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サーヴァント・ARMS-06


翼人を一応退けた武士達は、村長の屋敷で夕食をご馳走された。
その中心に居るのは武士である。ほぼ単独で空を飛び先住魔法を操る翼人達を村人の目の前で倒して見せたからだ。
村人達はご馳走やワインを次々勧めたりして恐縮する武に構わず大いにもてなしていたが、武士がメイジではないと知ると全員が驚愕した。
ARMSについては、間に入った恵がマジックアイテムの一種という事で通してそれ以上の質問は封じさせた。
村人達もお上の人間の言う事にあれこれ口出しして怒りを買うのを恐れたのか、それ以上の質問はしなくなった。
とにかく彼らにとっては、迷惑な翼人をどうにかしてくれればそれでいいのだろう。

一方タバサ、イザベラ、恵の3人は蚊帳の外に居たが、それでもそれなりにもてなされてはいた。
しかし、これに大いに不満を抱いていたのはイザベラである。
無理矢理外に連れ出されて自分が憎んでいる従妹と一緒に危険な任務に巻き込まれた上に、王女である自分がおざなりにされるなんて・・・
などと思うが口には出さない。
口に出したら最後、全部言い終わる前にきっと隣の使い魔から鉄拳が飛んできそうだから。
だから黙ってチビチビご馳走をつまみつつ、ヤケ気味にグラスの中身のワインをカパカパと空けるのであった。



…間違って反対側のタバサの皿に山と積んであったハシバミ草を口に運んで、あまりの苦さにぶっ倒れるのは数分後の事。







               サーヴァント・ARMS:第6話 『芝居』フェイク






「うう、ううううううう~~~~・・・・・・」
「調子に乗ってお酒を飲みすぎるからよ。あんたねえ、まだ未成年でしょうが」

ベッドで唸るイザベラの傍らで、呆れたように恵は言った。
いくら彼女でも、まさかハシバミ草のとんでもない苦さに体調を崩したとは想像出来なかったようである。
というよりも、そのハシバミ草を無表情、けれどおいしそうにタバサがパクついてたのを見たせいで普通の付け合せの野菜としか思っていないのだった。
ある意味その現況のタバサはといえば、イザベラの事などお構い無しに静かに読書中である。
合掌。 

「村長さんに水とタオル貰ってきたよ」

下の階に下りていた武士が桶とタオルを持って部屋にやって来た。
桶に入った水にタオルを浸して、軽く絞ってからイザベラの広いおでこに乗せてやる。
少々朦朧としていた意識がタオルの冷たさでハッキリして、焦点の合ったイザベラの目に飛び込んできたのは・・・心配そうに覗き込む武士の顔であった。

近い。微妙に近い。

「大丈夫?」

裏表も無く自分を気遣ってくれる武士の声に、思わずイザベラも柄に無く素直な様子で「だ、大丈夫だよ・・・」と答える。
蒼白気味だった筈の顔色は、今度はうって変わって何故か赤い。

と、読書をしていたタバサがいきなり本を置いて、杖を構えた。
いきなりの反応に何事かと武士も身構えかけたが、恵の出した手に止められる。
見れば、恵の視線は扉に向けられていた。

「村の子よ。多分大丈夫だろうけど、一応いつでも動けるようにしといて」

タバサと武士は、こくりと頷く。
訪問者がノックする前に恵が「入っていいわよ」と声を掛けると、ゆっくりと扉が開いて痩せっぽちの少年が入ってきた。
タバサの詠唱の邪魔をしたあの少年である。名前は確か、ヨシアと村人が呼んでいた様な・・・
その顔は、明らかに憔悴した表情を浮かべていた。
「あの・・・」とヨシアは切り出す。




「翼人達に危害を加えるのを・・・止めていただきたいんです」




ヨシアから翼人達の事情を聞かされた武達。
内容はこの季節は翼人達の家族が増え、『巣』を作るのに幹が太くて立派なライカ欅が必要であり、そしてその巣はもはや立派な家だという事。
そしてここの村人達は森に生えてる木を売って生計を立てているが、翼人達が巣を作っている辺りの木を切らなくても別に他に生えてる木を売ればいいだけなのにあの辺りのライカ欅は特に高く売れそうだから、翼人を追い出そうとしているという事。
とどのつまり、要は金の為、という事だ。
後からここにやってきたのは自分達なんだから彼らから木を奪う必要は無い。そう思って、ヨシアは武士達を説得しに来たのである。

しかし、4人中3人がヨシアの頼みに「No」と答えた。
タバサは「任務」と簡潔に。
恵は「こっちは命令を受けた以上そう軽々しく自分達だけで止める訳にもいかないし、ここの村人全員の総意ならともかく1人だけの個人的な感情から任務を遂行しない訳にはいかないの。
第一勝手に任務を放棄したら私達が罰せられるだけで、他の人間がここに派遣されるだけよ。殆ど意味は無いわ」
とタバサと同じような命令を受けた側としての演技を交えつつ、組織人としての意見を交えて詳細に。
イザベラは「ふん、翼人なんてどうだっていいじゃないの!」などとヨシアの神経を逆撫でする事を言って恵に撃沈されていた。合掌part2。
結局、ヨシア寄りの意見を出したのは武士だけだった。
「でもさ、言葉も通じるし話だって出来るんでしょ?ならお互い話し合えば・・・」
「それが、村の皆は話し合いなんて必要無い、追い出せば良いだけの話だって言って、全然俺の話を聞いてくれないんです」

悲しげにヨシアが俯いた時・・・窓の外から透き通るような女性の声が聞こえた。

「ヨシア」

ちなみにここは2階である。
そしてその女性の背中には、翼が生えていた。

「アイーシャ!?あの、ちょっと待って下さい、彼女は敵じゃない!」
「タバサ、待って!ちょっと待って!」

タバサは杖を構えた。それを見て慌ててヨシアと武士の声が再び重なった。

「よ、よくじモガッ!」
「静かにしなさい!」

恵が叫びそうになったイザベラの口を押さえた。勢いが良すぎて平手打ちになってしまい、イザベラは悶絶した。





ヨシアに会いに来たという翼人の彼女、アイーシャを招き入れた4人は、実は恋人同士である2人の馴れ初めと村人と翼人それぞれが持つ悪感情について聞かされた。
場所や世界が変わろうが、そういった差別意識はどこにでもあるという事実を見せ付けられ、武士と恵は苦い表情になる。
その一方、目の前の2人のように人種どころか種族が違おうが分かりあう事が出来るのを改めて知って嬉しくもなり。
やがてアイーシャ達がこの辺りから立ち去る事を聞かされたヨシアは、タバサ達にこのまま立ち去ってもらう様懇願した。
が、タバサは黙って首を振り、イザベラには鼻で笑って一蹴され、気まずげに視線を交わす武士と恵の様子にヨシアの顔が絶望に染まる。

―――そして絶望は、人を容易く狂気に染める。

「そんな!どうしてこれだけ頼んでもダメなんだ!?あなた達には心という物が無いのか!?
命令だからって、人から大切な物を奪おうとして・・・愛する人と離れ離れになることがどんなに辛いのか、あんた達には分からないのか!!」

ヨシアは一番傍に居たイザベラへと手を伸ばす。
こうなったら人質を取って、無理矢理にでも立ち去ってもらう――愛する相手を失いたくない焦りから選んだ方法。
修羅場を潜り抜けた経験などこれっぽちも無い上に体調不良気味のイザベラが即座に反応できる訳も無く、そのまま腕を掴まれ引き寄せられかけた所で―――
引き寄せきる前に、素早くヨシアの懐に潜り込んだ恵の拳がめり込んだ。
ボディ一閃。臓物をかき回す衝撃に、堪らず崩れ落ちるヨシア。
恵はそのまま腕を取って捻り上げて事も無げにヨシアを拘束する。

「だからってねえ、女の子に手ぇ上げようとしてんじゃないわよ!」

ヨシアは何とか恵を振りほどこうとするが、ガッチリ極まっていて動けない。
イザベラを庇う様に武士は移動し、タバサも杖を構える。
ヨシアが自分に危害を加えようとした事に激昂したイザベラは、杖を抜いてヨシアに杖を向けたが、その前にアイーシャが立ちふさがった。

「待って下さい!ヨシアを殺すのなら先に私を殺して下さい!」
そう懇願し、覚悟を決めて目を瞑るアイーシャ。
その必死な光景にイザベラは思わず杖を握る手を緩める。忌々しげにヨシアを見下ろし、口から呟きが漏れた。

「羨ましいねえ・・・心の底から庇ってくれる相手が居てくれて」

小さく鼻で笑い、杖をしまう。
気まずげな空気が漂う中、武士はヨシアとアイーシャを見て決心した。
――やっぱり、何とかしてあげたい――
愛する人と離れ離れになることがどんなに辛いのか、武士にはよく分かる。
そうなって何度も辛い目に遭ってきた仲間を、武士はずっと見てきたのだ。

「ねえ久留間さん・・・何とか出来ないのかな?彼女達を追い出さずに済む方法って本当に無いの?」

武士の言葉にやれやれと恵は首を振ってからヨシアを開放してやる。すぐに寄り添う2人を横目に恵は腕を組んで考え込んだ。

「そうねえ。翼人達が村人の敵じゃなくて、生活に必要な仲間だって事に出来れば良いんだけど、実際そうならない限り誤魔化しようが無いし・・・」
「ちょっと、私を差し置いて何勝手な事考えてんだ―――」

ゴンッ!

「・・・とにかくどうすれば村の人達と翼人が仲良くなれる様に仕向けれるのかが問題よね」
「・・・こっちからそうすればいい」
「ああ、そうね、その手があったわ!よしそれじゃあこういうのはどうかしら?」
「フン、そんなので上手く行くのかしらねえ本当に」
「成功するって自分で信じなきゃ成功するもんも成功しないわよ。あとはそうね・・・武士、白兎<ホワイトラビット>は完全にいけるわよね?」
「うん、やろうと思えば今までと同じようにいけると思うよ」
「よし、それじゃあこの作戦で行くわ!総員自分の役目をキッチリ全うするように!」
「何で私までこんな事しなくちゃならないんだい・・・」

ガンッ!

「ブツクサ文句を言わない!」






翌朝、『それ』は唐突に村に現れた。

外見はガーゴイルに似ていたが、体表はよっぽど滑らかで尚且つ頑丈そうである。
翼を広げて竜よりも速く村の建物を通り過ぎるたび、襲い掛かる突風が屋根を吹き飛ばし崩壊させていく。
いち早くそのガーゴイルもどきの接近に気付いた恵の警告により村人達は建物から避難していたので瓦礫の下敷きになった者は居なかったが、避難時に突風などで転倒して軽症を負った者が数人出ていた。

それを治療しているのはイザベラである。タバサは風系統なので、治療魔法の方に関してはドットとはいえ水系統のイザベラの方が分があった。
やって来た怪我人に治療魔法をかけていきながら、手伝いをしていた恵に小声でイザベラは聞いた。

「何で私がこんな事・・・大体ね、ここまでやる必要あるのかい?このガリアの王女である私が平民風情なんかにこんな事してやる必要が――」
「ふーん・・・あんたも怪我人の仲間入りさせてあげようか?」

にっこりと恵、握り拳。
慌ててイザベラ、治療再開。

「こういうのはね、リアリティが大切なのよ。それにあれで武士自身しっかり大怪我させない様に手加減してるもの」
「・・・まさか、あんな冴えないのがガーゴイルみたいなのに変身できるなんてねえ」
「後はあのタバサって子と、あの2人が上手くやってくれればめでたしめでたしよ。でもいくらこれが芝居でも、最後まで油断しちゃダメだけどね」

少し出血している程度だったが、治療が終わった時には村人の傷は跡形も無く消えていた。
技術レベルに関しては恵の世界の方が格段に上だが、こういった治療に関してはこの世界の魔法の方が一歩先んじていると言える。何せ簡単な治療魔法だけでも浅ければ傷跡すら残らないのだから。
イザベラに治療してもらった村人は、嬉しそうに彼女に頭を下げた。

「おお、ありがとうございます!やっぱりメイジの方は凄いですなぁ!」
「ふん・・・治ったんならさっさと行きな」

屈託の無い笑顔と共に心からの感謝の言葉を告げられ、イザベラは少し顔を赤くしてそっぽを向く。
宮殿では回りから魔法の才能がある従妹と比較されながら、あからさまな愛想笑い交じりのお世辞ばかりかけられていたイザベラだったが・・・
情報伝達の媒体が殆ど進歩していないこの世界ではこんな辺境の田舎では彼女の顔は知られて無いので、世辞でも何でもない感謝の言葉を貰ったのはこれが初めての体験である。
―――こういうのも、結構悪くないね―――

微かな照れくささを感じ取られまいと「次、さっさと来な!」と声を上げるイザベラの様子を、恵は生暖かい目で観察していた。
一方その頃、村上空。

『・・・まさかこんな寸劇でこの姿を開放するとは思わなかったぞ、巴武士よ』
「ははは、ま、まあそう言わないでよホワイトラビット。これも人助けだしね」

そう。このガーゴイルもどき、実は完全体のホワイトラビットである。
このハルケギニアでは竜やガーゴイルなどファンタジー一直線の存在が普通に存在している為、今の武士の姿も村人達には単なるガーゴイルに似た何かとしか受け取られていない。最初に恵がそう言って認識するように誘導した事もあるが。

そんな武士の下の方では、タバサが杖を構えて詠唱・・・みたいな事をしていた。
とりあえず詠唱の内容はデタラメにも程があるが、見かけによらずとってもノリノリで演技をする姿に内心微笑ましくなる。
しかし。

「最強呪文、風棍棒!」

なんだかなあと言いたくなるその詠唱に、思わず武士は空中でずっこけそうになった。




さて、そろそろ武士達主催の寸劇も佳境に入る。

相変わらず色々物申したくなる詠唱と共に、『フライ』で飛ぶタバサと武士(Verホワイトラビット完全体版)は観客(村人)達が手に汗握る空中戦を繰り広げる。
しかしあえなく敗れるタバサ。気絶した彼女を置いて村の方へ再び向かってくるガーゴイルもどきこと武士の姿に、村人達は逃げ出そうとする。
だが村を捨てたら自分達は生きていけない。どうすればいい?
その時ヨシアが叫ぶ。翼人達を追い出そうとしたから、罰が当たったんだと。
協力し合うって選択肢もあった筈なのに、そうすればあのガーゴイルもどきだってやっつけれた筈なのに、と
そこでアイーシャが登場。村人達は怒りにかられるが、構わずヨシアは彼女と共に武士と戦おうとする。しかし人1人分の重さは彼女には辛いのか上手く飛べない。
ここぞとばかりに2人に襲い掛かる(ふりをする)武士に村人達が青くなったその時、騎兵隊が現れた。
アイーシャの仲間の翼人達である。
そして彼らは―恵達の思惑通り―正体を知らぬまま、武士を退けようと共闘を始めた。
村の猟師達は矢を次々放って牽制し、翼人達は武士の周りを飛び回って撹乱する。武士もそのコンビネーションに混乱しているふりをしつつも、怪しまれない程度に軽く体当たりなどをして反撃を行う。
そんな攻防がしばらく続いた頃には、村人と翼人の間で同じ敵を相手にする為に手を組んだ事でによる絆がハッキリと生まれていた。

そろそろ幕を引く時間だ。

猟師達の矢と翼人達の先住魔法の連発に這う這うの体といった感じを演じながら武士は村から離れていく。



追撃しようとする翼人を振り切って充分離れたその時・・・・・・村の方から歓声が聞こえてきて、武士はにんまりと笑った。


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