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ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ-12


剣戟の連打は続く。
光の槍は速度を緩めずに連続でふるわれ、海神の銛はそれを流しつつ反撃する。その応酬は続いていた。だがその拮抗も長くは続かない。ネフティスが槍を突き出し、オニクスと距離を離したのだった。
距離を取ったオニクスが不意に口を開く。
「かの光の神ヘスティアは、永遠の安息を願い、自らの処女と引き換えに人々の家々の『灯』に宿り、人々の団らんを見守る役職に就いたと言う…その温和なヘスティアが、この怒りようはなんだ」
「だから、仲間を殺した仇を討ちにきたんだっ!」
「おま、まだ俺が世界の新生なんて謳ってると思ってるのか」
「十分あり得る、ゼウスの野心を宿したお前ならな」
「そんな非建設的なことはとうにやめたよ、だから、剣を引いてくれ」
「ふざけるな、そんなワケが無いだろう!」
「じゃぁ殺していい。だから、俺の話をひとつだけ聞いてくれるか」
「…構わん」
「頼むからもう戦いをやめような?」
「断るっ!!」

言うが早いか、ネフティスの脇から二基のプレッシャーキャノンが展開される。オニクスは飛んだ。ネフティスの頭上へと。
直後に放たれた衝撃の塊が大地を薙ぎ、空へ飛んだオニクスは難を免れた。そしてオニクスは両腕の掌をネフティスに向けた。
「銃の腕(ゲヴェーア・アルム)!!」
青い閃光が掌から発せられる。それは魔力の弾丸となってネフティスに降り注いだ。そのまま落下するオニクス。着地する先はネフティスの目前。
ネフティスは両腕で防御したが、弾丸は容赦なく両腕の装甲を削ぎ取った。そしてオニクスは着地すると同時に、すぐさま次の行動へと移る。
放たれた膝が無防備なネフティスの腹を直撃し、続いて放つ蹴りが、ネフティスを一撃で吹き飛ばした。
ネフティスは壁に激突し、衝撃をもろに受ける。オニクスは姿勢を戻すことすら出来ないネフティスに更なる追撃。だがネフティスも黙ってはいない。チェストファイアを放ち、オニクスを退けた。
その隙にネフティスは姿勢をたてなおし、再び勝負は五分と五分へ。
先に動いたのはネフティスだった。背中のプラズマアームを展開し、オニクスに熱線を放った。オニクスは亀甲盾でこれを弾く。ビームの嵐は連続して仕掛けられ、フィールド・エフェクトを揺らした。
だが、ヘルメスの力を宿す亀甲盾、コピーであっても、その程度で砕けることはない。そしてビームのあらしがやんだ一瞬、オニクスは勢いを付けて盾を投げつけた。ネフティスが予想外の攻撃によろける。
オニクスは隙をつき、両腕からケーブルを伸ばし、よろけたネフティスを捕縛した。
「…これでうかつには動けまい。内蔵火器に頼った設計が災いしたな」
「いや、まだだ!!」
ネフティスは自由な両腕でケーブルの束を掴むと、渾身の力を込めて引きちぎる。ケーブルは瞬間二丁のライフルに変換され、銃口はオニクスに向けられた。
エネルギー弾の連射が、オニクスをよろめかせ、弾き飛ばす。その威力は戦場を教室から外へと変えるのに十分であった。


倒れたオニクスを見下げ、ネフティスは侮蔑の視線を向ける。
「…これで終わりだ」
そして、胸部のハッチと背中のアームを展開する。ネフティス最強の兵器、本気になればこの学院そのものを消し飛ばすことも出来る、ネフティス最大の切り札。
プラズマ・フレイムの充填に入ったのだ。
「おいおい、ココでそれを撃とうというのか」
「貴様を倒せればそれで構わない」
「なら、こっちも黙ってられないな」
立ち上がったオニクスもまた、両腰にプラズマアームを召還し、それを前面に向け同様にエネルギーを充填する。エネルギーは球状に肥大し、雷電を伴ってそれはまるで、プロミネンスを伴う恒星のようにも見える。
「どこまでも模倣しかないのか、貴様は」
「模倣でもいいじゃないか…それに」
「それに?」
「ある東方の英雄が、こんな言葉を残してる…『贋物が本物に負けるという道理がどこにある』と、な」
2体のエネルギーは最高潮に達し、それは破裂しそうに膨らんでいる。2体のにらみ合いが、終わりを告げようとしていた。
「雷-----(プラズマ)」
「雷-----(プラズマ)」


「「   焔   」」(フレイム)


ルイズが目を醒まして最初に見たのは、窓を貫いて部屋を照らす眩しい灯だった。ルイズは割れた窓に近づき、眼を細めながら窓の外の様子をうかがった。そして驚愕した。
光の奔流が、すさまじい光と音を伴って激突している。その一方に立つのは自らの使い魔、十式オニクス。そしてもう一方に立つのは、得体の知れない金色の機神。
それが、凄まじい光の発生源だった。二機のエネルギーは拮抗し、どちらが勝ってもおかしくない。ルイズは急いで自室を飛び出し、階段を駆け下りた。

凄まじいエネルギーの奔流は、真昼よりも眩しく周囲を照らし出した。二機のエネルギーは拮抗し、余波で周囲の雑草は激しく揺られている。
「生意気っ!!」
「ふん、だから言ったはずだ!」
機体のフレームがきしみ、耳障りな音を立てる。だがそれすらも、プラズマフレイムのこの轟音の前には蚊のなく声のように小さい。二機はなおも力を緩めることなく、奔流を放ち続ける。
さながら流れ落ちる滝が重力法則を越え、横向きになったかのように。
「貴様は何故戦うっ!」
「ただの自己保身でここまでするか!」
「ならお前は何を求める!!何が!お前に!その剣を握らせる!!」
「訳ありなんだよ、俺にも…護るべきものがある!!」
「そんなわけがないっ!!」
「後悔で人生終わらせたくなかったのでな!!どうも神は非情ばかりではないようだ!!俺はチャンスを貰った!!」

「何だと…ッ!!」
問答。
「かつて俺が自らの手で穢してしまった、前世の人々への償い…それを行うチャンスをなっ!!」
「ふざけるな…!破壊の神に何も守ることなど出来るものかっ!!」
「それだけじゃない…俺に新たに、生きる指標をくれた…あの危なっかしくてちょっと頭の回らない馬鹿なあいつを…守る為にっ!!」
がむしゃらにエネルギーが増大する。余波は硝子を砕き、まるで台風のようだ。
「…戯言につきあうものか…此処で果てろ、破壊の化身!!!」
ネフティスは烈昴の気合と共に、プラズマフレイムにひときわ強い魔力を混める。オニクスが押された。足下の土が削られ、オニクスは後ろに下がっていく。
オニクスの放つプラズマフレイムはネフティスのプラズマフレイムに呑まれるように、その勢いが殺がれていく。
…くそ。純正品にはやはり…勝てないか。
オニクスは己をのろった。
だが、その時またも自分を救ったのは、あの少女だった。

「ダメェーーー!!」

ルイズだ。その少女が凄まじい風の中を、一歩づつ歩いてこちらに向かってきていた。オニクスは驚愕した。だが、最も驚愕したのはネフティスだろう。なんせ、自分の否定したことが、現実になろうとしているのだから。
「莫迦野郎!!病み上がりが無茶するな!!」
「そんなことより自分の心配しなさいよ!!負けたら…負けたら絶対、承知しないんだから!!死ぬなんて許さないわよ!!」
ルイズの顔は必死で、真剣だ。メンツもあろうが、それは本気でオニクスを応援する、一人の少女の顔つきでしかない。
「…わかってる、我が主人。勝って帰るとも」
「…約束、よ。ちゃんと…ちゃんと帰ってきなさい!!」
オニクスは力強く返答し、ネフティスに向き直る。そして、力強く言い放つ。
「この通り、負けられない!!そこをどけ!!!」
瞬間、プラズマフレイムがネフティスのプラズマフレイムを押し返した。そして、エネルギーの奔流は収束し、爆発する。凄まじい光と圧力が解放され、オニクスはとっさにルイズをかばった。

収束する爆発。そこにいるのは、両手を広げてルイズをかばったオニクスと、その背に隠れたルイズ。そして地に倒れ伏したネフティスである。
「…馬鹿な…破壊の神に…守ることなど…っ!」
だがネフティスはまだ、憎悪の言葉を紡ぎ続ける。オニクスは周囲の安全を確認すると、ネフティスの元に向かい、膝をついてしゃがんだ。
「温厚な光の神らしくない真似はやめろ、『ヘスティア』。神の威光が汚れるぞ」
「私はただ仇を討つだけだったのだがな…どうやら貴様の言っていたことは本当のようだな…だが、解せない…」
「どうした」
「お前は何故…ヘファイストスを殺した」

「…俺は狙われた側だったのさ。俺だって何故現界したのかわからない。死んだ方がマシだと思ってたし、もし今までの気持ちだったなら、俺はお前に殺されたろう。
だがな、現界して事情がわからない俺を、ウルカヌスが一方的に襲ってきた。そして『俺は差し向けられた』と言った。つまりは、ヘファイストスは自分の意志ではなく、裏で命じた人間の意志で俺を殺そうとしたわけだ」
「なんだと」
「俺は死ぬわけにはいかない…彼奴のためにも…そしてまた俺達ギガンティックを使い、エゴで誰かを引き裂こうする奴がいる限り…正義の味方を気取るわけじゃないが…俺はただ…許せない」
「そうか…お前はアレスのようなことを言うな」
「アレス…」
オニクスは思い出した。かつてただ一人正義の味方として、戦いを止めるためにWWWに馳せ参じた勇壮なる正義の神の姿を。
そして、言葉をつなげる。
「…それも道理だ。俺は、アレスを元に作られたのだからな」
「…そうだな。くっ」
不意にネフティスが苦しい声を上げる。
「大丈夫か!?」
「ああ…戦闘ダメージが馬鹿にならない…お前の撃ったそれのお陰でな」
「そうか…なら、休むといい。話はそれからしよう」
「…私を…殺さないのか…」
「殺すものか。俺がお前でも、きっと仇を討ちにきた。お前の行いは理にかなったことだ」
「…詰めが甘いな…そこだけは…アレスと違う…」

ネフティスは静かに、眠った。

事態の沈静を見たルイズが、オニクスに声をかける。
「ねぇ、また戦っていたの?こいつも、アンタが言ってた『敵』のなかま?」
「違う…こいつは正しい…今回は俺も少し悪かったか」
「…どういうことなの」
「こいつが起きてから…話はそれからした方がいい」
事態の収束を見たキュルケやタバサも近寄ってくる。それを見たオニクスは、2人に声をかけた。
「空き部屋を用意してくれ!!ベッドがあると助かる!」

こうして急遽キュルケの部屋に集まったルイズ、タバサ、キュルケ、オニクスは、ベッドの上に眠るその躯体を見つめていた。
「ホントにこいつも神様なの?」
「ああ。俺達の世界では、光とかまどを司る、柔和な女神だった」
「女神!?こんなごっついのが!?」
「…外見で人は判断できない」
「人じゃないし」
そういた雑談を交わすうちに、彼女…ネフティス・は目覚めた。
「ん…ここは…どこだ?」
「目を醒ましたか。すまないが、お前が寝ている間に別の部屋に案内させてもらった」
ネフティスは上体を起こし、壁にもたれかかる。そして周囲の面々を一瞥した。ルイズ・キュルケは2回め、タバサは初見である。

「…オニクス、この娘と契約したのかい」
「ああ、そしてこいつが俺の『主人』」
「こいつってなによ!」
ルイズがオニクスを叩いた。しかし、オニクスの硬さに、拳に手を当てていたがっている。それをみて、ネフティスはふっ、と笑った。
「…平和だな」
「ああ。だが、この平和も、長く続かないかもしれない」
「…そのようだな」
「悪い予感ですめばいいが、事実ウルカヌスと玄武神が、俺を殺そうと差し向けられた。どうも、『あのお方』とかいう、俺達と同じような存在に指揮されているらしい」
「…敵はまた…ギガンティック」
「かもしれん。哀しいかな、またギガンティック同士で戦うことになったか」
「アレスの気持ちもわかるというものだ…このような哀しい戦いを続けさせるわけにはいかない」
「そう思うなら、少し力を貸して欲しい」
「…ああ、いいだろう。それに…お前も変わったことがわかったしな」
そうして、二機の協定は成立した。

「…おほんっ」
キュルケが、会話を終わった頃を見計らって会話に割り込む。
「…美しいお嬢さんだが、どちらさまかな?」
「キュルケ。ウチの主人のご友人だ」
「はぁ…」
ネフティスは、ルイズとキュルケを代わる代わる見比べる。
「この子が先輩で、このルイズ殿がキュルケ殿の後輩の間違いじゃないのか」
オニクスは吹き出してしまった。確かにキュルケは大人っぽくルイズは子供っぽかったが、ここまで豪快に間違える奴ははじめて見た。一方のルイズはもう顔を赤くして、ネフティスにまくしたてる。
「あーもう!ネフティス…さん?そんなにわたし、子供っぽくないわよ!!」
「馬鹿、ルイズ、そう言うところが『子供っぽい』」
「きーっ、何よ何よ何よ、2人してーッ!」
ふと、ネフティスが言う。
「やはり『理想の主人』に出会ったのかもしれんな、オニクスよ」
「ふっ、これがか?」
その後、ルイズが杖を取り出して失敗魔法を撃とうとしたが、迅速に動いたタバサによってそれは阻止された。そして暴れるルイズを尻目に、キュルケが話を続ける。

「ネフティスさんね」
「ああ、そうだ」
「あなた、どうやってここに来たか覚えてる?」
「まず、死した神々は、英雄の座で眠りについた」
「英雄の座?」
「死んだ神々の行き着く場所、つまりは天国だ。それで?」
「私は他の神々と酒を飲みかわし、静かな日々を送っていた。だが、異変が起きた」
「で、それで?」
「最初にゼウスがいなくなった」
ネフティスは語り続ける。オニクスが逆に質問を返す。
「ゼウスが?」
「ああ。そしてヘファイストスが、アルテミスが、アポロンが…そして私もこの地へとやってきた。だが、我々は最初、力を封じられていた。あるものは草木に宿り、あるものは生物に宿り、あるものは石像そのままの姿で…
だが次第にこの世界に順応するにつれ、我々は多くのことを知った…ここが我々の世界とは違う世界であるということ、そして、我々を構成していた肉体を、形作れるということに。
私は傍観を決め込むつもりだったが…力あるものは躯を作り、行動を起こしたようだ…未だ確認できるのは少ないな」
「お前、わかるのか」
「ああ、多少は…今この地に現界している躯体は六機。お前と私を含めてな」
「で、お前はどうして現界を」
「ヘファイストスは親しい友人だったから、特に私と強く繋がっていた…だが、その反応が突然、消えた。私はそのとき、直感がした。
ヘファイストスを殺したのは、オニクス十式、お前だと
そして憎しみのままに、肉体を造り…」
「俺に戦いを挑んだ」
「そういうことになる」
「そこ!そこが重要なのよ」
突如また、キュルケが割り込んでくる。
「あなたは現界したとき、どうした?」
「オニクスの頭を掴み…」
「もっと前!」
「足で地面を蹴り…」
「もっと前!」
「…何かを突き破った」
「そこよ!貴方は何を突き破った?」
「……何を突き破ったんだ、オニクス?私はわからない…」
「……お前はポカをやらかした」
「ポカ?」

「出てくるときお前が突き破ったのは、このキュルケが生涯ではじめて召還した使い魔の背中だよ」
「ハ?」
ネフティスは当然疑問符を浮かべる。
「この世界の魔術師はな、一定の年齢になったら自身の『使い魔』を召還するというしきたりがある。使い魔は一生のパートナー。それを数ヶ月で背中ブチ破られて殺されたんだ、おまえが現界の質量召還に使ったせいで」
「………なるほど、現世の肉体の構築材料は…それだったのか」
しばらく思案するネフティス。彼女は考え込む。そしてゆっくりとキュルケの方に向き直ると、超スピードで頭を下げた。
「すまない!!」
「…え!?」
あっけにとられるキュルケ。歴戦(?)の彼女も、男に土下座されたことは星の数程あっても、神様に謝られたことは人生初の経験である。
「え、あ、別にそんなつもりじゃ…」
「復讐に囚われすぎていたようだ…これではヘファイストスに顔向けが出来ぬ」
「…」
「すまんな…ならば、キュルケ殿やヘファイストス、オニクスへの償いの意味も込めて…このヘスティア、命続く限り、貴君の使い魔を勤めよう」
「…ホントに!?」
キュルケの顔が子供のようにパァッと輝く。ヘスティアはうん、と一回うなずいた。
「ああ、ならば、契約を果たそうではないか」

キュルケはオニクスらの方を向き、しっしっ、と手を払う。解せないルイズが反抗する。
「なによ」
「神聖な儀式の時ぐらい、2人にさせなさい?」
「…わかった」
察した全員が出て行くと、一人と一機が、口づけをかわした。
そして、光の神は一人の少女の使い魔となった。


次 回 予 告

少年少女らに迫るのは
成績を左右する大きな行事
そして、青銅の騎士と零の魔術師、
機神達の動向は。

次回「品評」 失敗は、誰かに原因があるとも限らない。


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