あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの魔獣-37


ルイズは虚空にいた。

天地の区別のない世界。 眼前に広がる星の海。
一切の音のない本物の静寂。 体を抜けるひんやりとした空気・・・。

― 自分はどうなってしまったのか?

― 慎一は、元の世界へ戻れたのか?

― トリステインは、ハルケギニアは滅んでしまったのか?

すべての思考が虚ろで、どこか、ひどく虚しいものに感じられる。
無限の空間を一人漂う。 ただ、そこに在るがように、ルイズは宇宙の一部となっていた・・・。


―と、

不意に、ざわり、と、星達のざわめく音を聞く。
静謐な空気に満ちた世界に、徐々に喧騒があふれ出す。
光の粒が大きくうねり、巨大な大河となって、遥か彼方へと流れ出していく。

ただならぬ予感に目を凝らす。
星と思えた光の粒は、一つの生命。
肉体をも超越した強固な意志達が、大群を成し、光を放って突き進んでいた。

(これは・・・ これは 戦争!  神々の戦い・・・)

おそらくは、それぞれが星一つに匹敵するであろう魂を宿らせた戦士たちが、
彗星の如く瞬きながら、彼方の闇へと飛び込み、消えていく・・・。

暗黒の果てから、『敵』の鳴き声が響き渡る。

母の胎内を追放された赤子のような、絶望、恐怖、悲鳴。
『敵』の周囲の星星が砕け、塵へと還り、闇の彼方へ吸い込まれていく。

(あれは 悪魔! 星をも喰らう漆黒のバケモノ・・・!)

宇宙の営みが、命の輪廻が、そこに宿る生命の想いが、
組み上げた積み木を崩すがごとく、無意味にかき消されていく・・・。


後に残るは、一切の虚無―。


(イヤ! やめて! もうやめて)

ルイズが泣く。絶望が全身を突きぬけ、幼子のように身をよじらせる。

(助けて だれか たすけて・・・)


『ウ オ オ ォ ォ ォ オ オオ ァア アォ ォア ア ア アァ ァ ! ! ! !』

ルイズの悲鳴に応じるかのように、遥か後方から、原初の雄たけびが轟く。
振り向いたルイズが目にしたのは、ひときわ巨大な光。

― 光の中にいたのは、一匹の魔獣。

星一つを飲み込まんばかりの獅子の大顎。
全身を覆う黄金の体毛。
禍々しさすら帯びた六枚の翼。
時空すらも断ち切れそうな巨大な爪。
そして・・・瞳に宿る真紅の炎。

(慎一!)

ルイズにははっきりと分かった。
馬鹿馬鹿しいほどに強大で、滑稽なほどに圧倒的な野性の塊。

一切の生命が通じぬ相手に、あくまでも生身の肉体で立ち向かおうというのか―。

『グ オ オ オ ォ ォ ア ア ア ァ ァ オ オ オ オ ォ オ ア ァ ア ァ ア ア ッ ! ! ! !」

魔獣が吼える。 
銀河が震えた。


ルイズが再び気が付いた時、虚空は元の静謐さを取り戻していた。

眼前の光の粒が、徐々に膨らみ、一つの形をなしていく・・・。

(今見たものは 遥か未来の光景)

光が語る。

(真理阿・・・!)

目の前に現れたのは、大人へと成長した真理阿。
背はルイズよりも高く、体つきは女性のそれへと変わっていたが、
そこには確かに、ルイズの知る少女の面影があった・・・。

(答えて! 真理阿!
 慎一は あいつと戦うために生まれてきたの!?
 彼は 戦うための進化する兵器だとでもいうの!?)

(あの戦いも 又 通過点のひとつに過ぎない・・・)

真理阿の答えは、ルイズの期待するものよりも、ずっと残酷なものだった。

(宇宙に満ちる運命は ひとつの結末を目指し 収束を始めている・・・
 彼だけではない 全ての生命が 終末へと向けて戦い続ける宿命を負っているの・・・)

いつしか真理阿は、ルイズのよく知る少女に戻っていた。

(そんな顔をしないで あなたは慎一を 私を救ってくれたのよ ルイズ・・・)

(私が・・・ 慎一を?)

(未来永劫 戦い続ける宿命を背負った彼にとって
 あなたと暮らした安らぎの日々は かけがえのない財産になった
 あなたは 私達の命を救い 彼が望んで止まなかったものを 惜しみなく与えてくれたのよ)

真理阿の背後から、一粒の光がゆっくりと近づいてくる。
それは、青く美しい星だった・・・。

(これで・・・ お別れなの? 真理阿)

(あの世界には あの人が待っているから
 私と再び出会う日を待ち 永い眠りへとついている・・・
 だから 私は行かなきゃ ・・・もう一度 彼と会うために)

(・・・・・・・・)

(そんな顔をしないで・・・
 言ったでしょう? 運命は収束している
 遥かな未来の先で もう一度 私たちが出会える日が来るわ・・・)

(うん・・・ ありがとう  真理阿・・・)

(また会いましょう ルイズ
 最後にひとつだけ予言をするわ

 あなたが次に出会う男の子は きっと あなたの運命の人になる
 私にとっての慎一が そうであったように・・・)

(真理阿!)

(ありがとう・・・   ありがとう  ルイズ・・・)



真理阿の体は、徐々に小さくなっていき・・・

―やがて、青い惑星へと吸い込まれ、完全に見えなくなった・・・。



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