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双月の女神 第二章

――――――双つの月をいただく世界、『ハルケギニア』。
その中でも魔法を使える人間達、メイジが力を有する王権国家「トリステイン」の魔法学院でこの日、歴史が動く。
鍵を握る人物の一人が、異邦の地から「使い魔」として召喚された。

その者の名を、ミカヤ。
後の歴史に、そして人々の記憶に刻まれる、当時、魔法を使えなかったがために、落ちこぼれと言われたヴァリエール公爵家三女、ルイズの従者。
その顔立ち、纏う気配から女神、或いは始祖ブリミルの生まれ変わりとまで噂される程の存在だった。

『サモン・サーヴァント』で亜人ではない人間の姿をした者を召喚したことは、長い歴史を持つトリステイン魔法学院では前例のないことである。

立会人となった『炎蛇』の二つ名を持つ博識なメイジ、コルベールは老練のメイジ、学院長オスマンの元へ、急遽ミカヤを招いた。

そしてミカヤから、彼女の住んでいた異なる世界、女神が治めていた唯一の大陸『テリウス』について語られる――――



ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~
第一部 『ゼロの夜明け』
第二章 『双子の月』


トリステイン魔法学院の中の、本塔の最上階にある学院長室。
学院長であるオスマンが椅子にかけ、ここまで案内をしてきたコルベールはその左脇に立つ。
彼らとテーブル越しに相対する位置に、ミカヤはいた。
ルイズに案内され、共に教室で『使い魔召喚後の使役』についての授業を受けた後、コルベールに招かれたのである。
互いの紹介をコルベールを介してすませた後、長く真っ白な髭と髪の老人、オスマンが重い口を開いた。

「まずは歓迎の言葉を述べよう。ハルケギニアにようこそ、ミス・ミカヤ。」
「ご丁寧な挨拶痛み入ります、オールド・オスマン。」

オスマンからの言葉に謝辞を述べるミカヤ。
一連の仕草を見たオスマンの鋭い観察眼が、彼女は人間ではあるが、かつてやんごとなき身分であったことを理解した。
神と人は意識に相違があり、神は絶対の権力者。
自身より格の劣る者を、慈しむことはあれど、敬意を払うことは無い。
しかしながら、かつて女神ユンヌの巫女であったためか、神聖な気配を纏っている。
どのような神かはオスマンには分からないものの、神格の高い、高次元の存在がついていたことは疑いようがなかった。

ミカヤもまた、オスマンの心を読み、こちらへの害意はないことを認める。
自身の召喚者であるルイズの師として、信用に足る人物達であることも。
故に、ミカヤは二人に、自身の存在について話すことにした。

「まず始めに私はこの大陸、恐らく世界の住人ではありません。『ハルケギニア』という大陸の名は聞いたことがありませんし、私のいた『テリウス』大陸以外の陸という陸は、太古の大洪水で沈んでいますから。」
「なんと、そのような未曾有の災害が?」
「確かにハルケギニアではそのような大洪水の伝承は存在しませんな。『テリウス』という大陸名も聞き及んではいません。」

ミカヤの言葉に驚きを隠せないオスマンとコルベール。
しかし、異世界の住人と確証を得るには証拠になるものが少ない。

「その証拠と言えるものが、これです。」

そう言ってミカヤが長杖を持たない左手で、左右一対各二連、本―――光の魔法を宿した魔導書を収めたホルダーの内、左から『ライト』の書を取り出し、机に置く。

「これは・・・。」

『ライト』の書を手に取り、解析の魔法で調べるコルベール。
そして内容を見るためにページを開く。

「ハルケギニア語ではありませんな。」
「それは精霊と契約し、「古代テリウス語」で契約の呪文を詠唱することで力の行使を可能にします。」

ハルケギニア語ではない不可思議な言語で呪文らしきものが書かれているため、内容を読むことができなかった。
『ライト』の書を返しつつミカヤの説明にむう、とうなるコルベール。

「精霊魔法・・・。先住魔法のそれをこの一冊の魔導書で可能にするとは・・・。」
「その『テリウス』大陸では一般的なものなのかね?」

内心コルベール同様驚愕しつつも、ミカヤに尋ねるオスマン。
「はい。ですが、魔法の使用用途は戦闘用に特化しているため、このハルケギニアのように生活の延長に使えるものはありませんでした。特に浮遊や飛行の魔法には正直、驚きました。飛べるとなれば天馬、飛竜、『ラグズ』の「鳥翼族」か一部の「竜鱗族」だけでしたから。」

ラグズ―――獣に化身し、通常のヒトの数倍の力を誇る獣人族の総称。
虎、猫、狼、獅子の姿に化身する獣牙族。鷹、烏、鷺に化身する鳥翼族。
そして、竜に化身する竜鱗族をそれぞれ指す。
この世界における韻獣、韻竜に当たる存在のことを聞き、息を呑む二人。

「ここから先は、テリウス大陸の成り立ちと歴史について、そして私の生きた足跡も併せて話します。」

そう区切り、二人が頷いたのを確認し、オスマン達の認識で人間を指す『べオク』、全てのヒトのルーツの創造神たる女神についても合わせて説明をし、テリウスの歴史について
語りだした。

その種族の意識の違いから度々戦争があったこと。
その悲しみから女神は先に語った大洪水を起こしたこと。
それを起こした罪の意識を感じ、正と負の意思に女神が別れ、古の争いの果てに眠りについたこと等を話す。
そして、自身はべオクとラグズの間に生まれた子供の子孫であり、その因果で女神の声を聞き、神降ろしの器になったこと。
再び大陸全土を巻き込んだ戦争が起こり、窮状の打破のため、負の女神ユンヌをミカヤを寄り代に目覚めさせ、合わせて覚醒する正の女神アスタルテと共に審判を仰ごうとしたこと。
それよりも先に判決を下され、裁きの光が世界中に降り注いだこと。
最後に、ヒトの存亡を懸けた女神との決戦―――

「そして、女神を討った後、数十年をかけての故国の復興を終え、夫が亡くなった時、私のテリウスでの役目が終わった。そう思い、私も「勇者」に倣い、新天地を目指し、旅に出ました。後の顛末はミスタ・コルベールが確認した通りです。」
「・・・いやはや、ミス・ミカヤから感じられた気配の要因は理解できましたが・・・。」
「まさか、これほどまでのお方をあのミス・ヴァリエールが召喚するとはのぅ。」

元一国の女王であり、女神の器。
そして熟達の聖杖使いにして光の精霊魔法の担い手。
一介の学生の、それも落ちこぼれの噂のメイジが召喚出来たのは類稀、としか言いようがない。
だからこそ、二人はある想像が結論に出かけていたが、今はそれの確証が得られない以上、これ以上の話は困難という考えに至った。

「今日はもう日も落ちた。話はこれまでとしよう。ミス・ミカヤ、この度は召喚に応えていただいたこと、まことに感謝する。」
「ミス・ヴァリエールを、よろしくお願いいたしますぞ。」
「分かりました。」

二人の心からの感謝と願いの言葉を受け取り、頭を下げるミカヤ。

「この学院で分からぬことは遠慮なくわしか、ミスタ・コルベール、ミス・ヴァリエールに尋ねられよ。さて・・・、迎えも来たことじゃ。」
探知の魔法『ディテクト・マジック』で、学院長室へ呼ばれた者を確認する。
3回の扉のノックの後、少女の声が聞こえた。
「オールド・オスマン。ラ・ヴァリエール、呼び出しに応じました。」
「うむ、入るがいい。」
「失礼します。」

扉を開き、入って来たのはルイズだった。

「ミス・ヴァリエール、ミス・ミカヤを君の部屋まで案内を。後は親睦を深めるのも自由ですぞ。」
「分かりました。では、ミ・・・、ミス・ミカヤ、行きましょう。」
「ええ。では、失礼いたします。」

コルベールの言葉に頷き、『ミカヤお姉さま』と言いかけるのを必死に押さえ込んだルイズ。
そんな彼女にミカヤは微笑みかけながら、オスマン達に一礼。

「では、下がってよい。ミス・ミカヤ、ミス・ヴァリエール、良い夜を。」
「はい。失礼します。」

そしてミカヤとルイズは学院長室を後にした。



学生寮の中のルイズの部屋。
そこでミカヤとルイズはテーブルを挟み椅子に掛け、夜食を摂りながら二人は互いのことを話し合っていた。

「信じられないわ、ミカヤお姉さまが異世界から来たメイジだったなんて。」
「ええ、私も世界を渡るなんて経験したことがないわ。」

自身がデイン王国女王であったことは彼女の心を刺激する可能性があったため、伏せて話した。

「いいなぁ、私もその杖や魔導書、使ってみたいわ。」

壁に立てかけられた杖やホルダーごと壁掛け―――ルイズが家財の一部を使って良いと言ったため利用している―――に掛かった魔導書を見ながらそう言う。

「古代語の習得やそれぞれ相性もあるから難しいかも知れないわ。でももし、機会があれば古代語を教えるから、その時に属性の相性を見てみましょう。」
「うん。よろしくね、ミカヤお姉さま。」

自分を抱きしめてくれた時、恐らくミカヤは自身の『ゼロ』の意味を理解している。
そうでなければあの時、ずっとつらい思いをしてきたことを分かっているように慰めてはくれなかっただろう、と確信に近い思考をするルイズ。
ミカヤもまた、ルイズが正しく魔法の行使が出来ないことを、あの時にルイズを含めたその場の全員の心を読んでいたため、理解していた。
彼女はテリウスの魔法を使えるか、あるいはハルケギニアの魔法で当てはまるものを共に探すこと、そのためにこの世界の魔法の仕組みを理解する必要があると考えていた。
ふと窓から空を見上げると、ハルケギニアの象徴とも言うべき双子の月が見える。ルイズもつられ、二つの満月を眺めた。

「ねぇ、ミカヤお姉さま。あの月、私とお姉さまに見えない?」

子供じみた言葉と思いながらも、そうありたいと思うルイズ。

「ええ、そうあれたらいいわね。」

心からそう思い、返すミカヤ。
二人を祝福するように、二つの満月は慈悲の光を投げかけ、二つの影を作っていた。

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