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ゼロの使い魔・ブルー編-09

彼女はいきなりこのハルケギニアに飛ばされたとき、それほど驚いたわけではない。
気がついたら、見知らぬ場所にいた。
そんな経験を、彼女は2回経験している。
どちらも彼女にとって余り良い思い出ではないが。
まぁ、それでも彼女が少し驚いたのは確かだが――それより差し迫った問題があった。
お金がないのである。
いや、いわゆるクレジットなら城から持ち出した
槍を売り払ったのがあったのだが、それはここでは役に立たなかった。

が、それでも普通の人間ではあり得ないほどの期間、それを保たせたが、
流石に限界が来る。なので、持ち物を幾つか売ることにした。
そこで立ち寄ったのがあの武器屋だったわけだが――
その時、持っていたのは精々あの『幻魔』位であることに気付いた。
いや、『幻魔』一本で渡って来れたので、逆に気付かなかったのだ。

『幻魔』は3000の……エキューとか言う金貨と換えられた。
買ったときの支払ったのは3だから1当たり1000か。まぁ、妥当かも知れない。
それを元手に、傭兵まがいの事や、遺跡荒らしや、
本屋のバイトをして馬車に軽くひかれたりと色々ありながら、
ようやく愛剣を買い戻す算段が付いたのだ。

行ってみたら、売れていた。
武器屋から買った人を聞き出すと、貴族の子供二人組だったらしい。
貴族の子供が供も付けずに外に出ることはあまりないだろうから、
ならば、供がいない人間と言うことになるだろう。
まず考えたのは、供を付ける余裕のない貴族だったが、
その貴族は2000をぽんと出したらしい。ならば違う。
なら、供が何らかの理由でいない――そう言えば今日は虚無の曜日だったか。

大体のあたりをを付けると、彼女はそこに向かった。
そこに着いてまず彼女が見たのは、雷竜にくわえられている自分の剣であった。



二つの月が、
魔法学院の宝物庫がある壁と、それに横になって立つ人影を照らしていた。

「さすがは魔法学院の宝物庫ね……
 私のゴーレムでも、これを壊すのは無理ってものね……」

何故壁に立っているのかは理由も原理もわからないが、
その人影は呟いた。

「『固定化』以外はかかってないみたいだけど――」

そこまで言うが、人の気配が近づいてくるのを察知すると、彼女は壁を蹴り、
草と木が生い茂り、身を隠すには丁度良いところのそのまま隠れる。
見ると、どうやらこの魔法学院の生徒であるようだった。
その人影は、なにやらそこで少し話し込むと、
いきなりそのうち一人を押さえ込み、何かをやっている。
どうやらロープで縛っているらしい。
その次に、竜……誰かの使い魔だろうか?
それがやってきて、その縛られた人物と、何かを他の人影から受け取り、
そのうち一人を背に乗せると、塔の上まで飛んでいった。

(……いじめ……にしては妙ね?)

塔の上の方を見ると、さっき縛られていた人物がぶら下げられている。
下の方を見ると、なにやら残った二人が話し込み、
そのうち一人が杖を構えると、短い言葉を唱えて、杖を振った。
すると、爆音が響く。

(なんだい、そりゃ……)

その音がした、壁の方を見やると……自分では壊せそうになかったそこに、ヒビが入っていた。
それを確認すると、彼女は長い呪文の詠唱を始めた。

キュルケは、『ファイヤ・ボール』の詠唱を始めようとして、
後ろに出現した大きな物の気配に気付いた。
振り返る。するとそこには巨大な土のゴーレムが此方に歩いてくる姿があった。
「「な、なによこれ」」
彼女が横を見ると、ルイズが驚いた表情でそのゴーレムを見ていた。
恐らく自分も同じような表情をしていたのだろうと思うが、
取り敢えず、叫ぶ。
「逃げるわよ!」


その上空では、タバサがそれを冷静に見ていた。

「宝物庫に向かってる」

それに気付くと、タバサは自らの使い魔に指示を出し、杖を構えた。

「クーン」
「ふぁに?」

剣をくわえているので、発音がはっきりしないが、
彼女の使い魔――クーンはちゃんと応えたようだった。

「助けていかないと」

ゴーレムが向かっている宝物庫の壁の前にぶら下がっている、青年を指していった。

「どうしてこうなったんでしょうね……」

そこにぶら下がっていた青年は、独りごちた。
ゴーレムが此方に近づいてきていた。
どうも、ここは危なそうだ。

「『剣』」

具現化した剣が、彼を縛るロープをバラバラに切り裂く。

「『リバースグラビティ』」

落下を始めた自分の身体を、重力を反転させて減速させる。
そして、下へと華麗に着地する……が。
すぐ側にゴーレムが迫ってきていた。
踏みつぶされるその瞬間とも言う時に、
横から何かが飛んできて、彼をくわえてそのまま飛び去った。
その何かは、タバサとその使い魔であった。
彼は礼を言う。

「ありがとう」

返事はない。
突如、彼は一つのことに気付く。
自分がくわえられていたと言うことは、前にくわえられていたものは……

「うぉぉぉぉぉ!?」
「ちょっ…えぇぇ!?」

下から絶叫が聞こえてきた。
竜がくわえていた剣は、どうやらゴーレムの足の下にあるらしい。
その足を上げないまま、ゴーレムが腕を振るう。
そのまま、拳をヒビの入った壁にたたき付けると、その壁は崩れ去った。


ゴーレムの方の上で、笑いを浮かべていた人物、
『土くれのフーケ』は、崩れ去った壁から宝物庫へと入った。
中を見回す。目的の物以外にも色々と素晴らしい宝物があったが、
今回の狙いは既に決まっている。
彼女はその鏡と、飾りっ気のない指輪を見つけた。
何の変哲のない鏡に見えるし、もう片方もただの指輪にしか見えない。
が、その前にかけられた札が、それがただの鏡と飾りでないことを示していた。

『火返しの鏡。持ち出し不可』
『盗賊の指輪。持ち出し不可』

魔法学院に勤める教師、『疾風のギトー』は、
彼にしては珍しく、夜の当直をしていた。
ただの気まぐれである。それほど眠くないしやっても良いか、と思って来たのである。
どうせ何も起こるはずないし――そう考えながら、入れたばかりの紅茶を手に取る。
そこに、爆音が響く。が、それには動じなかった。
この学院ではよく爆音が響く。その爆音と同じ音だった。
自分が行くほどのことでもない。そう考えながら、紅茶を口に含むと、
今度は轟音がしてきた。お茶を吹いた。
とっさに立ち上がり、轟音のした方向に駆け付けようとすると、
途中で人影とすれ違う。とっさのことで反応できなかったが、
その人影は馬小屋の方へと向かっていた。
彼は自らの使い魔を呼び出すと、それにその人影を追うように命じた。
黒い姿が、夜にとけ込む。

彼女は自らの剣に、巨像の足が振り下ろされるのを見ていた。

「ちょっ……えぇぇ!?」

思わず叫んでしまう。そのゴーレムは暫く足を動かさなかったが、
暫くすると足を上げ、去っていく。
剣が落ちていた場所に近寄るが、そこに彼女の剣はない。
もしやと思い、後ろを振り返ると、刺さっていた。ゴーレムの足の裏に。

「さ、流石ゴザレス。像が踏んでも大丈夫……ってそんなこと言ってる場合じゃない!」

ここに来る途中見掛けた、馬小屋へと彼女は駆けだした。
途中、誰かとすれ違ったが、どうでも良かった。
馬を見つけると、それに乗り、ゴーレムの後を追いかけた。


翌朝。
トリステイン魔法学院は、朝から凄い騒ぎだった。
なにせ、秘宝の『火返しの鏡』が盗まれたのである。

宝物庫に学院中の教師が集まり、その壁に刻まれた文字を見ていた。

『火返しの鏡と盗賊の指輪、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』

オスマンは、静かな声で語り出した。

「……ゆゆしき自体じゃな」
「そうです!土くれのフーケ。最近暴れ回っていると聞いたが、
 まさか魔法学院にまで手を伸ばすとは!」
「衛兵は何をしていたんですか!?」
「衛兵は所詮平民!それよりは当直は誰だったのだ!」
「私だが……」


声を上げたギトーの方を、
騒ぎ立てていた教師達が一斉にそちらを向く。

「ミスタ・ギトー!当直をしていながら、
 何故土くれのフーケを見逃すような事になったのですかな!?」
「いつも通り、さぼっていたのでしょう!」
「あなた方もいつもさぼっているじゃないか!
 それに昨日は私はちゃんと当直をやっていたぞ!?」
「ですが、見逃したことは確かでしょうに!」
「土くれと思わしき人物に、既に私の使い魔をつけさせている!
 いつでも追い詰めることは出来る!」

不毛な言い争いになりかけたところで、
オスマンが静かだが、力のある声で言う。

「静まりたまえ。ここで言い争いをしていても仕方がない。
 ギトー君は十分な働きをしてくれた筈じゃが?」
「……それはそうですが」
「そうです、私はちゃんと――」
「まぁ、さぼっていたことについては後で聞かせて貰うとしよう」
「――……ハイ」
「は、偶然で居合わせたぐらいで威張られては――」
「お主らもじゃ」
「――――……ハイ」
「で、犯行の現場を見ていたのは誰じゃったかな?」
「この3人です」


コルベールが、後ろの方にいたルイズとキュルケ、タバサとブルーを指し示す。
恐らく使い魔は数に入らないのだろう。

「ふむ、君たちか……」

オスマンは四人を見回した。
ブルーだけ少し長く見つめていたような気もする。

「説明してくれるかね?」

オスマンが言うと、ルイズが話し出す。

「大きなゴーレムが現れて、そこの壁を壊したんです。
 その後暫く止まっていましたが、動き出したら城壁を乗り越えて、
 その後土に還りました」
「ふむ。それで?」
「それだけです。土の後には何もありませんでした」
「なるほど……では、ミスタ・ギトー。
 君の使い魔は今どこにいるのかね?」

オスマンはルイズから一通り話を聞くと、
今度はギトーに話を振った。

「ちょっとお待ち下さい……今。近くの森に向けて飛んでいるところです。
 どうやら見失ったようですが……その森に入るところは見たようです」
「その森は何処にあるのかね?」
「徒歩で半日。馬なら……4時間と言うところかと」
「すぐに王室に報告しましょう!兵隊を差し向けて貰わなければ」

コルベールが言うと、オスマンは怒鳴って返す。

「馬鹿モン!王室なんぞに頼ってどうする!
 これはわしらの問題じゃろうが!当然、我らだけで解決する!
 それに、1万の軍勢を差し向けたところで
 『盗賊の指輪』を使われては捕らえることなど出来ん!
 使い方を解られるうちに捕らえなければならん!」


叫ぶオスマンに、コルベールが聞く。

「あの、失礼ですが……『火返しの鏡』についてはある程度聞いてますが、
 『盗賊の指輪』とは……?」
「秘密じゃ」

オスマンは何故か即答した。

「はぁ……そうですか……」

釈然としない様子のコルベールを放置し、
オスマンが大きな声で言う。

「では、ミスタ・ギトーを中心として、捜索隊を編成する。
 我はと思う者は――」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい。何故私が?」

いきなり指名され、困惑して慌てるギトーに、オスマンは呆れたように言う。

「追っているのはおぬしの使い魔じゃろう……」
「そ、そうですが……」
「とにかく、我はと思う者は杖を掲げよ!」

静寂。沈黙。不動。無変化。
要するに、誰も杖を掲げようとはしなかった。
そのうち、オスマンは悲嘆するような感情を声に乗せ、放つ。

「誰もおらんのか?どうした。
 フーケを捕らえて名を上げようとする勇気を持った貴族はおらんのか!」

それでも、沈黙は保たれたままだったが、
変化は起きた。
ルイズが、杖を掲げていた。


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