あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ときめきメモリアル0-9

最近はギーシュと一緒にいることが多い。彼女の部屋に訪れて、他愛もない会話を重ねることがなんだか楽しくて仕方なかっのだ。
少女としての視点から語られるギーシュの生活模様は、小気味良いユーモアに溢れていて、いくら聞いても飽きることはなかった。
「そしたら、マルコリヌが言ったのよ。もし、卒業の日に、伝説の木の下で、二人の淑女から告白を受けたらどうしようって……」
彼女は身振り手振りをしながら、熱っぽく語った。たぶん、アルコールが効いているのだと思う。
床には空の瓶が三本転がっている。さっきまで、ワインが詰まっていたのだけど、ぼくとギーシュで全て飲み干した。
「だから、言ってやったの。鏡の前に立ってごらん、そんな悩みはすぐに解決するさ、ってね」
ギーシュがころころと笑った。
「あー、可笑しい。その後、マルコリヌとは取っ組みあいの喧嘩になっちゃったけどね」
ぼくもお腹を抱えて笑った。
「マルコリヌの怒る姿が目に浮かぶよ。ギーシュ、きみにはセンスがあるね」
「センス?なんの?」
「会話のさ。相手を退屈させないのって結構難しいもんだよ」
ぼくはちらっと時計を見た。
「さて、ぼくはもう行くよ。風呂に入らなくちゃ」
「お風呂?浴室、もう閉まってるでしょ」
「それは貴族のだろ。ぼくは元々入れないんだ」
「平民用の浴室だって、いいかげん閉まってるでしょ。こんな時間じゃ」
「ヴェストリの広場に大釜を設置してるんだ、ぼく専用のお風呂だよ」
ギーシュはしばし考え込むそぶりをみせた後、口を開いた
「じゃ、また明日ね」
ギーシュの目がとろんとしている。何かを企んでいる様にも見えたが、ぼくは気にしないことにした。

湯が沸いたので、服を脱ぎ捨て、ぼくは蓋を踏みながら大釜につかった。
「あー、いい湯だな」
タオルを頭にのせ、鼻歌を歌う。
「いい気分みたいね」
「え?」
振り返ると、月に照らされて人影があらわれた。
「ギーシュ?何しに来たの?」
ギーシュが、らしくない妖艶な微笑みをその顔に浮かべたので、嫌な予感がした。
「もちろん、お風呂に入りに。服脱ぐからこっち見ないでね」
予期せぬ事態に、身を固まらせたぼくはただギーシュを見つめ続けた。
ネグリジェのボタンが外されていく。
ぼくは慌てて頭まで湯につかった。
頭の中で非常事態宣言が発令される。
都合の良い三択など思い浮かばず、ぼくがあたふたしているうちに、ギーシュの肢体が風呂の中に飛び込んできた。
ぼくは頭を湯面からだすと、顔を反らした。
「なに、恥ずかしがってんのよ。こっちまで恥ずかしくなってくるじゃない。大丈夫、お湯の中は暗くて見えないから」
おそるおそるぼくが顔を戻すと、ギーシュはちょこんと体育座りでお湯に使っていた。
ギーシュの言葉通り、確かに水面下の肢体はみえない。なんとなくほっとした。
暗がりの中、ブロンドの髪が濡れ、艶やかに光っている。こうやって間近でみると、ギーシュがとても可愛いらしことに気付く。今まで、あまり気に留めなかったけど、ルイズやアンリエッタとは違う、秋に舞い散る紅葉のようなはかなさを含む魅力を持っていた。
シトリンの様な瞳が月夜に照らされ輝いていた。
そんな彼女が右手に持っていた小鬢を開け、中身をお湯にどぼどほど零した。途端に春の花の香りが広がった。
「ギーシュ、なにそれ?」
ぼくは無邪気に聞いた。
「ニーシュ」
「え?」
「私の本当の名前、ニーシュって言うの。二人きりの時はそう呼んで」
ギーシュ、もといニーシュが微笑む。
「わかったよ、ニーシュ。で、それはなに?」

「とっておきのコロン」

ぺろりと舌を出したニーシュはとても可愛くて、ぼくは抱き着きたい衝動にかられた。
「なんてね、モンモランシーから貰ったものよ」
「ああ、なるほど」
モンモランシーの二つ名は香水だ。たぶん、こういったものを調合することが得意なんだろう。
ぼくとニーシュはトリステインの星空を眺め続け、ぼくは例えようのない居心地の良さを感じていた。

翌朝。
ルイズと共に教室に向かっていると、ばったりとギーシュに出会った。
ギーシュはぼくの姿を認めるとみるみる顔を赤らめていく。
「その、なんだ、昨日はすまなかった。少し飲み過ぎたようだ。じゃ、また、教室で」
ギーシュは逃げるように教室へ向かった。
ルイズがほうけた様子でぼくに尋ねる。
「なにかあったの?」
ぼくはわざとらしく首を傾げた。
「いや、なにも……」

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