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異世界BASARA-43


異世界BASARA-43


翌日、目を覚ました幸村は外に出て槍を振るっていた。
「早いな幸村」
そこに、大振りの三叉槍を持った前田利家もやって来た。
「前田殿か。そなたも鍛錬にござるか?」
「最近はあまりやっていなかったからな。武士たるもの、鍛錬を怠ってはならん」
利家は槍を中断に構え、突き、斬り払いの動作を行う。
「うむ、ルイズ殿やアンリエッタ姫の為にも、我等尽力して働かなければなりませぬな!」

と、ここで利家は槍を振るう手を止め、幸村を見て言った。
「……幸村、お前はこの世界でずっとルイズに仕えるのか?」
利家は普段と違い、真面目な顔つきになって問い掛ける。
「何を今更!拙者はもう甲斐には帰れぬ身。それを使い魔としてルイズ殿が置いて下さったのだぞ」


「帰れる方法があるかもしれんぞ」



「ま、前田殿……そ、それは真にござるか!?」
幸村は利家の言葉に耳を疑った。利家はさらに続ける。
「あの破壊の杖の持ち主……ザビーとは日本で会ったと言っただろう?多分、一度この世界に来て、南蛮野菜を持って元の世界に戻ったのだ」
「で、では……その戻る方法さえ分かれば!!」
「ああ、帰れる事が出来る筈だ」

帰れる……日本へ……お館様や佐助のいる甲斐の国へ。
もうこの異世界で一生を生きていくしかないと思っていた。
しかし、戻る事が、帰る事が出来る方法があるかもしれないと言うのだ。

だが。



「それで、帰る方法が分かったらお前はここに残るのか?それとも帰るのか?」
お館様の事を思い出していた幸村だったが……利家の言葉で一気に現実に引き戻された。

「お前はどうする?戻って武田信玄に仕えるか、それとも残ってルイズに仕えるか」
「そ、それは……」
「それがしは帰りたい。まつの待っている加賀に帰りたいのだ。お前はどうなのだ?」
幸村は返答に困り、考え込んでしまった。


「ここにいたのか。おはよう使い魔君」


考え込んでいると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
声のする方を見ると、ワルドが立っていた。
「おおワルド殿、昨夜は失礼致した。お主も魔法の鍛錬でござろうか?」
「いや、君に用があるんだ。君はガンダールヴらしいね?」
『ガンダールヴ』……オスマンから聞いた伝説の使い魔の名前だ。
しかし何故この男が知っているのか。
その疑問が表情に出ていたのか、幸村の顔を見たワルドが少し首を傾げる。
「その、僕は歴史と兵に興味があってね。土くれのフーケを尋問した時に、君に興味を持って調べたんだ」
と、ワルドは少し笑みを浮かべると幸村に言った。
「それでだ、僕はあの盗賊を捕まえた君の実力を見てみたい。手合わせ願えるかな?」

それを聞くと、疑問の表情を浮かべていた幸村の顔が一変する。
「手合わせとな?」
「ああ、もしかして嫌かい?」
そんな事はない、むしろ武士の幸村にとっては嬉しい。
この世界で彼が戦ったメイジといえば、ドットのギーシュとトライアングルのフーケである。
聞くところによると、この男は魔法衛士隊の1人で腕の立つ強者らしいではないか。
そんな人物と戦える機会を逃す理由は幸村になかった。
「否、拙者もお主と一戦交えてみたい。受けて立とう!」
「決まりだな」
はは、と軽く笑った後、ワルドは踵を返した。



「付いて来てくれ。この宿の中庭に練兵場があるんだ」

かつては陛下の閲兵を受けていた練兵場……
しかし、戦のない今となってはただの物置き場と化し、樽や空き箱が積まれている。
幸村とワルドはそこでお互い向き合っていた。
利家は少し離れた場所から2人を見ていた。

幸村の背中から、デルフリンガーが嬉しそうに喋り出す。
「よぉ相棒、また久しぶりの出番が来た……」
「すまぬデルフ殿」
だが幸村は背負っていたデルフリンガーを取り外し、利家に放り投げる。
「あれ?相棒?おーい!」
「この勝負、デルフ殿の力ではなく己の力で戦いたいのだ」
幸村は呼びかけるデルフにそう言うと、槍を構えた。
それをワルドは左手で制する。
「立ち会いにはそれなりの作法というものがある。介添え人がいないとね」
ワルドがそう言うと、物陰からルイズが現れた。

ルイズは2人を見てハッとした顔になる。
「ワルド、来いって言うから来てみれば……何をする気なの?」
「彼の実力を試してみたくなったんだ」
「もう!そんな馬鹿な事は止めて。そんな事している場合じゃないで……」
文句を言おうとしたルイズだったが、途中で後ろから誰かに口を塞がれた。
振り返ると、背後に利家が立っていた。
「むが!ひょっと、はにすんのよ!?」
「ルイズ、ここはやらせてやってくれ。男に……武士に一騎討ちを断る道理はない」
利家はルイズの口を押さえたまま、幸村とワルドを見る。

「ふむ、どうやら良いようだな。では始めるとするか」
ワルドは腰から長い杖を引き抜き、フェンシングと似た構えを取った。
幸村にしてみれば見慣れぬ構えである。
だが別段気にした様子もなく、幸村は十文字槍を構えた。



「真田源二郎幸村っ!!参る!!!」

幸村は一歩踏み出すと同時に突きを繰り出した。
ワルドは杖でその突きを受け止める。衝撃で火花が散った。細身でありながら、幸村の槍に負けぬ程の強度である。
幸村は槍を回転させ、ワルドの杖を振り払った瞬間槍を突き出した。
だがワルドは素早く後ろに飛び退き、構えを整えて相手の出方を伺う。

「なんでぇ、あいつ魔法は使わねぇのか?なぁ裸の大将」
利家の手に握られたデルフリンガーがとぼけたような声で尋ねた。
「分からん。唱える暇がないのか、それとも……使うまでもないのか……」
利家は今の状況を見ながらそう答える。
ルイズは、ただ黙って2人の様子を心配そうに見つめていた。

「どうしたワルド殿、魔法は使わぬのか?」
幸村もまた疑問に思ったのだろうか。構えを解かずにワルドに言った。
「魔法衛士隊のメイジはただ魔法を唱えるわけじゃない。詠唱も戦いに特化しているんだ」
ワルドは羽帽子に手をかけ、杖を構える。
「杖を剣のように扱いながら呪文を完成させる、構える仕草……そして……」
ワルドは杖で突きを繰り出す。1回……2回と、幸村はそれを受け止めた。
しかし、3回目の突きを受け止めた時、予期せぬ事が起こった。


「……突き出す動作もね!」


ワルドがそう言った直後、杖を中心に激しい竜巻が発生した。
「ぬおおっ!?」
その強力な風に、幸村の槍は弾かれ、上空高くに打ち上げられる。
「僕の勝ちだ」
ワルドは勝ちを確信したのか、そこで杖を降ろそうとした。

その瞬間、幸村は上空へと跳んでいた。
ワルドは一瞬自分の目を疑う。
この使い魔は一気に3メイル……いや、それ以上の高さまで跳躍していた。
これが伝説の使い魔の能力なのかと思った。

そして次に彼の目に映ったのは、空中で槍を掴んだ幸村の姿だった。

ワルドはすぐさま立っている位置から飛び退く。
一瞬遅れて、ワルドの立っていた地面に幸村の槍の柄が突き刺さった。
さらに幸村は刺さった槍を軸にして回転。回し蹴りを放つ。
そのまま回転の勢いを利用して槍を引き抜き、大きく薙ぎ払った。
ワルドは1歩2歩と後退し、この連撃を避ける。

「やるじゃねぇか相棒……しっかし……」
デルフリンガーが感心したように声を上げる。しかし、どうも相棒の様子がおかしい。
フーケのゴーレムと戦った時はもっと速く、疾風のように戦っていた。
ワルドと戦っている幸村も素早いが、前よりも動きが鈍いのである。
「どうしちまったんだろうねぇ、なぁ裸の?」
(まさか……あの話をまだ考えているのか?)
利家は顎に手をかけ、バツの悪そうな顔をした。

一方、幸村も不利を逆転したものの、心の中で自分の失態を悔やんでいた。
(何たる不覚!戦いの最中に別の事を考えるなど!!)
集中しなければという意思が幸村を奮い立たせる。


『お前はどうする?戻って武田信玄に仕えるか、それとも残ってルイズに仕えるか』


だが、すぐに利家の言葉が頭の中で思い出される。
その度に幸村の動きに隙が出来てしまう。
そして、その隙を逃す程ワルドは甘くなかった。

「デル・イル・ソル・ラ・ヴィンデ……」
ワルドの口から魔法の呪文が漏れる。
それに気づいたのは戦っている幸村ではなく、デルフリンガーだった。
「相棒!何してんだ!魔法がくるぞっ!!」
デルフリンガーは慌てて幸村に向かって叫ぶ。
その声に幸村はハッと我に返った時には、既に遅かった。

ボンッ!という音と共に、幸村は横に吹き飛んだ。
巨大な空気の衝撃、「エアハンマー」が直撃したのである。

「ごはっっ!!」

口から声の代わりに息が漏れる。
幸村は10メイル以上も吹き飛ばされ、積み上げられていた樽に激突してやっと止まった。

「勝負あり、だな」
ワルドは杖を腰に戻し、幸村を見て言った。
「君は……何か別の事を考えながら戦っていなかったかい?」
ワルドの言葉に幸村は跳ね起きる。それを見たワルドは半ば呆れるように言った。
「やはりか、戦いの最中に他の事に気を取られるなんて……」
幸村は顔を伏せ、黙って答えない。それは事実だったからだ。




「これで分かったよ。少なくとも、今の君ではルイズを守れない」

幸村はまた答えなかった。
それもまた事実かもしれなかったからである。


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