あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの侵略者 - 01

 トリステイン魔法学院―――――ハルケギニアと呼ばれる大陸の西に座すトリステイン王国。その王都近くに存在する魔法使い達の学校。
そこでは春の行事である『召喚の儀式』が行われていた。

まだまだ未熟なメイジ(魔法を行使する人間をこの世界ではそう呼ぶ)である少年少女の生徒達が、次々と様々な『使い魔』を召喚していく。
これから自らの半身といっても過言ではない存在となる使い魔を召喚し、契約する神聖なこの儀式に失敗は決して許されない。

 そして今、桃色がかったブロンドの勝気そうな少女が、召喚魔法『サモン・サーヴァント』の呪文を詠唱した。
それがこのハルケギニアに恐るべき“侵略者”を呼び寄せ、また自らが住む世界の終りを告げる鐘の音であるとも知らず。


 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ……我が導きに答えなさいッ!!」







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                真!! ゼロの侵略者 ~ハルケギニア最後の日~


                  第1話「恐怖!! 復活のインベーダー!」

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 ………………その呪文の通り、“それ”は宇宙の果てから召喚された。
 暗い闇の宇宙からせまり来る恐怖の声をあげて、召喚者の世界にやって来たのである。
 “それ”は決して神聖で美しくはなかったが、狂暴にして凶悪といっていいほど力強く、そして『生』に対して異常なまでに貪欲な存在でもあった。

 だが……召喚されるその直前、“それ”は憤怒の叫びと断末魔の悲鳴をあげていた。
不倶戴天の敵によって星ごと一刀両断に斬り裂かれ、細胞の一片まで残すことなくその身を焼きつくされる“それ”。
叫び、吼え、呪い、のたうちながら消滅していく“それ”の思いは最期まで同じだった。


    『まだ生きたい、死にたくない』


 しかしその願いは叶えられず“それ”はこの宇宙から死に絶え、すべての生命の根源たる『     』へと還っていくはずだった。が―――――




 緑の光に飲み込まれていく“それ”の最後の欠片、その前に突如として銀色に光る『鏡のようなもの』が現れる。
その物体、いや現象はこの宇宙でつい先ほど起こったワームホールと呼ばれるものと同種の効果を持っていた。


 尚も崩壊していく“それ”の欠片を『鏡のようなもの』が飲みこむと、“それ”はその世界から完全に消え去った。








 「こ、これが私の使い魔?」

 ルイズは自分が召喚したものを見て困惑した。
彼女だけではなく、周りの同級生や教師のコルベールも不思議そうな表情をしている―――――なんだアレは?

 目の前のそれは黒いヘドロのようなもので、絶えず蠢き蠕動し、表面には無数の黄色い目玉が生えている。はっきり言ってかなり不気味で醜怪だ。
とても美しいとは思えないし、お世辞にも力強いようには見えない。「神聖で美しい、強力な使い魔」とはかけ離れた存在である。
ルイズは己の期待とまったく違うものを召喚してしまったことに少なからず落胆したが、同時に生涯初めての魔法の成功に対する喜びと、困惑があった。

 説明するまでもないが、彼女は『ゼロ』という不名誉なアダ名をつけられ嘲られているように、幼い頃から魔法の才能が無いと「思われて」きた。
貴族に生まれておきながら、ことトリステインという国家において貴族という特権階級を支え、かつ司るファクターの第一である魔法が使えないのだ。
まして彼女は王家の血筋に近い公爵家の令嬢で、貴族としての位が高ければ高いほど必ず魔法の才能に秀でてなければならないのがこの国の常識である。
それ故どんな初歩的な魔法の呪文を唱えても、何故か必ず爆発を起こして失敗してしまうルイズが他の貴族から低く見られるのはしかたがないことかもしれない。
だが、それでも彼女は気貴くあろうとした。決して卑屈にならず、前を見て歩こうとした。それが他の生徒の敵愾心をあおり、己への侮蔑が増す原因になろうとも。

 このようにルイズは実技において同級生たちに劣るが、代わりに座学では他より優れていようとした。誇りを保つため、魔法の知識だけでも一番であろうしたのだ。
彼女は決して愚鈍ではなかった。その頭脳は記憶に関して優秀であり、また弛まぬ努力もあって彼女の知識はクラスメートよりはるかに富んだものとなった。
覚えた呪文(ルーン)は数知れず、『コモン・マジック』は勿論のこと四系統の大抵の呪文は空で唱えられるし、同世代のメイジが知らない魔法も知り、その呪文を覚えた。
魔法の呪文だけではない、秘薬や幻獣、精霊の知識においても上級生たちに引けは取らないほどだった。

 話が反れたが、ドラゴンとまではいかなくても、グリフォンやユニコーンなどの強力で美しい幻獣、でなければ有名ではないが学識あるものならその価値が分かる
希少な存在を召喚して同級生たちを見返してやろうと思い、万が一に自分が知らない種類の幻獣を召喚した場合へそなえて、それに関する情報を改めて得ようと
再び書物をひも解くまでしたルイズの膨大な幻獣の知識に、“こんなもの”は無かった――――というのが彼女の困惑の理由なのである。
 ルイズは幻獣に関する書物のみでなく、過去の召喚の記録も読んだ。『稀有な召喚』というタイトルの書籍には珍しい動植物や幻獣の他に、他人が造り出した
ゴーレムやガーゴイル(西洋の鬼瓦的な存在の、翼が生えた醜悪な怪物を模した石像ではなく、ハルケギニアでは意志を持つゴーレムを指す)を召喚した者、
中には単なるマジックアイテムを召喚した者や、さらに精霊を召喚した高名なメイジなどが記されていたが、やはり“こんなもの”を召喚したという記録はなかった。

(コレみたいなのに関する記録はどこにも無かったわ…………ひょっとして私、凄く珍しい幻獣を召喚したのかも! ああっ、でも実際役に立つかどうかは………)

無論のことルイズも全知ではない。彼女の知らない存在も多々あるだろう。故にその思考はネガとポジ両方に向いていた。

「………ミス・ヴァリエール、『コントラクト・サーヴァント』を。使い魔を召喚したのならばそれと契約しなければ」

 思索の沼に沈みつつあったルイズを現実世界に引き戻すべく声をかけたのは、同じく思索の沼に溺れかけたものの自力で這い上がった教師のコルベールである。
若くして頭髪の後退が激しくなった男性であるが教育者としては優秀で、奇妙な実験に没頭しているということを除けば生徒の面倒見も良い名教師だ。
彼もまた自身の知識と経験にはない召喚物に困惑していたが、教師連のなかで博識とはいえど自分は幻獣の専門家ではない、ということで己を納得させた。


―――――――アレが何なのかであるかは後回しだ。それよりこの神聖な儀式を遂行せねばならない。
          召喚から契約まではスムーズに行われなければならないものだ。
          生徒の手に負えないものが召喚された場合の対処も自分は任されているが、
          正体不明の不気味な存在であるものの、アレは極端に弱っているようだ。危険はあるまい―――――――


 コルベールはそう思った………すぐに後悔するとも知らず。








 「はい……わかりました、ミスタ・コルベール」

 ルイズは承諾した。
すでに何十回という失敗を繰り返し、もはや次の授業に差障りがでると言うコルベールに必死に頼み込んでの召喚。
本来の『サモン・サーヴァント』の呪文とは異なる、自分のありったけの思いを込めた祈りのごとき詠唱。
コレはそうしてやっと自分の目の前に現れたものだ、何の不満があるのだろう。
こうなってはこの正体不明の生き物(なのか?)を己の使い魔として受け入れ、共に歩んでいくしかあるまい。

 そのように決心したルイズを遠巻きにだが、真摯に見つめる生徒がいた。
蠱惑的ボディーラインを誇る褐色肌の美少女で、名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
隣国・帝政ゲルマニアよりの留学生であり、優れた「火」のメイジだ。先ほどその実力に見合った、虎のように巨大なサラマンダーを召喚している。
彼女は自慢の赤毛と豊満な胸を揺らしながら、自分と対照的な体型の眼鏡をかけた青髪の少女に話しかけた。

「ルイズったら変な使い魔を召喚したわねえ………アレが何なのか分かる、タバサ?」
「解らない…………でも、何か“よくないもの”だと思う」

 タバサと呼ばれた少女はその身の丈を越すほどの杖を強く握りしめ、身体に薄っすらと汗を滲ませている。
彼女はとある理由から命を危険にさらす仕事を何度もやり遂げており、その外見からは想像できない百戦錬磨の戦士だった。
その戦士としての勘が、彼女にあの存在が不穏なものであると知らせている。
何かは分らないが、禍々しくおぞましいもの。ヒトを蛙とするなら蛇に喩えられるような………
自身の勘だけではない、彼女が召喚した風韻竜の幼生もまた主の心に警告を発していた。アレは恐ろしい悪意に満ちた存在であると。
他の使い魔もその危険性に気付いているようだ。あるものは怯えて縮こまり、あるものは毛や鱗を逆立たせながらアレに向かって低い唸り声を上げ威嚇している。
同級生たちは自分の使い魔をなだめるのに必死だった。

 タバサの返答にキュルケはルイズのことが心配になったが、すでに彼女は『コントラクト・サーヴァント』を行おうとしていた。




「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

そう唱えて使い魔に、いやこれから使い魔となるものに優しく口づけたその瞬間――――――ルイズは弾かれるようにして倒れこんだ。




 地面に投げ出された彼女の身体は小刻みに痙攣し、口からは血泡を吹いて眼はあらぬ方向を向いている。
キュルケがルイズの名を叫びながら駆け寄ろうとするが、タバサに押し止められた。
その理由はすぐに分かった。
タバサも、コルベールも、周りの生徒達も、その場にいた全員が“それ”を凝視している。
精々数十サント程度でしかなかったそれは、今や2メイルもの大きさになっていた。
沸き立つ湯のようにボコボコと音をたて、大小の目玉が浮かんでは消えていく。
そしてさらに膨れあがったそれは、ついに形を成した。



 『『 ぶ は ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !! 』』



 それは産声だった。
 それは復活に歓喜する生命の叫びであり、同時に破滅の産声だった。

黒い繭を突き破るか、あるいは古い殻を脱ぎさるようにして現れた“もの”。
そいつらは天を見上げて、ささやくように呟く。


「………僕の推測が正しければここは地球じゃないね、スティンガー君」

 雲を突くような凄まじい巨躯の大男が言う。真黒い肌にその人種にしては珍しい金髪で、頬から顎にかけて覆う髭が人外の獣の雰囲気をかもしていた。

「う、うん、そうだね。ここは地球じゃないよね、コーウェン君」

 応えた男は大男に輪をかけて異様な面相だった。辛うじて人類の範疇に含まれているが……妙に引きつり青ざめた、非人間的印象を与える顔だった。

「大気と土中に含まれる成分」
「僅かな重力の差、自転速度までもが違う」
「それに見たまえスティンガー君、衛星が二つもある」
「うん、そうだね。それに何よりも」
「ああ、何よりも」

 二人は次の言葉を実に……実に感慨深く、様々な感情を込めて言った。

「「 ゲ ッ タ ー 線 の 照 射 量 が 違 う 」」


 二人はそこで初めて周りの存在に気づいたかのように顔を下げて辺りを見回し、
 そして幼子が見たら引きつけを起こしそうな笑みを生徒達に向けて、「挨拶」した。

「やあ、はじめまして!」

 にこやかに、しかし邪悪極まりなく微笑む二人。その胸には見たこともないルーンが服の上からでもわかるほど光り輝いていた。

















この日この時この場所こそ。

人類とは決して相容れない、この世界に存在してはならぬ『侵略者』が伝説の『虚無』によってハルケギニアに降臨し、
また、この星に滅びをもたらす『世界最後の日』の始まりであるとは、まだ誰も気づかなかったのである。

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