吟遊詩人は歌い伝える。
その少女の物語を―――
その少女の物語を―――
それはただの少女でした。
それはただの人間で、ただの子供で、ただの少女でした。
何の力も持たない、ただ兄の帰りを待つだけの、守られるだけの少女でした。
それはただの人間で、ただの子供で、ただの少女でした。
何の力も持たない、ただ兄の帰りを待つだけの、守られるだけの少女でした。
けれど、兄を亡くし、友を失くし、絶望を知ったその時、
涙を流しながら、それでも少女は決めたのです。
ただの少女であることを止めようと。
ただの無力な自分を捨て、絶望と戦おうと。
涙を流しながら、それでも少女は決めたのです。
ただの少女であることを止めようと。
ただの無力な自分を捨て、絶望と戦おうと。
そうしてただの少女は、少女であることを止めたのです。
××××××××××××××××××××××××××××××
レムは眩さで目を覚ました。
窓から朝の白い光が射している。その中を、細かな埃が舞うのが見えた。虹色だった。
眠い目をこする。見慣れない部屋に、昨日の記憶が呼び起こされる。
2つの月。ピンクの髪。少年少女。嘲笑。召喚。使い魔。キス。貴族。女の子。ヤな子。魔法学院。魔法。赤と青の月。この部屋。ルイズ。オッツ・キイム。遠い場所。東方。いぢわる。涙。
ルイズはいぢわる貴族で、ここはルイズの部屋で、昨日おやすみなさいをして、今は朝。
一通り思い出してから、ウリックの就寝場所、マットの上を見る。
しかし、ウリックはいなかった。
慌てて起き上がって見渡す。姿はない。
すぐに理由が思い当たって、目を伏せた。
ああ、きっとまた夢を見たのだろう。レムは思った。
夢を見た朝、ウリックは不安定になる。それ以外に、レムに黙ってどこかに行くなど、考えられない子なのだった。
せめて部屋で泣いてくれれば。せめて私の前で泣いてくれれば。大丈夫なんて笑わないでくれれば。
そこに存在がある分、悲しみを分け合える分、その方がまだマシだった。
ウリックのいない朝は、自分もひどく不安になる。
窓から朝の白い光が射している。その中を、細かな埃が舞うのが見えた。虹色だった。
眠い目をこする。見慣れない部屋に、昨日の記憶が呼び起こされる。
2つの月。ピンクの髪。少年少女。嘲笑。召喚。使い魔。キス。貴族。女の子。ヤな子。魔法学院。魔法。赤と青の月。この部屋。ルイズ。オッツ・キイム。遠い場所。東方。いぢわる。涙。
ルイズはいぢわる貴族で、ここはルイズの部屋で、昨日おやすみなさいをして、今は朝。
一通り思い出してから、ウリックの就寝場所、マットの上を見る。
しかし、ウリックはいなかった。
慌てて起き上がって見渡す。姿はない。
すぐに理由が思い当たって、目を伏せた。
ああ、きっとまた夢を見たのだろう。レムは思った。
夢を見た朝、ウリックは不安定になる。それ以外に、レムに黙ってどこかに行くなど、考えられない子なのだった。
せめて部屋で泣いてくれれば。せめて私の前で泣いてくれれば。大丈夫なんて笑わないでくれれば。
そこに存在がある分、悲しみを分け合える分、その方がまだマシだった。
ウリックのいない朝は、自分もひどく不安になる。
もう一度、今度は落ち着いて部屋を見渡す。宿屋よりもずっと豪華な部屋だった。
まだ朝日が昇ったばかりの時刻。中央のベッドでは、ルイズが安らかな寝息を立てている。あどけない寝顔だった。
なんだか腹立たしくなった。
こんなコに使い魔とやらにされた、ウリックのコトを思ったからだった。
自分達を勝手に召喚して、勝手に使い魔にして、あげく平民とかシツレイなコトばっかり言う子。
貴族のおじょーさまで、きっと何の苦労も哀しみも絶望も知らないに違いない。
レムは自分の身長よりも大きな羽根をひらひらさせて飛ぶと、ルイズの顔の横に着地した。
『ちょっとルイズ!』
ルイズは目覚めない。
『ル・イ・ズ!』
ルイズは目覚めない。
『ルイズ!! 起きなさいよー!!!』
「ん~……」
ルイズは全く目覚めない。
レムは毛布をはがそうとしたが、自分には重すぎたので諦めた。
代わりに、小さな両手でルイズのほっぺたを掴むと、ぎゅーっと自分の方へ引っ張った。
「いひゃいいひゃいひゃい!! な、何よ、何なのよ!」
『やぁーっと起きたわネ』
レムが手を離すと、ルイズは赤くなった頬を押さえた。
「何するのよ! あんた誰! っていうか何!?」
『なにって、昨日アンタが召喚したんじゃナイの!』
しばらく睨みあって、撫でていた頬の痛みが治まってきた頃、ようやくルイズは、ああ、と言った。
「そっか、そういえば、昨日召喚したのよね。妖精を。
……でも使い魔の契約はできなかったのよね、うん………」
昨日のことを思い出し、ちょっとブルーが入るルイズ。
しかし何かに気付いたらしく、視線をベッドの横、マットの上に移した。
「ところで、その使い魔はどこ行ったのよ?」
『たぶん外に…散歩に行ったんだと思うケド』
「ご主人様の許可なく? 全く、勝手な子ね」
怒るというより呆れたようなルイズの手を、レムが抱えて引っ張った。
『だからこれから探しに行くわヨ、ルイズ』
「はぁ!?」
ルイズはレムの手を払った。
「主人が使い魔を探す!? あんたそれ、正気で言ってるの!?」
『当たり前じゃナイ。だって私、ココの地理なんてわからないもの』
「ふざけないでよ! 平民ってだけで最悪なのに…
大体まだこんな時間じゃない! 私、もう一眠りするからね!」
ルイズはそう宣言すると、頭から布団を被って横になった。
『アンタ昨日は”主人と使い魔は一心同体”とか何とか言ってたじゃナイ!』
そういえば部屋に戻る途中に言ったかもしれないが、そんなことより大切なことが今はある。何よりも大切なことが。つまり具体的に言うと、眠かった。
「うるさいうるさいうるさい! とにかく私は寝るんだから、さっさと探しにでもなんでも行きなさいよ! おやすみ!!」
『そんな態度だと契約解除するカラね! それでもいーの!?』
レムは叫ぶが、もはやルイズからの返答はなかった。無視を決め込んだようだ。
ほんの数分で、ルイズは再び寝息を立てはじめた。
まだ朝日が昇ったばかりの時刻。中央のベッドでは、ルイズが安らかな寝息を立てている。あどけない寝顔だった。
なんだか腹立たしくなった。
こんなコに使い魔とやらにされた、ウリックのコトを思ったからだった。
自分達を勝手に召喚して、勝手に使い魔にして、あげく平民とかシツレイなコトばっかり言う子。
貴族のおじょーさまで、きっと何の苦労も哀しみも絶望も知らないに違いない。
レムは自分の身長よりも大きな羽根をひらひらさせて飛ぶと、ルイズの顔の横に着地した。
『ちょっとルイズ!』
ルイズは目覚めない。
『ル・イ・ズ!』
ルイズは目覚めない。
『ルイズ!! 起きなさいよー!!!』
「ん~……」
ルイズは全く目覚めない。
レムは毛布をはがそうとしたが、自分には重すぎたので諦めた。
代わりに、小さな両手でルイズのほっぺたを掴むと、ぎゅーっと自分の方へ引っ張った。
「いひゃいいひゃいひゃい!! な、何よ、何なのよ!」
『やぁーっと起きたわネ』
レムが手を離すと、ルイズは赤くなった頬を押さえた。
「何するのよ! あんた誰! っていうか何!?」
『なにって、昨日アンタが召喚したんじゃナイの!』
しばらく睨みあって、撫でていた頬の痛みが治まってきた頃、ようやくルイズは、ああ、と言った。
「そっか、そういえば、昨日召喚したのよね。妖精を。
……でも使い魔の契約はできなかったのよね、うん………」
昨日のことを思い出し、ちょっとブルーが入るルイズ。
しかし何かに気付いたらしく、視線をベッドの横、マットの上に移した。
「ところで、その使い魔はどこ行ったのよ?」
『たぶん外に…散歩に行ったんだと思うケド』
「ご主人様の許可なく? 全く、勝手な子ね」
怒るというより呆れたようなルイズの手を、レムが抱えて引っ張った。
『だからこれから探しに行くわヨ、ルイズ』
「はぁ!?」
ルイズはレムの手を払った。
「主人が使い魔を探す!? あんたそれ、正気で言ってるの!?」
『当たり前じゃナイ。だって私、ココの地理なんてわからないもの』
「ふざけないでよ! 平民ってだけで最悪なのに…
大体まだこんな時間じゃない! 私、もう一眠りするからね!」
ルイズはそう宣言すると、頭から布団を被って横になった。
『アンタ昨日は”主人と使い魔は一心同体”とか何とか言ってたじゃナイ!』
そういえば部屋に戻る途中に言ったかもしれないが、そんなことより大切なことが今はある。何よりも大切なことが。つまり具体的に言うと、眠かった。
「うるさいうるさいうるさい! とにかく私は寝るんだから、さっさと探しにでもなんでも行きなさいよ! おやすみ!!」
『そんな態度だと契約解除するカラね! それでもいーの!?』
レムは叫ぶが、もはやルイズからの返答はなかった。無視を決め込んだようだ。
ほんの数分で、ルイズは再び寝息を立てはじめた。
レムはふわりと飛ぶと、窓から景色を見て、どうしようかしら、と呟いた。
広い広い学院。見たこともない学院。初めての学院。
そして今ここにいない人物は、とんでもなく方向音痴なのだった。
『…あの子、今ごろ迷子になってるわネ』
断言できる。
ぱにっくでおろおろしながら、ココはドコかと叫ぶ姿が脳裏に浮かんだ。
広い広い学院。見たこともない学院。初めての学院。
そして今ここにいない人物は、とんでもなく方向音痴なのだった。
『…あの子、今ごろ迷子になってるわネ』
断言できる。
ぱにっくでおろおろしながら、ココはドコかと叫ぶ姿が脳裏に浮かんだ。
「ココはドコだぁー!?」
レムの予想通りの叫び声が響くのは、魔法学院の中庭だった。
中庭を挟むのは”風”と”火”の塔で、ここはヴェストリの広場と呼ばれる場所だったが、ウリックがそんなことを知るわけもない。
ふらりと部屋を抜け出し、ぼんやりと彷徨い歩き、気付いたらこんな場所にいた。もちろん、帰り道など覚えていようはずもない。
そもそも方向音痴な自分が、こんな広くて知らない場所を彷徨ったらどうなるかなど、多少考えればわかりそうなものだ。
この少年、うっかり者である。
「うーむ、どうしよう…」
周りに人影はない。早朝だし、元よりこの西側の暗い広場は、あまり人が来ないのだ。
どうしようかと考えて、考えて、考えて、
「よし!」
23秒考えたところで、顔をあげた。
「とりあえず、歩こう!」
きっとそのうち人に会うはずだ。そう結論を出した。
この少年、長い時間モノを考えるのが苦手である。
レムの予想通りの叫び声が響くのは、魔法学院の中庭だった。
中庭を挟むのは”風”と”火”の塔で、ここはヴェストリの広場と呼ばれる場所だったが、ウリックがそんなことを知るわけもない。
ふらりと部屋を抜け出し、ぼんやりと彷徨い歩き、気付いたらこんな場所にいた。もちろん、帰り道など覚えていようはずもない。
そもそも方向音痴な自分が、こんな広くて知らない場所を彷徨ったらどうなるかなど、多少考えればわかりそうなものだ。
この少年、うっかり者である。
「うーむ、どうしよう…」
周りに人影はない。早朝だし、元よりこの西側の暗い広場は、あまり人が来ないのだ。
どうしようかと考えて、考えて、考えて、
「よし!」
23秒考えたところで、顔をあげた。
「とりあえず、歩こう!」
きっとそのうち人に会うはずだ。そう結論を出した。
この少年、長い時間モノを考えるのが苦手である。
歩き出そうとしたその時、ウリックは足元に違和感を感じた。
よくよく地面を見た。
土が、盛り上がっている。
「え? な、なに?」
一箇所ではなく、道のように線のように、盛り上がった地面が長く続いている。
その盛り上がった道を目で追ってみた。道は広場の奥から続き、あちこちをぐるぐる回ったり曲がったりしていている。
視線が道の最後に行き着く。行き着いたと思った途端、離された。最後がどこまでも離れていく。
その道は、現在進行形で伸びていた。
しかもウリックに向かって、一直線に伸びてきているのだった。
目の前に、道の最後がやってきて、止まった。
すぐには何も起こらない。
しばし、無音。
数秒後、茶色い大きな何かが、地面を割って現れた。
「なっ…魔物(モンスター)!?」
それは巨大なモグラだった。普通からは考えられない大きさ。ウリックの感覚からすれば、それは間違いなく魔物だった。
とっさに身構える。
しかし、巨大モグラはもぐもぐと鼻をひくつかせるだけで、襲い掛かってくるような気配はない。
静かにウリックの目を見つめている。
ウリックはしゃがみ、モグラと視線の高さを合わせた。
「おはよー、モグラさん」
この少年、相手が誰でも朝の挨拶は欠かさないのである。
「君はココに住んでるの?」
モグラは鼻を鳴らした。
「ボクはウリック。道に迷っちゃったんだケド、君、帰り道ってわかるかな?
ルイズってコのところに帰りたいんだ」
モグラは鼻を鳴らして、首を傾げてから、土に潜った。
少し進んだところで止まり、土から顔を出すと、ウリックの方を振り向く。
「そっち?」
ウリックが歩き出すと、モグラは再び地面に潜った。
地面が盛り上がり、道ができていく。ウリックを先導するように、ゆっくりと。
「ありがとう」
ウリックは導かれるまま歩き出した。
これまでに地面にできた道を避けるように、モグラは大回りで進んでいく。
しばらく歩いたところで、ウリックはふいに立ち止まった。
モグラの前進も止まる。
モグラはウリックの前までUターンし、顔を出した。
「あ、ゴメン」
ウリックは広場中を眺めていた。広場中の地面に広がった道を。
その瞳は、大好きな絵本を見る子供のように輝いている。
というかこの少年、子供である。
「コレ、君が描いたんだね。スゴイなぁ」
モグラの横にしゃがみ、笑った。
巨大モグラは、嬉しそうに身体を摺り寄せた。
よくよく地面を見た。
土が、盛り上がっている。
「え? な、なに?」
一箇所ではなく、道のように線のように、盛り上がった地面が長く続いている。
その盛り上がった道を目で追ってみた。道は広場の奥から続き、あちこちをぐるぐる回ったり曲がったりしていている。
視線が道の最後に行き着く。行き着いたと思った途端、離された。最後がどこまでも離れていく。
その道は、現在進行形で伸びていた。
しかもウリックに向かって、一直線に伸びてきているのだった。
目の前に、道の最後がやってきて、止まった。
すぐには何も起こらない。
しばし、無音。
数秒後、茶色い大きな何かが、地面を割って現れた。
「なっ…魔物(モンスター)!?」
それは巨大なモグラだった。普通からは考えられない大きさ。ウリックの感覚からすれば、それは間違いなく魔物だった。
とっさに身構える。
しかし、巨大モグラはもぐもぐと鼻をひくつかせるだけで、襲い掛かってくるような気配はない。
静かにウリックの目を見つめている。
ウリックはしゃがみ、モグラと視線の高さを合わせた。
「おはよー、モグラさん」
この少年、相手が誰でも朝の挨拶は欠かさないのである。
「君はココに住んでるの?」
モグラは鼻を鳴らした。
「ボクはウリック。道に迷っちゃったんだケド、君、帰り道ってわかるかな?
ルイズってコのところに帰りたいんだ」
モグラは鼻を鳴らして、首を傾げてから、土に潜った。
少し進んだところで止まり、土から顔を出すと、ウリックの方を振り向く。
「そっち?」
ウリックが歩き出すと、モグラは再び地面に潜った。
地面が盛り上がり、道ができていく。ウリックを先導するように、ゆっくりと。
「ありがとう」
ウリックは導かれるまま歩き出した。
これまでに地面にできた道を避けるように、モグラは大回りで進んでいく。
しばらく歩いたところで、ウリックはふいに立ち止まった。
モグラの前進も止まる。
モグラはウリックの前までUターンし、顔を出した。
「あ、ゴメン」
ウリックは広場中を眺めていた。広場中の地面に広がった道を。
その瞳は、大好きな絵本を見る子供のように輝いている。
というかこの少年、子供である。
「コレ、君が描いたんだね。スゴイなぁ」
モグラの横にしゃがみ、笑った。
巨大モグラは、嬉しそうに身体を摺り寄せた。
道案内を再開したモグラは、しかし人々が未だ眠っているであろう寮の方ではなく、広場の奥へ向かって進んでいた。
明らかに目的と逆方向だが、しかしウリックは全然気にしていなかった。
この少年、他者を疑うことをしないのである。
ある程度進んだところで、ウリックは気付いた。奥の木陰に誰か座っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、黒いマントを羽織っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、男だということに。
もう少し進んで、止まった。
身体が震えた。
その人物は、金髪だった。
明らかに目的と逆方向だが、しかしウリックは全然気にしていなかった。
この少年、他者を疑うことをしないのである。
ある程度進んだところで、ウリックは気付いた。奥の木陰に誰か座っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、黒いマントを羽織っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、男だということに。
もう少し進んで、止まった。
身体が震えた。
その人物は、金髪だった。
金髪で、黒いマントで、男だった。
だから、仕方なかった。
だってウリックは、今朝も彼の夢を見たのだから。
いつも彼の後ろ姿を見ていたのだから。
金の髪と黒いマントを、いつもいつも見ていたのだから。
こうしてウリックが迷子になれば、いつも彼が探しに来てくれたのだから。
だってウリックは、今朝も彼の夢を見たのだから。
いつも彼の後ろ姿を見ていたのだから。
金の髪と黒いマントを、いつもいつも見ていたのだから。
こうしてウリックが迷子になれば、いつも彼が探しに来てくれたのだから。
「シ、オン…」
思わず彼の名前を呼んでしまったのは、仕方なかった。
声に出してから、答える者がいないその名前の、空虚な響きに息を飲んだ。
足元に温もりを感じる。
巨大モグラが身を摺り寄せ、鼻を鳴らしていた。
「あ…」
ウリックはハッとした。
夢から無理矢理起こされた時のような、眩暈。額から汗が伝った。
そして、黒いマントの青年が、全くの別人であることに気付く。
いや、最初から、きっと気付いていたのだけれど、今ようやく、ウリックはそれを理解したのだった。
「…ゴメンね、大丈夫だから」
微笑んだつもりだった。
「ありがと、君、優しい子だネ…」
巨大モグラの背に腕が回される。柔らかくて暖かくて、生きている体。震える腕で、それでも強く抱きしめた。
笑おうとした表情はむしろ泣き出しそうで、それでも涙は流さなかった。
巨大モグラは暖めるように身を摺り寄せて、鳴いた。
足元に温もりを感じる。
巨大モグラが身を摺り寄せ、鼻を鳴らしていた。
「あ…」
ウリックはハッとした。
夢から無理矢理起こされた時のような、眩暈。額から汗が伝った。
そして、黒いマントの青年が、全くの別人であることに気付く。
いや、最初から、きっと気付いていたのだけれど、今ようやく、ウリックはそれを理解したのだった。
「…ゴメンね、大丈夫だから」
微笑んだつもりだった。
「ありがと、君、優しい子だネ…」
巨大モグラの背に腕が回される。柔らかくて暖かくて、生きている体。震える腕で、それでも強く抱きしめた。
笑おうとした表情はむしろ泣き出しそうで、それでも涙は流さなかった。
巨大モグラは暖めるように身を摺り寄せて、鳴いた。
しばらくして、ウリックはモグラから身体を離した。震えは収まっている。
改めて、金髪の青年を見る。今度は大丈夫だった。
「この人、君の友達?」
モグラは鼻を鳴らした。
青年は木に寄りかかったまま眠っている。マントはしているが、胸元が大きく開いた服は寒そうだ。
風邪をひいてしまうのではないかと、ウリックは心配になった。
この少年、生来のお節介である。
「ねぇ、君」
青年の目の前に座り、優しく声をかける。
「こんなトコで寝てたら、カゼひいちゃうよ」
「う…」
青年が身じろぎする。
ゆっくり開かれる瞳を見て、一瞬思考が止まった。彼と同じ、緑の瞳だったから。
が、次の瞬間、別の意味で思考が止まった。
青年は、いきなりウリックの腕を掴んだ。
「へ?」
「…かあいらしい、おじょお、さん」
ろれつの回らない声。その瞳は開ききっておらず、半分夢の中である。
「君の…小鳥のさえずりのような、あいらしい声で、おきられる、なんて…僕は、なんて幸運な…」
「へ? は? え?」
ウリックは混乱している。何だろうコノ人。
「君とはじまる朝を、始祖に感謝し…君と……」
呟くように語りながら、その目が徐々に光を帯びていく。
「……君、君は…」
青年は、目を開いた。
「君は、誰だ?」
そうして、ようやく青年は目覚めたのだった。
改めて、金髪の青年を見る。今度は大丈夫だった。
「この人、君の友達?」
モグラは鼻を鳴らした。
青年は木に寄りかかったまま眠っている。マントはしているが、胸元が大きく開いた服は寒そうだ。
風邪をひいてしまうのではないかと、ウリックは心配になった。
この少年、生来のお節介である。
「ねぇ、君」
青年の目の前に座り、優しく声をかける。
「こんなトコで寝てたら、カゼひいちゃうよ」
「う…」
青年が身じろぎする。
ゆっくり開かれる瞳を見て、一瞬思考が止まった。彼と同じ、緑の瞳だったから。
が、次の瞬間、別の意味で思考が止まった。
青年は、いきなりウリックの腕を掴んだ。
「へ?」
「…かあいらしい、おじょお、さん」
ろれつの回らない声。その瞳は開ききっておらず、半分夢の中である。
「君の…小鳥のさえずりのような、あいらしい声で、おきられる、なんて…僕は、なんて幸運な…」
「へ? は? え?」
ウリックは混乱している。何だろうコノ人。
「君とはじまる朝を、始祖に感謝し…君と……」
呟くように語りながら、その目が徐々に光を帯びていく。
「……君、君は…」
青年は、目を開いた。
「君は、誰だ?」
そうして、ようやく青年は目覚めたのだった。
「まったく、僕としたことが、女の子と平民の少年を間違えるなんて…」
金髪の青年、ギーシュがぶつぶつと呟き、深く溜め息をつく。ウリックは思わず苦笑した。
どうやらギーシュはものすごい女好きらしい。
彼とは真逆だと思い、何故か少し安堵する。
ギーシュの膝の上では、巨大モグラ、ヴェルダンデが、撫でられて鼻をぐもぐもさせている。
「それで、ルイズの使い魔」
「ウリックだよ」
「…平民くん。起こすなら男らしく起こしてくれたまえ。
君は変声前のようだから、非常に紛らわしくて困るよ」
どう聞いても、醜態を曝したことに対するやつ当たりの言い掛かりだったが、ウリックはわかったと頷いた。
この少年、実は頷くだけの理由があるのである。
それから、首を傾げた。
「男らしくって、どーいう風に?」
「む…」
ギーシュは腕を組んで唸った。
「…怒鳴るとか」
「よく知らない人に怒鳴っちゃダメだよ」
「掛け物を剥ぐとか」
「何も掛けてナイよ」
「つねるとか」
「かわいそーだヨ」
「ああもう煩いな君は、使い魔のくせに!」
ヴェルダンデが顔を上げる。
「あ、いや、違うぞヴェルダンデ。君は使い魔でも最高にして崇高な使い魔だよ。
君の愛らしさは、貴族の女性達にも、決して勝るとも劣らないさ!」
ギーシュは柔らかな毛に顔を埋め、すりすりと頬擦りした。その表情は緩みきっている。
金髪の青年、ギーシュがぶつぶつと呟き、深く溜め息をつく。ウリックは思わず苦笑した。
どうやらギーシュはものすごい女好きらしい。
彼とは真逆だと思い、何故か少し安堵する。
ギーシュの膝の上では、巨大モグラ、ヴェルダンデが、撫でられて鼻をぐもぐもさせている。
「それで、ルイズの使い魔」
「ウリックだよ」
「…平民くん。起こすなら男らしく起こしてくれたまえ。
君は変声前のようだから、非常に紛らわしくて困るよ」
どう聞いても、醜態を曝したことに対するやつ当たりの言い掛かりだったが、ウリックはわかったと頷いた。
この少年、実は頷くだけの理由があるのである。
それから、首を傾げた。
「男らしくって、どーいう風に?」
「む…」
ギーシュは腕を組んで唸った。
「…怒鳴るとか」
「よく知らない人に怒鳴っちゃダメだよ」
「掛け物を剥ぐとか」
「何も掛けてナイよ」
「つねるとか」
「かわいそーだヨ」
「ああもう煩いな君は、使い魔のくせに!」
ヴェルダンデが顔を上げる。
「あ、いや、違うぞヴェルダンデ。君は使い魔でも最高にして崇高な使い魔だよ。
君の愛らしさは、貴族の女性達にも、決して勝るとも劣らないさ!」
ギーシュは柔らかな毛に顔を埋め、すりすりと頬擦りした。その表情は緩みきっている。
普通の人ならちょっと引く光景だったが、目の前の少年は違った。
「2人とも、スゴく仲良しなんだネ」
ウリックは、嬉しそうにニコニコと笑っている。
「そりゃあそうさ。昨夜、一晩中、ずっとヴェルダンデと語り合っていたからね」
「ずっと?」
なるほど、よくよく見れば、ギーシュの目の下には隈ができている。
「もしかして、ココで寝てたのって、ソレが原因?」
「そうだよ。語り合う内に、何時の間にか眠ってしまったようだ」
「ココでオシャベリしてたの?」
「ヴェルダンデは部屋より、土のある場所が好きだからね。
それにここなら、朝になってもあまり日が射さないから、モグラのヴェルダンデにはいい場所なのさ」
「…そっかぁ!」
ヴェルダンデに頬擦りを続けていたギーシュだったが、思わず顔を上げた。
ウリックのその声が、あんまりにも、嬉しそうだったからだ。
目に入ったウリックの顔は、本当に喜びに満ち溢れていて、まるで太陽のようだった。その瞳は、清らかな湖のように輝いている。
逆に困惑したのはギーシュの方だ。
「…君。どうして笑っているんだい?」
「え? えへへー」
溢れる喜びを隠そうともしない。
この少年、泣くも笑うも素直である。
「君たち、すっごく仲がいーんだなぁって思って。ボク、すっごく嬉しいんだ」
それのどこが嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
「…君、僕と以前、知り合いだったりするかい?」
「え? ボク、初対面だよ?」
「ヴェルダンデと知り合いだったりしたかい?」
「んーん、今日初めて会った子だヨ」
ついさっき会ったばかりの、赤の他人同士が仲がいいのが、何がそんなに嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
わからなかった。が、不快ではなかった。
むしろ、その笑顔に釣られて、こちらまでもが微笑みそうになる。
そんな奇妙な感情に、ギーシュは困惑した。
「…君は、変だな」
「変かな?」
「変だな」
「そうかなぁ」
でもまぁいいか、とウリックは思った。2人は仲良し。笑ってる。だからボクも嬉しい。それでいい。
「2人とも、スゴく仲良しなんだネ」
ウリックは、嬉しそうにニコニコと笑っている。
「そりゃあそうさ。昨夜、一晩中、ずっとヴェルダンデと語り合っていたからね」
「ずっと?」
なるほど、よくよく見れば、ギーシュの目の下には隈ができている。
「もしかして、ココで寝てたのって、ソレが原因?」
「そうだよ。語り合う内に、何時の間にか眠ってしまったようだ」
「ココでオシャベリしてたの?」
「ヴェルダンデは部屋より、土のある場所が好きだからね。
それにここなら、朝になってもあまり日が射さないから、モグラのヴェルダンデにはいい場所なのさ」
「…そっかぁ!」
ヴェルダンデに頬擦りを続けていたギーシュだったが、思わず顔を上げた。
ウリックのその声が、あんまりにも、嬉しそうだったからだ。
目に入ったウリックの顔は、本当に喜びに満ち溢れていて、まるで太陽のようだった。その瞳は、清らかな湖のように輝いている。
逆に困惑したのはギーシュの方だ。
「…君。どうして笑っているんだい?」
「え? えへへー」
溢れる喜びを隠そうともしない。
この少年、泣くも笑うも素直である。
「君たち、すっごく仲がいーんだなぁって思って。ボク、すっごく嬉しいんだ」
それのどこが嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
「…君、僕と以前、知り合いだったりするかい?」
「え? ボク、初対面だよ?」
「ヴェルダンデと知り合いだったりしたかい?」
「んーん、今日初めて会った子だヨ」
ついさっき会ったばかりの、赤の他人同士が仲がいいのが、何がそんなに嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
わからなかった。が、不快ではなかった。
むしろ、その笑顔に釣られて、こちらまでもが微笑みそうになる。
そんな奇妙な感情に、ギーシュは困惑した。
「…君は、変だな」
「変かな?」
「変だな」
「そうかなぁ」
でもまぁいいか、とウリックは思った。2人は仲良し。笑ってる。だからボクも嬉しい。それでいい。
この少年、子供である。
誰かが仲良しだと嬉しい、誰かが笑うと嬉しい。そんな単純な思考は、子供に決まっている。
けれどそれは、かつては誰もがそうであったはずの姿だった。
ギーシュは少し大人で、貴族である。だからいつしか、それをどこかに置き忘れていた。
この日、この瞬間まで、ギーシュはそれを忘れていることすら忘れていたのであった。
誰かが仲良しだと嬉しい、誰かが笑うと嬉しい。そんな単純な思考は、子供に決まっている。
けれどそれは、かつては誰もがそうであったはずの姿だった。
ギーシュは少し大人で、貴族である。だからいつしか、それをどこかに置き忘れていた。
この日、この瞬間まで、ギーシュはそれを忘れていることすら忘れていたのであった。
ヴェルダンデはギーシュの膝を降りると、今度はウリックにじゃれ付き始めた。
「あははは、くすぐったいよ、ヴェルダンデ」
ウリックは笑顔で、ヴェルダンデの頭を撫でた。
「本当に初対面なのかい?」
「うん」
そうとはとても思えないほど、ヴェルダンデはすっかりウリックに懐いている。
ヴェルダンデを撫でる少年の右手に、ルーンが見えた。
きっと、使い魔同士は仲良くなりやすいんだ。そうギーシュは結論づけた。
「ヴェルダンデ、本当にありがとう。君、本当に優しい子だね」
使い魔に礼を言い、しかも”優しい子”と表現する少年。
ギーシュは思った。変な奴だ、と。
「あははは、くすぐったいよ、ヴェルダンデ」
ウリックは笑顔で、ヴェルダンデの頭を撫でた。
「本当に初対面なのかい?」
「うん」
そうとはとても思えないほど、ヴェルダンデはすっかりウリックに懐いている。
ヴェルダンデを撫でる少年の右手に、ルーンが見えた。
きっと、使い魔同士は仲良くなりやすいんだ。そうギーシュは結論づけた。
「ヴェルダンデ、本当にありがとう。君、本当に優しい子だね」
使い魔に礼を言い、しかも”優しい子”と表現する少年。
ギーシュは思った。変な奴だ、と。
さて。
しばしの戯れの後。ギーシュが一旦寮に帰るので、ウリックも一緒についていくことになった。
流石に部屋まで親切に送る気はないようだが、寮の入り口で待っていれば、いつかルイズを見つけられることだろう。
ギーシュが立ち上がり、続いてウリックも立ち上がろうとした。
しばしの戯れの後。ギーシュが一旦寮に帰るので、ウリックも一緒についていくことになった。
流石に部屋まで親切に送る気はないようだが、寮の入り口で待っていれば、いつかルイズを見つけられることだろう。
ギーシュが立ち上がり、続いてウリックも立ち上がろうとした。
ところで、話は変わるが、モグラの爪は非常に長くて鋭い。穴を掘るためだ。
ヴェルダンデは巨大モグラだ。
ヴェルダンデの爪は長くて鋭い。
ヴェルダンデはウリックと戯れていた。
そして、ウリックがヴェルダンデを抱き起こし、立とうとした時、一つの不幸が起こった。
ヴェルダンデの長い爪が、ウリックの服の脇、巻かれたサラシにひっかかり、それを偶然引き裂いたのだった。
ヴェルダンデは巨大モグラだ。
ヴェルダンデの爪は長くて鋭い。
ヴェルダンデはウリックと戯れていた。
そして、ウリックがヴェルダンデを抱き起こし、立とうとした時、一つの不幸が起こった。
ヴェルダンデの長い爪が、ウリックの服の脇、巻かれたサラシにひっかかり、それを偶然引き裂いたのだった。
「え?」
まず、胸元が緩まるのを感じた。
次に、白くて長い布がいくらかはらりと落ちたのが見えた。
それから、ヴェルダンデの爪を見て、状況を確認して―――ウリックは真っ青になった。
一度立ち上がったのに、急にしゃがみ込んだウリックを見て、ギーシュは不思議そうな顔をした。
ヴェルダンデの影になっていたので、状況がわかっていないようだ。
「僕はもう部屋に戻るんだが…君、何をしているんだい?」
「え、ええと、えーっと……」
ウリックの額から、だらだらと汗が流れている。冷や汗だった。
「お、お腹が、お腹が痛くて! だから先に行っていーよ!」
「君が押さえているそこは、胸部のようだが」
「うっ」
その通りで、ウリックは両腕で必死で胸元を押さえている。というより抱えている。
この少年、嘘が壊滅的に下手である。
「ええっと…その…コレは…」
不審に思ったギーシュが近づいてくる。
一歩。一歩。また一歩。
「君、何を…」
「…ご、ごめんギーシュッ!! ボクあっちに急用を思いついたカラ!!」
ギーシュが地面に散らばる白い布に気付いた時には、ウリックは振り向き、走り出していた。
そのあまりにも急すぎる行動に、ギーシュもヴェルダンデも、目を点にして見送るしかなかった。
しばらく呆然としてから、ギーシュは呟いた。
「…そういう時は、”思いついた”じゃなくて”思い出した”だろう?」
そうして、ああ、やっぱり変な奴だと、そう思ったのだった。
まず、胸元が緩まるのを感じた。
次に、白くて長い布がいくらかはらりと落ちたのが見えた。
それから、ヴェルダンデの爪を見て、状況を確認して―――ウリックは真っ青になった。
一度立ち上がったのに、急にしゃがみ込んだウリックを見て、ギーシュは不思議そうな顔をした。
ヴェルダンデの影になっていたので、状況がわかっていないようだ。
「僕はもう部屋に戻るんだが…君、何をしているんだい?」
「え、ええと、えーっと……」
ウリックの額から、だらだらと汗が流れている。冷や汗だった。
「お、お腹が、お腹が痛くて! だから先に行っていーよ!」
「君が押さえているそこは、胸部のようだが」
「うっ」
その通りで、ウリックは両腕で必死で胸元を押さえている。というより抱えている。
この少年、嘘が壊滅的に下手である。
「ええっと…その…コレは…」
不審に思ったギーシュが近づいてくる。
一歩。一歩。また一歩。
「君、何を…」
「…ご、ごめんギーシュッ!! ボクあっちに急用を思いついたカラ!!」
ギーシュが地面に散らばる白い布に気付いた時には、ウリックは振り向き、走り出していた。
そのあまりにも急すぎる行動に、ギーシュもヴェルダンデも、目を点にして見送るしかなかった。
しばらく呆然としてから、ギーシュは呟いた。
「…そういう時は、”思いついた”じゃなくて”思い出した”だろう?」
そうして、ああ、やっぱり変な奴だと、そう思ったのだった。
ギーシュがあと数歩ウリックに近づいていたなら、見えていたかもしれない。
ヴェルダンデの視界に同調していたなら、見えていたかもしれない。
さらしが解けたウリックの、脇から丸見えになった胸部が。
そこにある、あまり大きくはないが、確かな二つの柔らかなふくらみが。
ウリックは走る。涙目で。
まだ人のいない学院を、必死に、胸元を隠しながら。
ヴェルダンデの視界に同調していたなら、見えていたかもしれない。
さらしが解けたウリックの、脇から丸見えになった胸部が。
そこにある、あまり大きくはないが、確かな二つの柔らかなふくらみが。
ウリックは走る。涙目で。
まだ人のいない学院を、必死に、胸元を隠しながら。
この少年、実は少女である。
××××××××××××××××××××××××××××××
少女であることを止めた少女は、絶望と戦いはじめました。
法力国の少年と、小さな妖精と。
仲間と共に、絶望と戦いはじめました。
法力国の少年と、小さな妖精と。
仲間と共に、絶望と戦いはじめました。
小さな三人の物語は、如何なる未来へ続くのでしょうか―――