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「ラスボスだった使い魔-47a」(2011/05/22 (日) 22:33:39) の最新版変更点
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#navi(ラスボスだった使い魔)
メンヌヴィル率いる傭兵部隊の襲撃から三日後。
ユーゼスとエレオノールは、研究室の中で議論をしていた。
先の事件の影響で授業は全面的に取りやめとなり、生徒および教師は各自部屋にて待機ということになっているのだが、この二人は時間を無為に過ごすことを嫌ったため、だったら研究に当てようということになったのである。
なお、どのような議論をしているかと言うと。
「だ・か・ら! どうしてあなたはこう、とんでもない魔法の使い方を考えるのよ!?」
「そうか?」
「そうよ! 『人間の身体を干からびさせるポーション』なんて、異端とかどうとかいう以前に、人道的にどうかってレベルの発想じゃないの!!」
「……………」
今回、ユーゼスが提案した魔法の理論はこうだ。
『人間の身体は、多少の個体差はあれど約60%が水分で出来ている。
また、その内の20%、つまり体重の12%の水分が失われれば死んでしまう。
ならば、“発汗や唾液などの過剰分泌を促進させることによって体重の15%(余裕を持たせた数字とした)を失わせるポーション”を作成すれば、確実な殺傷手段となり得るのではないだろうか』
ユーゼスとしてはなかなか良い発想だと思っていたのだが、どうやらエレオノールはお気に召さなかったらしい。
どのくらいお気に召さなかったのかと言うと、ユーゼスが書いたレポートを読むのを途中でやめて、そのレポートで頭を叩かれるくらいだった。
……ある意味では予測済みの反応でも、実際にこうやられると少しだけ落ち込む。
「技術の発展のためには、ある程度は人の道から外れることも必要だぞ?」
「そんなことまでして発展させたくないわよ、もう!」
ちなみに、ユーゼスがこのような発想のレポートをエレオノールに読ませるのはこれが初めてではない。
これまでのやり取りにおいて、ハルケギニアの住人には刺激の強すぎる内容を何度もぶつけていた。
例えば。
『人体の主な構成元素は炭素、水素、酸素、窒素であるが、ハルケギニアの人間にはこれらの元素を“存在する物”として認識することは難しい。
ならば人体に含まれている成分の中でも、ハルケギニアの人間が“存在する物”として認識している鉄や硫黄、銅などの元素ならば“錬金”で操作することは理論上可能なはずである。
これらの体内元素を操作した場合、被験者には貧血や代謝機能の異常などの症状が見られるはずであるが、よければ土メイジであるそちらに協力して欲しい。
なお、被験者には私を使ってくれて構わない』
このような内容のレポートをアカデミー宛てに送ったら、添削されて返って来たものには『この馬鹿』と幾分か荒々しい筆跡の文字が書かれていた。
人体に『錬金』をかけることは可能かどうかの、有意義な実験のはずなのだが。
(倫理観の枷は、そう簡単に抜け出せるものでもないか)
まあ、自分のように枷から抜け出して突き進んだ結果、一周して落ち着いたというような例もあるのだが、これは稀だろう。
それに倫理観から抜け出すことが良い結果を生むかと言うと、必ずしもそうではない。
科学者や研究者からそのような束縛を取り払ったら、大抵の場合ロクな結果にならないということは嫌と言うほど知っている。
何せ、他でもないユーゼス自身がそうだったのだ。
……とは言え、その倫理観によって自分の試みが却下されてしまったことも事実。
どうしてもやりたいという訳でもなかったので別に構わなくはあるが、目下のところの研究テーマが失われてしまったことになる。
(ふむ)
ここは立腹中のエレオノールをなだめる意味でも、新たな研究テーマを提案するべきだろう。
だが、研究したいことがそんなにポンポンと出て来るわけでもない。
ユーゼスが何かないものかと首をひねっていると、しびれを切らしたエレオノールが命令口調で喋り始めた。
「まったく……そんな愚にもつかないようなことばっかり考えてないで、もう少しためになることを考えなさい!」
「これも十分ためになることだと思うが」
「もっと他に色々あるでしょう。えーと……例えば『虚無』に関して、とか」
「それに関しては、御主人様の協力が得られないのだから仕方があるまい」
「む……」
ルイズはメンヌヴィル襲撃の際に受けた精神的ダメージが大きかったのか、あれから三日ほど経つというのに部屋に閉じこもりっぱなしだった。
二日目あたりでさすがに心配になったエレオノールやユーゼスが部屋に入ろうとしたのだが、『今は放っておいて』だとか『一人にして』などと言われて追い返される始末。
むしろ自分たちが話しかけるほど、意固地になって部屋から出て来なくなっているような気さえする。
「……かなり酷い沈みようよね……」
「多感な時期だからな。先の事件であのメンヌヴィルという男から受けた仕打ちに、色々と思うことがあるのだろう。……あのミス・ツェルプストーですら塞ぎ込んでいるくらいだ」
「ツェルプストーの小娘はともかくとして。……でも、そんなにトラウマになるような程のことだった? 確かに酷い仕打ちだったとは思うけれど、似たようなことはワルド子爵にもやられてたらしいじゃない?」
「……そう言えば以前、ワルドに魔法で吹き飛ばされていたな」
「それにルイズだって、あの頃から少しは精神的に成長してるはずだし……。
私が言うのもなんだけど、今まで苦手にしてた私に食ってかかってきたって言うのに、今更ちょっと痛めつけられたくらいで塞ぎ込むかしら?」
ううん、とエレオノールは眉間にシワを寄せ、親指でこめかみをグリグリこね回す。
悩みごとや考えごとがあるときの彼女の癖である。
「……………」
何にせよ『虚無』の担い手であるルイズがあれでは、その研究など出来るはずもない。
そうなるともう、めぼしい研究対象は無くなってしまうのだった。
「ん~……、……いちいち妹の悩みごとについてアレコレ考えたり口を挟むのもどうかとは思うけど……」
「ならば放っておけばいいだろう。他に考えることもある」
「『他に』って、だったらあなたは何を考えてたのよ?」
「私の研究対象を何にするか、だ。御主人様の協力が得られない状況では『虚無』の研究は出来ないだろう?」
「はあ……。まったく、あなたって自分が興味を持てないことは、とことん興味ないのね」
「『悩みごと』や『精神状態』などという、どうとでも回答や解釈が可能で、曖昧な案件に対して食指が動かんだけだ」
「……そういうのを『興味がない』って言うのよ、普通は」
エレオノールはユーゼスの素っ気ない態度に呆れたような素振りを見せながらも、ひとまずはルイズのことを保留し、彼に合わせて元の話題に戻る。
「研究対象ねえ……。やっぱり不明な点も多い『虚無』に関することを優先するべきなんでしょうけど……」
再び指でこめかみをグリグリするエレオノール。
そんな彼女を眺めつつ、ユーゼスはあることを考えていた。
(……興味のあるなしで言えば、今のところ最も興味があるのはお前なのだがな)
実際に口にすればあらぬ誤解を生んでしまいそうなので言いはしないが、割と本心である。
ユーゼス・ゴッツォはここ最近、と言うか先の襲撃事件以降、やたらとエレオノールを意識することが増えてきているのだ。
しかもその意識というのが、今までのように『何となく気になる』とかではなく。
…………端的に表現すると、『メチャクチャにしたくなってくる』のである。
何だか衝動的にエレオノールの身体を組み伏したくなったり。
あるいは突発的にエレオノールが魅力的に見えてきたり。
単純な情欲ではなく、一種の独占欲や征服欲、支配欲とでも言おうか。
とにかく、そんな感じである。
おかげで脳内にあるクロスゲート・パラダイム・システムは高頻度で起動することになってしまい、ユーゼスのそんな衝動をリセットし続けている。
なおクロスゲート・パラダイム・システム、別名『限定因果律操作装置』は本来、そのような使い方をするものでは断じてない。
「……………」
ともあれユーゼスとしては、不可解かつ新鮮な感覚であった。
何せこの男、今まで女性に対してそのような欲求を感じたことがない。
強いて言うならカトレアに対してのそれが近いかも知れないが、エレオノールと一緒にいると気分が高揚するのに対して、カトレアと一緒にいた場合は気分が落ち着くような感覚を覚える。
(この姉妹……特にエレオノールには私を引き付ける因子のようなものがあるのだろうか……。しかし御主人様に対してはそのような感覚は全く覚えなかったのだし……。……ふむ)
ルイズが聞いたら首を絞められても文句が言えないだろうことを、神妙な顔で考えるユーゼス。
―――どんな感覚を覚えようとも、やはり根本的なところで変わってはいないのだった。
そんな感じにユーゼスが自分の感情を持て余しつつ分析などをしていると、
「そうだ、ガンダールヴのことはどうかしら。あれだって一応『虚無』の産物でしょう? それにさっきの話じゃないけど、精神状態にもかなり左右されるらしいじゃない?」
「む?」
律儀に自分の研究対象について考えてくれていたエレオノールの言葉によって、現実に引き戻される。
なのでユーゼスも気を取り直し、自分の左手の甲を見ながら思考を軌道修正した。
「……確かにガンダールヴのルーンは持ち主の精神状態や感情に応じて出力を上下させるが、私の精神は割と平坦な場合が多い。よって出力値がどうしても低くなるのだ」
「だったら感情を出すようにすればいいじゃない」
「無茶を言うな。いきなり性格や人格を変えられるわけがあるまい」
「うーん……。だったら精神修行をしてみるとか」
「それは私も考えたし調べもしたが、行為の意味がよく分からない上に抽象的でな。効果のほども不明なので却下した」
「どういう行為をするの?」
「『滝に打たれる』、『ひたすら山の中を歩く』、『断食をする』、あとは『錆びた刀で木を斬る』などだ」
「…………まあ、それは確かにあなた向きじゃないわね」
「そうだろう」
『意志の強さ』という意味での精神力ならば、ユーゼス・ゴッツォは常人以下のそれしか持ち合わせていない。
元々からしてあくまでもバード星人の一科学者に過ぎず、また若い頃に精神崩壊状態になりかけたこともあるため、精神構造が頑強だとはお世辞にも言えなかった。
また、ウルトラマンの神に等しい力を手に入れようとした理由の一つは『何者にも侵害されない確固たる自我を確立すること』であるし、そもそも精神が強かったのなら素顔を隠す仮面など被ったりはしない。
ちなみに今は色々と吹っ切れているので素顔のままである。
「ところでカタナって何よ?」
「剣のようなものだと思えばいい」
エレオノールの質問に答えつつ、ユーゼスはこの問題について考える。
精神を鍛えるのは先の理由で駄目。
性格改善というのも現実的ではない。
いっそのこと向精神薬のようなものでも使ってみるかと思ったが、あまり健全とは言えまい。
と言うか、このあたりは以前にも考えている。
「……………」
面倒だからもう放っておくか、などと考え始めるユーゼス。
その時、エレオノールがポツリポツリと自分の考えを呟いた。
「メイジが使う魔法も、感情によって魔力が上がったりするけど……。それもあんまり参考にはならないでしょうしね。他に似たようなものはないかしら?」
「む?」
他に似たようなもの。
……そう言えば、その方面からのアプローチはしていなかったか。
意志の強さや感情が関連するシステムやエネルギーなどだったら、自分もいくつか心当たりがあった。
そういうものから、何かガンダールヴのルーンに利用したり応用したり出来るものがあるかも知れない。
真っ先に思いつくのは、やはりシャイニングガンダムなどに搭載されていた感情フィードバックシステムだ。しかしアレは使いこなすためにそれこそ精神修行をしなければならず、ハッキリ言って使い勝手が悪い。
ゼロシステムは強靭な精神力を持つ人間でなければ廃人になってしまうため、使い勝手が悪いという以前に危険だ。
念動力感知増幅装置―――通称T-LINKシステム、およびウラヌスシステム。念動力を持っていなければ意味がない。
良心回路と自省回路。……人造人間の心というものに興味がなくはないが、今は関係がない。
DG細胞も制御に人間の精神を必要とするが……自分はウルトラマンの力やクロスゲート・パラダイム・システムを使って制御しているので、今更どうこうする必要もあるまい。
(なかなか『これだ』というものがないな)
ユーゼスは目を閉じ、脳内のクロスゲート・パラダイム・システムを起動させて『感情』、『意思』、『精神力』などに引っ掛かる存在の検索を始めた。
研究者の性なのか、知的好奇心に一度火がつくと止められなくなってしまうのだ。
そしてユーゼスは検索結果を一つ一つ検証していく。
カルケリア・パルス・ティルゲム。要するにゼ・バルマリィ帝国製のT-LINKシステムなので、念動力がない自分には関係がない。
覇気と修羅神の神化。……ゴッドガンダムやマスターガンダムが金色に輝いたときのようなものだろうか? 何にせよ、自分が扱える類のものではなさそうだ。
バイオセンサー、サイコフレーム、その他サイコミュ。ニュータイプ能力がないと使えない。
エンジェル・ハイロウ。超強力な念波をぶつけて人間を幼児あたりまで退行させることが出来るそうだが、起動に万単位のサイキッカーを必要とするので効率的ではない。
ターンX。……『サイコミュ的な精神波の流れ』とは一体何なのだろう。
SEED因子。感情や精神力といったものに関係があるのかないのか不明な点が多過ぎる。これが存在する世界においてすらよく分かっていない。
ゲッター線。最大限に使えば宇宙を支配することも可能らしいが、本当の意味で使いこなすためにはゲッター線自体に選ばれなければならない。
ムートロン。力を引き出せるのは古代ムー帝国とやらの血を引く者のみだそうである。
オーラ力。肥大化しすぎると、暴走して自滅してしまう。これも扱いが難しい。
エヴァンゲリオンおよびATフィールド。制御が非常に面倒な上に、シンクロし過ぎると人間のカタチが維持出来なくなってしまう。
ラーゼフォン、ドーレム。エヴァンゲリオンと同じく、パイロットのメンタル面が影響を与え過ぎる。せめて一定の安定性は保証して欲しい。
ダンクーガ。合体するだけでも多大な精神エネルギーが必要になるため、効率的ではない。
ビムラー。機械に心を与えることが出来るらしいが、人間の精神と直接的な関連性はないようだ。
ブレンパワードやグランチャーの持つオーガニック・エナジー。これもパイロット……と言うか、呼びかける人間の感性に左右され過ぎる。
データウェポン。心に特定の要素を持つ場合、それに引き付けられるらしい。……都合よく自分がその特定の要素を持っているとは限るまい。
スピリチア。要するに『生きる気力』だが、これをエネルギーとして転用が出来るのはプロトデビルンという存在だけ。
歌エネルギー。アニマスピリチアと呼ばれる特殊なスピリチアの持ち主でなければ、あまり効果は期待出来ない。
ラムダ・ドライバ。使い勝手は良いようだが、どうもこれは人型機動兵器を介さなければ使えないようだ。……自分はハルケギニアにそんなものを持ち込むつもりはない。
オーバーマン。多様なオーバースキルは興味深いが、それを発揮するために必要なオーバーセンスの資質が個々人によって差があり過ぎるのと、資質があり過ぎてもオーバーマンの影響を受け過ぎてしまう。
ボソンジャンプ。イメージが明確であればあるほど転移の精度が上がるとのことだが、それは感情や精神力うんぬんとはそれほど関係がない。
ニルヴァーシュ、およびトラパー。扱いがかなりデリケートな上に、絶望病やらスカブコーラルに取り込まれるやらのリスクがある。
アクエリオン。パイロットが3人揃わないと意味がなく、しかもその3人の息や精神がピッタリ合致しないと能力を十全に発揮することが出来ない。
テックシステム。……使用者の精神的なエゴが肥大化されるという副作用があるが、システムそのものの制御は精神力でどうにかなる問題ではない。
フェストゥム。相手の思考を読むことが出来てそれを戦闘に反映させることが出来るという。しかし精神力の強化や感情の操作にはあまり関係あるまい。
ムラサメライガーのエヴォルト。これは操縦者の意思に応じて機体性能を変化させるという機能のようだが、操縦者の精神力などは関係があるのだろうか? 詳細が不明。
オリジナルセブンのヨロイインターフェイスシステム。精神を集中させれば機能が向上するらしいが、言うほど単純なものでもないようである。
ライジンオー、ガンバルガー、ゴウザウラー、ダイテイオー。これらは子供しか扱えない。
Gストーン、Jジュエル、ゾンダーメタル、ジェネシックオーラ。使用者の精神力次第では無限に近いエネルギーを引き出せるが、その必要とされる精神力のハードルが高過ぎる。
ラウドGストーン。これは逆に精神の要素が排除され過ぎている。
パレッス粒子。精神を極めてリラックスさせる効果があり、ある意味これらのエネルギーの天敵のようなものである。
イデ。扱いが極めて難しく、何よりエネルギー量が膨大過ぎて制御不能。
「……………」
他には、剣狼と流星。インサニアウイルスによるラビッドシンドローム。ガイキングの心の炎。守護騎士に搭載されている熱血メーターと血圧メーター。リューと精霊石。アイアンリーガー。獣神ライガー。エスカフローネ―――と、このくらいか。
何だか最後あたりに変なモノが混ざっていたような気がするが、これで羅列はおおむね終わった。
そしてユーゼスがこれらから導き出した結論は、
(…………。よく分からん)
どいつもこいつも参考になるような、ならないような、しかも扱いが一筋縄ではいかないものばかりである。
もっと安全かつ確実に扱えて、手軽にエネルギーが引き出せるようなものはないのだろうか。
―――いや、あるいはそれこそがガンダールヴのルーンなのかも知れない。
こうして様々なものと比べてみると、精神や視界への干渉などのいくつかの点に目をつぶりさえすれば、むしろ使い勝手が良いような気がしてきた。
人体や精神に対して明確に有害という程ではない。
強力過ぎて扱いに困るということもない。
発動条件・制御方法が分からないというわけでもない。
使い方を間違えれば自分の身や世界などが破滅するわけでもない。
このルーン自体が意思をもっているわけでもない。
特殊な資質を持つ、ごく限られた人間にしか使えないわけでもない。……もっとも、このルーンは一つしか存在しないようだから実質自分にしか使えないのだろうが、とにかくルーンを刻み付けてしまえば誰にでも使える。
使うのに訓練や習熟を要することもない。
おまけに『あらゆる武器の使用方法が分かる』というオマケつき。
精神への影響も、刻まれる過程で無力化させた自分には関係がない。
視界の占拠については『使い魔』という立場上、仕方がないとしよう。
……強いて言うなら効果が『身体強化』のみで莫大なエネルギーを得られるわけではないというのが不満だが、今の自分はそこまで強力な力など必要としていないし、その気になればウルトラマン7~8人分ほどのエネルギーを使えるのだ。
それに身体強化の影響で、自分を生体ユニットとしている超神ゼストもパワーアップしている(余程のことがない限り変身する気はないが)。
まさにいいこと尽くめではないか。
「そういうことならこのルーンは良しとするべきだな」
「……何を一人で納得してるのよ?」
#navi(ラスボスだった使い魔)
#navi(ラスボスだった使い魔)
メンヌヴィル率いる傭兵部隊の襲撃から三日後。
ユーゼスとエレオノールは、研究室の中で議論をしていた。
先の事件の影響で授業は全面的に取りやめとなり、生徒および教師は各自部屋にて待機ということになっているのだが、この二人は時間を無為に過ごすことを嫌ったため、だったら研究に当てようということになったのである。
なお、どのような議論をしているかと言うと。
「だ・か・ら! どうしてあなたはこう、とんでもない魔法の使い方を考えるのよ!?」
「そうか?」
「そうよ! 『人間の身体を干からびさせるポーション』なんて、異端とかどうとかいう以前に、人道的にどうかってレベルの発想じゃないの!!」
「……………」
今回、ユーゼスが提案した魔法の理論はこうだ。
『人間の身体は、多少の個体差はあれど約60%が水分で出来ている。
また、その内の20%、つまり体重の12%の水分が失われれば死んでしまう。
ならば、“発汗や唾液などの過剰分泌を促進させることによって体重の15%(余裕を持たせた数字とした)を失わせるポーション”を作成すれば、確実な殺傷手段となり得るのではないだろうか』
ユーゼスとしてはなかなか良い発想だと思っていたのだが、どうやらエレオノールはお気に召さなかったらしい。
どのくらいお気に召さなかったのかと言うと、ユーゼスが書いたレポートを読むのを途中でやめて、そのレポートで頭を叩かれるくらいだった。
……ある意味では予測済みの反応でも、実際にこうやられると少しだけ落ち込む。
「技術の発展のためには、ある程度は人の道から外れることも必要だぞ?」
「そんなことまでして発展させたくないわよ、もう!」
ちなみに、ユーゼスがこのような発想のレポートをエレオノールに読ませるのはこれが初めてではない。
これまでのやり取りにおいて、ハルケギニアの住人には刺激の強すぎる内容を何度もぶつけていた。
例えば。
『人体の主な構成元素は炭素、水素、酸素、窒素であるが、ハルケギニアの人間にはこれらの元素を“存在する物”として認識することは難しい。
ならば人体に含まれている成分の中でも、ハルケギニアの人間が“存在する物”として認識している鉄や硫黄、銅などの元素ならば“錬金”で操作することは理論上可能なはずである。
これらの体内元素を操作した場合、被験者には貧血や代謝機能の異常などの症状が見られるはずであるが、よければ土メイジであるそちらに協力して欲しい。
なお、被験者には私を使ってくれて構わない』
このような内容のレポートをアカデミー宛てに送ったら、添削されて返って来たものには『この馬鹿』と幾分か荒々しい筆跡の文字が書かれていた。
人体に『錬金』をかけることは可能かどうかの、有意義な実験のはずなのだが。
(倫理観の枷は、そう簡単に抜け出せるものでもないか)
まあ、自分のように枷から抜け出して突き進んだ結果、一周して落ち着いたというような例もあるのだが、これは稀だろう。
それに倫理観から抜け出すことが良い結果を生むかと言うと、必ずしもそうではない。
科学者や研究者からそのような束縛を取り払ったら、大抵の場合ロクな結果にならないということは嫌と言うほど知っている。
何せ、他でもないユーゼス自身がそうだったのだ。
……とは言え、その倫理観によって自分の試みが却下されてしまったことも事実。
どうしてもやりたいという訳でもなかったので別に構わなくはあるが、目下のところの研究テーマが失われてしまったことになる。
(ふむ)
ここは立腹中のエレオノールをなだめる意味でも、新たな研究テーマを提案するべきだろう。
だが、研究したいことがそんなにポンポンと出て来るわけでもない。
ユーゼスが何かないものかと首をひねっていると、しびれを切らしたエレオノールが命令口調で喋り始めた。
「まったく……そんな愚にもつかないようなことばっかり考えてないで、もう少しためになることを考えなさい!」
「これも十分ためになることだと思うが」
「もっと他に色々あるでしょう。えーと……例えば『虚無』に関して、とか」
「それに関しては、御主人様の協力が得られないのだから仕方があるまい」
「む……」
ルイズはメンヌヴィル襲撃の際に受けた精神的ダメージが大きかったのか、あれから三日ほど経つというのに部屋に閉じこもりっぱなしだった。
二日目あたりでさすがに心配になったエレオノールやユーゼスが部屋に入ろうとしたのだが、『今は放っておいて』だとか『一人にして』などと言われて追い返される始末。
むしろ自分たちが話しかけるほど、意固地になって部屋から出て来なくなっているような気さえする。
「……かなり酷い沈みようよね……」
「多感な時期だからな。先の事件であのメンヌヴィルという男から受けた仕打ちに、色々と思うことがあるのだろう。……あのミス・ツェルプストーですら塞ぎ込んでいるくらいだ」
「ツェルプストーの小娘はともかくとして。……でも、そんなにトラウマになるような程のことだった? 確かに酷い仕打ちだったとは思うけれど、似たようなことはワルド子爵にもやられてたらしいじゃない?」
「……そう言えば以前、ワルドに魔法で吹き飛ばされていたな」
「それにルイズだって、あの頃から少しは精神的に成長してるはずだし……。
私が言うのもなんだけど、今まで苦手にしてた私に食ってかかってきたって言うのに、今更ちょっと痛めつけられたくらいで塞ぎ込むかしら?」
ううん、とエレオノールは眉間にシワを寄せ、人差し指でこめかみをグリグリこね回す。
悩みごとや考えごとがあるときの彼女の癖である。
「……………」
何にせよ『虚無』の担い手であるルイズがあれでは、その研究など出来るはずもない。
そうなるともう、めぼしい研究対象は無くなってしまうのだった。
「ん~……、……いちいち妹の悩みごとについてアレコレ考えたり口を挟むのもどうかとは思うけど……」
「ならば放っておけばいいだろう。他に考えることもある」
「『他に』って、だったらあなたは何を考えてたのよ?」
「私の研究対象を何にするか、だ。御主人様の協力が得られない状況では『虚無』の研究は出来ないだろう?」
「はあ……。まったく、あなたって自分が興味を持てないことは、とことん興味ないのね」
「『悩みごと』や『精神状態』などという、どうとでも回答や解釈が可能で、曖昧な案件に対して食指が動かんだけだ」
「……そういうのを『興味がない』って言うのよ、普通は」
エレオノールはユーゼスの素っ気ない態度に呆れたような素振りを見せながらも、ひとまずはルイズのことを保留し、彼に合わせて元の話題に戻る。
「研究対象ねえ……。やっぱり不明な点も多い『虚無』に関することを優先するべきなんでしょうけど……」
再び指でこめかみをグリグリするエレオノール。
そんな彼女を眺めつつ、ユーゼスはあることを考えていた。
(……興味のあるなしで言えば、今のところ最も興味があるのはお前なのだがな)
実際に口にすればあらぬ誤解を生んでしまいそうなので言いはしないが、割と本心である。
ユーゼス・ゴッツォはここ最近、と言うか先の襲撃事件以降、やたらとエレオノールを意識することが増えてきているのだ。
しかもその意識というのが、今までのように『何となく気になる』とかではなく。
…………端的に表現すると、『メチャクチャにしたくなってくる』のである。
何だか衝動的にエレオノールの身体を組み伏したくなったり。
あるいは突発的にエレオノールが魅力的に見えてきたり。
単純な情欲ではなく、一種の独占欲や征服欲、支配欲とでも言おうか。
とにかく、そんな感じである。
おかげで脳内にあるクロスゲート・パラダイム・システムは高頻度で起動することになってしまい、ユーゼスのそんな衝動をリセットし続けている。
なおクロスゲート・パラダイム・システム、別名『限定因果律操作装置』は本来、そのような使い方をするものでは断じてない。
「……………」
ともあれユーゼスとしては、不可解かつ新鮮な感覚であった。
何せこの男、今まで女性に対してそのような欲求を感じたことがない。
強いて言うならカトレアに対してのそれが近いかも知れないが、エレオノールと一緒にいると気分が高揚するのに対して、カトレアと一緒にいた場合は気分が落ち着くような感覚を覚える。
(この姉妹……特にエレオノールには私を引き付ける因子のようなものがあるのだろうか……。しかし御主人様に対してはそのような感覚は全く覚えなかったのだし……。……ふむ)
ルイズが聞いたら首を絞められても文句が言えないだろうことを、神妙な顔で考えるユーゼス。
―――どんな感覚を覚えようとも、やはり根本的なところで変わってはいないのだった。
そんな感じにユーゼスが自分の感情を持て余しつつ分析などをしていると、
「そうだ、ガンダールヴのことはどうかしら。あれだって一応『虚無』の産物でしょう? それにさっきの話じゃないけど、精神状態にもかなり左右されるらしいじゃない?」
「む?」
律儀に自分の研究対象について考えてくれていたエレオノールの言葉によって、現実に引き戻される。
なのでユーゼスも気を取り直し、自分の左手の甲を見ながら思考を軌道修正した。
「……確かにガンダールヴのルーンは持ち主の精神状態や感情に応じて出力を上下させるが、私の精神は割と平坦な場合が多い。よって出力値がどうしても低くなるのだ」
「だったら感情を出すようにすればいいじゃない」
「無茶を言うな。いきなり性格や人格を変えられるわけがあるまい」
「うーん……。だったら精神修行をしてみるとか」
「それは私も考えたし調べもしたが、行為の意味がよく分からない上に抽象的でな。効果のほども不明なので却下した」
「どういう行為をするの?」
「『滝に打たれる』、『ひたすら山の中を歩く』、『断食をする』、あとは『錆びた刀で木を斬る』などだ」
「…………まあ、それは確かにあなた向きじゃないわね」
「そうだろう」
『意志の強さ』という意味での精神力ならば、ユーゼス・ゴッツォは常人以下のそれしか持ち合わせていない。
元々からしてあくまでもバード星人の一科学者に過ぎず、また若い頃に精神崩壊状態になりかけたこともあるため、精神構造が頑強だとはお世辞にも言えなかった。
また、ウルトラマンの神に等しい力を手に入れようとした理由の一つは『何者にも侵害されない確固たる自我を確立すること』であるし、そもそも精神が強かったのなら素顔を隠す仮面など被ったりはしない。
ちなみに今は色々と吹っ切れているので素顔のままである。
「ところでカタナって何よ?」
「剣のようなものだと思えばいい」
エレオノールの質問に答えつつ、ユーゼスはこの問題について考える。
精神を鍛えるのは先の理由で駄目。
性格改善というのも現実的ではない。
いっそのこと向精神薬のようなものでも使ってみるかと思ったが、あまり健全とは言えまい。
と言うか、このあたりは以前にも考えている。
「……………」
面倒だからもう放っておくか、などと考え始めるユーゼス。
その時、エレオノールがポツリポツリと自分の考えを呟いた。
「メイジが使う魔法も、感情によって魔力が上がったりするけど……。それもあんまり参考にはならないでしょうしね。他に似たようなものはないかしら?」
「む?」
他に似たようなもの。
……そう言えば、その方面からのアプローチはしていなかったか。
意志の強さや感情が関連するシステムやエネルギーなどだったら、自分もいくつか心当たりがあった。
そういうものから、何かガンダールヴのルーンに利用したり応用したり出来るものがあるかも知れない。
真っ先に思いつくのは、やはりシャイニングガンダムなどに搭載されていた感情フィードバックシステムだ。しかしアレは使いこなすためにそれこそ精神修行をしなければならず、ハッキリ言って使い勝手が悪い。
ゼロシステムは強靭な精神力を持つ人間でなければ廃人になってしまうため、使い勝手が悪いという以前に危険だ。
念動力感知増幅装置―――通称T-LINKシステム、およびウラヌスシステム。念動力を持っていなければ意味がない。
良心回路と自省回路。……人造人間の心というものに興味がなくはないが、今は関係がない。
DG細胞も制御に人間の精神を必要とするが……自分はウルトラマンの力やクロスゲート・パラダイム・システムを使って制御しているので、今更どうこうする必要もあるまい。
(なかなか『これだ』というものがないな)
ユーゼスは目を閉じ、脳内のクロスゲート・パラダイム・システムを起動させて『感情』、『意思』、『精神力』などに引っ掛かる存在の検索を始めた。
研究者の性なのか、知的好奇心に一度火がつくと止められなくなってしまうのだ。
そしてユーゼスは検索結果を一つ一つ検証していく。
カルケリア・パルス・ティルゲム。要するにゼ・バルマリィ帝国製のT-LINKシステムなので、念動力がない自分には関係がない。
覇気と修羅神の神化。……ゴッドガンダムやマスターガンダムが金色に輝いたときのようなものだろうか? 何にせよ、自分が扱える類のものではなさそうだ。
バイオセンサー、サイコフレーム、その他サイコミュ。ニュータイプ能力がないと使えない。
エンジェル・ハイロウ。超強力な念波をぶつけて人間を幼児あたりまで退行させることが出来るそうだが、起動に万単位のサイキッカーを必要とするので効率的ではない。
ターンX。……『サイコミュ的な精神波の流れ』とは一体何なのだろう。
SEED因子。感情や精神力といったものに関係があるのかないのか不明な点が多過ぎる。これが存在する世界においてすらよく分かっていない。
ゲッター線。最大限に使えば宇宙を支配することも可能らしいが、本当の意味で使いこなすためにはゲッター線自体に選ばれなければならない。
ムートロン。力を引き出せるのは古代ムー帝国とやらの血を引く者のみだそうである。
オーラ力。肥大化しすぎると、暴走して自滅してしまう。これも扱いが難しい。
エヴァンゲリオンおよびATフィールド。制御が非常に面倒な上に、シンクロし過ぎると人間のカタチが維持出来なくなってしまう。
ラーゼフォン、ドーレム。エヴァンゲリオンと同じく、パイロットのメンタル面が影響を与え過ぎる。せめて一定の安定性は保証して欲しい。
ダンクーガ。合体するだけでも多大な精神エネルギーが必要になるため、効率的ではない。
ビムラー。機械に心を与えることが出来るらしいが、人間の精神と直接的な関連性はないようだ。
ブレンパワードやグランチャーの持つオーガニック・エナジー。これもパイロット……と言うか、呼びかける人間の感性に左右され過ぎる。
データウェポン。心に特定の要素を持つ場合、それに引き付けられるらしい。……都合よく自分がその特定の要素を持っているとは限るまい。
スピリチア。要するに『生きる気力』だが、これをエネルギーとして転用が出来るのはプロトデビルンという存在だけ。
歌エネルギー。アニマスピリチアと呼ばれる特殊なスピリチアの持ち主でなければ、あまり効果は期待出来ない。
ラムダ・ドライバ。使い勝手は良いようだが、どうもこれは人型機動兵器を介さなければ使えないようだ。……自分はハルケギニアにそんなものを持ち込むつもりはない。
オーバーマン。多様なオーバースキルは興味深いが、それを発揮するために必要なオーバーセンスの資質が個々人によって差があり過ぎるのと、資質があり過ぎてもオーバーマンの影響を受け過ぎてしまう。
ボソンジャンプ。イメージが明確であればあるほど転移の精度が上がるとのことだが、それは感情や精神力うんぬんとはそれほど関係がない。
ニルヴァーシュ、およびトラパー。扱いがかなりデリケートな上に、絶望病やらスカブコーラルに取り込まれるやらのリスクがある。
アクエリオン。パイロットが3人揃わないと意味がなく、しかもその3人の息や精神がピッタリ合致しないと能力を十全に発揮することが出来ない。
テックシステム。……使用者の精神的なエゴが肥大化されるという副作用があるが、システムそのものの制御は精神力でどうにかなる問題ではない。
フェストゥム。相手の思考を読むことが出来てそれを戦闘に反映させることが出来るという。しかし精神力の強化や感情の操作にはあまり関係あるまい。
ムラサメライガーのエヴォルト。これは操縦者の意思に応じて機体性能を変化させるという機能のようだが、操縦者の精神力などは関係があるのだろうか? 詳細が不明。
オリジナルセブンのヨロイインターフェイスシステム。精神を集中させれば機能が向上するらしいが、言うほど単純なものでもないようである。
ライジンオー、ガンバルガー、ゴウザウラー、ダイテイオー。これらは子供しか扱えない。
Gストーン、Jジュエル、ゾンダーメタル、ジェネシックオーラ。使用者の精神力次第では無限に近いエネルギーを引き出せるが、その必要とされる精神力のハードルが高過ぎる。
ラウドGストーン。これは逆に精神の要素が排除され過ぎている。
パレッス粒子。精神を極めてリラックスさせる効果があり、ある意味これらのエネルギーの天敵のようなものである。
イデ。扱いが極めて難しく、何よりエネルギー量が膨大過ぎて制御不能。
「……………」
他には、剣狼と流星。インサニアウイルスによるラビッドシンドローム。ガイキングの心の炎。守護騎士に搭載されている熱血メーターと血圧メーター。リューと精霊石。アイアンリーガー。獣神ライガー。エスカフローネ―――と、このくらいか。
何だか最後あたりに変なモノが混ざっていたような気がするが、これで羅列はおおむね終わった。
そしてユーゼスがこれらから導き出した結論は、
(…………。よく分からん)
どいつもこいつも参考になるような、ならないような、しかも扱いが一筋縄ではいかないものばかりである。
もっと安全かつ確実に扱えて、手軽にエネルギーが引き出せるようなものはないのだろうか。
―――いや、あるいはそれこそがガンダールヴのルーンなのかも知れない。
こうして様々なものと比べてみると、精神や視界への干渉などのいくつかの点に目をつぶりさえすれば、むしろ使い勝手が良いような気がしてきた。
人体や精神に対して明確に有害という程ではない。
強力過ぎて扱いに困るということもない。
発動条件・制御方法が分からないというわけでもない。
使い方を間違えれば自分の身や世界などが破滅するわけでもない。
このルーン自体が意思をもっているわけでもない。
特殊な資質を持つ、ごく限られた人間にしか使えないわけでもない。……もっとも、このルーンは一つしか存在しないようだから実質自分にしか使えないのだろうが、とにかくルーンを刻み付けてしまえば誰にでも使える。
使うのに訓練や習熟を要することもない。
おまけに『あらゆる武器の使用方法が分かる』というオマケつき。
精神への影響も、刻まれる過程で無力化させた自分には関係がない。
視界の占拠については『使い魔』という立場上、仕方がないとしよう。
……強いて言うなら効果が『身体強化』のみで莫大なエネルギーを得られるわけではないというのが不満だが、今の自分はそこまで強力な力など必要としていないし、その気になればウルトラマン7~8人分ほどのエネルギーを使えるのだ。
それに身体強化の影響で、自分を生体ユニットとしている超神ゼストもパワーアップしている(余程のことがない限り変身する気はないが)。
まさにいいこと尽くめではないか。
「そういうことならこのルーンは良しとするべきだな」
「……何を一人で納得してるのよ?」
#navi(ラスボスだった使い魔)
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