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ソーサリー・ゼロ第三部-10

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一五九

 君は立ち上がると、素早く扉に駆け寄り鍵をはずす。
 取っ手を回そうとしたところで、 背中に鋭い痛みを感じ(体力点一を失う)、悲鳴を上げる。
 振り返った君が見たものは、鞭を手にして怒りにわななくルイズの姿だ。
 形のよい眉と大きな眼を吊り上げ、顔を真っ赤に染めている。
「こ、こ、この使い魔ってば、キュルケに助けてもらおうってつもりなの? ご主人様に隠し事をするだけならまだしも、裏切って宿敵ツェルプストーに尻尾を振ろうとするなんて、いい度胸じゃないの。
そっちがそういうことするのなら、こっちだって報いてあげないとね。忠誠には信頼で……裏切りには復讐で!」
 ルイズがそう言って鞭を振り上げ詰め寄ってくるので、君はじりじりとあとずさる。

「入るわよ……ふたりとも、なにやってんの?」
 扉を開けて入ってきたキュルケは、部屋中を逃げ回る君と、それを追いかけるルイズの姿を眼にして眉をひそめる。
「取り込み中って、こういうことだったの? ルイズ、その歳でそういう性癖に目覚めちゃうのはどうかと思うわ。もっとまっとうなやり方から始めなきゃ」
 そう言ってキュルケは嘆息し、無言で入ってきたタバサ――体を洗い服を着替えたようで、こざっぱりとした姿だ――が隣に並ぶ。
 君は振り回される鞭をかわしながら、見ていないで止めてくれと叫ぶ。
 タバサがぼそぼそと呪文を唱えると、ルイズの手から鞭が飛び出し床に落ちる。
 それでも君につかみかかろうとするルイズを、キュルケが背後から取り押さえる。
「はいはい、そこまで。とりあえず落ち着いて、なにが起こったのかお姉さんに話してみなさい?」
「放してよ、ツェルプストー! これは主人と使い魔の問題よ! あんたたちには関係ないわ!」
 君は、わめき散らしながらじたばたと暴れるルイズをなだめるキュルケに礼を言い、拾い上げた鞭をしげしげと眺めるタバサに話しかける。
 四日前に取り交わした約束のことをルイズに話してしまってもよいか、と。
 タバサはしばらくじっと君を見つめていたが、やがてこくりとうなずく。
 君とタバサのあいだに流れる神妙な空気を感じとったのか、ルイズは急に静かになる。
「なにか事情があるみたいね――軽々しく他人に言いふらしてはいけないようなのが」と言って、
キュルケはルイズの手を放す。
「あたしは席を外したほうがいいかしら?」と言うが、
タバサは
「秘密じゃない」とかぶりを振ってキュルケを引き止める。
 ようやく落ち着いたルイズは君を見据えて、
「主人と使い魔は一心同体、他人なんかじゃないわ! なにがあろうと隠し事なんてしちゃ駄目なんだから」と言う。
「もう怒ったりしないから、全部話しなさい。事と次第によっては、力になってあげてもいいわよ」
 君はテーブルを囲んで椅子に座る三人の少女に向かって、事情を説明する。一一七へ。


一一七

 君は四日前のタバサとの約束のことから話しはじめ、彼女の家族に重い病に冒された者がおり、その者の治療に自分の業が役立つかもしれぬのだ、と語る。
 タバサの部屋に入ったところをモンモランシーに見とがめられ、脅迫まがいのやり方で遠乗りに同行させられることになったくだりでキュルケは腹を抱えて笑い、ルイズは憮然とした表情で
「最初から正直に言ってくれればいいのに。なんで信用してくれないのよ」とつぶやく。

「ご家族に病気のかたがいらしたのね……知らなかったわ」
 キュルケが傍らに座るタバサを見つめながら言う。
 その言葉は純粋に驚きの表れであり、友人に秘密を持たれたことを非難するような含みはない。
 君は以前から、外見も性格もことごとく対照的なキュルケとタバサが友人であるということを不思議に思っていたが、眼の前の光景を見て妙に納得がゆく。
 相手のことを根掘り葉掘り問いただそうとはせぬ、適度な無関心がふたりの絆を保っているのかもしれない。
「それにしても、凄いわダーリン!」
 キュルケは君のほうにぱっと向き直り、顔を輝かせる。
「≪水≫のメイジでも匙を投げるような重い病気を治せるなんて。商人で、剣士で、お医者さまでもあるのね。それだけ多才な人が≪ゼロのルイズ≫の使い魔だなんて、もったいない話だわ。
ゲルマニアだったら引く手あまた、すぐに貴族になれるわよ?」
 君は、自分は薬師(くすし)ではない、薬は売り物のひとつにすぎず、それも実際にためしてみなくては効くかどうかわからぬ、と答える。
「あんた病気を治したりできたの!? なんでそのことをもっと早く言ってくれないのよ!」 
 そう叫んで椅子から立ち上がったルイズを、キュルケがたしなめる。
「座りなさいな、ルイズ。もう怒らないって言ったばかりでしょ」
「う……わ、わかってるわよ。怒ってなんかないもん。ただ、そんな大事なことを今まで黙ってたなんて……」
 ルイズは腰を下ろすと、自分の家族にも病気の者が居るのだと語る。
 ふたりの姉のうち年下のほうは生まれつき体が弱く、強力な≪水≫の魔法をもってしても完治しない。
 そのため旅を楽しむことも嫁ぎに行くこともできず、公爵領から出ることさえかなわぬのだ、と。
 君はルイズとまだ見ぬ彼女の姉に同情するが、自分の薬も生まれつきの持病にまでは効かぬだろう、と答える。
 君の術はあくまで傷を癒すためのものであり、毒や疫病にも効くことは効くが、体の奥深くに巣食った病魔を打ち消すほどの力はない。
 答えを聞いたルイズはやや気落ちした表情で、
「そう……それでもいちおう、試してみるくらいはできるでしょ?」と言う。
 君はうなずくが、ひとつ気がかりなことがある。
 先刻、ギーシュに服ませたもののほかにも、水薬かブリム苺の汁の持ち合わせはあるか?
 持っていれば三〇六へ。
 なければ二二六へ。


二二六

 背嚢を探った君の表情が青ざめる。
 飲み薬はもはやない――ギーシュの治療に用いたのが、カーカバードから持ち込んだ最後の薬だったのだ!
 君は申し訳なさそうな眼でルイズとタバサを見やると、この辺りで飲む傷薬を取り扱っているところはないかと尋ねる。
「傷薬は傷口に塗りつけるものでしょ? 飲んで効く傷薬なんて聞いたこともないわ」
 ルイズの言葉にキュルケとタバサもうなずく。
 君は質問を変え、ブリム苺という野苺に似た野草を知らぬかと訊く――ハルケギニアでは別の名前で呼ばれているかもしれぬので、その特徴をできる限り詳しく説明しながら。
 ふたたび、聞いたこともないという答えが返ってくるが、タバサは君が質問してくる意図を察したようで、君のほうを向いてぽつりとつぶやく。
「薬を切らした?」と。
 その言葉にも視線にもなんら非難がましいところはないのだが、君の心の中は罪悪感でいっぱいになる。
 冷や汗をかきつつうなずいた君は、ギーシュの命を救うために薬を使い切ってしまったのだ、としどろもどろに説明する。
「あんた、なにやってんのよ! タバサとの約束を破って行った先で、肝心の薬までなくしちゃうなんて。タバサとご家族にどうお詫びするつもり?」
 ルイズは憤慨して君を責め、キュルケもやんわりと、しかし反論を許さぬ雰囲気で
「あたしもあまり人のことは言えないけど、女の子相手に期待させるだけさせておいて肩すかしってのは感心しないわね。男のやっちゃ駄目なことの筆頭よ?」と言う。
 縮こまって恐縮する君に助け舟を出したのはタバサだ。
「約束を破ったのはわたしも同じ。≪虚無の曜日≫までに戻れなかったから。それに、人の命がかかったこと。わたしのほうは一刻を争うようなことじゃない」
 ルイズとキュルケが驚きの表情でタバサを見る。
 なにごとにも無関心な態度を示す彼女が誰かを弁護するなど稀有なことであり、そのうえ、これだけ多くの単語をまとめて口にするということもそうそうない。
「そのブリム苺か、代わりになる物を探せばいい」
 タバサの提案に、キュルケも同意を示す。
「それがいいわね。それじゃあ善は急げ、さっそく秘薬に詳しい人たちにあたってみるわ。三年生のジュベールかガリエニなら知ってるかも」
 キュルケは席を立つと、またあとでと言い残して部屋を出ていく。
 タバサも
「図書館で調べる」と言って立ち上がるが、
扉をくぐる直前で振り返り、君とルイズを順番に見つめる。
 ややあって、口を開く。
「ミス・ヴァリエール」
 そう言って、床に片膝をつく。
「な、なによ」
「薬が見つかったら、あなたの使い魔を貸してもらいたい。許可を」
 言葉だけ聞けば人にものを頼んでいるようには思えぬが、叙勲を受ける騎士のように深々と頭を下げるその態度は、真剣そのものだ。
「べ、別に構わないわよ、だから頭を上げて。あ、でも一日だけだからね! あんたの実家がどこかは知らないけど、シルフィードに乗れば日帰りで行けるんでしょ?」
 相手の思わぬ態度にいくらか慌てたルイズが答える。
 それを聞いたタバサは小さくうなずくと踵(きびす)を返し、部屋を出る。

「そのブルムだかブリンだかってのは、俺も聞いたことがねえなあ。もっとも、触媒にもならねえ薬草のことなんか興味ねえから、聞いたところで忘れちまってるだろうけど」
 念のためにとデルフリンガーにもブリム苺のことを尋ねてみたが、無駄に終わる。
「貴族の小僧、まともに飲めずにほとんど吐き出しちまってたっけな。もったいねえ。しかし相棒はすげえね。杖もなしで火の玉を放って、他人の心を操って、幻が作れて、獣と話ができて、
おまけに治癒もできる。
≪四大系統≫でも≪先住魔法≫でもねえ、遠くの国のなんでもありな魔法の使い手。感覚の共有とかができねえにしても、あの赤毛が言ってたとおり、娘っ子の使い魔にするにゃもったいねえ逸材だわ」
 デルフリンガーはそう言ってからからと笑うが、ルイズは椅子に座って≪始祖の祈祷書≫を開いたまま身じろぎひとつしない――いつもなら顔を真っ赤にして、無礼な剣を怒鳴りつけるはずなのだが。
 この気まずい空気をどうにかしようと考えた君は、ルイズに話しかけることにする。
 どのような話題を振ってみる?
 病に臥せっているというルイズの姉について尋ねるか(一二三へ)、隠し事をしてしまったことを詫びるか(一九七へ)、それともタバサやキュルケをどう思うか尋ねてみるか(四二へ)。


一九七

 君はルイズの正面に立つと、頭(こうべ)を垂れ、『ご主人様』に隠し事をしてすまなかった、と許しを請う。
「わ、わかればいいのよ、わかれば。故郷に帰るまでは、あんたの身分はあくまでわたしの使い魔。勝手なことしちゃ駄目なんだから。使い魔にふさわしい忠誠を見せなさいよね。
ちゃんと働いてくれれば、わたしもそれに応えるわ。忠誠には信頼で、ね」
 君を見つめながらルイズは言う。
「なにも奴隷になれとか、血の最後の一滴まで捧げろって言ってるわけじゃないんだから。使い魔は主人を裏切らず、主人も使い魔を見捨てたりはしない。
わたしを信頼して、隠し事とかしないで、危ないときは守ってくれれば、それで充分なのよ。
いいわ、許してあげる。あ、でもまたキュルケに取り入ろうとしたら、許さないんだからね」
 我侭で気位の高い少女の精一杯の譲歩を受け、君も内心のわだかまり――君を獣のように扱って≪ルーン≫を刻んだこと――を忘れることにする。
 今のところ、≪ルーン≫によって得るところはないが不都合もほとんどないのだから。
 君は微笑んで一礼すると、≪旧世界≫に帰るその日までルイズに忠誠を誓う、命ある限りルイズを守る、と誓う。
 ルイズの頬がみるみるうちに赤く染まるが、彼女はそれを見られまいとそっぽを向くと、ずかずかと大股で扉へと向かう。
「さ、さあ、ぼーっとしてないで、食堂に行くわよ、そろそろ晩ご飯だから。 いつもよりちょっとだけ多く分けてあげるわ、感謝しなさいよね!」
 ルイズの言葉に、君は苦笑を浮かべつつ礼を述べ、彼女に従って部屋を出て行く。一四八へ。


一四八

 多くの出来事があった≪虚無の曜日≫から二日が経つ(技術点と体力点を原点まで回復させよ)。
 あの日以来、キュルケとタバサ、そしてルイズはブリム苺について調べてくれているが、彼女たちによれば今のところ、それを知る者は生徒にも教師にもひとりも居らず、
参考になる文献も見つからないという。
 やはり、ブリム苺は≪タイタン≫固有の、ハルケギニアには存在しない植物なのだろうか?
 もう諦めて、代わりになる薬を探したほうがよいかもしれぬと君は考える。
 しかし、そのような物に術をかけたところで、本来の効果を示すとは考えにくい。

 土大蛇に重傷を負わされたギーシュは昨日の朝に意識を取り戻したが、まだ医務室から出歩くことを許されていない。
 君とルイズは昨日の放課後にギーシュの見舞いに出向いたが、モンモランシーの別人のような甲斐甲斐しい看病ぶりを眼にし、ふたりそろって言葉を失うことになった。
 聞けば、眼を覚まして以来ギーシュにつきっきりであり、彼が目覚めたときは泣きに泣いたという――あれほど熱心な休みない献身を受けては、
さしものギーシュも
アンリエッタ王女のことなど忘れてしまっているに違いない!

 君の恐れたアルビオンからの刺客の襲来もなく平穏に時間が過ぎ、午後の授業が終わる。
 ルイズはタバサと連れ立って図書館へと向かうが(ふたりとも君の術に一縷の望みをかけている証拠だ)、この世界の字が読めぬ君に手伝えることはないだろう。
 これからどう行動する?

 ギーシュを見舞いに≪水の塔≫へと向かう・二六六へ
 コルベールの研究室を訪れる・三一九へ
 野草に関することなら平民たちのほうが詳しいかもしれぬので、調理場に行ってみる・二四四へ


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