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「堕天召喚録カイジ 第7話」(2009/04/11 (土) 20:16:21) の最新版変更点
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第七話「決闘」
ざわ…… ざわ……
カイジは美心……いや、シエスタを手伝って貴族たちにケーキを配っていた。せめてものお礼のつもりである……。
テーブルを囲む貴族の子弟たち。それぞれ使い魔を従えている。
(いるっ……フレイムにロビンっ……! みんな来ているっ……!)
カイジが通るたびに使い魔たちは鳴き声をあげた。
メイジたちにはただの鳴き声だが、カイジにとっては一つ一つが心のこもった挨拶であった。
カイジも会釈で応える。本当ならばきちんと挨拶を返したいところだが、あえてカイジは黙っていた。
(なぜかは知らないっ……!
だがっ……俺は使い魔たちの言葉がわかるっ……それは事実っ……!
クク……むざむざ宣伝することもないっ……! 自分のできることをひけらかすのはカードを晒すことっ……!
自重しろっ……! 牙を隠せっ……!)
そんなカイジが一人の貴族にケーキを持っていったときであった。
その生徒は金髪の巻き髪にフリルのついたシャツを着ている。ポケットには薔薇まで挿していた。
(かぁ~っ……! いるいるっ……! こういうのっ……!
気障っ……! 気障なやつっ……! やれやれっ……)
呆れ顔でカイジはケーキを差し出した。
「おっと、ケーキがきたなっ……!」
受け取ろうとした手がカイジの手にぶつかった。はっとするまもなく、ケーキが下に落ちる。
と、その生徒は烈火のごとく怒り出した。
「ちっ……! ぐずな平民がっ……! ケーキが落ちたじゃないかっ……!
ちっ……ゼロのルイズの使い魔じゃないかっ……! 主人が主人ならっ……使い魔も使い魔だっ……!
バカっ……クズっ……ノロマっ……!」
(なにぃっ……!? おいおい、今のはお前がぶつかったんだろっ……!?
何それ……? 俺のせいなの……? 都合の悪いことは全部っ……!?)
唖然とするカイジに、その傲慢な貴族はあざ笑うように落ちたケーキを指差した。
「拾えっ……喰って見せろ平民っ……! 犬のように浅ましくなっ……! ククク……」
貴族という立場を利用し、優越感たっぷりに言い放つ生徒。カイジは黙って皿をひろいあげる……
そしてっ……ケーキを地面に叩き付けたっ……!
明らかな拒否の表明っ……! 反抗っ……!
「き、貴様っ……! 貴族に逆らうのか……!」
「ククク……初めてやったが……
思ったより気持ちがいいな……! 貴族の命令を踏みにじるってのは……!
ましてそれが……鼻持ちのならねえ奴のなら……
さらに格別っ……! 最高だっ……!」
ざわ…… ざわ……
ざわ…… ざわ……
怒りに震える金髪。一体何事かと、次第に他の生徒も集まってきた。
「わが名はギーシュ・ド・グラモン……誇りある貴族だっ……!
平民風情が生意気……! とんだ思い上がりっ……!
決闘っ……決闘ざんすっ……!
ヴェストリの広場で決闘っ……!
ククク……逃がさないざんすよっ……! ククク……」
薔薇を突きつけ宣言するギーシュ。ざわ……ざわ……と取り巻く観衆から声が上がる。
「決闘っ……」
「決闘だっ……!」
「ギーシュとルイズの使い魔が決闘っ……!」
そんな不穏な空気の中で、カイジは不敵に笑みを浮かべた。
「広場……? クク……そんなところに行く必要はねぇっ……!
受けようじゃねぇかっ……! その決闘……! 今ここで……!」
「な、なにぃ~っ……!」
てっきりカイジが謝るとばかり思っていたので、一瞬と惑うギーシュ。
有無を言わせぬうちに、カイジはさっとギーシュの正面に座った。そして、自分の胸元から一組のカードを取り出すっ……!
そう、それはEカードっ……!
「ただしっ……! 決闘を受けるのはこちら……やり方は選ばせてもらうぜ……! ククク……!
平民には平民の牙があるっ……! 座れよ……ギーシュとやらっ……!
このカードで勝負しようじゃねえかっ……! 知恵比べさ……ククク……!」
思いもかけぬ展開に、ギーシュは鼻息を荒くした。魔法でコテンパンにするつもりだったのである。
「ばかなっ……! そんな遊びで決闘になるかっ……! 遊戯っ……! お遊びざんすっ……!」
「なるさっ……賭けるものは……互いの命だっ……! ククク……怖気づいて逃げ出すなら今のうちだぜ……!」
ざわ…… ざわ……
「命を賭けるだと……?」
「おい、どうするんだギーシュ!?」
「ギーシュ、男を見せろ! そんな平民に負けるな!」
戦えっ…… 戦えっ…… 戦えっ……
(くっ……好き放題言いやがってっ……! 俺まで命を賭けるだと……バカなっ……!)
心の中でギーシュは悪態をつく。しかし取り囲む観衆の戦えコールに、ギーシュは不本意ながらも席につかざるをえなかった。
(ククク……かかったっ……!
さて、ここからは俺のフィールド……得意分野っ……!
逃げられないのはお前さっ……! ギーシュ・ド・グラモンっ……!)
今、始まるっ……!
前代未聞の、貴族と平民の決闘っ……! 命を賭けた戦いがっ……!
そして、そんなカイジの姿を、学院長室で『遠見の鏡』を使って眺めるオールド・オスマンっ……!
(ククク……コココ……! 面白いっ……! 命を賭けた決闘だとっ……! ククク……!)
退屈に犯された狂気が、快楽によだれをたらすっ……!
この老人こそ、狂気そのものっ……! 力という名の悪魔っ……! 魔王っ……!
狂気の老人の視線の先で、カイジがニヤリと笑みを浮かべる。
「そうそう……言い忘れたな……!
俺の名はカイジ……! 伊藤カイジだっ……!
さぁて……始めようかっ……!」
第七話「決闘」終わり
#navi(堕天召喚録カイジ)
第七話「決闘」
ざわ…… ざわ……
カイジは美心……いや、シエスタを手伝って貴族たちにケーキを配っていた。せめてものお礼のつもりである……。
テーブルを囲む貴族の子弟たち。それぞれ使い魔を従えている。
(いるっ……フレイムにロビンっ……! みんな来ているっ……!)
カイジが通るたびに使い魔たちは鳴き声をあげた。
メイジたちにはただの鳴き声だが、カイジにとっては一つ一つが心のこもった挨拶であった。
カイジも会釈で応える。本当ならばきちんと挨拶を返したいところだが、あえてカイジは黙っていた。
(なぜかは知らないっ……!
だがっ……俺は使い魔たちの言葉がわかるっ……それは事実っ……!
クク……むざむざ宣伝することもないっ……! 自分のできることをひけらかすのはカードを晒すことっ……!
自重しろっ……! 牙を隠せっ……!)
そんなカイジが一人の貴族にケーキを持っていったときであった。
その生徒は金髪の巻き髪にフリルのついたシャツを着ている。ポケットには薔薇まで挿していた。
(かぁ~っ……! いるいるっ……! こういうのっ……!
気障っ……! 気障なやつっ……! やれやれっ……)
呆れ顔でカイジはケーキを差し出した。
「おっと、ケーキがきたなっ……!」
受け取ろうとした手がカイジの手にぶつかった。はっとするまもなく、ケーキが下に落ちる。
と、その生徒は烈火のごとく怒り出した。
「ちっ……! ぐずな平民がっ……! ケーキが落ちたじゃないかっ……!
ちっ……ゼロのルイズの使い魔じゃないかっ……! 主人が主人ならっ……使い魔も使い魔だっ……!
バカっ……クズっ……ノロマっ……!」
(なにぃっ……!? おいおい、今のはお前がぶつかったんだろっ……!?
何それ……? 俺のせいなの……? 都合の悪いことは全部っ……!?)
唖然とするカイジに、その傲慢な貴族はあざ笑うように落ちたケーキを指差した。
「拾えっ……喰って見せろ平民っ……! 犬のように浅ましくなっ……! ククク……」
貴族という立場を利用し、優越感たっぷりに言い放つ生徒。カイジは黙って皿をひろいあげる……
そしてっ……ケーキを地面に叩き付けたっ……!
明らかな拒否の表明っ……! 反抗っ……!
「き、貴様っ……! 貴族に逆らうのか……!」
「ククク……初めてやったが……
思ったより気持ちがいいな……! 貴族の命令を踏みにじるってのは……!
ましてそれが……鼻持ちのならねえ奴のなら……
さらに格別っ……! 最高だっ……!」
ざわ…… ざわ……
ざわ…… ざわ……
怒りに震える金髪。一体何事かと、次第に他の生徒も集まってきた。
「わが名はギーシュ・ド・グラモン……誇りある貴族だっ……!
平民風情が生意気……! とんだ思い上がりっ……!
決闘っ……決闘ざんすっ……!
ヴェストリの広場で決闘っ……!
ククク……逃がさないざんすよっ……! ククク……」
薔薇を突きつけ宣言するギーシュ。ざわ……ざわ……と取り巻く観衆から声が上がる。
「決闘っ……」
「決闘だっ……!」
「ギーシュとルイズの使い魔が決闘っ……!」
そんな不穏な空気の中で、カイジは不敵に笑みを浮かべた。
「広場……? クク……そんなところに行く必要はねぇっ……!
受けようじゃねぇかっ……! その決闘……! 今ここで……!」
「な、なにぃ~っ……!」
てっきりカイジが謝るとばかり思っていたので、一瞬と惑うギーシュ。
有無を言わせぬうちに、カイジはさっとギーシュの正面に座った。そして、自分の胸元から一組のカードを取り出すっ……!
そう、それはEカードっ……!
「ただしっ……! 決闘を受けるのはこちら……やり方は選ばせてもらうぜ……! ククク……!
平民には平民の牙があるっ……! 座れよ……ギーシュとやらっ……!
このカードで勝負しようじゃねえかっ……! 知恵比べさ……ククク……!」
思いもかけぬ展開に、ギーシュは鼻息を荒くした。魔法でコテンパンにするつもりだったのである。
「ばかなっ……! そんな遊びで決闘になるかっ……! 遊戯っ……! お遊びざんすっ……!」
「なるさっ……賭けるものは……互いの命だっ……! ククク……怖気づいて逃げ出すなら今のうちだぜ……!」
ざわ…… ざわ……
「命を賭けるだと……?」
「おい、どうするんだギーシュ!?」
「ギーシュ、男を見せろ! そんな平民に負けるな!」
戦えっ…… 戦えっ…… 戦えっ……
(くっ……好き放題言いやがってっ……! 俺まで命を賭けるだと……バカなっ……!)
心の中でギーシュは悪態をつく。しかし取り囲む観衆の戦えコールに、ギーシュは不本意ながらも席につかざるをえなかった。
(ククク……かかったっ……!
さて、ここからは俺のフィールド……得意分野っ……!
逃げられないのはお前さっ……! ギーシュ・ド・グラモンっ……!)
今、始まるっ……!
前代未聞の、貴族と平民の決闘っ……! 命を賭けた戦いがっ……!
そして、そんなカイジの姿を、学院長室で『遠見の鏡』を使って眺めるオールド・オスマンっ……!
(ククク……コココ……! 面白いっ……! 命を賭けた決闘だとっ……! ククク……!)
退屈に犯された狂気が、快楽によだれをたらすっ……!
この老人こそ、狂気そのものっ……! 力という名の悪魔っ……! 魔王っ……!
狂気の老人の視線の先で、カイジがニヤリと笑みを浮かべる。
「そうそう……言い忘れたな……!
俺の名はカイジ……! 伊藤カイジだっ……!
さぁて……始めようかっ……!」
第七話「決闘」終わり
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