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とある魔術の使い魔と主-08


その日の夜、当麻は顔を洗おうと水汲み場まで赴いた。バシャッ、と冷たい水が当麻の神経を一瞬だが麻痺させる。
タオルで大まかに拭いた後、さっさと戻ろうとルイズの部屋に入ろうとしたその時だった。
ちょうどその向かい側にあるキュルケの部屋の扉が、がちゃりと開いた。
何処のホラーアクションゲームの死亡フラグですかー!? と、心臓が飛び出るぐらい驚きながらもガバッ、と振り返る。
と、出て来たのはサラマンダーのフレイムだった。当麻の存在に気付くや否や、ちょこちょことかわいらしく近づいてくる。当麻は思わず後ずさろうとしたが、壁を背にしている為逃げられない。
「あー、一体私に何か御用でもあるのでしょうか?」
きゅるきゅる、と肯定するかのようにサラマンダーは鳴き、当麻の上着の袖を加える。
「とと、って燃える、燃えるから」
慌てて振りほどこうするが、サラマンダーはさらに強い力でぐいぐいと引っ張ってくる。
そこまでされて、ふと当麻は状況を理解した。
半開きになっているキュルケの部屋、そしてその使い魔であるフレイムが引っ張ってくる。
(何か俺に用でもあるのか……?)
キュルケとは召喚された次の日に話した以来、何もしていない。故に当麻は理解が出来ない。
しかし、このままでは当麻の服が破ける&燃えるというデスコンを受けると思ったのか、当麻はとりあえずキュルケの部屋へと入っていった。
そこは光が差し込まない真っ暗な部屋であった。サラマンダーが発する火が、周りをぼんやりと明るく光らせている。
「扉を閉めて?」
久しぶりに聞いたキュルケ言葉通り、ドアを閉める。
「ようこそ、こちらにいらして」
「って言われても……何処にいるのさ?」

途端、パチンとキュルケが指を弾いた。すると、部屋の中に立てられたロウソクが、一定の感覚で灯っていく。
当麻の近くからスタートし、ゴールはキュルケのそば、道のりを照らす街灯のように、ロウソクが燃えている。
(いやいやいやいや何ですかこれはー!?)
当麻にはそれが何となくマズイと体に訴えるのだが、後ろにフレイムが見張りをしている為出るに出られない。何故危険を感じたのかというと……。
ベットに腰掛けたキュルケの姿は、目のやり場に困る姿であったからだ。
ベビードールというのだろうか、そういう明らかな下着だけしかつけていない。
目を丸くして、どうすればいいかわからない当麻にキュルケは、
「そんな所で突っ立ってないで、いらっしゃいな」
と色っぽく言った。
もはや理解不能だー、と頭を回転させる事を投げ出した当麻は、キュルケの言われた通りにするしかなかった。
「座って」
キュルケの元へと近づき、言われるがままに隣に腰掛けた。こういったタイプの女性とこういった交流は……さすがの当麻でも一度もなかった。
「あーえと、本日はどのような件で呼ばれましたのかよくわからないのですが……」
当麻は自分でもわかる程緊張している。いや、だって胸が……胸が……、と目が自然とそちらへ向き、ドクン、と心臓がはっきしと波打つ。
キュルケは大きくため息をついた。そして悩ましげに首を振った。
「あなたは、あたしをはしたない女だと思うでしょうね」
「はぁ……」
「思われても、しかたないの。わかる? あたしの二つ名は『微熱』」
「おぅ……」
「あたしはね、松明みたいに燃え上がりやすいの。だから、いきなりこんな風にお呼びだてしたりしてしまう。わかってる。いけないことよ」
じゃぁ呼ぶなよ! と激しく突っ込みたい衝動を抑えて、再び曖昧な返事を取る。
「でもね、あなたはきっとお許し下さると思うわ」
キュルケは潤んだ瞳で当麻を見つめた。あれ……まさか? と当麻はある事に気付く。
「えとー、これはまさか……」
キュルケは、すっと当麻の手を握ってきた。キュルケの手は温かく、また柔らかかった。

(ま、まさか……)
「恋してるのよ。あたし、あなたに。恋はホント突然ね」
「いやいやいやいやー、ちょっと、ちょっとちょっと待てやぁ! 俺が何をした!?」
からかっているに違いないと、当麻は思いたい。いやだって好かれるような事してないし……、と思ってもキュルケの真剣な眼差しに何かしたかも? と思ってしまう。
「あなたが、ギーシュを倒したときの姿……。かっこよかったわ。彼のゴーレムを一撃で粉砕した時の! そしてあの言葉! 『幻想を壊してやる!』 それを聞いて痺れたのよ。信じられる? 痺れたのよ! これは情熱だわ!」
だー、と当麻は頭を抱える。まさかあそこでフラグを立てたのかー、と今更ちょっぴり後悔する。
「あなたは罪深い人だわ、トウマ。あたしに恋歌を綴らせたり、毎晩夢見るのも、フレイムを使って様子を見たり……」
当麻は困った。こういった体験はなかった為、どのように答えればわからなかった。
すると、キュルケは当麻の沈黙を独自の解釈を得たのか、目をつむり、唇を近づけてきた。
(うぉぉぉおおお、この好意は素直に受け取るべきなのかー)
と、ちょっとマズイ方向にいきそうになるその時、
絶妙のタイミングで窓の外が叩かれた。そこには、一人のハンサムな青年が羨ましげに部屋の中を覗いていた。
「キュルケ……。待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば……」
「ベリッソン! ええと、二時間後に」
「話が違う!」
当麻はそんなやり取りん見て思う。ここ三階だよな……。
どうやら貴族達は平気で魔法をバンバン使うらしい。
その確証を得たのは次のキュルケの行動である。
キュルケは煩そうに、胸の谷間に差した派手な魔法の杖を振り上げると、即座に振った。
ロウソクの灯から、炎が大蛇のように伸び、窓ごと男を吹っ飛ばした。
その後、スティックス、マニカン、エイジャックス、ギムリと立て続けにキュルケの部屋になだれ込んだが、全員吹っ飛ばした。
「全員友達……?」
「そ! 友達! 愛してるのはトウマだけ!」
疑わしそうに見ていた当麻に、キュルケは真っ直ぐ唇を奪った。
「む、むー」
抗議の声をあげようにも口を防がれてしまっている。キュルケのキスはそれだけ情熱的であり、もうこのままでいいかも、と思ったその時。
真のラスボスが扉からエンカウントしてきた。

というわけで当麻はルイズに鞭で叩かれる事になった。
「って待て! 時間の進み方がおかしいぞ! 間が全くないぞおい!」
「うるさいわね! あんたは野良犬で十分よ!」
「ってイタァ! 痛いから、それ半端なく痛いからぁぁぁあああ!!」
当麻の絶叫が辺りを響き渡らせた。
この後、タップリ文句を言われた当麻である。
次の日は虚無の曜日、二人は町へ行く事になった。


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