを問われ、ルイズは思わず口ごもった後、出身を伏せて二人を紹介する。ガリア出身のタバサはともかく、キュルケはアンリエッタの嫁ぎ先のゲルマニア出身であることを考慮してのことだ。

 「姫殿下、失礼ながら、友人としてルイズが危険な任務に赴くのを放ってはおけませんわ。ついては私とタバサの同行をお許しいただけないでしょうか」
 「ええ、そういうことなら構いませんわ。ああ、本当になんという麗しい友情でしょう」

 キュルケの申し出を無邪気に喜ぶアンリエッタを横目に、ルイズは小声でキュルケに尋ねる。

 「……どういうつもりよ、ツェルプストー」
 「どうって……トリステインとの同盟は我が帝国にとっても重大なことだもの。それにタバサがシズルの手伝いがしたいらしくてね……」
 「タバサが……?」 

 キュルケの答えを聞いたルイズはタバサの方を見た。驚いたことに普段、誰とも会話しないタバサが静留と会話していた。

 「驚いた、いつの間に仲良くなったのかしら?」
 「それは私にも分からないわ……でも、いい傾向だと思わない?」
 「まあ、そうだけど……」
 なんとなく釈然としない気分のまま、ルイズはアンリエッタの方に向き直る。

 「では、当初より人数が増えてしましたが、明日の朝、アルビオンに向かって出発するといたします」
 「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及びます」
 「ニューカッスルですね、了解しました」
 「それと、ウェールズ皇太子にお会いしたらこの手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」

 アンリエッタはそういうと、懐から取り出した花押の封蝋がされた手紙と一緒に、右手の中指から指輪を引き抜いてルイズに手渡した。

 「これは母君から頂いた『水のルビー』です。せめてもの御守りです。必要なら売り払って旅の資金に当ててください。母君の指輪がアルビオンの猛き風からあなたがたを守りますように・・・・」

 ルイズは深々と頭を下げた。



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