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「ギーシュ・ド・グラモンと黒バラ女王-15」(2010/01/29 (金) 23:30:33) の最新版変更点
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#navi(ギーシュ・ド・グラモンと黒バラ女王)
//補足:これまでに描写したルイズの体の変化
//関節が外れて手足、首の筋肉が伸びきる
//首の長さ約10cmUP, 手足の長さ約20cmUP, 身長153サント→約180サント
//黒髪化(足元までの長さ, 前髪はそのまま), 赤瞳化, 青白い灰色の肌
//顔立ちと声は変化無し(女王の台詞はルイズの声で喋ってます)
「ぷっ! あは、あはははは」
女王はギーシュの言葉を聞くと、吹き出すように笑い始めた。
そして、女王はルイズ長く伸びた首をギーシュの前に差し向けた。
「お前は、ほんっとうに馬鹿な子だねぇ……」
舐めるようにギーシュを眺めると、右耳を真下に傾けたルイズの顔が彼の左の耳元に静かに口を寄せる。
垂れ下がる黒い長髪が彼の肩を覆った。
「だぁーーーっ!!!」
「わひぃぃぃ!!」
突如ルイズの口から発せられた轟音に、ギーシュは悲鳴を上げながら右に倒れた。
「お前ごときがこの私に決闘を申し込むだと?」
女王はしゃがみ込むように倒れた彼を睨み付けると、青白い右手を宙に掲げた。
「それ」
ルイズの人差し指の黒い爪が彼の胸の中心を切り裂いた。
指先全体を包むように分厚く伸びた獣のような爪には彼の血と肉、そして僅かに削れた胸骨の破片がこびり付いている。
「ぐああああああああ!!」
真っ赤な縦線を肌蹴たシャツの間に入れられて、ギーシュは胸を抑え、背を丸くしたままその場に蹲った。
「御目出度い子だねぇ、今の私になら勝ち目があるとでも思っていたのかい?」
吐き捨てるように言い放つと、女王はその場から立ち去ろうとした。
しかし、女王が後ろに振り返ると、そこには2メイル程の大きさの青銅のゴーレム・ワルキューレ二体が女王の往く手を遮るように立ち塞がっていた。
「ギーシュ……お前、自分が何をしようとしてるかわかってるのかい?」
女王は、自分の背に向けられたワルキューレの槍に構うことなくギーシュの方に向き直った。
「この体はお前の友達のものじゃなかったのかい?」
半開きの目でギーシュを見下ろすルイズの顔がニヤリと笑った。
「か、彼女は命を懸けて貴族の誇りを守り抜いた……! 僕はそれを汚す君を許せない!」
彼は腰を上げて立ち上がると、造花の杖を女王に向けた。
「だから僕は、彼女と同じ貴族として、君と戦わずにはいられない!」
拙くも力強い彼の言葉に、女王の表情が変わった。
---
「好きにおし。お前との決闘ごっこ、受けてやろう」
「い、いくぞぉぉ!」
女王がそう呟くと否や、ギーシュはルイズの足元の土を錬金で砂に変えて巻き上げた。
女王は目を瞑ると左手で両目を隠し、視界が潰されるのを防いだ。
「む!」
足がバネの様に縮み、ルイズの体が後方に跳ね上がる。
砂煙を吹き払いながら振り下ろされた四本の青銅の剣が互いに衝突した。
「ほ!」
地面に着地したルイズの体は、風に撓る草花の様に揺れていた。
後方から高速で突き出される二本の槍、左右から横薙ぎに迫る二本の青銅のハンマー。
それら全ての攻撃を、女王はルイズの体を植物のようにうねらせて巧みに回避していた。
「ほほほ、全然当たらないねぇ」
四体のワルキューレは可動部が摩擦熱で高温になる程激しい攻撃を女王に与えている。
前方にいた剣を持ったワルキューレ四体が攻撃に加ることで、攻撃の激しさは一層増した。
しかし悠然と身を翻す女王に対して、ワルキューレが繰り出す技の数々は悉く的を外れるばかりだった。
音速を超えて動く物体を見極めるだけの動態視力を持つ女王にとっては、ワルキューレ達の攻撃をかわすことなど容易かったのだ。
「小うるさい蛆蟲共めが。そぅれ!」
ルイズの右手が一体のワルキューレの左手を掴んだ。
すると、ルイズの右腕が筋肉を捻じらせながら凄まじい勢いで時計回りに回転した。
そのワルキューレは左腕を肘関節の部分から取り外され、そのままバランスを崩して転倒した。
「はぁーーっ!」
女王の左側に立っていたワルキューレの足が蹴り払われた。
倒れ込むワルキューレの両腕を女王が捕らえた。
そして女王はルイズの右足を軸にすると、ワルキューレは倒れ落ちる勢いを回転力に変え、他の二体のワルキューレの足元に投げ飛ばされていった。
激突の衝撃で三体のワルキューレが崩れ落ちる。
前倒れになったワルキューレ達が残りの四体のワルキューレの女王の間を隔てた。
「フッ……」
女王はルイズの長い髪を掻き上げ、汗一つ掻いていない冷たい表情で笑った。
人差し指を立てたルイズの右手が天高く突き上げられる。
その瞬間、黒い爪の先から黒い電流が上空に発せられた。
そして瞬く間も無く、女王の周囲に無数の黒い稲妻が降り注いだ。
雷が落とされた範囲は半径500メイル程に亘った。
女王は目の前にいるワルキューレ達だけではなく、先ほどから姿を見せていないギーシュも鉄化させようとしていた。
辺りに静けさが戻ると、女王はルイズの首を捻らせて周囲を見渡した。
ところが、八体の鉄化したワルキューレが目の前に倒れてはいるものの、女王はギーシュの姿を見受けることはできなかった。
「さては逃げたね。まったく、情けない。自分から勝負を挑んできた癖に……ん?」
女王が溜息混じりに愚痴を零していると、鉄化したはずのワルキューレの一体の背中が僅かに揺れた。
女王は不思議そうな顔をしてそのワルキューレを眺めている。
すると突然、そのワルキューレが立ち上がり、女王に向かって飛び掛かった。
「何ぃ!?」
予想外の事態に慌てふためく女王は成す術無く黒い鉄の剣で切り裂かれた。
体を引き伸ばし、筋力を常人以上に引き上げていただけのルイズの身体は、左肩から右脇腹にかけて大きく抉られている。
「い、痛ぁぁああああい!!」
ルイズのディスペルによって一瞬で身体を消し去られたときとは違い、人間の肉体のまま致命傷を受けた女王は耐え難い激痛を感じていた。
「うがあああああああああ!!」
ルイズの体は赤い血の代わりに紫色の炎を傷口から噴出させている。
その時、女王の意識はこの世界から飛びかけようとしていた。
#navi(ギーシュ・ド・グラモンと黒バラ女王)
#navi(ギーシュ・ド・グラモンと黒バラ女王)
||補足:これまでに描写したルイズの体の変化
||関節が外れて手足、首の筋肉が伸びきる
||首の長さ約10cmUP, 手足の長さ約20cmUP, 身長153サント→約180サント
||黒髪化(足元までの長さ, 前髪はそのまま), 赤瞳化, 青白い灰色の肌
||顔立ちと声は変化無し(女王の台詞はルイズの声で喋ってます)
「ぷっ! あは、あはははは」
女王はギーシュの言葉を聞くと、吹き出すように笑い始めた。
そして、女王はルイズ長く伸びた首をギーシュの前に差し向けた。
「お前は、ほんっとうに馬鹿な子だねぇ……」
舐めるようにギーシュを眺めると、右耳を真下に傾けたルイズの顔が彼の左の耳元に静かに口を寄せる。
垂れ下がる黒い長髪が彼の肩を覆った。
「だぁーーーっ!!!」
「わひぃぃぃ!!」
突如ルイズの口から発せられた轟音に、ギーシュは悲鳴を上げながら右に倒れた。
「お前ごときがこの私に決闘を申し込むだと?」
女王はしゃがみ込むように倒れた彼を睨み付けると、青白い右手を宙に掲げた。
「それ」
ルイズの人差し指の黒い爪が彼の胸の中心を切り裂いた。
指先全体を包むように分厚く伸びた獣のような爪には彼の血と肉、そして僅かに削れた胸骨の破片がこびり付いている。
「ぐああああああああ!!」
真っ赤な縦線を肌蹴たシャツの間に入れられて、ギーシュは胸を抑え、背を丸くしたままその場に蹲った。
「御目出度い子だねぇ、今の私になら勝ち目があるとでも思っていたのかい?」
吐き捨てるように言い放つと、女王はその場から立ち去ろうとした。
しかし、女王が後ろに振り返ると、そこには2メイル程の大きさの青銅のゴーレム・ワルキューレ二体が女王の往く手を遮るように立ち塞がっていた。
「ギーシュ……お前、自分が何をしようとしてるかわかってるのかい?」
女王は、自分の背に向けられたワルキューレの槍に構うことなくギーシュの方に向き直った。
「この体はお前の友達のものじゃなかったのかい?」
半開きの目でギーシュを見下ろすルイズの顔がニヤリと笑った。
「か、彼女は命を懸けて貴族の誇りを守り抜いた……! 僕はそれを汚す君を許せない!」
彼は腰を上げて立ち上がると、造花の杖を女王に向けた。
「だから僕は、彼女と同じ貴族として、君と戦わずにはいられない!」
拙くも力強い彼の言葉に、女王の表情が変わった。
---
「好きにおし。お前との決闘ごっこ、受けてやろう」
「い、いくぞぉぉ!」
女王がそう呟くと否や、ギーシュはルイズの足元の土を錬金で砂に変えて巻き上げた。
女王は目を瞑ると左手で両目を隠し、視界が潰されるのを防いだ。
「む!」
足がバネの様に縮み、ルイズの体が後方に跳ね上がる。
砂煙を吹き払いながら振り下ろされた四本の青銅の剣が互いに衝突した。
「ほ!」
地面に着地したルイズの体は、風に撓る草花の様に揺れていた。
後方から高速で突き出される二本の槍、左右から横薙ぎに迫る二本の青銅のハンマー。
それら全ての攻撃を、女王はルイズの体を植物のようにうねらせて巧みに回避していた。
「ほほほ、全然当たらないねぇ」
四体のワルキューレは可動部が摩擦熱で高温になる程激しい攻撃を女王に与えている。
前方にいた剣を持ったワルキューレ四体が攻撃に加ることで、攻撃の激しさは一層増した。
しかし悠然と身を翻す女王に対して、ワルキューレが繰り出す技の数々は悉く的を外れるばかりだった。
音速を超えて動く物体を見極めるだけの動態視力を持つ女王にとっては、ワルキューレ達の攻撃をかわすことなど容易かったのだ。
「小うるさい蛆蟲共めが。そぅれ!」
ルイズの右手が一体のワルキューレの左手を掴んだ。
すると、ルイズの右腕が筋肉を捻じらせながら凄まじい勢いで時計回りに回転した。
そのワルキューレは左腕を肘関節の部分から取り外され、そのままバランスを崩して転倒した。
「はぁーーっ!」
女王の左側に立っていたワルキューレの足が蹴り払われた。
倒れ込むワルキューレの両腕を女王が捕らえた。
そして女王はルイズの右足を軸にすると、ワルキューレは倒れ落ちる勢いを回転力に変え、他の二体のワルキューレの足元に投げ飛ばされていった。
激突の衝撃で三体のワルキューレが崩れ落ちる。
前倒れになったワルキューレ達が残りの四体のワルキューレの女王の間を隔てた。
「フッ……」
女王はルイズの長い髪を掻き上げ、汗一つ掻いていない冷たい表情で笑った。
人差し指を立てたルイズの右手が天高く突き上げられる。
その瞬間、黒い爪の先から黒い電流が上空に発せられた。
そして瞬く間も無く、女王の周囲に無数の黒い稲妻が降り注いだ。
雷が落とされた範囲は半径500メイル程に亘った。
女王は目の前にいるワルキューレ達だけではなく、先ほどから姿を見せていないギーシュも鉄化させようとしていた。
辺りに静けさが戻ると、女王はルイズの首を捻らせて周囲を見渡した。
ところが、八体の鉄化したワルキューレが目の前に倒れてはいるものの、女王はギーシュの姿を見受けることはできなかった。
「さては逃げたね。まったく、情けない。自分から勝負を挑んできた癖に……ん?」
女王が溜息混じりに愚痴を零していると、鉄化したはずのワルキューレの一体の背中が僅かに揺れた。
女王は不思議そうな顔をしてそのワルキューレを眺めている。
すると突然、そのワルキューレが立ち上がり、女王に向かって飛び掛かった。
「何ぃ!?」
予想外の事態に慌てふためく女王は成す術無く黒い鉄の剣で切り裂かれた。
体を引き伸ばし、筋力を常人以上に引き上げていただけのルイズの身体は、左肩から右脇腹にかけて大きく抉られている。
「い、痛ぁぁああああい!!」
ルイズのディスペルによって一瞬で身体を消し去られたときとは違い、人間の肉体のまま致命傷を受けた女王は耐え難い激痛を感じていた。
「うがあああああああああ!!」
ルイズの体は赤い血の代わりに紫色の炎を傷口から噴出させている。
その時、女王の意識はこの世界から飛びかけようとしていた。
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