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SnakeTales Z 蛇の使い魔-10


さてさて、スネークが煙草をふかしている頃、チェルノボーグの監獄で、
土くれのフーケはぼんやりとベッドに寝転がっていた。
杖を取り上げられた状態では脱獄も出来そうに無い。
もっとも、杖があったとしても、この牢獄の壁や鉄格子には魔法の障壁が張り巡らされているため、脱獄は不可能だっただろう。
土のエキスパートのフーケに対しては当然の対策だろう。

「まったく、食えない奴らね。この物々しさは何よ。」

苦しげに呟く。そもそもこうなった原因の男の事を思い出した。

「あのスネークって男、只者じゃない。歴戦の戦士か何かかね。」

只の中年オヤジには思えない。あの眼光、身のこなし、判断力、どれをとっても戦士のものだ。
さらに、あの破壊の杖を使いこなしていた。あの武器について詳しいようだ。

「他にもあんなものがあるってことかしら…?」

是非、手に入れたいものだ。だが、それもかなわぬ夢か…。
そう思っていた矢先、監獄の上の階から足音がする。
拍車の音も聞こえるあたり、どうやら看守ではなさそうだ。
足音は自分の牢の前で止まった。

「面会は明日にしとくれ。私は眠いんだ。」
「《土くれ》だな?起きろ。話がある。」

起き上がり、声の主に向き直る。
顔は白い仮面のおかげで見えないが、声からすると男のようだ。
黒いマントの中から長い魔法の杖が見える。メイジだ。
自分を殺しに来た刺客…ではなさそうだ。

「話ってなんだい?弁護でもしてくれるっていうの?」
「なんなら弁護してやってもかまわんよ、マチルダ・オブ・サウスゴータ。」

フーケの顔が蒼白になる。

「何処でその名を?アンタ何者だい?」

平静を装ったが、声が震える。男は答えず、笑う。

「再びアルビオンの、いや新たなるアルビオンの国家に使える気は無いか?」
「クーデターでも起こそうってのかい?たいそうな話さね。
 でもアンタはトリステインの貴族だろう?アルビオンとどんな関係があるのさ?」
「我々はトリステインの将来を憂い、つながった同盟だ。国境など障害ではない。
 ハルケギニア、いや世界は我らの手で一つになり、始祖ブリミルの『聖地』を取り戻すのだ。」

フーケは薄ら笑いを浮かべる。
『聖地』を取り戻す?馬鹿な話だ。あのエルフと戦争を始めるつもりか?
勝てない勝負に興味は無い。
世界をひとつにするなど、さらに不可能な夢物語だ。

「貴族と頭の悪い男はキ・ラ・イ。ハルケギニアの統一なんて興味が無いわ。」
「土くれよ、お前に選択の余地は無い。我々の仲間になら無いなら…。」

腰から杖を抜き、突きつける仮面の男。
NOといえば躊躇せずフーケを殺すだろう。

「やれやれ、不躾な男もキライよ。少しはレディの都合も考えなさい。」
「私と一緒に来るだろう?」
「組織の名は?」
「来るか、来ないか。お前の答えはどっちだ?」
「これから旗を振る組織の名前くらい教えてくれてもいいじゃない?」

男はポケットから鍵を取り出し鉄格子の扉を開ける。
ギィと音を立てて扉が開く。

「レコン・キスタ。」


煙草に再度火をつけ、また新たに吸いはじめる。
東の空がいよいよ明るくなってきた。

「日の出、か。」

戻るための手がかりは無い。
だが、あきらめるわけにはいかない。
手がかりはなくとも協力者…、いや仲間がいる。
希望が無いわけではない。

「さて、今日も生き抜くぞ!」

明日もまた日は昇る。


「腹が減った…。」

地面にうつぶせに倒れているスネーク。
空腹のあまり動けなくなっている。
なぜなら、今日は王女がいらっしゃるとのことで、厨房に入る事が出来なかったのだ。
おかげで食欲に苛まれている。

「情け無いわね。すこしはシャンとしなさいよ。」
「…。」

返事がない。顔すら上げないスネークにルイズは腹を立て、無視を決め込んだ。
門の周りには人が集まっている。歓迎式典の準備だそうだ。
みんなでお出迎えと言う所か。

「あらゼロのルイズ、それはなぁに?」

ギーシュに平手打ちを食らわせた少女が言った。
たしか、モンモランシーとかいったな。この子も中々の美少女だ。

「使い魔だったものよ。」
「言われて見れば確かに。何をしたの?」
「ただお腹が減ってるんだって。」
「まぁなんてはしたないの!食事くらいまともにさせてあげなさいよ、ゼロのルイズ。」
「人の教育方針に口出ししないで。」

俺の口の出せない所で変な話をしないでくれ…。
食事くらいまともにさせてもらいたいのは確かだ。

「まったく…、ゼロのルイズは思いやりとかそういう言葉すらないのね?」

燃えるような赤毛をなびかせて、キュルケがルイズを挑発した。

「言ったでしょ?教育方針に口出ししないで、《お熱》のキュルケ。」

以前のルイズと違い、冷静に返す。
どうやらこの前の戦闘の影響のようだ。
余裕と言うか、会ったときと目つきが違う。
以前の落ちこぼれの目つきではない。まだまだ新米だが、戦士の目だ。
ルイズをこんな目にさせてしまった事を後悔した。
自分といるとルイズが余計な戦いに巻き込まれるような気がする。
この少女がこれ以上戦いに巻き込まれる前にこの世界を脱出したいものだ。


「あっそ。ところでスネーク、貴方はどうしてここに?」
「この国の元首になる人間の顔くらい覚えていて損は無い。」

隣でルイズがため息をつく。
悩ましげなため息だ。恋煩いか?などと思うとなにやらニヤニヤしてしまう。
この子も恋をするのだな。相手は誰か、などまるで父親のような気持ちになった。

「なぁにその顔?あ、王女様の噂でも聞いたのかしら?相当な美人だって聞いたんでしょ?
 貴方も男だものね。そりゃ期待しちゃうわ。」
「歳は?」
「17よ。」
「それは期待できそうだ。」

キュルケの話を聞いて、俄然アンリエッタ王女に興味がわいた。
この世界にきてからというものの、美少女ばかり見てきたのだが、その美少女が美人と言うのだ。
これは期待せざるを得ない。
アンリエッタ王女に期待を寄せていると、正門が音を立てて開く。
整列した生徒が一斉に杖を掲げる。
しゃん!と小気味よく音が重なった。
正門を馬車がくぐり、本塔の玄関まで進む。
馬車が止まり、扉まで緋毛氈のが敷き詰められる。

「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下の、おなーりー!」

兵士が声高に叫ぶ。
扉が開き、枢機卿に連れられ出てきたのは、なるほど確かに美女だ。
王女はにっこりと薔薇のような微笑を浮かべ、優雅に手を振った。

「確かに美人だけど私のほうが上ね。そう思わなくって、スネーク?」
「君の魅力と彼女の魅力は別のものだ。比べる事自体が間違っている。」
「あら、お上手ね。」

スネークはルイズの方をみた。
まじめな顔で王女を見ている。こうしてみると、やはり美少女だ。
王女に負けない魅力がある。
そんなルイズの横顔が、はっとした顔になった。
その視線の先には見事な羽帽子を被った凛々しい貴族の姿があった。
ルイズはその貴族をぼんやりと見つめている。
確かにいい男だ。だが、スネークにはその髭が気に入らなかった。

俺よりも渋い髭だ…。

確かな嫉妬の念を感じ取った。
キュルケまでその貴族をぼんやりと見ている。

そんなにあの髭がいいか!

体が重い。空腹が身にしみる。
そのまま地面にへたり込む。
隣ではタバサが、王女?なにそれ?といった雰囲気で読書をしていた。

「お前は相変わらずだな。」

タバサは顔をあげ、ルイズとキュルケを見たあとスネークを指差し、

「みっともない。」

と呟いた。
さらに自信を失うスネークであった。


そしてその夜。
明るいうちに森で捕獲した蛇などを食べたおかげで、満腹になったスネークは部屋へ戻ろうとする。
そこでおかしな人影を見つけた。
きょろきょろと辺りを見回し、走っていく。
顔を隠しているので誰かは分からないが、背格好からして女性のようだ。
ばれないように尾行する。
すると、その人影がルイズの部屋の前で止まった。

「動くな!」
「きゃっ!」

剣を引き抜き、喉元に突きつける。その女性は可愛らしい悲鳴を上げた。
真っ黒な頭巾をとると、その下から現れたのは、アンリエッタ王女だった。

「王女がこんな所で何をしている?」
「お願いします。見逃してください。ここの部屋の子に用があるのです。」

事情が分からぬまま、スネークは王女を中に入れた。
ルイズは驚いたが、アンリエッタがたしなめた。
アンリエッタがディティクト・マジックをかける。
そうして、ようやく王女が声を出した。

「もう声を出してもいいです。
 お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。」


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