あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

雇われた使い魔-03


フォックスが目を覚ますと、そこはいつものグレートフォックスにある就寝部屋ではなく、
貴族が住んでいるような豪華なベッドやイスが置いてある部屋だった。

「そうか、そういえばそうだったな……」

フォックスは、自分がルイズの使い魔になったことを思い出し、少しブルーな気分になる。
しかし、朝から落ち込んでいても何も始まらないので、もぞもぞと毛布を剥いで体を起こした。
光が差し込んでいる窓を開け、フォックスは外の空気を思いっきり吸い、そのまま背伸びをする。
外は、すがすがしいくらいの晴天だった。
真っ青な空を見上げると、落ち込んでいた気分も、少しは晴れやかになる。
ふとフォックスは、ルイズの方を見る。すやすやと寝息を立てて眠っている姿は微笑ましい光景だった。

「これでおてんばじゃなければな……」

ふっと笑いながら、フォックスは寝ている主の元へ行く。

「ルイズ、朝だぞ。起きなきゃいけないんじゃないか?」

ゆさゆさと布団を揺すり、ルイズを起こそうとする。
しかし、ルイズはヘラヘラと笑っているばかりで、一向に起きる気配がない。
余程良い夢でも見ているのだろう。
このまま眠ったままでも困るので、フォックスはそのまま布団と毛布を掴んではいだ。

「ふぇ……!? な、何! 何事!」
「朝だ。起きなきゃいけないんだろ?」
「あ……そうだったわね。って、誰よあんた!」

寝起きで頭が働いてないのか、ルイズは寝ぼけた声で怒鳴った。

「……昨日、使い魔になったフォックスだ」
「ああ、そういえばそうだったわね……」

ルイズは大きなあくびをしながら起き上がる。
そして、椅子にかけてあった服を指差して言った。

「服」
「昨日も着ていた奴だな。あれがルイズの制服か? 中々いい服じゃないか」

フォックスは腕を組みながらルイズの服を見る。

「……感想はいいから早く取って頂戴」
「わかった」

フォックスは椅子にかかっていた服を取り、ルイズに渡す。
ルイズはだるそうにネグリジェを脱ぎ始めた。
フォックスはあわてて視線を明後日の方向へ向ける。

「下着」
「下着?」
「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」

フォックスはクローゼットの引き出しを開ける。
そこには女性物の下着が沢山入っていた。フォックスは少し戸惑う。

「……で、これをどうすればいいんだ?」
「適当に選んで渡して頂戴」

女性物の下着を手に取るのは若干抵抗があったが、主人の命令とあらば仕方が無い。
フォックスは適当に下着を掴んで、ルイズの方を見ないようにしながら下着を渡した。

「服」
「さっき渡したじゃないか」
「着せて」

この命令にはさすがのフォックスも困った。
いくら年下とはいえ、ルイズは悩み多き年頃なのだ。
そんな女性の着替えを手伝うのは、フォックスにとってかなり抵抗がある。

「服くらい自分で着替えられるだろう?」
「あんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」
「……そうなのか?」
「そう。だから早く着せなさい」

そう言われて、フォックスは仕方なく着替えの手伝いをする。
ふと、フォックスの頭に嫌な予感が過ぎる。
まさか身の回りの世話を全てやらなければいけないのだろうか?
フォックスは恐る恐るルイズに質問した。

「なあ、一つ聞いていいか?」
「何よ?」
「使い魔というのは、身の回りの世話という世話を全てやらなくちゃいけないのか?」
「そうね、大抵のことはやってもらうつもりだけど」

この言葉を聞いたフォックスは、あんなことやこんなことを想像して思わず声を荒げた。

「なっ……! そ、それじゃあまさか風呂に入る時やトイレ行く時も付き添わなきゃ行け……」

フォックスが言い終わる前に、ガンっと鈍い音が部屋に響いた。

「そこまでやれとは言ってないわよ、このエロ狐!」
「そ、そうか……安心した……」

フォックスは殴られた後頭部を擦りながらルイズの着替えを手伝った。

数分後、着替えを終えたフォックスとルイズが部屋を出ると、隣の部屋のドアが空いた。
中から燃えるような赤い髪の女の子が現れた。
ルイズより背が高く、フォックスの身長よりやや低い背丈で、むせるような色気を放っている。
フォックスが最初に目に付いたのは、まるでメロンのような突き出たバストだった。
一番上と二番目のブラウスのボタンを外し、胸元を覗かせている。わざとやっているのだろうか?
いくら温厚で真面目な性格のフォックスであっても、ついそこに目がいってしまうものだ。
(しかもフォックスは後に出来る彼女の体形から察するに巨乳好きである)

「おはよう。ルイズ」

ルイズは顔をしかめると、嫌そうに挨拶を返す。

「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔って、それ?」

フォックスを指差して、物珍しそうに言った。

「そうよ。悪い?」
「まさか。悪いなんて言わないわよ。ただ、随分と珍しい使い魔だと思ってね」

そう言って、フォックスの前に行き覗き込むように見つめる。
キュルケの谷間がフォックスの目前に迫る。
フォックスは、ついそこに視線がいってしまうが、あわてて顔を逸らす。

「ねえ、昨日から気になってたんだけど、これって狐なの?」

フォックスにとって、"キツネ"と言われるのはあまり気分が良いものではなかった。
人を指差して"ニンゲン、ニンゲン"と連呼するようなものである。バカにされてるような気分になるのは当然だ。

「……俺の名はフォックス。フォックス・マクラウドだ。フォックスと呼んでもらえるとありがたい」

そう言って、握手を求め、片手を差し出す。
一方、キュルケはポカーンと口をあけ、目を点にしていた。

「……しゃ、しゃべることが出来るの!?」

そう言われたフォックスは、ムッとした表情で答える。

「キミといい、ルイズといい、オレが喋るのはそんなにおかしなことなのか?」
「変よ」
「おかしいわ」
「別に変じゃない」

"変"、"おかしい"と答えたのはルイズとキュルケ。
"別に変じゃない"と答えたのは、青がかった髪と、ブルーの瞳が特徴的なタバサであった。

「って、タバサいつの間に……」

キュルケが後ろを振り向くと、フォックスをじーっと見つめるタバサの姿があった。
その様子を見て、キュルケが呆れながら突っ込む。

「あんたって、たまに気配が消えるわよね……」

気配を消すタバサに驚きながらも、"変じゃないと"答えてくれたことに、フォックスは妙な親近感を覚えた。

「やっぱりそうだよな? オレが喋ることはおかしなことでも何でもないはずだ!」
「おかしくない」
「そうだ、オレは変じゃない! そうだよな、オレは変じゃないよな!」

タバサの手を持ってブンブンと握手をするフォックス。
そんなフォックスを見ながら、ルイズは突っ込みを入れる。

「でもその体形は絶対変。狐なのに人間みたいだし」
「そうね」
「シュール」

この言葉にフォックスはショックを受ける。
せっかく自分のことを理解してくれる人がいると思ったら、"シュール"と言われてしまった。
がっくりと肩を落とし、落ち込むフォックス。

「ところで、あたしも昨日使い魔を召喚したのよ。せっかくだから紹介してあげるわ。フレイムー」

キュルケが呼ぶと、真っ赤で巨大なトカゲが、のっそりとキュルケの部屋から出てきた。


「どう? 素敵でしょ。火トカゲよー。ブランドものよー。あたしの属性にぴったりでしょ?」
「あんた『火』属性だもんね」

そんな二人の話を尻目に、フレイムと呼ばれたトカゲはのそのそとフォックスの方に近寄った。
口からほとばしる火炎がフォックスのフサフサした尻尾にあたる。

「ん……?」

しばらく落ち込んでいたフォックスであったが、尻尾の辺りに妙な熱源を感じ後ろに振り向く。
そこにはのっそりとした巨大なトカゲがフォックスの方をじーっと見ていた。

「う、うわっ! な、なんだ……?」

フォックスがびっくりして尻餅をつく。
今の尻尾に感じた熱源はコイツかと、フォックスはフレイムを見る。
しかし、フレイムから尻尾を遠ざけたはずなのに、尻尾に感じる熱はどんどんと大きくなっていった。
なぜかなとフォックスが思っていると、タバサが小さな声でぼそりと言った。

「焦げてる」

タバサに言われて尻尾を見ると、まるで尻尾に火を灯したかのようにチリチリと燃えていた。

「うわぁぁぁあああっ! し、尻尾が! ファルコ、後ろの敵を何とかしてくれーっ!」

突然のことに頭を混乱させ、訳の分からないことを口走るフォックス。
どたどたと廊下を走り回り、尻尾に火をつけたまま明後日の方向へ行ってしまった。

「こ、こらぁーっ! ご主人様を置いてどこいくのよー!」

ルイズはフォックスを追いかけようとするが、
あまりの足の速さに追いつけず、フォックスはそのままどこかへ行ってしまった。

「ちょ、ちょっと! どうしてくれんの……よ」

ルイズが文句を言ってやろうとキュルケの方を見ると、そこには誰も居なかった。
キュルケ、タバサ共にフォックスが暴れている隙に逃げ出していたのだ。
足元に小さな紙キレが落ちていて、"ごめんね、ルイズ byキュルケ"とだけ書かれていた。

「あ、あんの女ァ~~~!!」

ルイズは、フォックスを捕まえるため廊下を走った。

キュルケとタバサが逃走し、ルイズが顔を怒りの形相に変えている頃、
フォックスは尻尾に火を灯したまま廊下をひた走っていた。

「水! 誰か水をくれ! このままじゃ尻尾がもたないーっ!」

フォックスは、スリッピーが言うような情けない台詞を言いながら廊下を走り回る。
探せど探せど後ろの火を消すようなものが置いてない。
この時、ペッピーが居たら"地面にローリングしろ!"とかヒントをくれたかもしれないが、今ここにペッピーはいない。

「な、なぜこの施設には消火器具が置いてないんだ!?」

この世界に消火器具なんてものが存在するはずもないが、フォックスはそのことを知らない。
フォックスの世界では緊急事態に備え、どの施設にも当たり前に置いてあるものだが、この世界は勝手が違う。

「だ、誰かこの火を消してくれー!」

そんなフォックスの叫びを聞きつけたのは、たまたまフォックスの隣を通りかかったメイド姿の少女であった。

「た、大変……!」

メイド姿の少女は、運んでいた朝食用のジュースをフォックスの尻尾に向かって思い切りぶっかける。
ジュウっと火が消える音がし、フォックスの尻尾はやっと火事から開放された。
火が消えたことに安堵し、フォックスはそのままへたり込む。

「た、助かった……」
「よ、よかった……! あの、大丈夫ですか……?」

メイド姿の少女はフォックスを心配そうに見つめた。

「ああ、キミのおかげで助かった。礼を言うよ。ありがとう」

フォックスは自分の尻尾を救ってくれた恩人に感謝した
頭を下げて礼を言うフォックスに、メイド姿の少女は思わず恐縮する。

「そ、そんな頭を下げなくても……。私は当たり前のことをしたまでですから」
「いや、あのままだったらオレの尻尾が完全にこげているところだったよ」

そう言って、先っぽが少し焦げた尻尾を振った。

「あら……? 失礼ですが、あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になった……」

どうやら、フォックスの左手にかかれたルーンに気づいたようだ。

「え? ああ、そうだ。オレは雇われ遊撃隊・スターフォックスのリーダー、フォックス・マクラウドだ」
「やとわれゆうげきたい……?」

フォックスは、この世界ではこの肩書きが通用しないことを思い出す。

「あ、いや、こっちの話だ。気にしないでくれ」
「そうですか……? あ、私はシエスタって言います」

シエスタと名乗る少女はペコリと頭を下げながら自己紹介をした。
メイド姿、カチューシャで纏めた黒髪とそばかすがなんとも素朴で可愛らしかった。

「キミはシエスタって言うのか。いい名前だね。よろしく!」

そう言って、フォックスは握手を求め手を差し出す。

「あ、ありがとうございます」

名前を褒められ、シエスタは少し照れくさそうしながらフォックスの手を取った。

「……そういえば、キミはオレが喋ったりしても驚かないんだな」
「え?」

フォックスは焦げた尻尾を丸めながら話を続けた。

「いや、この星じゃオレのような者が喋るのは……」

フォックスがそう言いかけた瞬間、
通路の曲がり角からフォックスに向かって、少女が猛ダッシュしてきた。
フォックスのご主人様である、ルイズだ。
ルイズはフォックスの襟首を掴むと、ガクガクと体を揺さぶる。

「あんたね! そんなに私を困らせて怒らせたいわけ!?」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、落ち、落ち、落ち、落ち着けよ、オイ」

カクンカクンとダルマのように顔を揺らすフォックス。

「もういいわ! 説教は後よ! 朝食の時間に遅れるから早く行くわよ!」
「わか、わか、わか、わかったから俺の襟首を掴んだままはしらなひでくで……」

舌をかんだのか、ろれつが回らないフォックス。
シエスタは、嵐のように去っていくフォックスとルイズをポカンと見つめる。
ふと、朝食用のジュースを運んでいたことを思い出し、急いで厨房に戻ることにした。

ちなみに、シエスタがフォックスのために
ジュースの大半を撒き散らしてしまったことを思い出したのは、厨房に戻ってからだった。


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