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ゼロのしもべ第3部-12

 クロムウェルを取り囲んでいた全ての男たちが倒れた。
 倒れたと思ったときには、死体がミイラのように干からびた。干からびた死体は瞬く間に砂となって消えて行った。
 巨大化したクロムウェルの握りし鐘が、赤から紫、そして青へと変わっていく。最終的には目も眩まんばかりの白光を放ちはじめた。
 森の木々が立ち枯れし、葉を茶に染めて、しなびていく。
 たちまち周囲10メイルは草木一本ない茫々たる荒野となった。
「殷周秦漢魏隋唐宋金元明清袁華人民毛長征!」
 当たるを幸いに、周囲のものに当り散らすクロムウェル。完全にぶち切れていて、始末に終えない。目に入るもの全てを破壊しようと
しているのだ。
「この!」
 キュルケが果敢に炎球を放つ。
「激痛火傷皮膚重傷熱湯独楽朝流!!」
 油をかけた枯れ木のように、全身に火が燃え移り、苦悶にあえぐクロムウェル。周囲にゴムが溶けたようないやな臭いが広がる。
「炎が効くわ!燃やせばいいのよ!」
 たしかに全身がたいまつのように燃え出した。皮膚が飴細工のように溶け、ずるりとむけていく。
 だが、
「なによアレ!」
 炎で焼け爛れた皮膚や肉の下から、次々と新しい組織が再生していくではないか。古い組織がはがれたあとから現れるのは、
赤ん坊のようなツルツルとした肌。まるで炎の中に飛び込んで再生復活するというフェニックスのようであった。
「黎明埃及希臘羅馬未来大和宇宙鳳凰復活羽衣望郷乱世生命異形太陽大地編原子現代!」
 燃え盛る炎の中で、赤い瞳がギラリと輝いた。
 ドワオ、と火に包まれた腕を伸ばしてキュルケを捕まえようとする。
 慌ててそれを避けるキュルケ。腕に当たった木や草が、一瞬で生命力を食い尽くされて枯死する。
「…劣化グレイトフルデッド?」
 冷静に分析をするタバサ。こういうときに落ち着くのは重要だ。しかしいまそんなに落ち着いている場合ではないと思うのだが。逆に
混乱しすぎて、一回転して落ち着いているように見えるのではないかと勘ぐってしまう。
 ぐわっとクロムウェルが腕を横なぎに振り払った。何十本もの木がなぎ倒され、吹っ飛ぶ。そして空中で枯れ果てて消えてしまう。
「触れただけでお終いってこと!?8ビット時代のアクションゲームじゃないのよ!」
 身体を伏せていたキュルケが怒鳴りたてる。
「アクションゲームなら攻略法があるはずだろ!」
 みをちぢこめたギーシュが叫び返した。
「攻略法はともかく、安全な物陰に逃げ込むわよね、普通。こういうときは」
 だが身を隠せるような木々は役に立たない。下手に隠れれば、木もろともなぎ払われるのが落ちだろう。
「あれ。岩。」
 タバサが杖で、荒野となった森跡に残る岩を指す。なるほど、たしかに木が腐り果てたあとにポツンと大きな岩が転がっている。
「あんな岩の陰に隠れても、どうぞ攻撃してくださいって言っているようなものじゃないか!?」
「違う。岩だけ、残ってる。」
 ああ、とキュルケとギーシュが声を上げた。
「つまり生命を持たないものならば、クロムウェルの能力に耐えられるかもしれないってことか!?」
 コクリと頷くタバサ。言われて見れば確かにそうだ。最初から吸収する命がなければ、身体に触れてもなんということはない。
「命を持たないゴーレムなら押さえられるかな!?」不安げにギーシュが問う。
「とりあえずゴーレムでクロムウェルの気をひきつけておいて、その隙に間合いをとって、作戦を練るわよ!」
 薔薇を振って、ギーシュがワルキューレを召喚する。現れたワルキューレは2体。小型のオノを背に担いでいる。
「岩巖頑贋!若鋳命我真紅燃!月多火花天空高!」
 奇声を上げ拳を振り下ろすクロムウェル。その腕にワルキューレがしがみつき、オノで滅多打ちに殴りつける。
「観鷹!合体月多魯拇駄!合津合津月多合津!」
 叫び声をあげて腕を振り回すクロムウェル。効果ありだ。この隙にと慌てて離れ、物陰に隠れるキュルケたち。ちょうど良いところに
大きな岩が転がっていた。ここにいればそう簡単には見つかるまい。
「命鐘響鳴轟!」
 クロムウェルが慌てて命の鐘を振った。頭の鉄片から足の爪先まで痺れるような重低音が、鐘を中心に放たれる。
 たちまちワルキューレがボロボロになって消えうせた。
「効果はあり。」
 タバサが淡々と言う。
「でも時間稼ぎにしかならないみたいね。」
「しょうがないだろ!まだドットなんだから!」
 魔法により造られた擬似生命体でしかないゴーレムにとって、命の鐘はまさに天敵。あっという間に消されてしまう。

「さっき1体使ったから、あと4体しか使えないぞ!」
「つまりその4体を使い切るまでに、打開策を考えなきゃいけないってことね…」
「ここは落ち着いてクロムウェルの能力をまとめてみるべき。」
 タバサの提案に、2人とも頷く。
「まず、触れると一瞬で生命力を吸収する。」
「鐘の音は、かりそめの命を与えたり、逆に与えた命を消し去るみたいね。」
「あとは再生能力(大)。」
 チラッと顔を出してクロムウェルを見やるタバサ。身体を焦がしていた炎が完全に消え去っている。
 見当違いの方向の木を蹴り飛ばしているところをみると、どうやらキュルケたちを見失ったようである。
「しばらく大丈夫そうだな。」
 ギーシュがホッと胸をなでおろした。このぶんだとまだ見つかるまで時間はありそうだ。
「そういえばアンリエッタ女王はどうなったのかな?」
 いままで自分のことで精一杯手一杯だったために忘れていた人物のことを思い出すギーシュ。なんだかんだで王家への忠誠心は
人一倍もっているのだ。
「無事ならいいんだが…」
 不安げにいうギーシュ。よく考えると誘拐された王女を助けに来たはずだった。なのにその王女は誘拐犯側についてこちらを攻撃
してきた。無事を祈らなくても大丈夫そうなんだが、そこまで考えがこの場ではまとまらない。
「ストックホルムシンドローム」
 どこでそんな言葉を知ったんだろうか、タバサがボソリと呟いた。
「……って、ちょっと待って。いまふと思ったんだけど、なんだかおかしくない?」
 キュルケが何かに気づき、素っ頓狂な声を上げた。
「なにが?」
「だって、あのウェールズ皇太子は命の鐘で復活したんでしょ?たしか水の精霊がそんなことを言ってたはずよね?ということは魔法
で命を与えたのと同じよね?ほら、おかしいじゃない!」
「え?え?」
 いまだに事情がつかめていないギーシュが顔に疑問符を浮かべて首を捻る。
「よく考えなさい。命の鐘の音が、かりそめの命を消すことができるなら、ウェールズ皇太子の命も消し去っているはずでしょ。」
 ああ、とようやく合点の行ったギーシュが手を打った。
「それが消えていないってことは、ウェールズ皇太子には命の鐘を無効化する処置が施してある可能性が高いわねってことよ。」
「で、でも距離の関係とかも考えられるんじゃないか?」
「それはない。」
 クロムウェルを見張っているタバサが、顔も向けずに言う。
「命の鐘を使うとき、ウェールズ皇太子が傍にいる可能性は充分考えられる。処置していなければ皇太子は消える。それを避けよう
とするのは、普通の思考。」
「で、でも、命の鐘で復活させれば…」
 諦められないように言葉をつなぐギーシュのほうに、タバサが横目を向けた。
「命の鐘は使用者の生命を消費するのだから、無駄な消費を避けるはず。」
 ぐうの音も出せなくなり、黙りこくるギーシュ。
「間違いないわね。」
 キュルケがアンリエッタのいる方向を伺う。
「ウェールズ皇太子にしかけてある処置を見破ることができれば、クロムウェルを倒すことができるかもしれないわね。」
「でもどうするんだい?見てすぐわかればいいけど、わからなければしばらく観察するしかない。その間、クロムウェルをひきつけて
おかないと……」
 キュルケが微笑んで、ギーシュの肩に手を置いた。
「やっぱりかい!?」
 だが、ギーシュは薔薇を手にして素直に立ち上がった。
「そういう落ちだと思ったよ。仕方がない。女の子を守るために、僕の薔薇のとげはある。」
 うおおおお、と叫びながら、ギーシュが飛び出した。クロムウェルがカッと目を見開いて顔を向けた。
「ワルキューレはあと4体。それまでに見つけてくれよー!」
 威勢よく叫んでいるが、半分泣き声でギーシュはそう言った。
 キュルケとタバサがその声に応えるように駆け出した。

 残月は逃げ惑っていた。
 アンリエッタを攻撃するわけにはいかない。かといって、自分の偽者を攻撃しようとすれば、アンリエッタが盾になるがごとく前に立ち
はだかる。そのくせ偽者は平気で残月にエア・カッターやエア・ハンマーを放ってくる。
「おまけにこの空模様…」
 残月は空を見上げた。どす黒い雨雲が、ゆっくりと近づいてくる。
「ええい!先ほどの炎のせいか!」
 クロムウェルを包み燃え盛っていた炎。それによって発生した上昇気流が雨雲を呼び寄せたのである。
 残月はクロムウェルのほうへ一瞬視線を移す。キュルケたちを追っていったため、300メイルあまり向こうにその巨体が見えた。


 そこへエア・カッターが襲い掛かる。真空の刃を、キセルを回転させ弾き、いなす。
「ここで顔をさらせれば楽なのだが…ッ」
 アンリエッタが生存を知れば、今までの自分の所業全てがばれるだろう。そのときの自分の悲惨な状況が目に浮かぶ。
「水責め怖い。怖いよ水責め。」
 なにか水にトラウマでもあるのか、残月が震える。大怪球を追いかけてもぐった海でポセイドンに捕まったことを想像してはいけない。
 攻撃を避けているうちに、頬に水滴が当たりだす。
 アッと思う間もなく、空でバケツをひっくり返したような太い雨が降り出した。
 アンリエッタが叫んだ。
「杖を捨てなさい。あなたにもう勝ち目はありません!」
「待て!その前に話を聞いてくれ、アンリエッタ!」
 おもわずアンリエッタ王女を呼び捨てにする残月。が、
「あなたに呼び捨てにされるいわれはありません!」
 女王は聞く耳を持たない。そりゃそうだ、アンリエッタにとっては赤の他人だもんな。
「いや、その、なんというか……前に呼び捨てにしたことがあるというか、とにかくむにゃむにゃ…」
 口ごもる残月。そんな様子を見て、「なにこのキモイ人」とあからさまに軽蔑のまなざしを向けるアンリエッタ。視線が痛くて思わず
残月は顔を背ける。
「あなたにはわからないのでしょうね。愛する人が、一度死んだ愛する人が再び目の前に現れたということが、どれだけ嬉しいか!」
 ぐはぁ、と残月がダメージを受ける。
「わたしはウェールズを愛しているの!戻ってきてくれた彼を離れたくないの!」
「い、いちいち胸に突き刺さる…」
 よろよろしながらなんとか体勢を立て直そうとするウェールズ。
「も、もしもだ…もしもだが。その、愛する人間が、浮気をしていたらどうする…?」
「ウェールズ様がそのような不貞を働くわけがありません!」
 あくまで澄み切ったアンリエッタの瞳に、足から砕け落ちる残月。
「ね、ウェールズ様。浮気などしていませんよね。」
「ああ、しているわけがないだろう。僕の可愛い従姉妹、アンリエッタ…」
 安心するんだというように、にっこりと優しい笑みを向ける偽ウェールズ。
「ご、ごめんなさい…」
 思わず土下座をしてしまう残月。
「……あの………なぜ土下座を?」
 アンリエッタが不思議そうに首をかしげる。
「いや、もう。聞かないでください。ほんと、勘弁してください。」
「はぁ…?」
 恐縮しっぱなしの残月を見て、怪訝そうな顔をするアンリエッタ。
「と、とにかく!」
 親指ほどもある水滴降り注ぐ雨中で、アンリエッタが空めがけ大きく手を広げた。
「雨の中で『水』に勝てると思っているの!この雨のおかげで、わたしたちの勝利は動かなくなったわ!」
 そこへキュルケとタバサが駆け込んでくる。
「せっかく来たら、こっちも最悪じゃないの。ひょっとして打ち止め負け!?……って、なんでアンタ土下座してるわけ?」
「鈴木…」
 雨中で大きく手を広げた王女と、平身低頭を貫く残月を交互に見比べる。
「……降参?」
「い、いや!まだ降参はしていない!あの偽ウェールズから、アンリエッタを救い出す!」
 残月が慌てて立ち上がり、隠し針を引き抜いて構えた。梅安先生のようだ。
「なんだか無理してます、って感じがありありなんだけど……。んー、浮気した彼氏が土下座して謝ってたって雰囲気ね。」
 ぎゃいん、と腹を蹴られた犬のように残月が倒れこんだ。
 泥まみれになりつつ、なんとか立ち上がる。
 なんという鋭さ。この鋭さはまさに嚢中の錐。意味はぜんぜん違うが。
「……え、図星なの?」
「ち、違うッ!違うぞ!」
 残月が猛烈な勢いでキュルケの肩を掴み、がぶり寄る。
「いいか!偶然だ!それよりも、なぜここに来た!?あちらはどうなったんだ!」
 ものすごい迫力にキュルケが思わず押し黙る。代わりにタバサが簡単に説明をする。
「なるほど!」
 グッと拳を握り締め、残月が偽ウェールズへと顔を向けた。
「ならば私の手で!」
 秘密を掴んでくれよう、と無駄に力をこめる。
「覚悟しろ!偽ウェールズ!」
 偽、を強調し、力強く宣言した。なにかすごく私怨が篭っている気がしてならない。


 さて、2人忘れられている人間がいることに、皆さん気づいているだろうか。
 1人は言うまでもなくルイズである。確かにポセイドンの肩の上に乗っていたはずだ。だが、今は影も形もない。
 いったいどこへ行ったというのか。
 もう1人は、命の鐘に命を捧げ殉じたクロムウェルの護衛たちとともにいた、大男である。
 2人は忘れられていたわけではない。
 なぜならば、ルイズはこの大男に襲われ、攫われたからだ。
 いつの間にと思うかもしれない。事実、何の描写もない。
 それこそ、気づけば忽然といなくなってしまっていた。
「これこそがオレの異名でもある翼徳の技よ!」
 縄で括ったルイズを肩に担ぎ、馬に乗った男が自慢げに言う。
 ルイズは気絶しているのか、ぐったりとしてうめき声一つ漏らさない。
 翼徳の技。
 まるで翼が生えているかのごとく身体を軽く、動きをすばやくする体術である。
 翼を持つ動物の力(徳)を身につける、という意味からそう名づけられた。
 この技を身につけたものは風の如き動きが可能になり、目にも止まらなぬ速さで動くことができるようになるという。
 現にあのバビル2世ですら、このような巨躯の持ち主の動きに気がつかなかった。
 もし、まともに戦っていればバビル2世の命すら危うかったろう。
 だが、地球監視者の衝撃波が、結果的にはバビル2世を助けたのである。衝撃波のおかげで攻撃のタイミングを逃した大男は、
ターゲットを第2目標であるルイズへと変更したのである。
「へっ。九大天王ともあろうものが子供をさらいてのは気にくわねぇが、この娘がバシュタール現象にかかわっている可能性が高いと
なれば話は別だよな。」
 本来の大男『張飛』の目的はクロムウェルの護衛であり、万一のときに脱出させることである。第2目標がルイズの捕獲である。
 ルイズは隙を突いて早めに捕獲した。様子を伺っていると、クロムウェルが巨大化した。こうなっては九大天王といえど巻き添えを
食らう危険性が高い。
 そこで作戦を変更し、捕獲したルイズを運ぶことにしたのだ。バシュタール現象の解明は現在ガリアでは国の重要機密となってい
る。クロムウェルを失っても余りあるものがある。
「ぅ、う~ん……」
 馬のゆれで、気絶していたらしいルイズが蘇生した。
「こ、ここは……?なに!?なに、ここ!?なんでわたし縛られてるの!?」
「おう、気がついたか。」
 山賊のような男がにやりと嗤いかける。
「残念だが、虚無の魔法使いだというお前に興味を持つ人間がいっぱいいてな。お前をさらって来いって命令があったンだ」
 虚無の魔法、と聞いてルイズが青ざめる。
「な、なんのことかしら?まったく身に覚えが、な、ないわね!」
 精一杯虚勢を張るルイズ。張飛はひゅーと口笛を吹いて、
「違ってるかどうかは、これから実験をして確かめるから、お前が心配することじゃねーぜ。」
 ガッハッハッと大声で笑う張飛。
 虚無のことは極秘にする、というアンリエッタとの誓いを、ルイズは思い出していた。
『ご、極秘にしてたのに悪人にさらわれてるって意味なくない!?それとも、姫様みたいに勘が鋭いやつが気づいたの!?』
 大きなことがあれば、その原因を隠し通すことは難しい。
 アンリエッタの世間知らずさが招いた凶事であった。
 ルイズはガタガタと震えだす。馬はどんどん南に下り、ラ・ロシェールへ近づいていく。おそらくアルビオンへ向かっているのだろう。
バビル2世たちは、今、クロムウェルとの戦いの最中のはずだ。王女はそれこそ、誘拐されている。孔明…は来ない気がする。
 つまり今は誰も助けに来るものはいない。まな板の上の鯉も同然だ。
 ルイズは身をすくめ、胸に手を当てて祈る。
『助けて、神様。ブリミル様。父さま。母さま。エレオノール姉さま!ちいねえちゃん!』
 もはやすがるものは神や、家族しかいない。必死に祈るルイズ。しかし当然だがこの惨状を知る家族はいないだろう。無意味な祈り
と知りつつ、ルイズはすがるように祈った。

「なにをぶつぶついってやがる。」
 張飛が後ろを振り向いた。その瞬間、ガクッと馬が前足から崩れ落ちた。
「なっ!」
 突然のことに反応が遅れ、張飛の身体が中に投げ出された。ルイズは抗うこともできず、宙に飛んだ。
 そのルイズへと飛ぶ影が一つ。
 先端に爪のついた道具だ。長い縄で繋がっていて、それが丘の上へと続いている。
 爪がルイズの服に引っかかった。縄が引かれ、丘へと飛んでいく。
「な、な、な、なに?なに?」
 何が起こったかパニック状態のルイズを抱きかかえる大きな身体。ルイズの目に飛び込んだのは、左手甲に輝くルーン。
「び、ビッグ・ファイア!?」
 驚きルイズが顔を上げる。いったいどうやってここまで来たのだ。
 だが、そこにいたのはバビル2世ではなかった。ぶっちょうヅラをした、隻眼で長髪の男だ。
 長い棍棒を右腕に握り、腰には
「おい、いつの間にフライを使えるようになったんだ?/おでれーたな!/」
 陽気にしゃべる、インテリジェンスソードの姿が。
「あ、あれ?デルフ??」
「てめえ、何者だ!」
 着地し、矛を構えた張飛が叫んだ。
「あの速度で走る馬の額と、前足の両膝を同時に打ち抜くとは、てめぇ、何者だ!?」
「相棒は無口だから、おれが代わりにおしえてやらー!/」
 デルフが意気揚々と言う。
「土鬼!土の鬼、土鬼だ/おでれーたか!」
 カーン、と棍棒が足元の石を突いた音がした。

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