あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの(オンドゥル)使い魔-4

 オリハルコンエレメントをくぐり、剣崎は仮面ライダーブレイドへと変身した。
 同じくして、キングも純金のコーカサスビートルアンデットへと変化する。
 鈍く輝く甲冑をまとった戦士と、異形の怪物に、周囲の生徒たちがどよめく。
 剣崎はゆっくりと、辺りを見回した。
 本来ならば、アンデットとの戦闘はこんな大っぴらにすることじゃない。
 しかし、状況が状況である。ここは、周りも含め、なんとしてもキングを退け、出来れば封印したい。決意を新たに、ブレイドはキングを見た。
 キングは右の手にもった剣をだらりと下げ、相も変わらず隙だらけである。
 「キング!」
 ブレイドは腰から覚醒器・醒剣ブレイラウザーを引き抜くと、キングに斬りかかった。
 ジャキンッ!という金属音と同時に、その一撃はキングの盾に防がれる。
 キングの剣と盾はオールオーバーという特殊なもので、盾は150tもの衝撃にも耐える。
 今のブレイドに、その防御力の壁を突破する手段は、ない。
 「ウェイッ!!!」
 もう一度、助走をつけて斬りつける。結果は変わらず、キングはその一撃も盾で防いだ。
 「ほら、どうしたの?」
 キングが、軽く剣を横に薙ぐ。
 ブレイドは防御をとる暇もなく、その剣に吹き飛ばされた。
 「くそッ!」
 キングにろくなダメージも与えられない苛立ちを紛らわすように、ブレイドは地面を叩く。
 悔しい。
 悔しい。
 悔しい。
 俺は、勝てないのか。
 思わず歯軋りする。
 そのとき、剣崎の感情に呼応するかのように、左手のルーンが静かに輝いた。


 剣崎とキングが戦いを始める少し前、所は学院長室。
 ミスタ・コルベールは泡を飛ばして、オスマン氏に説明していた。
 ルイズが召喚した青年のルーンが珍しい形だったので、独自に調べた結果・・・
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃね?」
 オスマン長老は、コルベールが描いた剣崎の手に現れたルーン文字のスケッチをじっと見つめた。



 「そうです!あの青年の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じであります!」
 「で、君の結論は?」
 「あの青年は『ガンダールヴ』です!これが大事じゃなくて、なんなんですか!オールド・オスマン!」
 「ふむ・・・。確かに、ルーンが同じじゃ。ルーンが同じということは、ただの平民だったその少年は、『ガンダールヴ』になった、ということになるんじゃろうな」
 コルベールは困惑したように、オスマンを見た。
 「どうしましょう」
 「しかし、それだけで、そう決めつけるのは早計かもしれん」
 「それも・・・そうですな」
 ドアがノックされた。
 「誰じゃ?」
 扉の向こうから、焦ったようなミス・ロングビルの声が聞こえてきた。
 「私です」
 「なんじゃ?」
 「ヴェストリの広場で、身元不明の者・・・恐らく格好からして平民らしき侵入者が生徒となにやら争っているようです」
 「身元不明のもの?」
 オスマン氏とコルベールは視線を合わせた。
 そして、扉の向こうからもうひとつ、少女の声がした。
 「私の使い魔が、いま、その相手をしています!そいつ、よく分かりませんが・・・多分、風系統の魔法でギーシュに怪我をさせました!早く来てください!」
 「・・・とのことですが」
 ミス・ロングビルはルイズのあとに続いて、オスマン氏に問うた。
 「分かった。案内しなさい」
 オスマン氏とコルベールは、学院長室を出ると、ルイズに急かされ、ヴェストリの広場へと小走りに向かった。



 ブレイドは、ラウザーに内蔵されたオープントレイからラウズカードを一枚引き抜き、それをラウズした。

 『Beat』

 腕力が強化され、目の前にいるキングに渾身のストレートを叩き込む。
 「ウェェェェイ!!!」
 そのパンチは見事にキングに命中する。しかし、キングは多少態勢を崩すだけに留まった。
 「痛いなあ」
 わずかに怒りがこもった呟き。弱い弱い、とキングが手を打つと、何もないはずの空間から幾度となく盾が出現し、ブレイドを転倒させた。
 「・・ぐっ」
 受身をとるが、再び盾が出現し、完全に無防備な状態で倒れてしまう。
 そこに、再び盾が出現する。
 「うあっ・・・!」
 ブレイドはそれをギリギリで避けると、すぐさまラウザーのトレイを開いた。
 「今の・・・避けたの?」
 キングはブレイドの予想外の動きに呆気にとられ、動かない。
 今がチャンスだ。
 カードを五枚引き、そのうち一枚だけを覚醒器に通す。
 キングがその様子に気づき、再び手を打とうとするが、それより数テンポ先に、ブレイドがラウズするほうが早かった。

 『Magnet』

 バッファーマグネットの効果は磁界を自由にコントロールする能力である。
 ブレイドは、互いに退け合うように働く力・斥力を操作し、キングを後方へ引き離し、壁に激突させた。その衝撃で、キングの手からオールオーバーがすべり落ちる。
 生徒たちが悲鳴をあげて、その場から逃げだす。
 「くそ・・!」
 キングは悪態をつくと、地面に落ちた剣を拾い、こちらへ向かってくる。

 『Fusion』

 プライムベスタ、即ちアンデットが封印されたカードの恩恵を得るには、覚醒器に設定されたAPの範囲内でなければならない。
 通常、カードをラウズするとAP値から差し引かれるが、カテゴリーJ及びカテゴリーQはその値を回復する効果がある。
 「よし・・・!」
 残り3000だったAP値が2400だけチャージされ、合計で5400になる。
 元々、『Magnet』はカードを使うための、時間稼ぎでしかない。


 ブレイドは二枚のカードをラウズした。

 『Kick』
『Thunder』

 それぞれがブレイドの能力を上げる。二枚のカードが脚力を強化し、また、その足に電撃を纏わせる。
 そして、三枚目は高速化する効果を持った、『Mach』のカード。
 このカードを使うタイミングが勝負の分かれ目である。
 これほど距離が離れている状態での、キングの攻撃手段は限られる。
 思ったとおりだ。
 キングは手をすっと、左右に広げた。盾を出現させるつもりだろう。

 『Mach』

 三枚のカードの、封印されたアンデットたちが鼓動する。

 『LIGHTNING SONIC』

 このタイミングを待っていた。
 『ジャガーマッハ』の高速化はあまり長くない。相手はそのあいだ、なにかしらの方法で逃げればいいだけだ。
 まともに『ジャガーマッハ』発動中に当てられるのは隙の少ない単体のカード。しかし、それを決め手とするには効率が悪い。しかも、AP値を回復するプライムベスタで補うにも限度がある。
 「はっ・・・!」
 高速で走るブレイドにはキングは、キングがスローで手を合わせようとしているように見える。
 キングは盾を出現させるとき、必ず手を打っている。それはとても短い呪文のようなものだ。ルイズたちが唱えるものより短く、かつ威力や実用性もあるものだ。
 だが、そこが弱点でもある。盾を出すときに手を打つ。その、『手を打つ瞬間』または『手を打った直後』のタイミングならば、数秒の隙ができる。
 その隙を利用して、ダメージを与えることが可能なのではないか。
 それがブレイドである剣崎の考えだった。
 通常ならばジャンプしてキックを決めるところだが、作戦は時間が早ければ早いほど、成功確率が上がるのだ。
 「ッウェェェェェェェェイ!!」
 ブレイドはキングの左側頭部に思い切り、ハイキックをかました。


 ルイズたちが広場に到着したとき、既に勝敗は決していた。
 地面には剣崎が倒れている。
 正面には、さきほどの少年が立っていた。
 「・・・」
 もちろん、ルイズも予想していた。でも、あの使い魔はあの少年を知っているようだったし、まかせても大丈夫かと、少しだけ思ったのだ。
 その結果が、これだ。
 ルイズは自分の過ちを後悔した。


 ブレイドの放った『LIGHTNING SONIC』はキングに命中し、大きなダメージを与えた。
 しかし、それだけではキングを倒すことができなかったのだ。
 単純に、キングの防御力が予想を裏切り、高かったのである。
 キングは吹き飛ばされると、すぐに態勢を立て直し、剣で反撃した。それが命中し、ブレイドは後退する。
 「僕が殴られるだけとは思わないでよね」
 手をかざし、ブレイドの持つ十二枚のプライムベスタを全て手中に収める。
 カテゴリーAのカードも奪われた剣崎は、変身が強制解除された。
 「じゃあね、ブレイド」
 キングは改めて、ぱん、と軽く手を合わせる。
 剣崎は見慣れた盾が眼前に出現したのを理解し、次の瞬間、気絶した。
 「まぁまぁ、がんばったけど。残念」
 キングは人間に戻り、おもむろに携帯を出すと、倒れた剣崎に、内蔵のカメラを向ける。
 周囲の生徒は何も言わず、ただその光景を見ている。


 コルベールは広場の様子を見ると、一目散にキングに向かって走った。
 「止しなさいっ!」
 詠唱とともに杖をふったコルベールの周りから巨大な蛇を模した炎が出現し、キングへと走った。
 「今度は誰だよ」
 キングはそれを軽く避けたが、炎の蛇は進路を変え、再びキングへ突進してくる。
 「ちっ」
 舌打ちとともに、キングはそれを盾で防御する。
 コルベールの攻撃ではっ、とした何人かの生徒もキングに魔法の洗礼を浴びせる。

 「もう、なんだよ!」
 それを全て、防御しようとし、キングは吹っ飛んだ。
 「あ、当たった!?」
 ルイズが唱えた魔法が、キングの体に直接命中した。
 や、やった。
 ルイズはダメージを与えたことが嬉しいのか、少し興奮した様子だ。
 吹き飛ばされたせいで、満足な防御もできないキングは、生徒が唱えた魔法の脅威にさらされている。
 止め、と言わんばかりに、コルベールが詠唱し、一際大きな炎蛇を作り上げる。
 そして、杖を振るい、それをキングへと放った。
 瞬間、爆発が起こる。
 キングは本来の姿に戻っていた。金色に輝く体は、まさに王の風格だが、ところどころに傷がつき、息も荒い。ブレイドとの戦闘ダメージの蓄積もあった。
 敗因は『魔法』を甘く見ていたこと。
 それと、ブレイドとの戦闘で、予想以上にダメージを負ったことだ。
 しかし、敗北は死ではない。アンデットは死なない。
 アンデットの敗北は、封印されるときだ。
 「ほんとに・・・・・なんだよ、もう」
 そう吐き捨てると、キングは学院の屋根に、素早く上り、そのままどこかへ姿を消した。


 剣崎が目を覚ますと、むくれ顔のルイズがいた。
 辺りは喧騒に包まれていた。
 生徒たちが、互いに褒めたり、褒められたりしている。
 そうか。キングに負けたんだっけ。
 でも、無事だ。おかしいな、と剣崎は上半身だけ起き上がり、そばのルイズに尋ねた。
 「キングはどうしたんだ?」
 「逃げたわよ・・・それにしても、あいつ何者?あんなに多くの魔法を受けても生きてるなんて」
 ルイズが眉間に皺をよせる。そして、ちらりと剣崎を見ると、責めるように呟いた。
 「・・・なんで戦ったのよ。あいつはあのギーシュをのした相手よ。平民のあんたが勝てるわけないじゃない」
 「それは・・・俺は、仮面ライダーだから。アンデットを倒すのは、仕事というか役割みたいなものだし」
 「あれがアンデットっていうの?」
 ルイズは、最後に一瞬だけ見た、キングの姿を思い出した。
 なるほど。あれが、アンデット。

 「あいつはその中でも、かなり強いんだ。でも、性格が子供っぽくてさ。倒しても止めをささなかったりするんだ」
 「じゃあ、あいつの気まぐれな性格で、あんたは助かったってこと?」
 「・・・多分。俺があいつに負けたあと、殺そうと思えばすぐ殺せたはずだし」
 そんな中、こほん、と咳払いをするものがいた。ギーシュである。
 「あら。あんた、もう大丈夫なの?」
 ルイズが感心したように呟く。
 「ああ。体は大丈夫だ・・・・・けど、心はボロボロさ。あんな平民に負けたとなっては貴族の名が廃る」
 ギーシュは剣崎に視線を向けた。
 「ところで給仕君。君は数分とはいえ、あの平民に優勢だったようじゃないか」
 「・・・ああ」
 今回はなんだか、いつもより全ての身体能力が上がったように感じた。
 キングに追い詰められ、まともでいられないはずの脳も、どこか冷静な思考をしていた。
 「そういうわけで、君と改めて決闘をしたい。先生方も、もう引き上げたようだしね」
 「・・・ああ。いいぞ」
 「ちょっと!」
 そういえばこいつは二股をしていたんだった。ルイズの抗議は聞こえないふりをし、剣崎は立ち上がる。
 「さてと・・・予想外のことが色々起こったが・・・・・始めるか」
 ギーシュが薔薇の花をふると、その花びらが甲冑を着た女戦士の形をとる。
 さっきキングに使っていた魔法か。
 正直言って、生身ではあの金属製っぽい肌の女戦士には勝てそうにない。
 きょろきょろと自分の周囲を見回すと、一メートルほど離れた場所に、ブレイバックルが転がっている。
 「僕の二つ名は『青銅のギーシュ』。存分に僕のワルキューレを堪能してくれ!」
 ワルキューレというらしい女戦士が移動を開始する。
 剣崎はブレイバックルを拾い上げ、それを腰の位置に固定した。
 「変身!」
 ガチャ
 ガチャ
 ガチャ
 あれ。おかしいな。ターンアップハンドルを三回は引いてるのに、オリハルコンエレメントが出ない。
 腰を見ると、ベルトも巻かれてない。
 「ふごっ!」
 いつのまにか正面にいたワルキューレに腹を殴られる。
 その衝撃のおかげか、剣崎はあることを思い出した。
 「カ、カード、キングに盗られたんだった!」
 どうしよう。
 悩む剣崎の左頬に、ワルキューレの拳がヒットした。
 「こ、こんなの・・・」
 ウニナンダヨ。

新着情報

取得中です。