あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ドクターウェストの華麗なる実験 第三話

 ドクターウェストは世間でいう所謂天才という奴に分類されるが、その卓越の頭脳と才能をブッ千切る変態度数と脳内にいる妖精さんの他者との圧倒的保有数の差のため、尊敬もされなければ賛同もされていない。
 愉快犯に近い彼自身の性質もあいまって、彼によって産み出される発明品の数々は基本的に犯罪じみたものが殆どである。
 よってウェストの発明品はウェスト自身意外には限りなく毒にしかならない。
 というかウェスト自体が毒であった。

「ちょっとあんた! ご主人様のわたしがせっせと汗水たらして肉体労働にか細い手足を酷使してんのに、使い魔のあんたが床に肘突いて寝そべってるってどういうつもりよ!
 ちょっとは手伝いなさいよ!
 その体の筋肉は何の為にあるのよ! 飾り!? 飾りなの!? 飾りなのですかこのバカヤローッ!!」

「やれやれ……
 時に、凡人の粗悪極まりない脳の構造では天才たる者の考えに理解が及ばないというが……所詮貴様もこの事例に該当する由所正しい真の凡人でしかなかったという事だ。
 今の我輩の姿勢は体の余分な力を解き放ち、リラックスの後に脳の回転をスムーズにし、更に肉体的疲労も回復しうる思慮深い大天才的思考形態なのである。
 つーか、何故に我輩が貴様の尻を拭ってやらねばならぬのだ。
 ちり紙くらいならくれてやる温情が我輩にも辛うじてあるので、そーいうことは自分でやれ! である。
 あ~~~、バッチイバッチイ!」

「なっ!? それくらい自分でするわよこのバカ! 変態!!
 わたしが言ってるのはこの部屋の片づけを手伝いなさいってことよ!
 手伝わないならせめて立ちなさいよ!」

「ご~~めんなちゃ~~~い。
 貴様は我輩の守備範囲を地球からセラエノまでの距離くらい逸脱しているので、我輩の御曹司ちゃんはちっとも起き上がらないのであーる」

「何と勘違いしてんのよ!!
 ヴァリエール家の三女であるわたしの前でそんな下品極まりない言葉を吐くのは止めなさいよ!!」

「勘違い? 勘違いとな?? ていうか下品???
 貴様の方こそ何と勘違いしているのであるか?」

「何って……」

「さっき我輩が言った言葉に中の何所に下品な言葉が混ざっているであ~るか?
 もしかしてセラエノ? それとも守備範囲?
 我輩、貴様が何を言っているのかさ~~~~っぱり解りましぇ~ん。
 出来る事なら後々ために貴様の言う勘違いとやらが何なのか、是非知りたいのですが、教えてくれま~すか~?
 主に貴様が下品と認知する言葉の辺りを、より一層事細かく微細零細に到るまで手取り足取りナニ取りドコ取り、この我輩の記憶力抜群の頭脳に刻み込んでもらおうか?」

 猥褻物も同然の笑みで、ウェストはルイズに言った。
 怒りとも羞恥とも突かない赤みがルイズの顔を被った。
 ルイズは両手を握り締めて震えている。喋らない。

「さあさあさあ、どうしたであるか? 何とか言ったらどうであるか? 答えられない訳でもあるであるか?
 早く言うである。さもないと掃除が何時まで経っても終わらないであるよ?
 アーーーーーーーーーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」

 トチ狂った哄笑を響かせたウェストはシュバッと懐からエレキギターを取り出すと、またもやトチ狂った音を響かせた。
 しかも先程使用する機会をタバサに奪われた千手観音フォームを惜しげもなく使い、展開したマジックハンドを遺憾なく発揮して蜘蛛の如く壁に張り付き、天井・床・壁など節操無く縦横無尽に走り回る。

「我輩の股間はマーラ様であ~る!
 ところで、マーラとモーラって、なんか似てね?」

「あああああああああああああああああああああああっ!!
 毒電波撒き散らすのもいい加減にしなさいよね!?
 わたしはもうSAN値もHPもMPも、そんでもってカルシウムも0よ!!
 もう手伝わなくていいから大人しくしてて!」

 なんでわたしはこんな事をしているのだろう。
 深々と溜息を吐く自分自身に、ルイズは哀愁を感じた。
 そして自分自身に哀愁を感じたことで鬱になる。
 そのことで再び溜息を吐いて、また鬱になる。
 悪循環此処に極めり。

「どうしたであるかロリっ娘。元気が無いであるな―――――――ああ、なるほど」

 何やら納得したように肯くウェストに、ルイズはまたくだらない事でも考え付いたのだと思った。
 そしてその考えは正しくそのとおり。

「スマンが、いくら大天才の我輩でも、生理痛に利く薬は持っていないである」

「違うッ! 生理違うッ! 
 ―――って、あああああんたうら若き乙女の前でななな何言ってんのよ!?
 もっとオブラートに包みなさい! 露骨なのよ!」

「な~にを恥ずかしがっているであるか。
 生理とは切っても切れぬ女子の営み!
 女子ならば皆あるのだからして、むしろ恥ずかしがっているほうが見ている側としては恥ずかしいである」

「だから違うって!」

 必死に否定するルイズ。
 当然ウェストには聞き入れられない。

「もうそれ以上言うなである。貴様がイライラするのも当然のこと。
 生理の日の女子どもは皆しかめっ面でインスマス面である。
 しかし、我輩は大天才であるが故、薬が無くとも貴様の痛みを和らげる効果があるものを持っている。
 だからもう、そのようにイライラしなくても言いのである。
 そしてその効果があるものといえば―――――――」

 ウェストは地を蹴って飛び上がり、空中で一回転すると煤の付いた教卓の上に降り立ち、エレキギターを掻き鳴らす。

「歌であ――――――――――る!!!
 レッツ! ロケンロ―――――――――ルッッ!!
 日本人はッ♪ 胃腸が弱いッ♪ だけど我輩は鉄を食べてもモウマンタ――――イッ!」

「人の話を聞きなさいってば!!
 わたしは生理じゃないの!!
 生理は来ていないの!!」

 勿論ルイズが言っているのは生理が来る周期が来ていない事を言っているのだが。

「??
 生理が来てない?
 そんな馬鹿な。
 いくら貴様の発育が劣悪だとはいえ、生理が無いのなどありえな――――――まっ、まさか!?」

「……なによ」

「貴様、もしかして妊娠を―――」

 ルイズは頭の中の何かが千切れる音を聞いた。
 それと同時に火山が噴火する時の頂点へ突き抜ける怒濤のエネルギーに等しい激情が小さい身体を貫いた。
 意識が白熱し、表情を忘れ、発声も惜しみ、ウェストコロスという極限まで省略されながらも圧倒的物量を持った衝動に付き従い、人生最大の威力を誇るであろう失敗魔法―――セクハラ・インパクトとでも呼称すべき奥義っぽい爆発を叩きつけようとした―――まさにその時!

「ドクター!! それは本当のことかね!?」

 完全な不意打ちで叫ばれた言葉にルイズは動きを止めて声のした方を見ると、えらくシリアスを纏ったコルベールが立っていた。

「ミスタ・コルベール、今は取り込み中で―――」

「そうだとも、異世界の科学の徒よ!
 この小娘は生理が来てないとハッキリと断言した。
 つまり、この歳で生理が来ない理由でまず第一に考えるべきは妊娠の可能性である。
 やはりピンクは淫乱であーる!」

 ズビシッ! とルイズを指して言い切るウェストに、ルイズは杖を振り上げる―――しかし、コルベールに腕を掴まれて再び阻まれる。

「何をしているのだミス・ヴァリエール!
 さあ、早く保健室へ行くのだ。
 両親の方へは私から連絡しておくから、お急ぎなさい!」

「そうであ~る。
 今の貴様の身体は、貴様一人のモノではないである。
 最近の若者の性の乱れに嘆きつつも、今は新たな生命の誕生に喜ぼうではないか」

「そうだともドクター。
 今日はまったくもっておめでたい日だ」

「よぅし!
 此処はこの大天才が一肌脱ぐのであ~る。
 ロリッ娘、ありがたく思え!
 我輩が直々に作詞作曲したおめでたいソングを貴様に今この場でプレゼントしてやるのであーる」

「ならば私は喜びの舞を踊ろうではないか!」

 そして鳴り響くユークリッド幾何学を凌駕する何かよく分からない歌と、リンボーダンスとキタキタ的な何かが混ざった狂ったフルートでも聞こえてきそうな踊りが始まった。
 その時ルイズは―――


  光射す学院に
  汝ら阿呆
  棲まう場所無し
  渇かず飢えず
  無に還れ――!


 ルイズは口訣と共に杖を振り下ろした。

「セクハラ・インパクト!」

 そして教室は昇華した。



 ―――いや、ちゃんと残ってるよ……瓦礫はな!








「…う~ん…………ん?
 はて? 何故私はこんな所で寝ているのだ?」

 保健室のベッドから起き上がったコルベールは一体何故自分が此処で寝ていたのか思い出せず、首をかしげた。

「ああ、ミスタ・コルベール。お目覚めになられましたか」

 聞こえてきた声の方へ目を向けると、保健室を任されているメイジの女性が机から立ち上がってこっちへ来ようとしていた。
 仕事の途中だったのか、机には書類と筆記用具が置かれている。

「どこかおかしな所はございませんか?」

「いえいえ、大丈夫ですよ。何も問題はありません。
 ただ、何故私が寝ていたのか教えてくれませんか?
 どうも寝る前の記憶があやふやでハッキリしないんですよ」

「それでしたらミス・ヴァリエールから聞きましたが、どうも支離滅裂……とまではいきませんが、曖昧な部分が多かったので私もハッキリとは分かりません。
 まあ推測するに、おおかた彼女の失敗魔法に巻き込まれたと考えるのが妥当でしょう」

「そう言われてみると爆発に巻き込めれたような巻き込まれなかったような…………まあいいでしょう。
 とりあえず私は無事ですから」

「それもそうですわね。あの子の失敗は今に始まったことではありませんもの」

「彼女もそれなりに頑張ってはいるんですがねぇ。
 ところでミス・ヴァリエールは何と言っていたんです?
 一応聞いておきたいのですが」

「えーっとね。確か―――
 『ミスタ・コルベールは変な歌でキタキタになってこの世界から外れた時間の角度に在る異次元の狂った調に乗せて、死すら死する永劫の卑しい床で臥せる膨張と収縮を際限なく繰り返すナニかへの舞を捧げながらピ~ヒャラリになっちゃいましたけど、どうぞご心配なく』
 て…言っていたわ」

「なんですかそれ?」

「さあ?
 もっとも彼女が本当に何を言ったのかは私にも分かりませんわ。
 なにせ彼女、その時物凄くしどろもどろで混乱しながら興奮してたし、舌も回ってなかったし。
 今私が言った事は私が聞き取った事をなるべくまともに訳しただけなの」

 ルイズは一体何を言おうとしていたのか、コルベールが考えようとするよ鈍い頭痛が走り、思わず顔を顰めた。

「どうしましたか?」

「いえ、軽い頭痛がしただけです。ご心配なく」

「頭痛ねぇ。
 今日は大事を取ってお休みになられては?
 報告なら私がしておきますけど」

「頭痛程度で休むわけにはいきませんよ。
 ご配慮ありがとうございます」

「そうかい。
 健康には気を使いなさいよ。
 軽く見ていたものが実は大病の元だったり――なんて事はよくあることですから」

「はは。気をつけさせてもらいますよ」

 軽く会釈をしてコルベールは保健室から離れた。
 そのまま暫く歩くと、何やら焦げ臭さが鼻を突いた。

「はて? この臭いは一体……」

 臭いのする方へ行くと、其処には壁が瓦礫となって消えて外と繋がる焦げた教室の無惨極まりない姿が飛び込んできた。

「なっ、何だこれは!?
 一体此処で何が…………!」

 驚愕するコルベールの脳裏に強烈な閃光が瞬いた。
 断片的な映像と音声が点滅しながらコルベールの脳の中で暴れまわる。

「……………………………!!」

 理解出来ない――――否!
 理解したくないのだ。
 理解すれば人間としての何かが瓦解する!


  授業が終わった筈の教室から聞こえてくるミス・ヴァリエールと使い魔の話―――遮断
  ミス・ヴァリエールの妊―――遮断
  ドクターウェ―――遮断
  喜―――遮断

  精神への膨大な過負荷が発生
  自己構造体へのダメージが第八レベルまで侵攻
  現状では自己修復プログラムでの対処は不可能と断定
  過負荷の外的要因を検索〟〟〟〟判明
  外的要因の削除を要請―――許可
  削除開始
  :
  :
  :
  :
  :
  :
  削除完了

  再起動開始


「…あ……ああ……酷い頭痛だ。
 やはり調子が悪いな。
 素直に休んでいた方が良かったかな?」

 そう呟くとコルベールは破壊された教室から去って行った。
 コルベールの中で何が起こったかは定かではないが、何かしらの悪影響の侵食を駆逐できた事は確かだろう。
 一体彼に身に襲い掛かったモノの正体は何であったのだろうか。
 まだ見ぬ未知のウィルスか、はたまた異次元の侵略者からの攻撃か。
 だがそれを知る術はもう無い。
 全ては闇の中に葬られた。
 後は彼が無事に平穏の中に帰っていける事を祈るばかりである。

 何処からか夜鷹の鳴き声―――っぽいウェストの笑い声が聞こえてきた。









ドクターウェストの華麗なる実験:第三話「マーラとモーラって、なんか似てね?」完
次回、第四話「このゲームは十八京歳以下のニャル様は購入できません」につづく。



新着情報

取得中です。