あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

プレデター・ハルケギニア-08


ルイズとワルドは現在アルビオンへの貨物船に乗り込んでいた。
本来ならば出航は明日だったのだがこちら側が積荷の硫黄と同じ分の代金を払うこと。
そして風のスクエアメイジであるワルドが船の運航を手伝うという条件で出航となった。

今、ワルドとルイズは与えられた一室でテーブルを挟んで座っている。
テーブルの上にはワインとグラスが並べられている。

「ふぅ、最後の最後に邪魔が入ったが何とかここまで漕ぎ着けたね」
「ええ、でも大丈夫かしら。みんな……」
ルイズが心配そうな表情を浮かべる。ラ・ロシェールで囮となったキュルケ等のことが心配なのだろう。

「大丈夫さ、仮に捕らえられたとしても元々彼らは無関係だ。殺されるようなことは無いよ。
それに相手は所詮、平民だ。炎と風のトライアングルがいれば負ける可能性のほうが低い」

ルイズを安心させるかのようにワルドが言う。
それと同時に並べられたグラスにワインを注いでいった。

「取りあえず飲もうじゃないか」
ワルドがワインの注がれたグラスを差し出す。ルイズも同じくグラスを出し
互いのグラスとグラスを小さくぶつける。

ワルドの乾杯、の言葉とともに二人は注がれたワインを飲み干した。

「ルイズ、実は大事な話があるんだ」
「大事な話?」
急にワルドの表情が真剣な面持ちになる。

「僕と一緒になって欲しい。結婚しよう、ルイズ」
「け、結婚!?」
思わずルイズが驚きの声を上げる。
「そ、そんなワルド、私たちは確かに婚約者だけど……
まだ早いわ、まだ16よ私。それにこんなに急に……」

「そんなことは無いよ。君は立派に成長した。もう立派なレディだ」
ルイズの目を真っ直ぐに見据えながらワルドが優しく言う。

「と、と、とにかく少し考えさせて」
顔を真っ赤にしてルイズがしどろもどろに答える。

「わかったよ。確かに急な話だったかもしれない。でもルイズ、僕は本気だ。それはわかって欲しい」
「ワルド……」


「アルビオンについたら答えを聞かせて欲しい」
そう言うとワルドは静かに部屋を出て行った。




その頃ラ・ロシェールでは、

「どうなってんのよ一体?」
キュルケがハンカチで口元と鼻を塞ぎながら言う。

キュルケ達の目の前にはバラバラになった傭兵達の死体、屋根の方を見上げれば皮を剥がされ逆さ吊りになった
傭兵が見える。地面に傭兵の血液が雨だれの如く滴り落ちている。
周りにはキュルケ達の他にもラ・ロシェールの人々が集まり、ちょっとした人垣ができている。

「あれってルイズが召喚した化けモンじゃない。なんでこんな所にいるのよ。
しかも何で傭兵を……」
「まぁ結果として僕等は助かったわけだが……ウッ!?」

途端にギーシュが近くの路地へと走り嘔吐する。

「ふ、ふん。だらしないわねトリステインの男は。こ、こんなの屁でもないわ」

実を言うとキュルケも二回ほど嘔吐している。しかしキュルケの傍らにポツンと立つタバサの表情は
いつもと変わらない。どこまでも無表情な顔はまるで人形のようだ。

「あなたは平気そうね、タバサ?」
キュルケの問いかけにタバサが小さく頷く。
「そう、強いわねあなたは……」
キュルケがタバサの小さな頭を優しく撫でながら小さく笑みを浮かべる。

「しかし、これからどうしようかしらね。ルイズ達は上手く出航できたみたいだけど……」

キュルケが夜空を仰ぐ。空には見事な双月が浮かんでる。





その頃タバサの使い魔のシルフィールドはラ・ロシェールの岩山の上で自身の巨体を丸めるようにして
眠っていた。大きな口からは穏やかな寝息が聞こえる。
下方に見える街で起こった惨劇のことなど露も知らないだろう。



しかし不意にその穏やかな眠りは破られた。シルフィールドの背中に何かが突然飛び乗ってきたのだ。
驚きのあまり体をバタつかせるシルフィールドであったが不意にその動きが止まった。
いや、体が固まったように動かなくなったのだ。

この時シルフィールドの耳穴には鋭い穂先の槍が挿入されており、その穂先は鼓膜の寸前で止められていた。
槍を握っている手の先には全身に鎧とマスクを身に着けた巨体、あの亜人がシルフィールドの背中の上に飛び乗っていた。

「死にたくなけりゃおとなしくしたほうがいいぜ、『韻竜』よ。言葉は分かるはずだろ?」

背中からの低い男の声にシルフィールドが驚きの表情を浮かべる。
亜人の腰に差された大剣が喋っている。

タバサの使い魔のシルフィールドはウィンド・ドラゴンということで通っている。
しかしその正体は遥か太古に滅んだと言われる『韻竜』と呼ばれる竜族である。
韻竜は他の竜族よりも遥かに高い知能を有し、人語を解することも容易だ。
そのことが周りにバレると何かと面倒なのでタバサ自身がウィンド・ドラゴンと嘘をつき
シルフィールドもタバサ以外の人間と話すことは主人であるタバサから禁じられている。

(ど、どうして私のことを……)

シルフィールドが頭の中で思考をめぐらせる。
するとまた背中から声がする。


「なに、ちょいとばかりお前さんに頼みがあるだけさ。アルビオンまで一っ飛びしてくんねえか。それだけさ。
韻竜なら軽いもんだろ?」

(そんな、でも勝手に飛んでいったらお姉さまに……)

シルフィールドが考えていると槍の穂先が僅かに進みチクリと鼓膜に触れた。
思わずシルフィールドは夜空へと飛び上がってしまった。

飛び上がると共に耳から槍が引き抜かれる。
大きな翼を羽ばたかせシルフィールドは一気に空高く舞い上がった。

「へへ、ありがとよ。しっかしこんなとこで韻竜とはな。
本当めずらしいつーか運が良かったつーか……ってウォッ!?」


剣が喋り終わるのを待たずに突然シルフィールドの体が反転した。
続けざまに素早く宙返りと目まぐるしく動き回る。まるで暴れ馬ならぬ暴れ竜だ。

(振り落としてやるのね!)

亜人の体を振り落とそうと暴れ回るシルフィールドであったが不意に喉元に激痛が走った。
見ると亜人の手が喉元の肉を万力のような力で掴んでいる。
シルフィールドの体は固く青い竜鱗に覆われており体を保護している。
しかし喉元や腹部の白い部分は竜鱗に覆われおらず比較的柔らかい。

亜人の手に更に力がこもる。仮に人であれば引きちぎることなど不可能だが
この亜人の力ならばたやすく肉を引きちぎるだろう。

あまりの痛みに遂にシルフィールドの心が折れた。
「わかった、わかったのね!アルビオンまで飛ぶから離して、きゅいきゅい!!」
シルフィールドの言葉と共に亜人が喉元から手を離す。

「やっぱり喋れたな」
「うう、ごめんなさいなのね、お姉さま……」


シルフィールドが涙目になりながら飛んでいく。
遥か先にはルイズ達の乗った貨物船が同じくアルビオンを目指し飛んでいるだろう。


船を追いかけるような形で背中に亜人を乗せたシルフィールドは夜空を駆けて行く。


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