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「ルイズと博士と時々ダディ -02」(2009/06/01 (月) 21:38:37) の最新版変更点
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#navi(ルイズと博士と時々ダディ)
ここで一つ君に尋ねよう。
人は、己が額に汗した対価を享受し得ないのだろうか?
然り、とゲルマニアの者は言う。それは貧者の許に帰すると。
然り、とロマリアの者は言う。それは神の許に帰すると。
然り、とガリアの者は言う。それは全体の許に帰するのだと。
わしはそうした答えを拒み、代わりに選んだ。
異なる道を、有り得ぬものを・・・
トリステイン魔法学院を。
「独裁者の真似事はやめて下さいオールドオスマン」
眼鏡をかけた秘書らしき女性が、書類の山と共に老人にツッコミを入れる。
「ミス・ロングビル、こんな老い先短い年寄りの一人遊びを邪魔せんでも…」
「駄目です、溜まりに溜まった仕事を今日こそ片付けて頂きます」
お母様、今日もトリステイン魔法学院は平和です。
ゼロの使い魔 ルイズと博士と時々ダディ
Chapter2
ルイズは考え事をしていた。
ダディが自分の使い魔としての欲目を全うできるかを。
数分前テネンバウム博士から聞いた情報と使い魔の役目との関係性を整理していた。
まず一つ視覚の共有。
うっすら見えそうだけど見えない…どっちにせよダディはほぼ常に私の近くにいる、
という事なので別に関係ない。
二つ秘薬などの主人の求めるものを見つけてくる。
自分は魔法が使えないのでこれはあっても無くても別に構わない、
と言うよりむしろいらなかった…
三つ主人の護衛。
ビンゴ
もとより護衛目的として作られているダディなので、
三つ目の役目だけならそこらにいる使い魔の中でも最も活躍できるかもしれない
「ビッグダディ、通称コング。護衛の天才だ。
ガリア国王でもぶん殴って見せるぜ。でも電気ショックだけは勘弁な」
モヒカン軍曹の電波を受信したような気がしたが気にしたら負けだ。
そうこうしているうちにいつの間にか学院に到着しているのに気づいた。
「…ん?ああ、着いたのね」
降ろしてもらい寮に戻ろうとするが忘れていた問題を思い出した。
ルイズにとって重要な問題である。
「忘れてた…この臭いどうしよう?」
分からない事があれば質問しても構わない、
という事なのでとりあえず博士に連絡をとる事にした。
「ミス・テネンバウム、聞こえてる?」
「早速お問い合わせね、何の用かしら」
「ダディの臭いって何とかならないの?さっきからどうしようか考えていたんだけど」
「あの酷くて胸糞の悪くなるような臭いの事ね、そうねえ…まあ、適当に洗剤で洗ってみたらどう?後は炭を周りに置いてみるとか…私はあの大男の事は専門外だから」
「ずいぶん適当ね…ま、試してみるぐらい価値はありそうね、ありがとうミス・テネンバウム」
科学者がそんなに適当でいいのか?
そんな疑問を残しつつ通信を終了し、どう洗おうかを考えてみるルイズ。
(貴族用のお風呂に入れるわけにもいかないし、
かといって平民用には入らないだろうし…うーん困った)
学園についてからも考え事。
この使い魔が現代日本の一般高校生だったら、ここまで考える事など無かっただろう。
「あの…どうかなされましたか?」
立ち止まってあれこれ考えているとあどけない顔をしたメイド服の少女が話しかけてきた。
それと同時にルイズも何か閃いたようだ。
「ちょうどいいわ…ねえ、あなた」
「は、はい!何でしょうか」
「私の使い魔を洗ってくれない?臭いが酷くてたまらないのよ。
洗い終わったら周りに炭を置いといてくれたらいいわ」
ルイズの話を聞いているのだが明らかに使い魔の方ばかりに視線が向いている。
異世界からやってきた使い魔なので無理は無い。
「わ、分かりました。あ、あのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。
今日の夕食を食べに来る時迎えに来るから、じゃ後よろしく」
ルイズは少女の後に地響きを鳴らしてついていくダディを見て、なぜかデジャヴを感じた。
ダディ&メイドの行動
(ラプチャーでは見たことの無い物ばかりだ…)
たとえビッグダディであっても生き物だ。
言葉を発さないだけで思考はちゃんと持っている。もっともルーンのせいで洗脳が解け、
以前までの単純な思考が改善されたと言っても過言で無いだろう。
(ADAMが無くても頭が冴える…なぜなのだろうか?)
「使い魔さん、こっちですよ」
(置いてかれてしまう。ついていかなくちゃ)
・
・・
・・・
「おーい、シエスタ。何してるんだ、早くしないと夕食の仕込みに間に合わないぞ」
「分かりました、マルトーさん。すぐ行きます」
「それじゃあ使い魔さん、後でミス・ヴァリエールと迎えに来ますから」
そう言ってシエスタは食堂のある方へ走っていった。
(夕食が終わるまで一人で待っておくのか)
そこはかとなく寂しいダディである。
ルイズの行動
ひとまず寮の自分の部屋に戻ろうと歩いていると、一番出会いたくない相手に出会った。
我がヴァリエール家の仇敵だ。
「あら、ルイズ。召喚に成功したのに使い魔はどこに行っちゃたのかしら」
「洗濯中よ、キュルケ」
「洗濯中って…自分の使い魔を何だと思ってるの?」
「ツェルプストーに言われたくないわよ、ツェルプストーにわ」
先ほど話したように男子高校生を呼んでいたら、
五秒フラットで怒りのボルテージが頂点に達していただろう。
「あ~ら、この子を見てもまだそんな事が言えるかしら。フレイム~」
そう呼ぶと後ろから熱気を帯びた巨大な火トカゲが出てきた。
ここがラプチャーなら、マッドサイエンティスト共に30秒でバラバラに解剖されるだろう。
「そのサラマンダーがあなたの使い魔?」
「そうよ、どこかの誰かさんみたいにゴーレムなんて不恰好な奴より美しいわ」
「・・・・・!」
「まあ、召喚できただけマシよね。じゃあねルイズ、早くしないと夕食に遅れるわよ」
(あまり言い返してこないわ…どうしたのかしら?)
言いたい放題言っていったキュルケではあるが、本当に召喚できなかったらどう対応するつもりだったのだろうか?
もちろん、心で思っている事はルイズには分からない。
「まったく、言わせておけばとことん言ってくるわね、あのゲルマニア女」
「ふーん、仇敵ってわけね」
「そうそう…ってミス・テネンバウム!いつから聞いてたのよ!」
キュルケを目の前にしても落ち着いていた心拍数が一気に上昇した。
「ついさっきからよルイズ、さあ早く食堂に行かないと夕食が終わってしまうわ」
「言われなくても分かってるわよ」
そう言って食堂へと歩き出した。
ルイズは夕食を食べ終わり、ダディを任せたメイドを探している。
名前を聞き忘れたようなので苦難しているようだ。
「失敗したわ、名前を聞いとくべきだった…」
覆水盆に帰らずとはまさにこの事であるだろう。
だが、探し物は案外近くにあるという言葉も捨てたものではない。
「あ、ミス・ヴァリエール!待っていましたよ」
声のする方をみるとダディを頼んだメイドが手を振っていた。
ダディが座っているのも見られる。
・
・・
・・・
「臭いも消えてるし、前より若干綺麗になったように見えるわね、えーと…」
「シエスタ、って呼んでください」
「そ、そう。あ、あ、ありがとう、シエ「うそ…あれで本当にあの臭いが消えたの?」
ルイズが平民であるシエスタに、はにかみながらも礼を言ったのを見事に遮ったテネンバウム博士であった。
「ちょっと何よいきなり!と言うより、あれ全部でたらめだったの!」
「いいじゃない。その方法で消臭できたのならその方法はあっていると言う事よ」
「そんな屁理屈聞いてなーい!」
「あ、あのミス・ヴァリエール?」
シエスタがまるでオラオラな海洋学者が「こいつ・・・この状況で頭がイカれているのか?」と言いたそうな顔で見ている。
傍から見たら箱と会話しているのだから、そのような顔になっても無理は無い。
「これ?ムセンツーシンキって言う遠くの人と会話できるマジックアイテムよ」
「マジックと言われればマジックだけどね」
「へーえ、そんな物まであるんですか」
すぐに変化する状況に適応するメイド、シエスタであった。
「紹介が遅れたわね、私の名前はテネンバウムよ」
「あ、シエスタって言います。よろしくお願いします」
深々と顔の見えない相手に礼をした。
「まあいいか、臭いは消えたんだし…それじゃあ、またなんか用事があったら頼んでもいいわよね、シエスタ?」
「はい!任せてください」
シエスタは最初ルイズと会ったときと比べて、随分と余裕のある表情になっていた。
貴族に頼まれた事で礼を言われて自身が着いたことも原因だろうがそれ以上に、
貴族の令嬢とここまでしっかりと話せたことだろう。
ルイズが威張ってばかりの三流貴族ではなく、
平民にもちゃんと接する事のできる貴族だと認識したからだろう。
もっとも平民だったらもれなく犬呼ばわりされていただろう。
「もう遅いから、それじゃあ」
「はい。お休みなさいミス・ヴァリエール」
ダディの肩に乗って移動するのはルイズにとって常套手段となったようだ。
・
・・
・・・
~女子寮~
ちなみにダディはゴーレムっぽい外見だが一応人間なので寮に入れることにした。
人間といっても殆どゴーレムに近いが。
「はあ…疲れた」
ベッドに肩から下ろされるルイズ
「今日はもう疲れたから寝るッ!というわけで明日七時頃に起し…って駄目か」
ゴーレムに朝起こせと行っている様な物だ。
目覚めはいい物ではないだろう。
「というわけでミス・テネンバウム明日七時に起こしてください。休み」
「ちょっと!そんな用件聞けないわよ…ってもう寝てる…」
「まるで年の離れた妹を持ったみたいだわ…」
そう感慨にふける博士であった。
16歳で科学に目覚めた彼女はラプチャーに来る前まではナチスで捕虜に対して人体実験をし、
ラプチャーに来てからはADAMを発見してリトルシスターにも深く関わってきた罪深き人である。
たまにはこのようなひと時がきても罰は当たらないだろう。
「ダディ、無線機は入れっぱなしにしておいて」
そう言うとダディは低く声を出し頷き、部屋の隅で眠りに着いた。
新たな目標:七時ごろにルイズを起こす
#navi(ルイズと博士と時々ダディ)
#navi(ルイズと博士と時々ダディ)
ここで一つ君に尋ねよう。
人は、己が額に汗した対価を享受し得ないのだろうか?
然り、とゲルマニアの者は言う。それは貧者の許に帰すると。
然り、とロマリアの者は言う。それは神の許に帰すると。
然り、とガリアの者は言う。それは全体の許に帰するのだと。
わしはそうした答えを拒み、代わりに選んだ。
異なる道を、有り得ぬものを・・・
トリステイン魔法学院を。
「独裁者の真似事はやめて下さいオールドオスマン」
眼鏡をかけた秘書らしき女性が、書類の山と共に老人にツッコミを入れる。
「ミス・ロングビル、こんな老い先短い年寄りの一人遊びを邪魔せんでも…」
「駄目です、溜まりに溜まった仕事を今日こそ片付けて頂きます」
お母様、今日もトリステイン魔法学院は平和です。
ゼロの使い魔 ルイズと博士と時々ダディ
Chapter2
ルイズは考え事をしていた。
ダディが自分の使い魔としての欲目を全うできるかを。
数分前テネンバウム博士から聞いた情報と使い魔の役目との関係性を整理していた。
まず一つ視覚の共有。
うっすら見えそうだけど見えない…どっちにせよダディはほぼ常に私の近くにいる、
という事なので別に関係ない。
二つ秘薬などの主人の求めるものを見つけてくる。
自分は魔法が使えないのでこれはあっても無くても別に構わない、
と言うよりむしろいらなかった…
三つ主人の護衛。
ビンゴ
もとより護衛目的として作られているダディなので、
三つ目の役目だけならそこらにいる使い魔の中でも最も活躍できるかもしれない
「ビッグダディ、通称コング。護衛の天才だ。
ガリア国王でもぶん殴って見せるぜ。でも電気ショックだけは勘弁な」
モヒカン軍曹の電波を受信したような気がしたが気にしたら負けだ。
そうこうしているうちにいつの間にか学院に到着しているのに気づいた。
「…ん?ああ、着いたのね」
降ろしてもらい寮に戻ろうとするが忘れていた問題を思い出した。
ルイズにとって重要な問題である。
「忘れてた…この臭いどうしよう?」
分からない事があれば質問しても構わない、
という事なのでとりあえず博士に連絡をとる事にした。
「ミス・テネンバウム、聞こえてる?」
「早速お問い合わせね、何の用かしら」
「ダディの臭いって何とかならないの?さっきからどうしようか考えていたんだけど」
「あの酷くて胸糞の悪くなるような臭いの事ね、そうねえ…まあ、適当に洗剤で洗ってみたらどう?後は炭を周りに置いてみるとか…私はあの大男の事は専門外だから」
「ずいぶん適当ね…ま、試してみるぐらい価値はありそうね、ありがとうミス・テネンバウム」
科学者がそんなに適当でいいのか?
そんな疑問を残しつつ通信を終了し、どう洗おうかを考えてみるルイズ。
(貴族用のお風呂に入れるわけにもいかないし、
かといって平民用には入らないだろうし…うーん困った)
学園についてからも考え事。
この使い魔が現代日本の一般高校生だったら、ここまで考える事など無かっただろう。
「あの…どうかなされましたか?」
立ち止まってあれこれ考えているとあどけない顔をしたメイド服の少女が話しかけてきた。
それと同時にルイズも何か閃いたようだ。
「ちょうどいいわ…ねえ、あなた」
「は、はい!何でしょうか」
「私の使い魔を洗ってくれない?臭いが酷くてたまらないのよ。
洗い終わったら周りに炭を置いといてくれたらいいわ」
ルイズの話を聞いているのだが明らかに使い魔の方ばかりに視線が向いている。
異世界からやってきた使い魔なので無理は無い。
「わ、分かりました。あ、あのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。
今日の夕食を食べに来る時迎えに来るから、じゃ後よろしく」
ルイズは少女の後に地響きを鳴らしてついていくダディを見て、なぜかデジャヴを感じた。
ダディ&メイドの行動
(ラプチャーでは見たことの無い物ばかりだ…)
たとえビッグダディであっても生き物だ。
言葉を発さないだけで思考はちゃんと持っている。もっともルーンのせいで洗脳が解け、
以前までの単純な思考が改善されたと言っても過言で無いだろう。
(ADAMが無くても頭が冴える…なぜなのだろうか?)
「使い魔さん、こっちですよ」
(置いてかれてしまう。ついていかなくちゃ)
・
・・
・・・
「おーい、シエスタ。何してるんだ、早くしないと夕食の仕込みに間に合わないぞ」
「分かりました、マルトーさん。すぐ行きます」
「それじゃあ使い魔さん、後でミス・ヴァリエールと迎えに来ますから」
そう言ってシエスタは食堂のある方へ走っていった。
(夕食が終わるまで一人で待っておくのか)
そこはかとなく寂しいダディである。
ルイズの行動
ひとまず寮の自分の部屋に戻ろうと歩いていると、一番出会いたくない相手に出会った。
我がヴァリエール家の仇敵だ。
「あら、ルイズ。召喚に成功したのに使い魔はどこに行っちゃたのかしら」
「洗濯中よ、キュルケ」
「洗濯中って…自分の使い魔を何だと思ってるの?」
「ツェルプストーに言われたくないわよ、ツェルプストーにわ」
先ほど話したように男子高校生を呼んでいたら、
五秒フラットで怒りのボルテージが頂点に達していただろう。
「あ~ら、この子を見てもまだそんな事が言えるかしら。フレイム~」
そう呼ぶと後ろから熱気を帯びた巨大な火トカゲが出てきた。
ここがラプチャーなら、マッドサイエンティスト共に30秒でバラバラに解剖されるだろう。
「そのサラマンダーがあなたの使い魔?」
「そうよ、どこかの誰かさんみたいにゴーレムなんて不恰好な奴より美しいわ」
「・・・・・!」
「まあ、召喚できただけマシよね。じゃあねルイズ、早くしないと夕食に遅れるわよ」
(あまり言い返してこないわ…どうしたのかしら?)
言いたい放題言っていったキュルケではあるが、本当に召喚できなかったらどう対応するつもりだったのだろうか?
もちろん、心で思っている事はルイズには分からない。
「まったく、言わせておけばとことん言ってくるわね、あのゲルマニア女」
「ふーん、仇敵ってわけね」
「そうそう…ってミス・テネンバウム!いつから聞いてたのよ!」
キュルケを目の前にしても落ち着いていた心拍数が一気に上昇した。
「ついさっきからよルイズ、さあ早く食堂に行かないと夕食が終わってしまうわ」
「言われなくても分かってるわよ」
そう言って食堂へと歩き出した。
ルイズは夕食を食べ終わり、ダディを任せたメイドを探している。
名前を聞き忘れたようなので苦難しているようだ。
「失敗したわ、名前を聞いとくべきだった…」
覆水盆に帰らずとはまさにこの事であるだろう。
だが、探し物は案外近くにあるという言葉も捨てたものではない。
「あ、ミス・ヴァリエール!待っていましたよ」
声のする方をみるとダディを頼んだメイドが手を振っていた。
ダディが座っているのも見られる。
・
・・
・・・
「臭いも消えてるし、前より若干綺麗になったように見えるわね、えーと…」
「シエスタ、って呼んでください」
「そ、そう。あ、あ、ありがとう、シエ「うそ…あれで本当にあの臭いが消えたの?」
ルイズが平民であるシエスタに、はにかみながらも礼を言ったのを見事に遮ったテネンバウム博士であった。
「ちょっと何よいきなり!と言うより、あれ全部でたらめだったの!」
「いいじゃない。その方法で消臭できたのならその方法はあっていると言う事よ」
「そんな屁理屈聞いてなーい!」
「あ、あのミス・ヴァリエール?」
シエスタがまるでオラオラな海洋学者が「こいつ・・・この状況で頭がイカれているのか?」と言いたそうな顔で見ている。
傍から見たら箱と会話しているのだから、そのような顔になっても無理は無い。
「これ?ムセンツーシンキって言う遠くの人と会話できるマジックアイテムよ」
「マジックと言われればマジックだけどね」
「へーえ、そんな物まであるんですか」
すぐに変化する状況に適応するメイド、シエスタであった。
「紹介が遅れたわね、私の名前はテネンバウムよ」
「あ、シエスタって言います。よろしくお願いします」
深々と顔の見えない相手に礼をした。
「まあいいか、臭いは消えたんだし…それじゃあ、またなんか用事があったら頼んでもいいわよね、シエスタ?」
「はい!任せてください」
シエスタは最初ルイズと会ったときと比べて、随分と余裕のある表情になっていた。
貴族に頼まれた事で礼を言われて自身が着いたことも原因だろうがそれ以上に、
貴族の令嬢とここまでしっかりと話せたことだろう。
ルイズが威張ってばかりの三流貴族ではなく、
平民にもちゃんと接する事のできる貴族だと認識したからだろう。
もっとも平民だったらもれなく犬呼ばわりされていただろう。
「もう遅いから、それじゃあ」
「はい。お休みなさいミス・ヴァリエール」
ダディの肩に乗って移動するのはルイズにとって常套手段となったようだ。
・
・・
・・・
~女子寮~
ちなみにダディはゴーレムっぽい外見だが一応人間なので寮に入れることにした。
人間といっても殆どゴーレムに近いが。
「はあ…疲れた」
ベッドに肩から下ろされるルイズ
「今日はもう疲れたから寝るッ!というわけで明日七時頃に起し…って駄目か」
ゴーレムに朝起こせと行っている様な物だ。
目覚めはいい物ではないだろう。
「というわけでミス・テネンバウム明日七時に起こしてください。休み」
「ちょっと!そんな用件聞けないわよ…ってもう寝てる…」
「まるで年の離れた妹を持ったみたいだわ…」
そう感慨にふける博士であった。
16歳で科学に目覚めた彼女はラプチャーに来る前まではナチスで捕虜に対して人体実験をし、
ラプチャーに来てからはADAMを発見してリトルシスターにも深く関わってきた罪深き人である。
たまにはこのようなひと時がきても罰は当たらないだろう。
「ダディ、無線機は入れっぱなしにしておいて」
そう言うとダディは低く声を出し頷き、部屋の隅で眠りに着いた。
新たな目標:七時ごろにルイズを起こす
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